Vaguement Y



夫の帰りを待つとき

December 25, 2013


夫の帰宅時刻はホールの場所や演目でおよその見当がつく。


第9のあとにマイスタージンガーを演奏するとなれば遅くなるし
室内楽でイベールなら割合早いなど・・・

大体の目算でお夕食を準備してお稽古に戻る。
到着時刻の詳細は毎日のメールで知らせてくれる。

メールが入るとお稽古を終えてお玄関の表てを見直す。
夫が入って来る門周りが気持ち良いように、もう1度掃き掃除したりお花鉢を拭いたり。


夫のデザートやお夜食になる手焼き菓子を出して、ダイニングルームを温める。


夫のスリッパを揃える。
お玄関燈を明るくする。
お風呂のスイッチを入れる。
夫が手洗いに使うタオルが湿ってないか確かめて
お料理をよそう前の夫のお皿を温め始める。


夫の席の前にお花を置く。


その辺に生えてる草花でも何でもいいのだ。ポロリと取れて落ちちゃった椿なんかを小さなお皿に浮かべたりも。

  それから口紅を塗り直す。

  朝見たあとは鏡なんかに構う時がないけれど
  夫が帰る前だけはドレッサーの前に座る。

そして到着まで2、3分の隙間でもある日はコートを羽織ってお迎えに。嬉しくてちょっとドキドキしながら・・・

**


此んな毎日。
今日はノベルティ君との合わせが終わったら大急ぎでご飯準備。

ノベルティ君からは前々日になってテンポ指定を勘違いして知らせてしまったって謝罪メールが・・・え〜?! 今から倍の刻みにテンポを上げて必死で練習します。



好き嫌いのそれぞれ

December 19, 2013

"意地悪な人や攻撃的な人って別に嫌いじゃあないわ。"


夫と、好きな人・嫌いな人ってどんな風? っておしゃべりした。

少し前に読んだヴォルテール著 "哲学書簡" が元にあった。

ショーペンハウアーがカントを批判して、ニーチェはカント批判に加えてショーペンハウアーにも釘を刺し・・・哲学者たちの公開議論は楽しいものだけれどヴォルテールのパスカル批難も面白かった。

 書簡25
 --- 極度のエスプリは、極度のその足りなさと同様、
 狂気として非難される --- について

 《狂気として批難されるのは、極度のエスプリではなくして、エスプリの極度の過敏性と囘轉率とである。極度のエスプリとは、極度の穿ち、極度の繊細、極度の音域であって、狂気とは對蹠的に反するものである。

 極度のエスプリの足りなさとは、さつぱり思いつきのないこと、觀念の空つぽのことであつて、これは狂気ではなくて愚鈍である。》

             (林達夫様訳)

ヴォルテールの雰囲気は概念の説明はもとより、其れを正しく著せていない (とヴォルテールの観るところの) パスカルを愚鈍と言ってるようなところがあって此うした好戦的性質を愛してる。

間違いがあっても捉え損ないがあってもドゥニ・ディドロをこよなく愛するのも同じ理由かも・・・


意地悪な人が居たとして、其の方もきっと万人に対して意地が悪いわけじゃあない。


優しくする相手とそうでない相手の数の比率は千差があれど尠くとも人にとっての悲喜を察知できる人しか意地悪ってできない気がする・・・ だとしたら心の持ちようでは幾らでも優しくなれる人かもって思う場合もある。


意地性質は極端な例でも、場面や相手で変化する事を理由に人を嫌いにはならない気がするって話した。それに大きな転機で行動も考え方も180度変わる人も居る。

  厭なほうを1つ挙げるなら無粋なこと。
  もう此れに尽きる。

無粋な性合は相手や状況で変わることがなさそうだ。
意志も心持ちも無関係に何処までいっても野暮で
無選別のまま万人に対してお構いなしに無風流なものだ。

私は其れが嫌いだって答えた。



思いつくまま飾る枝

December 15, 2013

夫と一緒に拾った小枝を階段脇のコーナーへ挿した。


  *丘とルソー

今日またゼロ円インテリアばかり撮ってる。


ホワイエの手すりにはゾラの実。


強い悪臭のせいで不名誉な通名になった実。あんまり可哀想な呼び名だから勝手にゾラの実と名付けた。生命力の強さがゾラ文学を連想させる大好きな実。


青木の実も徐々に色づいた。


イーヨーのお山からごっそり持ち帰った実です。


リビングルームには生徒ちゃんからのドライと昨年イーヨーから貰ったナンキンハゼを飾ってみた。


今年もガク付きのが収穫できるのを期待して・・・


寝室にはツルウメモドキの実を追加。


メトロ切符をちょんちょんと留めてみた。
ゼロ円のオンパレードです。

脇に貼ってるのはモデルをした100号絵画を画家さんが写真に撮って下さったもの。


キッチンに飾ろうとしてる南天も、


ご近所のおじ様が伐採中に欲し〜ってお願いして頂いてきたのでした。

**


思いつくまま枝で遊びながら曲の事ばかりずっと考えてた。
1曲1曲毎日悩む。

先日観た映画DVDの風景や、映画の中のジャン・クロード・プティの音づかいや、同曲パリ管の演奏や

弾きたい曲の物語性や、別の映画で耳にしたジョルジュ・オーリックのつまびきのような音楽や

幻影のような映像や、モノクロームの音楽や、異国の土の香りや、夢のように過ぎ去る人生や


思い浮かぶにまかせて活けたり挿したり無心に遊び
今留めたい音楽は何だろうって答えがようやく出た。



育ててもらった子供として

November 30, 2013

母の愛読書、ジャン・ジャック・ルソー著 "エミール"。


表紙返しに1965年のサインがある。

 《自分の味わっている感動で胸がいっぱいになった教師は、それを生徒に伝えたいと思う。自分自身が感じているいろいろな感覚に生徒の注意を向けさせることによって、彼は子供を感動させているつもりになる。

 まったく愚かなことだ。

人間の心の中にこそ、自然の情景の生命は存するのだ。それを見るためには、それを心で感じ取らなければならないのだ、子供はいろいろな対象を見る。しかしそれらの対象を結びつけている種々の関係を見ることもできないし、それらの合奏のかもしだす美しい調べを聞くこともできない。
そういった感覚すべてから同時に生じて来る複合的な印象を感じるためには、彼のまだもったことのない経験が、彼のまだ味わったことのない感情が必要なのである。

長いあいだ不毛の平原を歩きまわったことがないとしたら、灼熱した砂に足を焼かれたことがないとしたら、直射日光を受けた岩の、むせかえるような反射に胸苦しさを感じたことがないとしたら、どうして美しい朝の新鮮な空気を味わうことができよう。どうして花々のかおり、緑の美しさ、朝露のうるおい、芝生の柔らかく、優しい踏みごこちが、彼の感覚を魅了することができよう。》

             (戸部松実様訳)

               母の本は今野一雄様訳ですが
               引用は手持ちの戸部様訳です


大人個人の個別体験の上にだけ成り立った感想を箴言風に括ることをせずに、
総てを感性の土壌の問いに換える思慮をもってくれた事を母にとっても感謝してます。


物象を個人雑感で単純な善し悪しに落とす時、多くは野暮に陥ると子供は感じ知ってるものじゃないかな。其うして鋭く審議の目を向ける。

感覚の土壌が完成されない子供だからこそ複合的なものを求め、末梢的な偶感はただお説教臭いと差置く。

  先生や親への反発の一因は此うしたところにもあって
  発端は大抵少年少女期からだとしたら


私の場合は幸いにエミールの書のお陰で、説明のつかない苛立ちや身近な大人へのシニカルな感想はうんと少なかったと振り返った。


学校へ上がってからも担任の先生はルソーが述べてる種類の愚かさを持ってなかった。有難い出会いだった。

  *シルヴィーの鳩とたんぽぽ

    "たんぽぽとは此うですよ"
      "たんぽぽは綺麗ですね"
        "たんぽぽを大事にしましょう"

などの愚昧を担任から聞いたことがなかった。
偏に感覚土壌開拓の体験の場を与えてくれたんだった。
私たち児童は言われずとも心からたんぽぽを愛で興味を持った。
育て手の愛をひしひし感じた。

人を育てようとする時、育てる側の愛の形にはクオリティーが問われるものだって最近よく思う。



嬉しかったライブと今後

November 22, 2013

朝日が当たる夫の部屋の南の窓下。


昨夜はPJボジョレーの会、シャンソンライブでした。

近くでお友達とお話できるのも私たちにとってピアの醍醐味。
昨日は嬉しいニュースがたくさんあった。

何年も前にお友達になったテッセルモルモットちゃんが、お引っ越し先から神戸へ戻られて会いに来てくれたのが凄く嬉しい出来事だった。ありがとお・・・♪

お誕生日だったノベルティ君にケーキを準備しておいてバースデイソングを演奏したり、教会のおじ様おば様がお初にお見えになったり和気藹々でした。

其れからカップル誕生のニュースに興奮。


せんにはヴィヴラート君カップルのニュースがありました。
1人でコンサートに通ってくれてたヴィヴラート君が昨年から彼女さん連れで来てくれるようになってとっても嬉しかったんダ。

今回も、生まれそうなカップルを2人で一生懸命応援してたらばビッグカップル誕生の報告。素敵素敵! 大はしゃぎしちゃった。

シロツメ草ちゃんは風邪引きさんで大きなマスクで登場。
遠くから風邪をおしてきてくれてありがとう。


ライブ写真がまだないから赤嘴クイナちゃんのブログからお借りしますネ。


今日からもう一踏ん張り。

26日は神戸市コーディネイトのコンサート仕事なのに、チャペルコンサートとライブ準備にかかりきりでまだ真っ白なのです(涙)

助けて・・・って泣いちゃいそうな練習スケジュールがもう少し続きます。

まずは、昨日のドレスのクリーニングと家事の朝。



2013年11月夫の好きな秋物

November 12, 2013

お庭用ソファの上へ蔓が下がる初雪葛が赤く染まった。


夫はお庭が大好きで、春に咲いてたアンジェラが秋に再び開いたのを嬉し気に眺めた。


夫の好物の口溶け良いフランも秋らしい暖かい配色のディゴワンに入れる季節になった。


相変わらず1筋も残さず綺麗に食べてくれるとき
80年前の食器の質感の柔らかさも楽しむんだった。
夫は洋食器も好きで、今はキュノワールに興味津々。


親戚からは箱ごと色々余ってて使わないからとシルクブランケットが届いた。


軽くて暖かなのが嬉しい上に純白とアイボリーのコンビネーションがツボだった。
このセンスが夫も大好きなのだ。

しかしぬくぬくしてる場合でもなかった私たちは
朝ご飯を終えるとすぐババール合わせとタイム取りにかかった。

18日チャペルコンサートの曲を改訂・仕上げに入り
21日ボジョレーの会の曲目削除と挿入の後プログラムを決定し

  *11.18チャペル・コンサート
  *11.21 PJボジョレーの会

時間の隙間にキッチンでも寝室でも書いてたピアノパート・アレンジを試したりした。

夕からは野暮用に2人でお出掛け・・・


白ワインを多く使ったシチューなど身体が温まるお鍋ものが多い秋のアクセントに昨日は焼きもの。


チキンを急いでタレに漬け込んでサラダを準備してから外出した。


遅く帰ってのお夕食。


デザートを作る時間がない此んな日の食後に好評だったのは
お林檎をコットンのお花の蜂蜜とシナモンとレモンで焼き煮をしただけのプレートでした。大慌て丸出しの切り方・・・(恥)

熱々とろとろのお林檎を夫がはふはふパクつく秋の夜。


*2011年11月
*2011年12月
*年頭の記録2012
*2012年1月
*2012年2月
*2012年3月
*2012年4月
*ちょこっと凝集
*異常食欲、2012年5月
*2012年5月末
*2012年6月
*2012年7月冒頭
*2012年7月のリビングルーム
*2012年8月の本番翌日
*Macへ行こう(12)8月とLion
       ?僕が知ってる8月の嘘っこ
*PJバーベキュー2012と8月末
*2012年9月のペンキ塗り
*2012年10月ヴァントゥイユ当日
*2012年10月のベッドルーム
*2012年11月 ピアノ室とババールカードVol.10
*冬の予定など・・・
*2012年12月のクローゼット
*2012年12月の反省
*年頭2013
*2013年1月とお針ごと
*2013年2月のデスク
*春、副業、代り映えナシ
*2013年3月のシーツ
*2013年4月のカーテン
*2013年5月初旬の1日
*2013年6月はじめ
*2013年7月の家事
*2013年8月の音楽生活
*2013年9月のガラス掃除
*2013年10月のキャネット



お誕生日に欲しい物

November 01, 2013

夫が1人暮らしの時に持ってたキーボード。


曲中のハーモニーを探るために昔に買ったんですって。

夫のマンションでは押し入れに仕舞われてたみたい。
拙宅へお引っ越し後は常設の子になりました。

馴染みがなかった電気式キーボードもよく見ると結構可愛い。
ファゴットルームのはじっこに目立たず控えてます。


2枚目はリードを削ってる夫です。


いつでもリード作りの様子が見られて幸せ。

夫の手から生まれるリードが大好きです。

**


昨日は午後一杯かかって、11月21日ボジョレーヌーヴォーの会のプログラム決めをしてた。

  *11.21 PJボジョレーの会

新しいラインあり、旧曲の改正あり。
数曲は迷い中。

ピアノアレンジはまだ完成してない。

煮詰まると一緒にお庭のお水撒きをして気分転換。
其うしてまた2人でピアノ室へ戻り・・・

曲相談をしながらコーヒーを飲んで
合わせをして、タイム計算をして、修正して

手早くお夕食を作る間に夫はリードの糸巻き作業をして
深夜は並んで歯磨きをしながら一緒に音源を聴いて

たっぷりババール合わせの日になった。

**


でもそれは、ソロ練習ができなかった日とも言い換えられる。

一杯一杯動いていてもあらゆる事が間に合わない不安に時々泣きそうになってくる。

24時間でできることが限られてたり
1日分のエネルギーに限界があったりを
ものすごく辛く感じたりする。

いっつも其うかな・・・
能力がないとか
時間がないとか
補うのは努力しかないとか

其ればかりを思って幾10年暮らし

眠くなったり
力尽きたり
半端なお稽古のまま止しちゃったりした後
頭を抱えたくなる。

お誕生日に欲しい物を問われて思った。
際限なくお稽古できる気力と体力が欲しいな。



色の記憶

September 12, 2013

トルコキキョウを植え足した。


桔梗に似ているだけでリンドウ科なんですって。昨日まで知らなかったナ。


1年草は入れ替え易いよう多年ものとわけて・・・


スッと立つ秋のお花の間に這性植物も欲しくってダールベルグデイジーの苗を植え付けた。


朝霧草、イングリッシュラベンダー、洞庭藍。


葉っぱものは鮮やかなグリーンよりシルバーリーフが大好きで、気がつけば淡い銀色の葉っぱが増えてる。


グリルの上はお隣さんのお庭からの差し入れ。
同じ株のひと枝だけがグリーンの実から赤くなったんですって。


作り物と見まごう赤と緑のコントラストに1冊の本を思い出した。

風と水の彫刻家、新宮晋氏の初期の絵画著書。発売されたばかりの1975年にイクラ先生に頂いた。氏がハーバードの客員から大阪へ戻られた直後に公刊された1冊だったよう。

  "Vent" -- 緑の風を受け、いちごが緑に生まれ
  "Pluie" -- 白い雨を受け、いちごが白く成り
  "Soleil" -- 赤い陽を受け、いちごが赤く変わる

其んな様子が描かれてた。

いちごの赤が描けないときは赤くなる前の色、緑で下塗りをしてから赤を塗るって教えてくれたイクラ先生の言葉と共に鮮やかな色合いの見開きページが浮かび上がった。

  赤いシシトウも色づく前の記憶を携えていそうな気がした。
  ねえ、そうだったらどんなに楽しいでしょうって妄想し
  話し掛けたくなってグリルをしげしげ覗き込んだ。


レンズ越しに赤い実を見つめてわかったのは、
グリルを接写するとレンズに油ハネするってコト。



講座受講とダウン

September 09, 2013

教会へ連日通った。


ラ・クロワの準備の傍ら2人で結婚講座を受けてます。
カトリック外のお人とのお式は講座受講義務があるの。
事務的な手続きとともに・・・

忙しさに昨夜からダウン
というわけで主寝室の写真です。

テーブルに乗っかってるのはこの頃一緒に読んでるアンドレ・ブルトン。プーランク曲に照らしつつ、シュレアリストの著書ももっとおさえておきたいナ・・・って。


正午過ぎまで今日は静かにしておこう。


ババールカードが作りかけで、結婚式の式次第が手つかずで
時間に追われっ放しだけれど午前いっぱいまでは休憩です。



花火

August 08, 2013

夜のお庭で花火をした。


火薬の匂いは懐かしいような夏の香りだった。

  ドビュッシーに "花火" ってあったよね?
    火種を移しながら夫が呟いた。

  うん、プレリュード24曲目よって答えた。
    リサイタルで花火を弾いた年には
      私たちはまだ出逢ってなかった。

  ストラヴィンスキーの "花火" は知ってる?
    次に夫はオーケストラ小品を挙げた。

  花火が小さく爆ぜる音をバックに
    ぽつんぽつん何でもない会話だった。


綺麗ねって眺めてた線香花火のボンボリが
予兆もなくふいに落ちて消えた。


  フランス終止だねって
    夫が笑った。
    
  掻き消えた花火の最後が
    フランス音楽に多用される
      終止形に似てたのだ。

  *尻切れ草履

平和で優しい時間が過ぎた。


ドライフラワーをたくさん花瓶に挿して
お庭のブラックベリーをジャムにして
帰宅する夫を迎えたんだった。


夫は "ただいま" と言う時、とても嬉しそうにする。
それから箱を差し出した。

私の好きなシュークリームだった。


笑顔で渡してくれてるのに、すぐありがとうって言えなかった。


着替えとファゴットケースと楽譜の重たいお荷物。
その上お菓子箱なんか抱えてこなくていいのにナ・・・

優し過ぎると泣きたくなる私の気持ちを夫は知らない様子で
ブラックベリージャムのヨーグルトを美味しそうに食べた。



結婚すると変わる男

July 02, 2013

昨年の蝶番君の韓国オミヤだったカタツムリ石鹸が残り僅かになった頃だった。


  *カタツムリ石鹸とマメマメ

中身が減ったチューブを見て、使い心地を問うてきた。
とっても好きだったって答えると、彼はもう1つ買ってあると言うのだった。

気に入るかどうかわからないから、いっぺんに渡して迷惑なよりはと希望を問うて2つ目を差し出してくれた。1つ1つの行為が本当に繊細な恋人だった。

デリケートで、どこか遠慮がちな人が突然プロポーズをした日から変わり始めたんだろうか。


結婚すると男性は変わると耳にするけれど、私の夫の変わり様ったら・・・


蝶番君は若い頃から吸ってた煙草をパッタリ辞めた。
  辞めるとも辞めたとも言わなかったし、私も問うてない。
    ただ彼のマンションの灰皿が洗って伏せられ、
      ポケットには煙草の代わりにミントガムが入った。

内気なところがあった人が
  入籍を誰彼なく報告をしまくるようになり
    最後には郵便局の窓口で知らない人にも報告した。

はにかみ屋さんの彼が妻を紹介したいと熱望し
  オーケストラメンバーの前で紹介しながら
    いちいちキスをするものだから
      紹介相手皆様が驚かれ困惑しなさった。

どうしちゃったんでしょうと、まじまじ眺めた。
はしゃぐ夫を見ると、恥ずかしくて、くすぐったくて、幸福な気分になる。


*お引っ越し準備
*再会の駅
?僕が見たメッセージ
*お引っ越し1日目
*お引っ越し途中記録



お引っ越し途中記録

June 26, 2013

激しい雨。


朝早くから真夜中までのお引っ越し作業で筋肉痛の翌日。

危惧された雨もお引っ越し当日だけ梅雨の晴れ間に当たった昨日は、幸せな作業日だった。


受け入れ態勢の下準備は万全って言えるほどしてあったから、とってもスムーズだった。
配備も運び順も予定通り進んだ。


住まいは元々私が暮らしてた旧居一角。蝶番君はマンションに住まっていたからファゴット室の他にもう1つ防音室を備えてピアノ2台を持ち込むのは難しくって。 

拙宅は楽器を鳴らせる設えの2つのお部屋が、それぞれ離れた場所に独立してあってお誂え向きだった。

蝶番君が遠いところを2年半頻繁に合わせに通ってくれた拙宅の、未だ見ていなかったお部屋にお初に案内してみたのはつい先月だった。彼は其んなお部屋があるとさえ知らなかった。

二重サッシと二重扉になってる10数畳のお部屋。壁一面天井までの深い譜面棚の中は元々録音機器コードを掛けるポールまでが備えてあったから、工夫すれば快適なファゴット室になりそうだった。

趣味のお部屋がファゴット室として有効利用できる日が来るなんて考えてもいなかった。
ファゴット室に一等近いお宅には音楽施設の関係者が先日越して来られたばかり・・・

  ?僕が見たご近所さん

不思議にあつらえられたような事の連続だった。


シロツメ草ちゃんから可愛らしい珍しいお野菜が届いた。


ファゴットを持って拙宅ピアノ室にも来たことがある若い音楽家の卵ちゃんです。

  *音楽家の卵

お引っ越し週間の体力勝負に勝てるスタミナ料理の材料がタイミング良く配達されたようで嬉しかった。シロツメ草ちゃんどうもありがとう!

**


夜中0時を回って作業が落ち着いた。
お庭の緑の香りがする微風を受けながら一緒に中庭を眺めた。

互いの働きを労って、次の回の計画を相談して・・・
身体はうんと疲れてて、でも楽しくて満たされて。

デュオコンサートを終えた夜と同じだナ。



お引っ越し1日目

June 25, 2013

南テラスの先。


朝昼に咲くコンボルブルスがやっと目覚めかける早い朝。


西の小さな紫陽花畑も生育が進んだのを喜んで・・・


今日はお引っ越し第1日目。コンサートに影響しないよう6月と7月に分けて行なう予定なの。

結婚前後の多忙は、私なんかより蝶番君のほうがずっと大変でした。

互いの仕事がやっと終わった夜も10時になってから蝶番君宅に行った。夜中に荷詰めして、朝は段ボールを追加して、蝶番君は奈良のコンサート、私は実務的な処理をしに神戸へ。

蝶番君は奈良から帰ると大阪の合同練習へ行くことになってた。その隙間のたった数10分だけでも荷詰め作業を進めようとマンションに急ぎ戻り、数10分後には再び出発。合同練習のあとは夜中に拙宅へ・・・

2人で走り回ることは今までも少なくなかったけれど、この度の蝶番君の毎日は時間・体力共に消費の限界を越えてた。

それなのにずぅっと穏やかで優しい空気をくれて本当に感謝してます。

2人ともちょっと腰かけるだけで眠っちゃいそうな寝不足の中、それでもとっても楽しく進むお引っ越しです。

まだ少し準備が残ってるから続きはまた今度ネ。


*お引っ越し準備
*再会の駅
?僕が見たメッセージ



天国と絵手紙

June 23, 2013

母の大学時代の恩師はお美しいおばあちゃまだった。


お引っ越しの整理で目に留まった彼女のお手紙はイースターに頂いたものだった。水彩のかわゆらしい絵が描き添えられてた。ひっそりしたワンピースがお似合いの本当に素敵な先生だった。

  晩年の彼女の絵手紙1通全文を記念に・・・

**


《イースターの日、教会の会衆と一しょに、ヘンデルのハレルヤコーラスを歌いながら、私はパリの教会のイースターのことを思い浮かべていました。

桜ちゃんは、どんなイースターを守ってらっしゃるかしら。
日本とフランス、そして世界中で祝われる復活節を思って、心からハレルヤと主をほめたたえました。

パリの春は、リラの花が咲き香るときいています。一軒の家の庭に珍しくリラの木がうす紫の花を一ぱいつけていました。
そこで一句。"リラの花 パリの匂いの 風流る"

私は毎日花の絵を描いたり、自己流の俳句を作ったり、詩や童謡を作ったり、もっぱら創作を楽しんでいます。

音楽は、この頃お茶をのみながら、ビゼーやドビュッシーやオネゲルのフルート曲をききます。

フルートは風の音ですね。ギリシャ神話のパンの吹く笛も、葦の葉や茎をかすめて吹き過ぎる風のような音だったと思います。

クリスマス前はお母様とよい御旅行をなさったとか。お母様からお話うかがいました。それから桜ちゃんの楽しいお部屋のお写真を拝見しました。

先回は個性的な仲間の一人々々とも、お近づきになれて嬉しかったですよ。今週はどんなお友だちと御一緒なのですか? また紹介して下さい。》

静かなか細い彼女のお声が聞こえてきそうなお手紙だった。


蝶番君、このお手紙何処に飾りましょうね?

今日も少しずつ進めてるお引っ越し作業。



アンジェラ

May 24, 2013

アンジェラが開き始めた。


季節の移ろいをしみじみ思った。


今春バレンタインに恋人から戻されてしまった箱を棄てた。


3度目のバレンタインが過ぎてから返ってきた空箱をしみじみ眺めた。

**


恋人は、折角もらったチョコレートの箱をゴミ箱へポイと入れられないと言い、拙宅に持ってきてしまったのだった。

手作りチョコを渡すのに便宜的に空箱を使っただけだから捨てて頂戴と言ったのに。

引き取ったものの、今度は私のほうが捨てられなくなった。
拙な過ぎるチョコレートを箱まで大事そうにしてしまう恋人の手が触れたと思うと、何でもない空箱なのにゴミにしてしまえなくなった。


其んな数ヶ月前を思い出しながら空箱をゴミに出し・・・


他の様々な取置きも思い切ることができたのは此処数日のこと。

もちろん、捨てられない品もまだまだある。
この2年半のスケジュールノートは使い終わっても置き飾ってた。

恋人と会う日には色の印をつけてたノートだった。
最初の月は3度。回数は瞬く間に増えた。

色鉛筆で予定欄を塗るのか楽しくて。たくさん会える月は欄内に明るい色が増えてって・・・

**


近日幾度かに渡って、恋人との思い出話の記録綴りをしておこうと思う。


グラナドス "ゴイェスカス" の印象を此んな形の文に書いてみた。


  乾いているのかウェットなのか、
    明るい運動体なのか虚無的なのか、
      聴く側は曲を掴めてもトーンを断定し難い風な

その印象のわけは昨日のジャンケレヴィッチ引用個所と類似点があるように思えて

  *ダサいお菓子

とても興味を持っています。



1日追想

May 21, 2013

たった数日だったけれどプライベートが忙し過ぎた。
昨日は疲れすぎてお稽古の集中が続きにくかった。


譜が頭に入ってこないくらいクタクタだった。普段は休息に当てる家事がメインになってしまった日だった。

綿毛布に取り替えた。
寒がりで、今頃にやっと冬の毛布とさよならした。


毛布をお洗濯に出して仕舞ったり


冷える朝夕のためにまだ出てたポイントストーブのフィルターを洗って干したり、薔薇の病気予防にお薬を撒いたり、間では病院へ行ったり、

書類を書き上げて整理したり、ソースを作って小分け冷凍したり、好きな家事を満喫してしまった。

フルート伴奏譜を全員分通し、先日の編曲ものを譜面上に整理したくらいのお稽古に終わった。

良い働きのない1日だった。

末、楽しい1日だった。

**


苦しまず、寄って成長ない1日を過ごすととても後悔する。
とても楽しかった1日の実感は、前進のなさの実感ともなる。

学びがない日に罪の意識を抱く理由に解答をくれる部分がプラトン著 "テアイテトス" で見つかる。

《なすべきは、身の持ち方をその一方から他のより良い持ち方へと変化させることである。ただ異なるところは、この変化をもたらすのに、医者は薬品を用いるけれども、教育者のソピステス (智慧の指南者) は言論を用いるのである。

中略


もっと別のものになろう、これまで自分があったところのものから解脱しようとする目的で、いとわしい自分自身からのがれて、智慧を慕い求めることになるだろう。》

             (田中美知太郎様訳)

変わらず大好きなソクラテスをまた読み漁っています。

**


今日はたくさんの用を片付けに街へ。
間の空き時間でご案内があった美術展も寄れるカナ?


■ソクラテス関連リンク
*ソクラテスと肉体
*オーブン壊れちゃった
*人間の愉しみ
*実を結ぶこと
*リサイタル告知とクリスマス写真



PJにてプーランク・マズルカ

May 15, 2013

お庭の薔薇が毎日開いてゆく。
暖かくなりましたネ・・・


インターネット動画を興味津々で観てた。
ルイーズ・ド・ヴィルモランが話してるフランスの過去の番組がインターネットファイルでupされた動画だった。

50歳代らしいルイーズのあんまりに天真爛漫な様子に釘付けになって観た。

  *シネマ記録(5)たそがれの女心

何かの本だったか、ルイーズとコクトーは同じ病気だ、ってくだりがあったと思い出した。才気溢れるが故に奇妙にアンバランスな印象を与える人。

  インタビューの中でルイーズがふと言った。

プーランク、ミヨー、ソーゲらが、私が作った詩をシャンソンにしたワ、って。

きゃ〜♪ なんですって?


動画を一時停止してすぐにプーランク作品表など調べた。


幾つかのヴィルモラン詩の曲集以外に単独小唄の記述は見つからなかった。

どんな曲か知りたい!
其うしてババールで弾きたい!

矢も盾もたまらぬ好奇心の塊のような気持ちに反し、資料を当たっても何も出てこない。

そこで愛する母校の図書館にご迷惑な問い合わせをしたの。
私の質問はとても返答を頂けるようなものじゃなかった。

  曲タイトルがわからない。
    出版社も勿論わからない。

      おそらく単声部とピアノだと想像するけれど
      はっきりした楽器編成もわからない。

    出版年もわからない。
  作曲年もわからない。


無視されて当然の、イタズラメールと疑われそうな質問だった。それでも知りたくて、後回しの処理にして頂いて結構ですからもしも情報がありましたら・・・と希望を書いた。


送信当日に下さったご返信に驚いた。


《ヴィルモラン詩でフランス6人組の合作歌曲は"Mouvements du coeur : un hommage à la mèmoire de Frèdèric chopin"(心の動き:ショパンの想い出に寄せて)ではないでしょうか?

この内第2曲「マズルカ」をプーランクが、第3曲「ワルツ」をオーリックが、第6曲「バラード・ノクターン」をミヨーが作曲しています。

Mazurka : pour voix grave et piano Francis Poulenc. -- Heugel, 1949. 楽譜を所蔵しています。》


その上、図書館への楽譜請求番号を書き加えて下さってた。

もぅ・・・涙目になりました。
素敵に優れた女性図書館員さんでした。

**


此んな風に演奏曲の1曲ずつに、いきさつがあります。

プーランク "マズルカ" のお披露目は七夕のピアジュリアンにて。



2013年5月初旬の1日

May 07, 2013

お庭の小手毬とオーニソガラムを切って飾るのが朝一番にした事だった。
お外はまだ薄暗かった。


朝ご飯ももどかしく、辺りにあったミニクロワッサンをお行儀悪く咥えたままピアノ室に入った。譜読みをしなきゃならない曲がお山ほどもあったのだった。

  "お天気がいいね。散歩でもしたら? "

恋人のお電話の声に現実に戻って少し慌てた。

  "お天気なの・・・?
  まだピアノ室から出てないから知らなくて。"

呟きながら初めて時計を見ると15時を回るところだった。
えっ・・・3時?

早朝明け切らぬうちに譜面貼って譜読みを開始してから一度もお部屋の外に出ていなかった。道理ですごくお腹が空いてるって気がついた。

お電話のあと急いでジャンクなピザトーストを飲み込んだ。
明るいうちに窓拭きをしようと決めてたんだった。

リビングルームの大きな掃出し窓と桟を汗をかきながら拭いた。


譜読みの頭休めに良い労働だった。

咲き残っていたムスカリを摘み、お庭の掃き掃除を済ませ
ついでに裏口の物品用クローゼットの中を拭き掃除した。


内部が階段下まで延びているクローゼットは大物を入れる所。


扇風機やポイントストーブの季節物が幾台かと、ストックの紙袋類だけが整理されてる。

中に入って水拭きをする間、iPhoneでYoutubeを鳴らしてた。

ホスピタル・コンサートで昭和歌謡を演奏するのだけれど、譜に書き出すのが面倒だから耳コピーだけでやっちゃうことにしてた。

拭き掃除の間に前奏間奏装飾を憶えて、ピアノ室に戻った。楽隊からピアノ演奏になる場合のアレンジをして譜面に起こさないまま暗譜。

お稽古のあとはリサイタル後援元へ行事報告書を指定枚数書き上げた。


七夕PJライブのちらしに載せて頂く曲目など確認してPJに連絡。

キッチンの家事をしながら、今週ある家内行事の連絡を幾つか。

お洗濯ものを畳みながら恋人と此の日2度目のお電話で話し、畳んだ布類が片付く頃には0時半を回ってしまってた。時間ナイな〜

**


今日はババール合わせ。
その前にコンサート会場打ち合わせへ朝一で出掛けてきます。
終えた後ババールの待ち合わせは11時・・・急がなくっちゃネ。


*2011年11月
*2011年12月
*年頭の記録2012
*2012年1月
*2012年2月
*2012年3月
*2012年4月
*ちょこっと凝集
*異常食欲、2012年5月
*2012年5月末
*2012年6月
*2012年7月冒頭
*2012年7月のリビングルーム
*2012年8月の本番翌日
*Macへ行こう(12)8月とLion
       ?僕が知ってる8月の嘘っこ
*PJバーベキュー2012と8月末
*2012年9月のペンキ塗り
*2012年10月ヴァントゥイユ当日
*2012年10月のベッドルーム
*2012年11月 ピアノ室とババールカードVol.10
*冬の予定など・・・
*2012年12月のクローゼット
*2012年12月の反省
*年頭2013
*2013年1月とお針ごと
*2013年2月のデスク
*春、副業、代り映えナシ
*2013年3月のシーツ
*2013年4月のカーテン



間際の悩み

May 01, 2013

七分袖のバスローブを頂いた。


淡い桜色、コットンのワッフル地。
うんと軽くて良い着心地です・・・♪

間際になってまだ七転八倒してるお稽古。
いつになったら直前のメンタルコントロールが上手になるんだろうって自分にげんなりしながら、敷き布を洗ってアイロン掛けした。


現在は敷き布にしか使えないくらい薄くなってしまったコットンリネンの刺繍ハンカチは、子供の頃のおとっときだった。


コンサートに連れていってもらう時、遠くの美術館へ行く時、
レッスン以外のお出掛けにいそいそとバッグに入れたんだった。

レッスンや学校の、汗をよく吸うガーゼやコットンのハンカチは
ちょこっと刺繍があったりレースがついたりのプリント地が主で
たまに持てる白一色の刺繍は大人びた気分になれて嬉しかった。

持主と同じだけ古びてしまったから洗面台に敷いたりして
今はもっぱら家内用。


**


  何をしててもあがってしまうから
    何でもない家事に逃げる。
      お稽古し過ぎは遣い傷みが怖くって
        お稽古してないと一層不安で

  始まってますね・・・      
  本番間際の後ろ向きな気持ち。 

始終口にしてる事だけど、ブログに書く風になるのは最終段階。
毎回のことよね〜

音楽観も生活も奏者の中のありとあらゆるものを剥き出しにする演奏は、なんにも隠し立てができなくて・・・自分の随を晒すコンサートって普通じゃあない態様だナ、なんて思い悩む。

ただし悩むのも後ろ向きも、当日までのメンタル調整の道筋のひとつ。本番で考え過ぎたり後ろ向きになったりしないよう一度通っておきたい場所だナ。

**


気分を上げるために今日のジャンケレヴィッチ・ノート。
此処ではフォーレのご紹介に特定個所をかいつまんで。

下記訳者様方の翻訳を引用させていただいています。ジャンケレヴィッチの色合いがよく顕れた訳も見事なので、ご興味おありの方は是非本編をお手にとってみてくださいネ。

昨日の続き・・・

《しかしながらガブリエル・フォーレの歩みは発端から明らかにそれとは違っている。》

《趣味の変化に惑わされることの少ないフォーレは、どこまでも内面に向う夢にすべて動かされるに委ねている。
彼はアンテナを張りめぐらせたりはしない。フォーレの歩みがあくまで固有の論理に従い、四囲の状況次第で変わることがほとんどないのは、こうした理由による。
          ↑
1870年以前のロマンスから1922年の "幻想の水平線" に至るまで、ガブリエル・フォーレの歌曲はまっすぐな一本の太い線を描いているのであり、それに沿って音楽は、その身を覆っていた七枚のヴェールを一枚一枚はぎとっていくサロメのように、絶えず自らをあらわにしつつ簡素に姿を変えていったのである。》

《厳格さをつきつめていく傾向はフォーレとマニュエル・デ・ファリャに共通してみられるが、フォーレの場合のそれは一種特殊な使命に応えるものなのだ。》
          


《生まれついての豊かな旋律の才に
恵まれていたにもかかわらず、フォーレは、
音楽の易きに流れるような快さには一切背を向ける。》
ll
《彼は、奇妙なことに倫理的な言葉使いをもって
今日 "快楽主義" と人が呼ぶところのものを拒否する。
人を魅了し引きつける魔力を忌避した彼の音楽は、
おのずと厳しく、無愛想な、そして
一段と秘めやかさを増したものになっていく。》



《おそらくシェーンベルクの逆説的な進展の跡を除けば、

  *プーランクのテクスチャー
  *フランスの特権

フォーレは禁欲主義者として実に印象的な例を呈示しているといえるのかもしれない。

彼は望めばショパンにもグノーにもなり得たが、望まなかった。
ところで偉大さとは本来抑制の内に包まれているものである。

こうした気難しく人の裏をかくような意志というのも、もとをただせば、恥じらいの一面ではなかろうか? そしてこの美しい恥じらいを、"秘密" の作曲者がどんな定義よりも見事に定義してくれることが、やがてわかるであろう。》

             (小林緑様・遠山菜穂美様訳)


■ジャンケレヴィッチ関連リンク
*フランスと4.20PJ写真(2)演奏中
*グッゲンハイム道順とババールカードVol.12
*お席数限定ラ・クロワ
*音とお庭



花びら

April 11, 2013

弱い雨のあと、桜の花びらがテラスに散っていた。


地の花びらを指して、憶えてる? って恋人に問うた。

2年前の桜の季節、花びらが貼られたお手紙が恋人から届いた。

ひとり花片を集め拾ってくれた手が、背中が、横顔が浮かび
泣きたい気持ちにさせられた。

薄い薄い花びらを傷めないように、ピアニシモで指先で撫でた。

おしゃべりが不器用な人が、言葉の代わりに行動でたくさん気持ちを伝えてくれるごく初期の出来事だった。

恋人が恥ずかしそうな含み笑いの顔を背けた。
憶えてるよ、あんな・・・

恋人の答に私も笑った。

多くは葉書も返さないような人が何かを誤って花びらの押し花なんて添えてしまったのが気恥ずかしいのだ。

恋人同士は後で思えば気恥ずかしいばかりの事を重ねる。
思い出してもきまりの悪い、幸せな儀を重ねる。


ゲーテのとっても優しい詩を思い出した。

  梢の細枝に、
  恋人よ、見てごらん。
  かわいいみどりの
  毬(いが)の実がなっている。

             (大山定一様訳)

此んな風に始まる短い詩は An vollen Buschelzweigen っていうんですって。

恋人に話して、Buschel が茂み、zweigen が小枝、vollen が願望と教わった。憶えられそうにないけれど。


*不思議な駅(1)想い出
*不思議な駅(2)階段の恋
       *バロックと階段
       *一目惚れの理:ケクラン
         ?僕が思う靴下と階段
         ?僕が知ってるシューレア・クリーム
*不思議な駅(3)見送り
         ?僕が見た変身
*不思議な駅(4)車窓
       *ドビュッシー "バラード"
         ?僕が見たお別れとリスク
*不思議な駅(5)プラットホーム
       *音楽のひとこま
*不思議な駅(6)初めての待ち合わせ
*不思議な駅(7)ミンティアの味
         ?僕が知ってるアサリ君と恋
         ?僕が見たアサリ君の沈黙
*不思議な駅(8)チェコの袋
       *パリぶらり
*不思議な駅(9)人身事故--スケルツォ
       *ショパンへのアプローチ
*不思議な駅(10)別れの時刻
         ?僕が見たウザい女
*不思議な駅(11)2度目の出逢い
         ?僕が知ってる8月の嘘っこ
*不思議な駅(12)不在
       *後悔
*不思議な駅(13)ジーンズと携帯
*不思議な駅(14)恋に気づくとき
*不思議な駅(15)好きなもの
*不思議な駅(16)馴れ馴れしい男
       *ピアソラのタイトル

*古い携帯の音
*別れの月光
*揺らめきのドビュッシーバラード
*過去の女性からの手紙
*恋した匂い
       *繋いだ手のしらべ:転調
*ご不浄のやり取り
*白く光る花
*春のおでかけ
*海 -- アストレ
       *楽譜表示:アストレ
       *謎 -- ラヴェル "永遠の謎"
*恋路の花
         ?僕が思うコイビート
         ?僕が聞いたシマシマヒストリー
*デートのキャンセル
         ?僕が見た恥ずかしい旅行
*お土産のエピソード
         ?僕が見た小箱の中身
*ありがとうのお誕生カード
*バレンタインの思い出
*前髪パッツンのわけ
*ポップコーン
*もう一度だけ
*水のほとりの恋
*夜とマカロン
         ?僕が見た素面の事件
         ?ぴょんきち君と僕が知ってる秘密
         ?僕が見た喧嘩
*シフォンのお返し
         ?僕が知ってるオーブン・ヒストリー
*行きます!
*夏の思い出
*相合い傘
*ロールキャベツの夜
*エルミタージュ展in京都
*ピアノ試弾会、他
         ?僕が思う恥ずかしい写真
*女子力がない女
         ?僕が見た焼肉とPJ写真
*枯葉、恋人に会いに
       *ショパン・スケルツォNo.4
         ?僕が見た倦怠期検索
       *2012年12月のクローゼット
*見知らぬ駅
*サプライズをする男
*スリッパ
*飛行機に乗りたい
       *浮き雲
*マフラーとお山靴
*着物えらびとPJカウントダウン
*年頭2013
*ロンサールの想い
       *ショパン・ワルツNo.18
*ミトンとフードプロセッサー
*優しいお出掛け
         ?僕が嫌いなFaceTime
*恋人の好みが気になって
         ?僕が見た残念な女の人
*心の形
         ?僕が見てるこの頃のコト
         ?僕が見たお洗濯
*雪降る帰路
       *フォーレ "クリメーヌに"
*また春が来て
         ?僕が知ってるおにぎり

*恋の問いごと
*頬杖の恋
*タピオカちゃんの呟き
*タピオカちゃんのお手紙

*白木蓮が降った朝
*恋の花びら

*食の開放
         ?僕が見た餃子
*オーブン壊れちゃった
*渡り鮭のパスタ
*泣く女とバジル
       *苦手だったショパン
*半片の
*料理が下手なやつは
       *フランスのからくり
*恋人とカフェオレ
*白いカップ
*カフェテーブルで
*白い湯気
*フレンチトーストの朝
*ブフ・ブルギニヨン
         ?僕が見たモテない男の子君のバレンタイン
         ?僕が見たマカロン妄想



自尊と言語と音楽

April 09, 2013

読書室の1人がけソファをパチリ。


とろんと柔らかい絹のクッションが心地良くて
小さいコーナーの小椅子にも置いた。

**


ツルゲーネフのおしゃべりを再び。

  ルージンが自尊について此んな風に語るの。

《 "利己主義は" こう彼は結論した。"自殺行為です。利己主義の人間は、孤立した、実を結ばぬ木のように、枯れてしまいます。
ところが自尊心は、完成を目ざす活動的な志向として、あらゆる偉大なものの源泉です"》

  彼は此うも言う。

《自尊心をもたぬ人間は価値のない人間であり、自尊心は --- アルキメデスの槓杆(てこ)のようなもので、大地を動かすことができるが、しかし同時に騎手が馬を御するように、自分の自尊心を制御することのできる者、己の一身を公共の福祉のために捧げることができる者だけが、人間の名に値するのだ。》

             (工藤精一郎様訳)

  此処を読んでお友達の姿が重なった。

柔らかい雰囲気を纏いながら、お勉強もお仕事も子育てもとてもとても頑張ってる熱のある気性の大好きな人。彼女の自尊心は高く潔く、真似したいナっていつも思う人。

あるべき形の大きな自尊心を携えている人は、心に乱れがなく自分自身が進む道を見通せて、見通せるから貫徹するエネルギーも得られるのだって、彼女を見てて思う。

  同時に私たちは自尊という言葉を耳にした時、
  その本来の美しさを感得し難いものだと思った。

L'amour-propreと書けば本質が明確なのに、ひとたび自尊心と訳されると尊大に偉ぶる意味に受け取ったりする。日本語の --- 東洋的な宗教観含む言語としての --- 怪異じゃあないかって思うことがある。


其ういえばロマン・ロランにも和訳だと道理じゃないかのように感じさせる表現があった。


文章ははっきりと憶えてないけれど、確か此んなの・・・

"彼女は決して意地悪ではなかった。
ただ、人を軽蔑する癖があるだけだった。"

和訳上では何だかおかしな風に聞こえるけれど、よく考え起こしてみれば成程軽蔑は意地が悪いが故の気持ちじゃあなくって、同じく自尊も思い上がり故のものじゃない。それどころか正反対でさえある。


此うした、捨象以前の概念・抽象の概括のような事って往々にして音楽にはあって


  *プーランクのテクスチャー
  *フランスの特権

1つのフレーズの捉え方が表現主義のウイーン人のものと、レ・シスのパリジャンとで別の意味になること・・・面白いけれど複雑過ぎて危険がいっぱい。

**


先日からの此のお話は今春演奏のメンデルスゾーンの記譜をどう推量するかと悩んだ記録の一部です。メンデルスゾーンの具体的なおしゃべりはまたいつかネ。


■フランス的テーマ関連リンク
*フランス的とは

*ゾラの実
*ゾラ19世紀の記念碑
*フランス19世紀の繊細

*音楽のひとこま
*曲決めは楽しい (2009年のお答えを兼ねて)

*フランスとヴォルテール
*オーレリア或いは夢と人生
*仏文学を好きなのはネ・・・

*パリの不合理
*ミスタンゲットのパリ
       ?僕が見た素面の事件
*街角が香る
*街の色
*パリの歩き方
*フランスのご馳走様
*フランス菓子をおいしく味わう

*愛すべきフランス
*怪談の日仏
*トイッチュ
*フランスの特権

*重なりの量感
       *チェックするブログと おしゃべりな家
*フランス気質と音さがし
*ドイツ民族・フランス音楽
*フランス民族・フランス気質

*フランスのからくり

*自由
*紫陽花の部屋で
*フランスとルイーズ
*神のないルイーズとフランス
*フランス音楽とゲラン


■フランス音楽関連リンク
*フランス音楽(1)霧の具象
*      (2)感情と心象
*      (3)失意
*      (4)エクリチュール
*      (5)さかしま
*      (6)トーン変動
*      (7)崩壊と慈しみと
       *プーランク "花" 音源up
*      (8)感性の求め


■イマージュテーマ関連リンク
*美しい白のイマージュ
*イマージュに血が通う
*本質なきイマージュ
*本質とイマージュ
*イマージュと技巧
*切られたイマージュ
*女の子はファンシー好き(6)ルイ・アラゴン
*イマージュのシルエット
*イマージュ
*フランス音楽とイマージュ考
       ?僕が思うパリの風


■象徴関連リンク
*象徴(1)月とピエロ
*  (2)オコゼ
*  (3)花色
*  (4)気狂いピエロ
*  (5)シニフィエ
*  (6) "蝶と花" 落合訳


■シュレアリスム関連リンク
*海原の娘(1)虚構現実
*    (2)幻想の意味
*    (3)普遍性への問い
*謎 -- ラヴェル "永遠の謎"
       ?僕が思うシューレア・クリーム
       ?僕が思う靴下と階段



心の弦

April 04, 2013

ケーキは2個がデフォルト・・・?
タルト生地が無性に食べたくなって変な組み合わせ。


19世紀フランスのお皿と、母がお嫁に持ってきた絹の敷布は

まるで別々に備えたものなのに色の雰囲気が似てたりする。
気持ちを動かすものはトーンが似通ってるってまた気づく。


**


今年に入って読んでたツルゲーネフ "ルージン" の説話描写・・・

《雄弁の音楽性という、ほとんど最高の秘術ともいうべきものを身につけていた。彼は、心の一本の弦を打つことによって、他のすべての弦をおぼろげな音を立てながらあやしくふるわせるすべを心得ていた。だから、聞いている者の中には、話の意味がよくわからない者もあったかもしれぬが、それでも心がひろやかに高まり、眼前の幕のようなものが捲き上げられて、前方に何かきらきら光るものが見えてくるのだった。》

             (工藤精一郎様訳)

心の1本の弦を打つことで他の弦をふるわせる・・・
美しい音楽も同じだナ。此うありたい。心の奥の何かが震える音楽でありたい。

音楽に関わるお話個所、心に残った部分をちょこっとずつ書き留めてきたところへまた1つ加わった。

■バルザックより
  *本質とイマージュ
  *本質なきイマージュ
  *イマージュに血が通う

■ファベールより
  *不純物を除く音楽



美人にビビる。

March 29, 2013

スイスのセルコスメってメーカーさんのアイクリーム。少し前に頂いた。


アイクリームなんて使ったこともなく、興味もなかった女子力の低さ。折角贈って頂いたからと取りあえず塗ってみて・・・
塗る前と違うかどうかもよくわかんないって致命的。

相変わらず女子力が低い。
でも別に気にしてない。

普段は気にしてないけれど
美人さんを見た拍子にビビったりする。


素敵ねえ・・・♪ って眺めて嬉しくなって、だけど自分が話しかけちゃダメよねって気がするコト、ないですか?


私はあるナ。
凄くおしゃべりしたいのに、美人だと緊張して話しかけられないって仰る男性がいらっしゃるけれど、女子力がない女も同じ風に感じるものなのかしら。

  なにしろ美人にビビります。
    綺麗ね、いいなあ♪ って思って
      挙動不審になってしまった秋のこと。


幾度も幾度もコンサートにいらして下さってるのに、メールのやり取りだけでお顔がわからなかったお客様がおいでだったの。


開演前のチケット受付にいらっしゃった女性に、もしかしてあの方・・・? って殆ど確信を感じました。

ところがお客様が美人さんだったから緊張しちゃってお声を掛けられなかったのです。うう〜何やってるのかしら・・・

もしもお人違いでも、コンサートに来て下さったお客様なのだから出演者が話し掛けて特に嫌がられる理由はなかったかもしれないのに・・・って気がついたのは後になってから。

その場では目が泳いじゃってキョドって、数メートルの距離で俯いて終わってしまいました。私、オヤジなの・・・?

**


美人さん・女子力の高い方々を拝見して "おお〜綺麗〜♪ " ってオヤジモードになると、話し掛ける勇気が出ないのです。

ちょっと離れてキョドっていたら、
どうぞお客様からどんどんお声をかけてくださいネ。



うぐいすとFB

March 11, 2013

寒い寒い1日でしたね。


でもボロニアのお花は春らしい色。
お外階段に咲きました。

体調が良いって動き過ぎ、また骨が腫れてたせいか
恋人のお家で痛み止めを飲むことになった週末だった。


FaceBookを使ってるんダ。


ブログ自動リンクのみで形だけ参加だけれど、できる時は1日1度開いて、2、3件お友達の更新を眺めるよう心掛けてる。

iPhoneから何かの合間に覗くから、その日その時刻にたまたま一番上の書き込みになってる方のを見る感じ・・・くじのようネ。

先頭書き込みがお友達のピアニストさんだった日。
鶯が鳴くのを聞いた彼女は、鶯が練習してるって書いていた。

  ちゃんとホケキョと鳴けなくて、
  ホ・ホ・ホーって囀り始めを
  練習を頑張る鳴声に見立ててた。

何だか心を動かされた。

鶯も練習してる風に聞こえてしまうのは
日々練習が欠かせないお人の習性ね・・・
彼女の感じ方に共感し、鶯も彼女も練習の同志なのねって
励まされる気持ちになった。

**


音楽学校の廊下に立つと、沢山のレッスン室からそれはそれは色んな楽器の色んな曲が聞こえてくる。

各レッスン室から漏れ出した音が混じり合うから
そりゃあうるさくてしょうがない。

だけど誰もが必死で練習してる空気が大好きだった。
音楽へのみんなの熱意とエネルギーは濁りなく・・・

今日も何処かで練習に励む人たちは皆お仲間だナって思う。



暗譜ノイローゼ

March 10, 2013

鳥がたくさんで囀ってる。
今は雲が多いけれど晴れるのかな?


いつの間にかナイロン紙に変わってたハーシーズと
エキエル版を使うようになる前のヘンレ版。
背表紙もなくなっちゃってボロボロだわ。

生徒ちゃんがヘンレ版でショパンを持ってきたので同じ版でのレッスンでした。


この椅子はね生徒ちゃんにとって怖い椅子なの。
ピアノの背中側位置に置いてある。


普段レッスンはピアノ2台を使って弾きながらお教えします。
暗譜チェックや仕上がりの際に、後方から腕など見るのに此処へ座るのヨ。

先生はちっとも怖くないのに、私が此処に座ると生徒ちゃんは途端緊張するみたい。暗譜ができてなかったらどうしよう? って、今の自分の力に対して怯える気持ちになる。

"もしできてなかったら? もし空白になっちゃったら? "
恐怖ゆえに自問が止められず、それが集中力を欠くことになる。
みんなみんな一緒。暗譜は怖いです。

15分、20分の暗譜でも充分恐怖で、
長くなればなるほど無事の保証は低くなり
怖さも増してゆくもの。

本番開始時には1時間半のちの終着点が
少しも見えないような気分にもなる。

本当に今日に終わりが来るの?
全部弾き終えておうちに帰れる時が来るの?

  いつも其んな風に感じてて、
    だから生徒ちゃんの不安は痛いくらいわかる。

  私もつい先日暗譜の辛さを書いたばかりだった。
    *暗譜とリビングルーム

  お初の暗譜披露にナーバスな表情の生徒ちゃんに
    あえて淡々と間違え易い箇所をチェックし注意。

  失敗した生徒ちゃんは目の縁がちょっと紅い。
    レッスンで緊張して失敗するようじゃ
      本番にどうなってしまうだろうと
        不安でいっぱいになってるんだワ。

  安全圏の取り入れ方をレクチャーし
    憶える手順を一緒に追って実践。

2時間のレッスンはすぐに過ぎ・・・

帰り支度をしながら落ち込んだお顔で、もう暗譜が・・・ノイローゼになりそうで、って呟いた。先生はどうやって憶えてらっしゃるんですかって問うた。

どうも此うも貴女とおんなじよって答えた。

  スピード暗譜法なんて存在しなくて
  ただ憶えるまで何百回でも回数を重ねて
  憶えたつもりが抜けに気づいて落ち込んで
  眠っても暗譜を忘れる夢ばかり見て
  慣れることなんかできなくて
  憶えても忘れない保証はなくて
  泣きたいし逃げたいし、でも
  弾きたいんだから仕方ないでしょう?

生徒ちゃんは少し意外そうに目を見張ってた。

2択よ、って話した。

暗譜ノイローゼになるか、辞めてしまって弾きたくてたまらないノイローゼになるか2択です、って言うと大きな声で笑ってた。

暗譜に苦しめるのは幸せなこと、って
生徒ちゃんも気づいてくれたらいいな。



回復

February 22, 2013

元気になってきて本当に良かった、って蝶番君が言った。
昨日の合わせのことでした。


数年掛かりになってしまった骨髄炎。
未だ完治はしてないけれど驚くくらい回復した。

数年前、考えてみると状態は酷かった。
強い痛止めを飲んでいて、飲み薬が効かなくなって強い成分の座薬に替わり、それでも痛みが酷過ぎて炎症緩和の点滴をしてた。

だけど其んな日々も私自身は周りほどは気にしてなかった。
痛みが退く時の喜びは大きかったし、治まれば隙を狙って練習できて。普段はそう悲壮じゃなくって気分的には元気だった。

毎日点滴に通い、痛みで眠れず、傍で見れば結構大変だったんだと思う。

蝶番君に出会ったのは、そこから少し快方へ向かった頃だったけれど、今になって聞かされてみれば蝶番君の中では恐ろしい記憶になってたのだった。


デュオを始めて割合すぐに、ババールを10年はやりたいって言ってくれた。本当に有難い事なのに、私は10年後もピアノを弾けてるかしらって答えたという。

一向に快復しない難治の病気がどうなってしまうかお医者様にも見当がつかなくて、手術後の可能性についても病院で嫌になるくらい聞かされてた。

鎖骨から首への神経に障るかもしれない治療しか後がなく、新治療の試みを諭すお医者様と、演奏を最優先にリスク回避したかった私はいつも揉めてた。

其んなだったから多分いい加減なご返事をしないために答えたと思うけれど、蝶番君にとっては戦慄する解答で、病状は恐怖だったんだワって昨日知った。

  今は嘘のように元気になってきました。
  楽に動けるし痛み止めも稀にしか飲まずに済む。
  お世話になった全ての方々に深く感謝します。

全快じゃないからタイトルは回復。
頑張って快復ってタイトルのブログを書けますように。

**


昨日の音出しは予定のプーランク、フォーレ、ドビュッシー。
追加でアーン、ベルリオーズ。
お稽古外の遊び弾きでボワモルティエ。

今朝はソロのお稽古に戻ります。



噛みしめて。お年賀状とマメマメ

January 08, 2013

毎年楽しみなお年賀状がある。


アサリ君は特別に丁寧で印刷を1つも使わないの。
小さな文字で手書きされて、絵を描いて色鉛筆で色をつけてくれたりもする。アサリ君らしい律儀な紙面。

"エリュシオンの園" コンサートの後また外国へ出てしまい会えなくなって寂しいワ。今年のお年賀状はマレーシアからだった。

親しいお人の文面、お久しぶりの方のもの、それぞれに楽しませて頂いて・・・

  でもずっと一緒に頑張った相方さんは
  お年賀状の文字がたったの2行?

其う思ったのは一瞬だけだった。
楽譜が模様印刷じゃないと気づいてキャッと声が出た。

**


  1音1音手書き音符が美しく書かれてた。
  細いペンで几帳面な五線が引かれた
  ピアノとファゴットのデュオ譜面。
  フォーレ "月の光"

何十行の文字よりも沢山のメッセージだった。

**


  月の光はお初の音出しで私が用意した曲だった。

フォーレに殆ど縁がなかった相方さんは悲しく妖しいハーモニーとピアノパートのデリケートな作りにたった1度で魅了された。

後奏を弾き終わると "うはぁ・・・" って溜息ともつかぬ声を出した。そうして、もう1度弾いてくださいと願い出た。

以来月の光に特別な想いを持っているのを知ってた。
月の光から僕たちのフォーレが始まったのだからと。

  たった2行の文字メッセージと
  幾10倍の音楽のメッセージ

相方さんらしいなぁってしみじみした。

お話はあまり得意じゃないほうだから
音は言葉の代わりなのカナ・・・

音符を追って噛みしめました。
こちらこそ今年もよろしくお願い致します。


*カタツムリ石鹸とマメマメ
*音楽解説書とマメマメ
*10.13写真とマメマメ
*黄色いハンカチーフとマメマメ
*ダブル合わせとマメマメ



誰に似てる?

December 28, 2012

今年最後のデュオのネタ。
ババールはお勉強会をしてました。楽しかった〜♪


プーランク、フォーレ、ドビュッシーの新曲もたくさん合わせることができた。

今年も練習にコンサートにとってもお世話になった相方さんへ差し上げたのはノギス。精密測量定規ネ!

リードは時に1mmより少ない範囲を切り削って操作性や音色を作る。膨らみがあったり曲線が多かったり、普通の定規では寸法が正確には計りづらいの。

0.02mmまで精密に計れるノギスを是非ともプレゼントしたかったのヨ。とっても喜んで頂けて嬉しかった。

でもね、もっと嬉しいコトがあった。
ねえね、誰かに似てるって言われて嬉しかったコトはある?

私ね、昨日は似てると言われて飛び上がるくらい喜んじゃった。

**


ずぅ〜っと相方さんの楽器が大好きでブログでも下手っぴな説明を繰り返してた。

  *抵抗とスムージー
  *試奏の記録

第3者の私はどちらかと言えば楽器そのものよりも、選択眼を含めた相方さんの奏法・扱い方と楽器とのコンビネーションとして好きだったの。

実際に楽器を吹かない者にとっては奏者との組合わせで考えるのが当たり前ですものネ。

  でも奏者当人は第3者が見るのと違って
  楽器単体として感じているのね。

**


蝶番君はよく楽器自慢をするお人だったワ。

それはね、前の楽器を好いていなくって現在のオールドヘッケルに出会って開眼したいきさつがあるせいみたい。

自分の音と呼べない風な、しっくり馴染まない前の楽器と付き合うことに心理的な苦労が多かった時期があったから尚更今の楽器への悦びがいつまでも継続してるよう。

楽器自慢と言っても語るのは個人的な思い入れなんだワ。

  物凄く繊細な楽器で、一見扱い難そうだけれど
  いわゆる我儘で気難しい楽器なんかじゃない。
  奏者がやることに敏感に細やかに応えてくれて
  線が細そうなのにゆとりがあって懐が広いのだ、って。

  自分の性質までもを此の楽器が変えていってるようだと
  変態さん的な思い入れを繰り返し口にしてた。


そんな時は、ふぅ〜んって聞いているのだった。
楽器について色々に話し合うのは大好きだけど・・・

前述のように此方にとっては奏者と楽器が一体だもの。
楽器単体へのそんなに強い拘りにはもう、ふぅ〜んってリアクションしか仕方ないじゃあない?

**


ふぅ〜ん・・・、それからテンション急上昇した。

桜ちゃん此の楽器にすごい似てますよね、って
相方さんが可笑しそうに言ったからだった。

何かに似てるって言われて此んな嬉しいコトってなかったワ!

女性に、ファゴットと似てるナンテ言うお人もどうかと思うけど
言われて大喜びする奴も似たり寄ったりです・・・

**


風邪はすっかり良くなった。

お庭の水場が凍ってしまった。
紫陽花は皆葉を落とした。
折角咲いたパンジーもパコバも土が凍り付いて可哀想。
冬の薔薇は1輪2輪が寂しく咲いたきり。

その分家内の楽しみに彩り良いお料理に努め
厚いタイツカヴァーをおろした。

季節が移っても変わらないお稽古から始まる朝。


■デュオババール関連リンク
*デュオ相性
*分かち合いと本
*やさしい理解とケクラン
*ナニソレ解説の払底
*モンマルトルの書と
  ?僕が思う交通標識

*2012年7月のリビングルーム
*紫陽花の部屋で
*マンドリンと中也
*ドビュッシー "木馬" 音源up
*ラヴェル "カディッシュ" 音源upとロラン

*ピアノ室の時計
*自由
*ドビュッシー絵画と過ごしました
*女心とアンドレ婦人
*11.16 PJ 人生は過ぎゆく
*クリスマスコンサートの思い出
  ?僕が知ってるオフィシャル
  ?僕が聞いたお誘い
  ?僕ができなかった球拾い
  ?僕が聞いたiTunes
  ?僕が見たお客様
  ?僕が聞いた常連様との会話
*相方さんの夢

*伴奏者の勘違い
*アンタ、サイコー!
  ?僕が見たリハーサルの隙間
*ピアニストの七つ道具(1)
  ?僕が見た楽屋と本番


■ファゴット音楽関連リンク
*PJにて。ファゴットの魅力
*抵抗とスムージー
*サスペンダーの殿方
*変態解説:タンスマン音源up
*シャンソン枯葉


■ファゴット楽器関連リンク
*試奏の記録
  ?僕が見た試奏会
*ファゴットリードのお話
  ?僕が見たブローチ
  ?僕が見たリード愛
  ?僕が聞いたリードの行方
  ?僕が思うトーテムポール
  ?僕が聞いた暴言

  ?僕が見たモツレク
  ?僕が客席で見たこと
  ?お姉ちゃまファゴットを吹く
  ?僕が知った新年の習わし
  ?僕が見たお鍋


■コンサート外関連リンク
*パナソニックな日・・・♪
*Macへ行こう(14)フォトストリーム
  ?僕が見た虫下し
*ピアノと根気
*満員のPJ、ありがとうございました
*嘘のアンティーク・本当のブロカント
*音楽家の卵
  ?僕が見た相方さんの嘘っこ
  ?僕が見た風見鶏2012

*カタツムリ石鹸とマメマメ
*音楽解説書とマメマメ
*10.13写真とマメマメ
*黄色いハンカチーフとマメマメ
*ダブル合わせとマメマメ



お年賀状プリント

December 27, 2012

お玄関を入ると最初に目につく一抱えある大きな額。
聖歌が刻まれた古い譜は昔パリのブキニストで求めた。


額まわりから手早く朝のお掃除。

床を簡単に磨いてお隣のお部屋に "ココロボ" ちゃんを走らせながら、お花のお水を換えて、室内花の鉢を拭きお水をあげて、オーブンから出したお菓子を冷ますうち、聖ヨハネの祝日の今日の典礼箇所に目を通した。

それからカフェオレ注いでブログを書きに・・・

本日ババールのお勉強会。
レパートリーづくりを兼ねてフォーレ後期作品を開拓したい。
新しく仕入れたプーランクの音出し時間もあるかな?

カウントダウンの譜読み&編曲は何となくできつつある。

  ノベルティ君はシャンソン新作を数曲。
    SHUN様のが短い伴奏で
      nzzkn様はフォーレをご注文。

**


25日までといわれるお年賀状は、本番翌日の寝込んだ日に書き終えた。例年と変わらぬ22〜23日の投函だった。

お仕事上2000、3000とお出しになる方々はとっても大変そうだけど、私なんかせいぜい3桁前半の枚数。楽ちんなのですヨ。

編曲譜など書いてる間にプリンターだけ働かせ、加える一筆は熱で寝込んだ1日で充分まかなえちゃう。

皆様が良き新年を迎えられるようにとの願いと簡単な近況で、お年賀には凝らない。Macのpagesで特に何てことなく作った。

干支はね、幾十年来の主義で入れないんダ。
干支って陰陽五行思想が起源と言われるの? 現在サンボリックな意味合いは薄れてる風にも見えるけれど、個人的に強い抵抗を覚えるのは否めない。

今年の挿絵はサントシャペルの外観を選び、アイスカラーでプリント。greeting cardとお年賀状の間の子みたいな微妙さです。

この微妙な加減が多分、風習に従うため絞り出したナケナシの社会性と、自分のアイデンティティを守る要素との狭間、ぎりぎりのラインなのかな・・・

**


  お稽古してるうちに風邪はグンと軽くなってきた。
  昨夕、今年最後のレッスンも済んだ。
  リサイタル後援関連の事務がやっと完了した。

今年のラストスパートを頑張りましょうか。
今日また新しい美しい曲に出会えることに感謝しつつ。


*疎外感を越えて
*サン・ニコラの日
*2011新年
*サンタクロース
*クリスマスツリーと恩寵の聖母
*禁欲のクリスマス・イヴ L'abstinence



スリッパ

December 16, 2012

スリッパを冬用に新しくした。
古いスリッパを箱へ仕舞った。


  恋人が初めて部屋を訪れた日におろしたスリッパを
  とても大切にしてた。グレーの小花のスリッパだった。

  恋人の存在を感じられる物が側に欲しくてならなかった。

好いてもらえたことがいつまでも信じられずに
此んなにも大好きになれる人に出会えた事も信じられずに
幻じゃあないヨって示してくれる物が欲しかった。
何でも良いから欲しくって、変てこな屑も集めた。
  
  *僕が見た小箱の中身

寂しい日にスリッパを眺めてた。
本当にお部屋へ上がって此のスリッパを履いてたのねって
実感できると嬉しかった。

2人で居るとき彼がいつも履くスリッパだったから
彼が身につける物を置いてくれたような気持ちになれた。

大切で、誰にも履かせず触らせもしなかった。
うっかり履こうとしたお人をダメーッ! って突き飛ばしもした。

**


1年ほど経ったある日、お玄関に屈んでスリッパを指し置きながら
此れはね、貴方しか履いてないのヨって話した。

へえ、そうなの?
恋人はキョトンとして間の抜けた返事をした。

自分の気配を携えているから、私が誰にも触らせないほど大切にしてるなんて考えもつかない様子でスリッパを鳴らして歩き回った。

**


更に月日は経ち3度目の冬がきた。

私はまだ恋人の屑を集め続けてる。

スリッパも取り替え時になり
古いほうを箱へ仕舞ったのだ。

スリッパが古びるくらい一緒に過ごしてくれた記念に。


*不思議な駅(1)想い出
*     (2)階段の恋
       *バロックと階段
       *一目惚れの理:ケクラン
       ?僕が思う靴下と階段
       ?僕が知ってるシューレア・クリーム
*     (3)見送り
       ?僕が見た変身
*     (4)車窓
       *ドビュッシー "バラード"
       ?僕が見たお別れとリスク
*     (5)プラットホーム
       *音楽のひとこま
*     (6)初めての待ち合わせ
*     (7)ミンティアの味
       ?僕が知ってるアサリ君と恋
       ?僕が見たアサリ君の沈黙
*     (8)チェコの袋
*     (9)人身事故--スケルツォ
*     (10)別れの時刻
       ?僕が見たウザい女
*     (11)2度目の出逢い
       ?僕が知ってる8月の嘘っこ
*     (12)不在
*     (13)ジーンズと携帯
*     (14)恋に気づくとき

*古い携帯の音
*別れの月光
*揺らめきのドビュッシーバラード
*過去の女性からの手紙
*恋した匂い
       *繋いだ手のしらべ:転調
*ご不浄のやり取り
*白く光る花
*春のおでかけ
*海 -- アストレ
       *楽譜表示:アストレ
       *謎 -- ラヴェル "永遠の謎"
*恋路の花
       ?僕が思うコイビート
       ?僕が聞いたシマシマヒストリー
*デートのキャンセル
       ?僕が見た恥ずかしい旅行
*お土産のエピソード
       ?僕が見た小箱の中身
*ありがとうのお誕生カード
*バレンタインの思い出
*前髪パッツンのわけ
*ポップコーン
*もう一度だけ
*水のほとりの恋
*夜とマカロン
       ?僕が見た素面の事件
       ?ぴょんきち君と僕が知ってる秘密
       ?僕が見た喧嘩
*シフォンのお返し
       ?僕が知ってるオーブン・ヒストリー
*行きます!
*夏の思い出
*相合い傘
*ロールキャベツの夜
*エルミタージュ展in京都
*ピアノ試弾会、他
       ?僕が思う恥ずかしい写真
*女子力がない女
       ?僕が見た焼肉とPJ写真
*枯葉、恋人に会いに
       ?僕が見た倦怠期検索
       *2012年12月のクローゼット
*見知らぬ駅
*サプライズをする男

*恋の問いごと
*頬杖の恋
*タピオカちゃんの呟き
*タピオカちゃんのお手紙

*白木蓮が降った朝
*恋の花びら

*食の開放
       ?僕が見た餃子
*オーブン壊れちゃった
*渡り鮭のパスタ
*泣く女とバジル
*半片の
*料理が下手なやつは
       *フランスのからくり
*恋人とカフェオレ
*白いカップ




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