Cygne sur l'eau



《水の上の白鳥》

             ルネ・ド・ブリモン詩
               落合訳         

我が想いは諧調と寧静湛える白鳥
倦怠の岸辺をゆるらかに滑る
夢と幻影と木霊と霧と影と夜の
底なしの波の上を滑る

尊大な王は自由な拡がりを押分け滑る
希有にして移ろいやすい空疎な反映を追い求め
物憂げに押し黙り、銀月が照らす臨界過ぎる時
数しれぬ葦が頭べを垂れる

白睡蓮の円い花冠のひとつひとつ
次々に願望と希望の花を咲かせて・・・
それでも弥増(いやま)さる先へ霧の上を、波の上を、
逃去ろうとする未来へ向かい白鳥の黒い影は滑る

"諦めなさい、美しい夢のような白鳥よ
模糊たる運命へ向かうゆっくりとしたその旅は。
不思議の中国も、風変わりなアメリカも
貴女を確かな港に受け入れはしないから

かぐわしく薫る入江も、不滅の島々も
黒い影の白鳥よ、貴女に危険な暗礁だから
湖の上に留まるのだ
此の雲、此の花々、此の星達と此の瞳を忠実に映す湖に"




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