Le chienW



ぴちこちゃんの恋愛(2)お口のききかた

November 12, 2009

僕、ブルゴーニュ。

"何しとんじゃ! アホンダラッ! "


ネコヤナギ君が怒鳴った。ネコヤナギ君は荒っぽいんだ。それでもってコワモテだ。ネコヤナギ君はたくさんお口をきかないけれど、お声を出せばこんな感じだ。

お姉ちゃまは慣れてるね。ネコヤナギ君とお友達になって じき26年になろうとしてるもの。そうしてとてもよく一緒に居るね。
-- なにが?
ゆっくり振り返ったお姉ちゃまにアホウ動くな! と怒鳴りつけながらね、根を降ろしかけた苗を抜いてビニール袋を封じてしまったよ。

僕たちね、ちょっぴり前にお山の空気を吸いにお出掛けしたんだ。加減が良くなってきたとき自動車でちょこっと気分転換さ。お姉ちゃま、すぐ加減がいいって調子に乗る癖があるからね。麓で小っちゃい苗を見っけて、お庭へと植えたんだよ。

"ドアホがこんなもん拾ってきやがって! これは漆や! "

びっくりだね。ウルシだなんて危ないね、危ないね。僕は泣きそうになってお姉ちゃま大丈夫? 大丈夫? って言った。だのにお姉ちゃま、あらそうなの知らなかったって大雑把なお答えしてた。

よく平気だったものだとネコヤナギ君、ゴミの集積バケツまで持ってってくれたね。アンタは漆が入った袋にも絶対触るなアホタレ! って怒りながらね。

お姉ちゃま荒っぽいお口きくお友達ばかりだね。何故ってこのようなお話の仕方を、とっても気分良いって思ってるの。お姉ちゃまは男の子君が女の人にするように優しく言葉をかけてくること、酷く嫌ってきたんだ・・・。


**


それってのも、お洋服などが女の人らしいのだからね。


レースなんかのお洋服はね、本当のところ大雑把なわけなの・・・。

-- 私なんかオタクでガリ勉でさかなくんだから、お洋服くらいチャラチャラしておけばバランス取れるでしょう。

そうかなあ、尚バランスは悪いと思うけどね・・・。
兎に角お姉ちゃまの理屈はお人に通用していないからね、うっかり繊細なご親切をしちまう男の子君など居らっしゃるものだよ。そうすっと邪魔くさいって ふんっをするんだ。

くちゃくちゃ細かいことはどうでもいいから用件は? とご親切を無にするの、イケナイね。

ぴちこちゃんに欲しいものが決まってるったってね、難しいよね。荒っぽい風で女性にするように構ってこない男の子君が小気味良いだなんて、そんなちゅーた君は居やしませんよって ご注意を受けて当たり前なの。


ぴちこちゃんのチーズメモA
くどくどした親切事を言わない粗めのチーズ。


**


コイビートの人はざくざくっとお話なさるね。広島やマルセイユの男の子君風な仰りようだよ。

お姉ちゃまがちょっぴり段を降りるときも手を貸さないの。お手できてないのだからね仕方ないんだ。貸さない代わりに叱りつけるよ。鞄を下に置け! とかね、足元を見ろ! とかね、酷く叱りつけるね。

土手を降りようとしたときの坊やの方式にそっくり似てるんだ。

するとお姉ちゃまふふって笑うの。坊やに笑いかけたようにさ。
ねえお姉ちゃま、あれはちゅーた君のご親切の方法なんでしょう?



フレミングの右手

November 07, 2009

僕、ブルゴーニュ。

僕、どうすればいいの?


皆には、お姉ちゃまが気まぐれてしまったかに見えるね。コイビートの人に、急にもう会えないなんて言っちゃったもの・・・。けど僕知ってるの。お姉ちゃまはコイビートの人をとてもとても好きって知ってるもん。

ねえお姉ちゃま。わけがあるのでしょう? お姉ちゃまは、ふむふむ事件で見限っていたのかな? 違うよね。お姉ちゃまだけは、ふむふむじゃあないって知っていたのでしょう? 僕も知ってたよ。何故ってワンコは言葉に出さないことに人間よりも敏感だもの。

だから僕の考えも聞いて頂戴って言ったのにさ、みんな勝手なおしゃべりをしていたんだよ。お姉ちゃまはコイビートの人の真似っこしてダンマリだしさ。涼しいお顔をしちゃってさ。

コイビートの人、お手もしないのは何故? ふむふむの汚名を着せられなきゃならなかったのは何故? あんなにも長い時間をかけてアリンコの背丈ほどずつ進まなきゃあならなかったのは何故?

アリンコの背丈って厚みなの? 体の長さなの? 触角は背丈に入るの?
ねえお姉ちゃま、何か答えて?

お姉ちゃまは2粒っくらい泣いた。事件から1週間も過ぎてはじめてやっと2粒を泣いた。本当は離れたくないんでしょう?コイビートの人が大切なんでしょう? だのにどうしてもう会えないって言っちゃったの?


**


坊やのお母様になれなくて本当にもうムリ・・・ってお姉ちゃま涙を溜めて言ったんだ。お部屋であったかいミルクティを飲んでね、僕はワンコミルクをもらったの。珍しくモーツアルトをかけてたよ。

はじめは、なんてコンコンチキを言うのだろうって思ったよ。僕はお姉ちゃまから生まれたからお姉ちゃまは僕のお母様だし、それじゃあ僕とコイビートの人は兄弟になってしまうよ。弟ができるのは嬉しいけどさ。

一生懸命考えたよ。変テコだな、お母様って何のことかなってね。
お姉ちゃま悲しそうに鏡の前で髪を梳かした。僕いつも通りに見てて、あれ? って思ったの。ブラッシを置いたドレッサーんとこ・・・。


僕たちが一等よく知ってる "お母様" だ。

お母様ってマリア様のことなの?


お姉ちゃましくしく泣いてた。

気持ちを助けられる気がしたから側へゆきたかったのにって。それだのに近づくほど反対にコイビートの人が一層頑張んなきゃいけない事になったのって。お手助けの筈だのに違った風になっちゃって心が痛いんだ。側で見るのもうムリって。もういいって。

僕はね、なんて言っていいかわかんなくなった。

マリア様は、一等大切なイエス様が大変事をお引き受けなさっても じっとご覧になっていたんだね。ご覧になる事を、マリア様は御身に受けられたんだね。

お姉ちゃまはマリア様のようにできないって、また1粒泣いた。お姉ちゃま少し過保護なところがあってね、困るんだ。お陰で僕は箱入りブルゴーニュなんて呼ばれちゃうしさ。

コイビートの人がちょっとお咳をしたらば火事が起きたほどに騒いでさ。くしゃみでもしようものならオロオロ立ち上がってしまうのだしね。お口じゃあ乱暴を言うんだのに酷い座間なの。

コイビートの人なんか骨2本が折れたままお仕事してたような体育会系だのにね、お姉ちゃまはコンコンチキだ。ふわふわガーゼにくるんで寝かしておきたいっくらい大切にしてるんだ。大切すぎて困ったことになっちゃったんだね。

僕ね、僕も泣きそうになった。2人は離れてしまうのかな。お友達でなくなってしまうのかな・・・。

お姉ちゃまはもう会えないとお断りして、コイビートの人は怒ってた。あんなにも怒りなさったの、はじめてだったね。

コイビートの人を傷つけたことに、お姉ちゃまもとっても傷ついてたんだ。僕は泣きそうになって、気の毒だね気の毒だねって言った。


**


お電話が鳴った。

泣いていたから着信を見ずに出た。


"フレミング右手の法則ってわかるだろ? "

お声にハッとして、新しい涙をポロポロ流しながら一生懸命頷いた。

"磁場を発生させる時にね・・・おい聞いてるか? "
お声が出ないままに一杯頷いた。しゃくり上げながら、鉄粉はどこから取るの? などお尋ねしてた。

何時間もおしゃべりをした。いつもと同じに時々キャハって笑いながら、いつもと違って時々涙を拭いながらね。磁場のお話は余程のこと面白くて、涙が出るっくらいに感動的に違いないね。

僕ね・・・僕、なんだか馬鹿馬鹿しくなってきて お耳を掻いた。

お電話は延々と続いた。二人とも事件のことは何もお話しなかった。
ただ鉄線に流す電流だの、砂鉄を細かに砕く鑢鉢(ヤスリばち)だのの事を教わった。うんとこさ盛り上がったね。

真夜中を大きく回ってから電池がなくなった受話器を置いた。切れる間際にコイビートの人は一言だけ "また会えるな? " って言った。お姉ちゃまは小さくウンってご返事した。

僕なんとなく、これが2人のやり方なんだなってわかったの。お手もしてない2人は、フレミング右手の法則で繋がってたんだね。

お姉ちゃまは感謝のお祈りを済ませると安心をして、すぐ眠り始めた。

僕もどっと疲れが出て爆睡した。



ぴちこちゃんの恋愛(1)姿かたち

November 03, 2009

僕、ブルゴーニュ。

お姉ちゃまがバッタンしてしまった。


加減が良いのと調子にのってさ、お医者様から真っ直ぐ帰らず お友達とお外でお茶などしているのだからね。すぐお調子にのるからね。僕はやってられないよ。僕おうちで待ってるんだのに駅でバッタンなって大騒ぎさ。

お姉ちゃま、急に壁にぶつかったかと思ったら床だったって言うの。自覚症状も前兆もなしに急にバッタンだ。危ないなあ! もう! それだのにお姉ちゃまはやっぱり元気なんだ。何でもなかったのよ、もう平気ナンテ言っちゃってるよ。


**


例の事件のわけは、まだ教えてくれる風じゃないからね、待ってる間僕の考えを書こうと思うよ。

お姉ちゃまはぴちこちゃんに似てる。そっくりって思うの。そうしてコイビートの人はちゅーた君だって思ったの・・・。僕、確かにそう思ったんだよ。

欲しいものが決まってたぴちこちゃん、欲しいと決めてたチーズの他なら何にも要らなかったぴちこちゃんは、ちゅーた君に出会えたね。

お姉ちゃま普段はお人の中身ばかりをお話するね。稀に姿かたちの事おしゃべりしてるの聞いたから話すよ。お姉ちゃまってば、ぴちこちゃんのようにイケナイ注文をつけていたの。

うんとこさカラく評してる男の子君がジム通いをしているの。お姉ちゃまはさきに、健康管理やご病気のリハビリやアスリートのお方が鍛えるのはもちろん別事よと前置いた。

前置いてね、ふんっをした。ただ綺麗な形が欲しいとジムに通う考えの、志ない此奴とお友達になれないと不思議を言ったよ。非道だよね。

格好悪いのちぃとも構わないものだから そんな風に考えてしまうんだね。格好良くなりたい男の子君の気持ちがわかりやしないんだ。僕はわかるよ。僕、格好良くなりたいもの。だのにお姉ちゃま言うんだ・・・。

少ぅしも美醜は問わない代り、造形や顔付きを支える技量こそ重要ってさ。私にとって美しい男の子君は作り物じゃない貴さだわって。

スタートラインに居る陸上選手の表情など、人生の集約の時を持ってらっしゃるお方のお姿は綺麗って。格好を作り込んでみたのとは美しさの価値が違うって言いたい放題だ。

僕はパーシモンみたいなポチャポチャした子が好きだなって呟いてみたけど 聞かれていないみたいだった。

なるほど形格好を作ったのと 人生が培ったお身体は意味が違うかもしれないけどね。中身中身って、お肉付きの中身までを取上げるなんて困るしね。そんなちゅーた君は居やしませんよって ご注意を受けて当たり前なの。


ぴちこちゃんのチーズメモ@

格好悪くって良いから、作り事目的をしないチーズ。


**


コイビートの人の背筋がお綺麗ってお姉ちゃまドキドキしてたね・・・。恥ずかしいね。参っちゃうね。

きっとね、ジムで整えたお背なならばドキドキしなかったかもしれないの。綺麗な格好のお背なは作れても、ドキドキなお背な作るって難しいことかも・・・って僕もわかってきたの。

随分と経った後、僕らはコイビートの人がお武道の全国個人準優勝者って教わったの。お姉ちゃまも知らなかったけど、ピンと姿勢良い大好きなお背なは お武道のお背なだったんだね。ドキドキな理由、ちゃんとあったんだね。

ねえお姉ちゃま、あれはちゅーた君のお背ななんでしょう?
どうしてもう会えないなんて言ってしまったの?



エンディング(3)喪失

October 31, 2009

僕、ブルゴーニュ。

事件の続きを書かなきゃなんないね。


毎日のようにお電話でおしゃべりの数日だったの。まだお手はしてもらっていないけれど、うんとこさ仲良しだったんだよ。

その夜コイビートの人は、お姉ちゃまが参加する会談のお相手から延期のお知らせが入ったと仰ったの。そうして延期予定日を教わったんだよ。お手助けのね、次の予定日さ。

お姉ちゃまは延期日には行けないってご返事したの。あれっ? どうして? お姉ちゃまどうしてなの?
それっから "もうあまり会えないと思う" って言ったんだ。

コイビートの人は驚いたよ。何言ってるんだって仰ったね。僕ね、僕なんかあんまりにもびっくりしてお胸が気持ち悪くなったの。ワンコってね、ショックや不安なことがあると気持ち悪くなっちゃうんだよ。苦しくなってお喉がうえっうえってなったの。

お姉ちゃまは黙ってた。コイビートの人は早口になった。
"入院治療に決めたのか? なら病院に会いに行くじゃないか。" ってね。会いに行くんだのに、馬鹿じゃないのか? ってね。

お一人でたくさん仰った。お引越しをするのじゃあないんだのに、会えない理由がどこにもないだろうって。何ておかしなことを言うんだって。そんなお馬鹿なことがあるものかって。どういうことか話してみなさいって。

僕ね、うえっうえっして、げぼしちゃった。
お姉ちゃまは受話器をお首に挟んだまま お雑巾とシャボンを持って戻ってきたの。そうしてね片手でお掃除しながら 片手で僕のお背なを撫でてくれたの。

お姉ちゃま、そんな、そんな片手間でお話して良いの? 僕がげぼしたから 後で掛け直しますって言わないの? うえっうえっ
大切な うえっ 事だのに、何故お首に受話器挟んで うえっ 床お掃除しながらお話してるの? げぼっ

お姉ちゃまは少しだけ考える感じで、ええ、もういいです って言った。
えっ! 何言ってるの? お姉ちゃま・・・お姉ちゃまったらっ! げぼっ

何がもういいんだ? ぜんぜんわからない、こんなおかしな事ってあるものか、ってコイビートの人が大きいお声を出した。僕またうえっうえってなって、お姉ちゃまにお背な撫でてもらった。ふう。

押し問答したの。コイビートの人が何をお尋ねでもお姉ちゃまお答えしないの。お姉ちゃま、ご質問をきちんと聞いてないみたいだった。何故ってお雑巾で忙しかったもの。

コイビートの人は怒ってた。とても怒ってた。
そのままお姉ちゃま、何もお答えしなかった。

お電話が切られた。僕はお庭のご不浄までついてきてもらって、もう一度げぼして お背なさすってもらって お水飲んだらスッキリした。ふう。お姉ちゃまは お電話の初めから最後まで涼しいお顔を続けてた。

僕にはぜんぜんわかんないの。


**


僕ね思うの・・・

もしも此れで本当の本当におしまいならばね、やっぱ架空のお話だって言われちゃうよ?


ほら、懸命に説明しようとしてたフランス式エンディングを実際に長編物語で説明してみせたんだって風にさ・・・

お姉ちゃまがこうと解説していた風に、盛り上がりのあとの奇妙な喪失感と不満足感たるものが フランス式エンディングだなんてお話だったとかさ・・・

もしね、もしもだよ。
恋愛をネタにしてフランス風エンディングを解説したとすれば尋常じゃないよ。

けどねお姉ちゃまなんかにそうと注意をしても ご返事は決まってるんだ。尋常なばかりでフランス音楽がやれるものですかってね、ピシッと言われっちまうんだ。うへっ

本当のところはお姉ちゃましか知らないの。

こりゃあ実にフランス式なんだ。風呂入るだかフローベールだかってお人も使う方式だね。あとがどうなったか "結末" と "理由" はわかんないことだのに、テオリーを綿々と書いてあるってやつさ。

僕、教えてくれるの待つことにするよ。まだ "川" のお話は済んでいないしね。



エンディング(2)キッスの方法

October 27, 2009

僕、ブルゴーニュ。

僕ね頭がクチャクチャなの。


大変な事件が起きる前の2人を振り返ってみるとするよ。でなきゃ僕の頭ん中、整理ができないもの。

コイビートの人、お姉ちゃまに外出できるかお尋ねだったの。コイビートの人のお手助けのお勤めができるかどうかってね。
たまにあるんだ。お仕事にとってお姉ちゃまのちょっとした技能が必要なときがあるんだよ。此の度はお客様がいらっして、お話合いのためのお手伝いがあったね。

お医者様の都合でもし行くことができなくても大丈夫なように手配してねってお答えした。そうとご返事はしてもね、本当は無理を押しても行くつもりでいたんだ。コイビートの人に会いたいし、お仕事に必要としてもらえれば嬉しいものだからね。

お姉ちゃま、お仕事場がある場所を "川" って呼び始めたよ。川なんて流れてないんだのに何故なの? って聞いても教えてくんないの。僕そのうちにお話してくれるの待ってるんだ。


さすがコイビートの人はお姉ちゃまをよく知っているね。

頼んでから諦めたように言いなさったよ・・・。


相手が間抜けた事を言おうものなら、お前軽蔑し切った顔でガンガンに突っ込んで痛烈にキツイことやるんだろうなあ・・・って。

お姉ちゃまは、其れがまずいなら私など呼ばずにお人形でも置きなされば? なんて酷いお答えをした。幸いコイビートの人は100もご承知だからね、好きなようにしてくれて構わないって笑ったの。

もし収拾がつかないほどに非道を言い始めたら本当にキッスをして止めてやる、ってさ。お仕事のお客様の前でも構いはしない、ってさ。

おっ、やる気出てきたネ!
お姉ちゃまなんか口答えばかりだ。収拾つかなくすればお初にキッスを頂けるのね? 承知しました、だってさ。うへっ。僕、なんだか怖くなって聞かなかったフリをしたの。


人間の恋愛って変わってるね。

僕たちワンコはキッスの方法が違ってるんだよ。


僕は、パーシモンにどんぐりの木を見に行かない? って誘ったの。そうしてどんぐりのこと教えてあげたんだよ。

あの実は "どん" っていうんだよってね。
どんの実に小っちゃな傘がついてるねって見せてあげてね。
此の傘が大っきくなってイガになって栗になるって教えてあげたね。
"どん" は "くり" の赤ちゃんだから、どんぐりっていうんだよってさ。

パーシモン、尊敬の目で見てくれたの。ちっとも知らなかったってさ。
隙があればキッスなんかもしたいしね、パーシモンは隙だらけだしね。

お耳んとこを掻いてるからさ、おやパーシモン蚤がいるんじゃなかろうねって近寄ってさ。僕が見てあげるよって具合にね。
蚤って子たちはフランスのあちこちで市場を開いてるらしいよって話しながらね、チュッてやる寸法さ。


**


それだのに人間はお初のキッスとなると大騒ぎなんだね。
お客様方の前でキッスをしてみせると大声で宣言したり、キッス上等! いざとなってビビるんじゃないわよとドスを効かせたり、なんだか大変なんだね。

もひとつオマケだ。ついでに日頃の乱暴な発言を注意されたの。本当ならば悪い娘はおうちに帰さず会社からそのまんまにコイビートの人のお家へ連れてきて、此処に住めって命令してしまうところだと仰ったの。
あんまりに非道だと罰として、俺と一緒に居させてしまうぞってさ。

おっ、やる気あるなあ! 実に奇特なお方と思うね。

僕ね、僕もう2人はお付合いしてるんじゃあないの? って思った。
お手なんかはできてなくてもね、お付合いの一つってものだと思ったね。


**


お仕事の日まで数日の間に何度かお電話で打ち合わせてた。お姉ちゃまね、楽しそうだったの。いつのどんな場面を振り返っても楽しそうだったよ。

だのに急にどうしてしまったんだろう? 何があったの? もう会えないワなんて言い出す理由、ちっともわかんないの。


マフラーを郵便で送るだなんて絶対にいけないよ。
 
お隣さんのお誕生だって、お手渡ししたじゃあないか。


お姉ちゃま、お隣さんにティーマット縫ってさしあげたんだ。おばあちゃまだからね着物地を接いでちっちゃく赤い布をパッチして、ボタンやぶら下げタグを付けてあげたんだよ。

僕ね縫うところも、お手渡しのところも見てたよ。僕いつでもお姉ちゃまにくっついて見てるもん。

見てたのにね、2人のことはどうしたってわかんないんだ・・・
悲しいことになる理由なんて、なかったはずなんだ。
もう少し考えてみるよ。また続きを書くよ。



エンディング(1)条件法現在

October 24, 2009

僕、ブルゴーニュ。

お姉ちゃま何してるの?
嘘っこだよね?
僕そんなの聞いてないよ!


お姉ちゃまどうしちゃったの? お願いだから嘘っこって言って・・・!

お姉ちゃまは編んだマフラーをおっきい封筒に入れたんだ。どうしてなの? お会いしてお渡してあげるんじゃあないの? コイビートの人、お誕生のプレゼントとっても欲しそうだったよね?

-- そうよ。だから差し上げるの。昨冬のようにご病気にならないように、今年は暖かくしなきゃね。首元の詰まったお洋服もマフラーもお持ちじゃないから。

お姉ちゃまが言ってること、僕わかんないよ。
朝から夜中までお仕事だからね、お身体が心配だから気をつけていただかないとって言うの。それでもって、もうせんみたいに無茶をして緊急入院なんかした場合はお手助けするって言うの。

彼女もお嫁さんも居られないから、そんな時にはお洗濯やお食事も困っちゃうものね。だからさ、だからお姉ちゃまがなるんだよね? これから彼女になってお嫁さんになるんだよね? どうして郵便なんかで送らなきゃあなんないの? どうして会わないの?

おかしいよ。絶対におかしい。僕知ってるもの、つい今週にとてもとても仲良くお電話してたじゃないか。


**


コイビートの人は進歩をしたんだ。

お手は相変わらずできてないけどね、いろんな事伝えてくれるようになったんだ・・・。


凄く勇気の要ることを仰ったね。

もし一緒になれたらご挨拶へ行くご親戚のお家の場所を教わったの。
僕、やっぱり! って思った。

多分ねコイビートの人は、結婚のお話が決まるまで "お手" って仰らないおつもりなんだ。この前にはうっかりブチっ切れて、キッスをしてしまうぞと怒鳴っちゃったけど、お嫁さんになる人のこと大切にするんだよね。

お姉ちゃまをお嫁さんにすること、ご親戚報告するんだね。
もひとつその前に、僕んち側に報告する大仕事が待ってるね。
大切なお話だのにお姉ちゃま、あらそうって流しちゃった。

僕また、やっぱり! って思った。お姉ちゃまの考えはね、仮定のお話は相槌以外ないでしょう? プロポーズされたのじゃないのよ、ってなものさ。あ〜あ〜、これだから日本のコイビート事情がわかんないお人って困るんだ。

"もし一緒になれたら挨拶へ行く親戚が居て、嫁ですと桜を紹介するときは・・・"
-- あらそう。(あくまで仮定に過ぎないことは現実の意味を成さないわ)

メチャクチャだっ。それおかしいよ。絶対おかしいよ。僕、泣きそうになったの。西洋風議論の構造にかからない事、みなまでも打ちやってしまうんだ。うんとこさ大切なところだったのにね。

お嫁さんになるお話だのに、お姉ちゃまったら仮定法未来とか条件法現在とかだけ頭に巡るんだ。
お勉強しすぎてお馬鹿になっちゃったんだっ! 気の毒だね気の毒だね。

お姉ちゃま、お友達にも言われっちまってたもの。"国籍性同一性障害" だっけね・・・ "国民性同一性障害" だっけね・・・ なにしろ外国風なばかりのやり方が仇なんだ。

そんなお話の次の日も、そのまた次もお電話でお話したね。仲良しだったよね。
だのにお姉ちゃま、変てこな事を言ったの。

-- もうあまり会えないと思うわ。

そんなの嘘っこだ! 嘘っこだよね? どうしちゃったの? 何があったの?
僕ハアハアなったからお水飲んでくるよ。また書くよ。



マフラーできたよ

October 20, 2009

僕、ブルゴーニュ。お庭にジャーマン・ガーデンマムが咲いた。お部屋でマフラーができ上がった。


褪せたジーンズに合いそうな感じに選んだ糸だ。色んな種類のグレーでアンバランスなコンビにしたよ。あったかいんだ。ちょっとお鼻をもぐらせてみたもの。ポカポカしてたよ。

本当はね、セーターをとてもとても編みたかったんだ・・・。たくさん糸を買って編み始めたよ。裾のとこ随分と編んだ。目算でね。でも気の毒なことになってしまったの。

お姉ちゃまの名誉のために言うけどさ、編めなかったのってお姉ちゃまのせいじゃあないんだよ。

あとにサイズを伺ったんだ。そうして編み物の換算表を見てね "なに此れ・・・ムリ。" ってセーターほどいてしまったの。何故って教えていただいたcm、換算表では胸囲LLでウエストSSになっていたもの。難しすぎだね。お姉ちゃまの技術じゃムリなんだ。気の毒に諦めちゃったよ。

セーターはもっと上手になってからにするといいね。僕の編んで練習するといいね。僕は良い具合に寸胴だからね。


**


おかしなすれ違いは続いてる。ずっとずっと続いてる。
サプライズにしないから、お尋ねしてみたの。もうじきお誕生日にプレゼントがあるけど要りますかって。

コイビートの人、お前に会えることかと聞きなさった。こんな風な仰り方ってお初なんだ。コイビートの人はちょっぴり進歩したと思うね。でもお姉ちゃまは進歩してないね。

お姉ちゃまったら、どうして私に会うのなんかがプレゼントなの? おかしな人・・・ってびっくりして笑ってんだもの。コイビートの人はまたダンマリで、お姉ちゃまは不思議そうに突っ立ってた。ガクッ

次にはコイビートの人が どんな物が好きか尋ねた。お姉ちゃまね、にっこりお答えしたの。
-- あのね、黄銅もいいし錫も好きだわ♪

あ〜あ〜 "どんな物" って物質で答えたね・・・。お姉ちゃまも ちょっぴりは進歩するといいのにね・・・

すれ違いはきっとまだまだ続くんだ。ガクッ



牛乳飲む格好

October 17, 2009

僕、ブルゴーニュ。

コイビートの人は貧乏臭い。


それでもってお洒落さんもしない。言葉の端々にちょっぴり表れるの・・・お姉ちゃまが嫌がっているかもってお考えな風がね。だから今だってにらめっこになってばかりなのさ。

ふむふむ疑惑が持ち上がった頃ね、お姉ちゃま面倒なお方ねって打ちやっていたけれどお誕生日にはちゃんとマフラーを編んであげていたんだよ。僕知ってる、見てたもん。

もうせんのようにコイビートの人が急病なんかしないようにね、お首元は温かくしておいてほしかったんだ。
みんなは心配したよ。ふむふむって言われてるお人が受け取って下さるのかしらって・・・。お姉ちゃまは編み棒を使いながら平っちゃらのご返事なの。

-- もし受け取らなきゃ首に括りつけてやります。

やる気あるなあ。手編みのマフラーってそんな風に差し上げたりするものなんだね。僕たちワンコには計り知れないの・・・。
お姉ちゃまは涼しいお顔で編んでいたの。


**


周り中がふむふむ疑惑で持ちきりだった。ふむふむっきり考えられないってね。僕ね、僕の考えも聞いてほしいって言ったけど皆は勝手におしゃべりをして、お姉ちゃまだけとても涼しいお顔を続けていたんだ。

ねえお姉ちゃま、ひょっとして皆が気付かないことがあるの? 皆はコイビートの人の言葉や行動ばかりを取り上げてるけれど、感じることは別にあるの? だからお姉ちゃまは涼しいお顔なの?
僕は問いたいことが お山ほどもあったんだ。

レッスンを見ててちょっぴりわかったよ。お姉ちゃま先生が生徒ちゃんに言ったもん。

-- 書いてある音を弾くのじゃないの。此の音を書かなければならなかった元を表すのよ。


**


コイビートの人とお姉ちゃまの擦れ違いは続いてた。

もう永久に進展しないのねって皆が諦めた。


それでも2人は楽しそうだったんだ。擦れ違ってばかりいる何かをね、確かめている風だったの。

言い合いもしているよ。この間の言い合いは酷いことだったんだ・・・。

お姉ちゃま、お約束のことを "病院次第でお邪魔します。" と言ったの。診療予定が優先だからね、気の毒だね。コイビートの人はお姉ちゃまの言葉遣いを注意したよ。お邪魔など他人行儀だってさ。

お姉ちゃまったら、あら私たち他人でしょうって反抗したんだもの。コイビートの人、突然にブチっ切れたね。
他人なんて言うなよ、口を塞ぐぞ。もう知らないぞ、キッスをしてしまうぞってさ、急に酷く怒鳴ったんだ。

僕、驚いて腰が抜けそうになったよ。助けを求めてお姉ちゃまを振り返ったらば もっとびっくり仰天するものを見て本当に腰が抜けた。
お姉ちゃまもブチっ切れて仁王立ちになってたのだもの。おやりなさいな! キッスできるものならやってご覧なさい! さぁどうしたっ! とおっきいお声で怒鳴り返したんだ。

僕はお耳を疑った。それでもって頭がクラクラして何だかわかんなくなったの。人間って・・・人間って凄いなあって思った。僕たちワンコのやり方とあんまりに違っているのだもの。

コイビートの人ってばお姉ちゃまの迫力に我に返って、な、なんだそりゃ・・・って茫然としたの。お姉ちゃまは牛乳飲むお約束の格好みたくお腰に手を当ててね、言いっ放しかい? キッスしてご覧なさいよ! ほら! ってスゴんでいるの。

メチャクチャだっ。コイビートの人は たまげて笑っちゃった。僕ね、僕、お尻尾を追いかけてクルクル回るっきりしようがなかったんだよ。

キッスは無かった。お手さえも無かった。

僕ね、頭がクチャクチャなの。心臓に悪いことばかり起きるんだもの・・・
頭を整理してまた書くよ・・・。今ね、今は僕疲れてるんだ・・・

お姉ちゃまは涼しいお顔でマフラーの続きを編んでいる。ガクッ



板挟み

October 13, 2009

僕、ブルゴーニュ。

おじいちゃまとカモノハシちゃんをご接待してる僕。


おじいちゃま、カシスシロップを飲んでオペラのお話に夢中だったの。おじいちゃまはシロップが好きだからね。
そこへカモノハシちゃんがお林檎持ってやって来たよ。お姉ちゃまは果物が好きだからね。

僕は贔屓ないよう気をつけながら二人ともをご接待した。忙しいんだ。そうだねおじいちゃま、そうだねカモノハシちゃんって代わる代わる言わなきゃなんないもの。

おじいちゃまとお姉ちゃまはフランス語で、おじいちゃまとカモノハシちゃんは英語で、お姉ちゃまとカモノハシちゃんは日本語だから、僕ちょっと頭がクチャクチャになった。

おじいちゃまは そんな風な対話にはうんとこさ慣れてる。お姉ちゃまはもっと何でもないお顔だ。オーボエとフルートが同時に鳴らしていても、別々に聞きながらピアノでもう一つ別なことを弾くのだしね。平っちゃらなんだ。

僕もついてかなきゃなんないから頑張った。頑張ってご接待した。
おじいちゃまは焼餅焼きだからね。


せんにお姉ちゃま、僕の写真を撮ったの。

おじいちゃまは脚しか写ってないって悲しんでいらっしたよ。


お姉ちゃまはああいうお人だから気なんか遣わないしさ、僕は板挟みなんだ。おじいちゃまに "ブルゴーニュばかりが撮ってもらってる。" って言われちゃうんだもの。

お姉ちゃまもちょっぴりは気を遣えば良いのにね。カメラを出したらば、おじいちゃまシャツのお襟をピンとして 撮ってもらうの待ったんだ。だのにお姉ちゃまったら僕んとこだけ写したからとても傷ついてたんだよ。

ブルゴーニュはいつもブログに出てるんだのに僕は2回しか出てないって苦情を仰ったの。お姉ちゃまはああいうお人だから、だって私おじいちゃまを飼っちゃいないもの、って酷いことをスパンスパンご返事しちゃうんだ。

そんな事情だからね、お客様が2組あれば僕はお人の間に板挟みしてもらって 代わる代わる愛想良くするの。誰も焼餅を焼かないようにね。色々と大変なんだ。

お姉ちゃまはああいうお人だからね、代わりに僕が気を遣ってるの。



お洒落さん

October 10, 2009

僕、ブルゴーニュ。

コイビートの人のイメージがさっぱり掴めないって仰るお方ばかりなの。


どこまでが架空のお話なんですか、なんてご質問までがある。
僕知ってること、ちょっぴり教えてあげるね。

高校んとき運動部をふたぁつ掛け持ちしていたの。変わってるなあ。それでもってキャプテンだ。お馬鹿みたいに朝から晩までスポーツばっかさ。お勉強などまるでしていなかったの。そりゃあね、運動部ふたぁつもしていちゃお勉強ができるはずないんだ。

そんな風では入試なんか通りっこないのにね、行きたい大学入っちゃったからお尋ねしたの。どうやって入学をしたのって。したらね、一夜漬けってお答えだった。変わってるなあ。

お話に聞けばお馬鹿かお利巧かわかんないお方だよ。それでもってお目にかかればお馬鹿かお利巧かもっとわかんないの。

僕ね、僕はお利巧ってよく言われるよ。エッヘン。


**


お姉ちゃまとお友達は、男の子君のお洒落のことお話してたよ。

お友達はね、きちんと良い風に見える工夫をしているようなね、ちょっぴりな努力をするお洒落さんが好きなんだ。感じ良く振舞えるって大切だものね。お姉ちゃまは考えが違ってて、男の子君がお洒落さんすると酷く嫌がるの。みんな色々だね。

お姉ちゃまったら男の子君のお洒落はマコトノコトじゃあないって言うのだもの。良いお品なら、たとえ皹が入っていようとも上にペンキは塗らないものだわって大袈裟を言い切るの。うへっ

コイビートの人ちっともお洒落さんしないところが好きなんだね。代わりにお洗濯はお得意だよ。入院をしているときにも、帰ったらばお洗濯がしたいとばかりを言ってたよ。うんとこさ洗って10年着てるんだ。それでもっていつも香水とシャンプーの良い匂いがする。

今週は洗剤成分とバクテリアと消毒のお話してくれた。きっとコイビートの人なりのお洒落のお話だったんだね。

僕ね、僕も今日シャンプーしてもらうんだ。それでもって良い匂いのお洒落さんになるんだ。 



可愛い子見つけた

October 07, 2009

僕、ブルゴーニュ。

レオナルド・ダ・ヴィンチってお人のお絵描きを見てる僕。


お姉ちゃまは気の毒なんだ。お背中の靭帯を悪くして横になるっきりなかったの。痛すぎてご本も読めなかったからね、僕たちお布団でお絵描きを見てたよ。

14世紀ボルジア家の紋章には牛君が描いてあってね、可愛かったよ。
16世紀ヴィットーレ・カルパッチオのお絵描きはね、白くて小さいムク犬が いつも1匹だけちょこんって出てくるしね。楽しいんだ。

見たことないっくらい可愛い子も見つけた。ダ・ヴィンチってお人の "聖アンナと聖母子" (1510年) の隅っこに居た子羊ちゃんだね。抜群に可愛い子だよ。僕、うっとりして眺めたの。


此れはね、レッスンの応援をしてる僕。


僕ね、生まれてからずっとレッスンのお勤めをしているの。
こんな風にピアノを応援をするんだよ。

レッスンは時々付き添いのお母様方も来られるの。ピアノを弾いてる生徒ちゃんてば暑いけど、見てるお母様方は冷えちゃうからね、お膝掛けがお母様席に置いてある。


ほらね。

お姉ちゃまが縫ったんだ。


お母様方はね、先生が縫ってらっしゃるお膝掛けや肩掛けはとても可愛いってお世辞を言ってくれる。お姉ちゃまはお世辞を聞かないふりにしてるけれど、内心は乗せられてるんだよ。何故って置いてあるお膝掛けが増えていたもの。

レッスン見るのに飽きて眠っちゃうと、お母様方が僕にお膝掛けをかけてくれるの。
やっぱレッスンって好きだなあ。ピアノとお姉ちゃまのお声を聞きながら お膝掛けをお布団に眠ると気持ち良いもの。

生徒ちゃんはピアノ弾きながら時たま笑うよ。曲が小さい音になると僕の寝息、スピーって聞こえるんだって。



カッサンドルの薔薇

October 03, 2009

僕、ブルゴーニュ。

ピエール・ド・ロンサールの有名な詩だって。


カッサンドルへのオードというんだ。


《恋人よ、みにゆこう、
けさ、あけぼのの陽をうけて
紅の衣をといた、ばらの花》
               (窪田般弥様・高田勇様訳)


コイビート同士が薔薇を見に行くんだね。今花咲く薔薇が、じきに朽ちる薔薇が、コイビートの色艶に似ているって。そうして僕たちも老いるのだってね、優しいお歌だね。僕もパーシモンに詠むんだ。


《恋人よ、みにゆこう、
けさ、あけぼのの陽をうけて
パンの衣をといた、エビフライ》
               (ブルゴーニュ)


ってね。
コイビート同士はこうして心を交わすんだ。お姉ちゃまとコイビートの人も、それなりに友情を交わしてる。


**


お友達のお尋ねにあったの。"ちゅらってへこんで甘えるような人は一切嫌なの? " ってさ。僕はいつだって側で聞いてるんだから みなまでも知ってるの。

お姉ちゃまが好きな感じだって知ってるよ。海上保安庁ドラマ "海猿" の池澤さんのお役回りなんかね、うんとこさ好きなんだ。仲村トオルさんが演じていらっしたの。にこにこしなくってね、ストイックできびきびとした精鋭役だよ。

お姉ちゃまお友達にお答えしたの。何時此れ此れの方法で解決するから そのための元気を頂戴なって理が通っていれば良いわってさ。
それっから "でも大概の甘えには理がないわ" とか付足した。うへっ。

僕ね、僕はへこんだら甘えるけどね。またあすこんちのワンコに吠えられちゃったの、とかね。お姉ちゃまは僕にうんとこさ優しいもの。それでもってコイビートの人にもちょっぴりだけど優しいんだ。


**


お姉ちゃまはお昼間だのに休んでたよ。お熱が高くなったんだ。

僕も一緒に休んでた。僕いつだって一緒だもん。


またお電話が鳴ったの。お姉ちゃまは "何。" って嫌そうに出たね。
優しいんだ。本当に嫌ならばお電話出ないんだのにコイビートの人には出るんだもの。

中途にコイビートの人が尋ねたの。どうして自分が病気になんなきゃいけないだろうって思わなかったかってさ。

コイビートの人、多分ご本人のこと言ってるって思ったね。関係ある会社が大変になって がっかりしたと思うもんね。どうしてこんなことになるのかなって考えたのじゃないかなあ。気の毒だね。

お姉ちゃまはバッサリだ。
思うわけないでしょう。そんな下らないこと考える暇があればさっさと治せば良いワってさ。

コイビートの人はバッサリなご返事にすっかりと慣れていて可笑しがったの。やんわりとした女性はお嫌いだからね・・・ふむふむだもの。女の人らしいお人はお友達じゃないんだ・・・ふむふむだもの。

お姉ちゃまったらお熱で休んでるんだのに元気だ。

-- 病気災難は誰にでも来るのよ。勝手に来たり去ったりするものに気分までいちいち振り回されて馬鹿じゃあない? 君がすべきは目の前を片付けるだけ。災難を考えるのは消防庁にでも任せておしまいなさい。慣れない思考なんか辞めて、つべこべ言わずに やれることをちゃっちゃとおやりなさい、ちゃっちゃと。頭が弱い上に性格まで弱くってどうするの。

人間は刺激的な慰め方をするものだからね。僕なんかワンコだから、あんまり刺激的だとクラクラしちゃうけれどね、コイビートの人はぷっと笑ってわかってるって言った。慣れてるね。人間は凄いなあ。

それでもってお姉ちゃまのお声の調子で しんどいのかって聞いたの。

お姉ちゃまね "愚にもつかない腰の退けたお話を聞かされれば元気でも疲れるわ。頑張んなさい馬鹿。" って喝を入れた。僕にはやっぱり刺激的でクラクラしたの。コイビートの人は笑ってたよ。慣れてるなあ。

2人は薔薇を見に行かないんだろうね。薔薇を見たらばコイビートの人、土ん中のバクテリアを語ってくれるのにね。


《恋人よ、みにゆこう、
けさ、あけぼのの陽をうけて
土の衣をといた、バクテリア》


ってさ。



ギヤ油

September 29, 2009

僕、ブルゴーニュ。

続編の続きを書くよ。


みんな、あの日のお電話はどんな風になったの? って思ってるからね。

お話には順番ってものがあってさ、それでもって僕とお姉ちゃまのブログにも順番ってものがあるんだ。お姉ちゃまが書きたいと言えば僕は譲るっきりないんだもの。今朝はブルゴーニュ君の番ねって言ってもらうの待たなきゃなんないんだ。

コイビートの人は度々お電話を寄越すんだのにね、ぱったりとかからない時があったね。だからってお姉ちゃまはお電話してみやしないのだもの。

今夜はかけてみようかしらねってお昼間には言ってみる。だのに夜になると忘れっちまうの。翌朝また、今夜は憶えておくとするわって言うんだのにやっぱり忘れっちまう。おさらいやお勉強に夢中になったらば打ちやってしまうんだ。

だからねちょっぴりお久なお電話がかかった日だったの。

お姉ちゃまの暴言に哂ってるだろうと応じたコイビートの人はね、大変なことになっていた事情を少しっぱかり教えてくれた。あ〜あ〜だから僕は注意したじゃあないか。きっと事情があるに違いないって。

関係がある会社が急に倒れたんだ。気の毒だね。コイビートの人のお仕事先は残債務を引き受けなきゃあならないお立場だったの。気の毒だね。一どきは寝食なしに駆けて巡って代わりの残債務さ。やっと片が付いたものだからお電話かかったね。

お姉ちゃまは大声出した。馬鹿じゃないの! ってさ。大変なことをさっぱり言ってこないもので気の毒に思ったんだね。コイビートの人ってば "そんな事は言いたくないじゃないか。" ってさ。僕ね、僕なら言うけどね。バッタがお鼻に止まって怖かったのとかね、枝にお耳引っ掻かれちゃったのとかね。

言いたくなかったと聞いたお姉ちゃま、くすくす笑った。大変なお話だのに笑うんだもの。何故ってコイビートの人のそんな風なところ、うんとこさ好きだからだよ。ふむふむのお友達でも良いから、このお人のこと好きだわって改めて思ったんだよ。


**


コイビートの人ね、まだ痛いのかって聞いた。

僕ちょっぴり緊張したの。ご病気のこと心配してくれるお人に決まってミニ豚だもの。


近頃も男の子君にぶちっ切れたばかりだしね。ご病気だとお医者様に居ないときっくらい ご病気のお話は止しておきたいものだのにね。くどくどご親切を言おうとしたんだ。ちょっぴりは憶えれば良いのにね、憶えないんだからね。

お姉ちゃままた非道を言ってお電話をぶちっ切ってるの。気の毒だね。コイビートの人が気の毒なことになるといけないから、僕息を飲んで聞いてたんだ。

コイビートの人は一言で済ませた。くどくどしないんだ。次会ったらギヤ油を注してやるって、ぶっきらぼうなお見舞い事を言ったね。ギヤ油ってコイビートの人が使ってるような工業用潤滑油のことだよ。注すとお姉ちゃまのお身体も良く動くようになるかもしんないってご冗談さ。

ミニ豚は出なかった。お姉ちゃま、ふふってとっても楽しそうに笑ったの。気に入ったんだね、ギヤ油っての。
僕のお話は続くの。



普通

September 26, 2009

僕、ブルゴーニュ。

JALの機内食、"うどんですかい (UDON de SKY) " ってあるね。


まのん・れすこうは "うどん・ですかい" みたいなカップ麺と思うね。美味しいに違いないの。


**


みんな涙ながらに言ったの。桜ちゃんのあの性格だから保ってるのねえってさ。何ヶ月も毎日痛くって あちこち膿んで歩くのも辛いなら、普通は落ち込んでクシャクシャになっちゃうのに物凄く元気よねえって重々しく感心していたの。大雑把な性格で助かったわねって。

大雑把を叱られてばかりだったけれどね、お初に褒められたよ。
お外に出られないってだけでも滅入らないのかしら・・・って色んな方々に問われたけれどね、お姉ちゃまはてんで平気なんだよ。

"あらもともと篭もってるから平気よ。" ってさ。聞いたお人は冗談でしょうってお笑いになるの。社交家なように見られてるからね。
本当は社交なんてできやしないの。ただお人がたくさんな所でも僕と2人こっきりのお部屋でも変わんないだけだ。

社交をしなくても社交に来られるお客様はたくさんだ。お客様が来られたって あら今日はってね、此れまでにしていたことを続けながら好き勝手を言い散らかすばかりだ。


**


お友達が東京のメアリー・ブレア展を観に行って、図録をもってきてくれた。
お姉ちゃまはディズニー嫌いだけど、初期ディズニースタッフだったメアリー・ブレアにはユーモアと才能があるのねってとても感心したんだ。ブレアの絵には様々な画家の意匠がお饅頭みたいに取り入れられてるのだって。

数点の絵っきりあれば うんとこさ盛り上がれるんだからね。一つずつ見ながら腕の形がマリー・ローランサンだとか、アングルがラウル・デュフィだとかって騒ぎさ。

次の絵を指して "モネってこのようなシルエットなのよ。" とか言ってね。
モネのお髭はブラームスのお髭に似ているのよとか、エミール・ガレは目の感じが割合に綺麗とかさ。男の子君の姿のお話ったって、芸術家さんっきり出てきやしないんだ。

ちょっと変わってるかもしれないんだ・・・


**


ペルノーをお出しすればペルノー・リカールの歴史を言い散らかしたり、

シロップをお渡ししたらばグラスに印刷されてるモリエール劇上演場所を言い散らかしたり、


そんな風な普段さ。ちょっと変わってるかもって心配なんだ・・・

僕ね慣れているから。鳴った受話器をお肩に挟んだ格好でピアノを弾き出したって慣れてる。お電話してきたのはコイビートの人だった。多分ショパンと思うけどって、曲のお名前を知りたいようだったの。

キーワードは5つの音だけだよ。コイビートの人があまりお上手じゃない調子で歌ったんだ。お姉ちゃまは、いかにもショパンが多用する旋律ねって言ったし、ワンコフードの粒ほどもあるショパンの音たちから どの曲の何処にたった5音があるかわかりっこないよねって思った。

だのに見つかったね。うんとこさ一杯のフレーズを頭の中に呼び起こすうち、見つかったの。弾いてあげたのバラードだったね。

コイビートの人は大変に驚いて "お前・・・本物の変態だな。" と精一杯褒めてくれた。お姉ちゃまは、あら私は普通だわってお答えした。


**


ああ良かった。僕のお姉ちゃまってちょっぴり変わってるかと心配してたけど普通ってわかったね。僕ね普通に教わったの。お散歩で会うシュナウザーってワンコはチャイコフスキーのお顔とそっくりってね。ほらリンクをクリックしてご覧、似ているでしょう? 僕らはシュナウザーの子を普通にチャイ君って呼んでる。



花火

September 22, 2009

僕、ブルゴーニュ。

お姉ちゃまはお風邪だのに風邪薬を飲んではならなくて、酷いことになったんだ。


続編の続きだよ。

此れまでにさんざ問われたの。 "側に居てふむふむってわからなかったの?" ってさ。

お姉ちゃまね、ふてっくされてお答えしてた。"女性側のお役回りはわかり良いけれど、男性側のお役目ならどうやって気づくかしら?" ってね。

なにしろ "男性側のお役目" な風をね、男の子君っぽいワ♪ って大好きだったんだもの。そこんとこが好きだったんだからお話になんないよね。

男の子君っぽいお人が好きなお姉ちゃまは、自分も相手から男友達ふうに見られてるって思いもしなかったの・・・。気の毒だね気の毒だね。


**


コイビートの人はときどきお姉ちゃまにお電話しておしゃべりをする。いつもお電話の電池がなくなっちゃうまでお話するんだよ。だからみんな、コイビートの人ったらお姉ちゃまのこと好きなのねって信じきってたの。

たとえば花火のお話なんかをするんだ。

お姉ちゃまね、コイビートの人と花火を見に行きたいって願ってた。お浴衣と帯を選んでたっくらいさ。それでもってレモンカナリアちゃんがプレゼントしてくれた巾着を持ってくって言っちゃってね。


書家様のレモンカナリアちゃんが手描きカードなんかと一緒に下さったんだ。


いっぱい応援してもらったの。お浴衣の日に手くらいは繋がなきゃダメよ〜って教わってね。

準備は万端だった。準備だけ万端だった。


**


"花火の作り方、知ってるか?"

コイビートの人が言った。


ほら、またマコトノコトのパターン だよ。鼻っからロマンチックじゃない方向だけど、お姉ちゃまが一等嬉しがるお話の仕方だ。

お姉ちゃま、まるで花火に誘われたようにお顔を輝かせた。何故って花火はお姉ちゃまが生まれるよりずっと前にパパが趣味にしてたんだもん。火薬や危険物の取り扱い免許なんか持つ大掛かりな趣味だ。生まれた娘に万一火薬で怪我をさせちゃあいけないからってね、辞めたんだ。

お姉ちゃまはコイビートの人も作ってたことを知らなかったし、コイビートの人はパパも作ってたことを知らなかった。素敵な偶然だ。だけどお話は素敵なほうへは向かなかったの。

コイビートの人が作ってたのは、色の火花が出る綺麗な花火なんかじゃあないよ。火を動力にして、望遠鏡でしか見えない所まで高く飛ばして飛距離を測るマニアックなロケット花火だ。パパに教育されてるお姉ちゃまは、なかなかにお話が良くわかるみたいだった。

先端に鉛をつけて、燃え尽きた機体を鉛の粒の重みで垂直落下させるようにすることや、下の火薬が燃えてから上に燃え移る仕組みじゃあなくって 火が中心を伝うよう上まで導火線を引くやり方なんかを、とっても仲良くお話したの。

一杯仲良くお話したけど、花火のお誘いは受けなかった。
火薬のことを教わって終わった。

不発だ。



続編開始

September 18, 2009

僕、ブルゴーニュ。

みんなコイビートの人どうなったの? って思ってるよね。


ふむふむなことから日が過ぎた。僕ね、お姉ちゃまにそうっと尋ねてみたの。気の毒だね、大丈夫? ってね。だってとってもとっても好きだったんだもの。傷ついたんじゃあないのかなってね、心配だったの。

したらお姉ちゃまね "あ〜、めんどくさいっ! " だって。"人として好きだから友達でいいわよ友達で。" だって。

僕ね、ちょっぴりびっくりした。お姉ちゃまにびっくりするのなんか10年も毎日だしね、慣れてるけどやっぱりびっくりした。大好きって思ってたのにただの半日で "あ、そう、じゃあね。" ってそんなにもあっさりとしたものなの? 人間って不思議だね。僕たちワンコとは違ってるね。

でもさ本人からはっきりとふむふむって聞いたのじゃあないよね。もしかしたらふむふむじゃあないかもしれないんだよ。だったらさ、もし違ってたら・・・って僕、一生懸命お話したんだ。

-- 私は伝えるべきことは伝え、やることはやったわよ。ゲイかゲイじゃないかは問題じゃないわ。ゲイか否かってゴチャゴチャなること自体が勘弁だわ。あのボケ。めんどくさい。

あ〜あ〜お姉ちゃまったら・・・僕たちワンコはお姉ちゃまみたいにスパンスパンとゆかないからわかるけど、コイビートの人だって事情があるかもしれないんだよ? だのにすっかりと打ちやってしまって何事もなかったかのようなんだもの。

みんなにどうするの? って問われても "さあ。とり急ぎはお友達になる前に失礼して蹴り入れさせて頂くわ。" なんて言ってね。お姉ちゃまはね、回し蹴りも飛び蹴りも大層にお上手なの。武術が好きなのだもの。習ったりしてね、ああ見えて本当は運動音痴じゃあないんだ。うへっ。


**


お姉ちゃまがまたお熱が出た夜だったよ。

僕はお布団の中で気の毒だね気の毒だねってお姉ちゃまにくっついてた。


お熱で寝苦しかったからね、夜中に携帯のランプが光るのに気がついたの。

出るなりにコイビートの人の怒ったお声がした。大変な病気だってどうして電話してこないんだ、って。"お前アホかっ! " だって。

お熱でよくお声が出ないんだのに、それでもってもう眠りそうになっていたんだのにね、人間って寝起きでもスパンスパンものが言えるんだね。僕なんかよく寝惚けるけどね。パーシモンも寝惚けるしね。けど人間は寝惚けないんだ。

-- はあ? 惚れられてもケツも捲くれないような軟弱者に何の電話をしろっていうの。

うへっ。出た。
いけないお口をきくのは普段通りだけどコイビートの人にはやっぱ優しいほうなお声だって安心したね。お姉ちゃまが起っきした痕に入り込んでまぁるくなった。あったかくなってて気持ち良いんだ。

コイビートの人はね、今お鼻の先っぽで哂ってるだろうって言った。

-- 哂ってるわよ。君はどんな顔して話してるの?

"真剣にしゃべってる。顔は・・・変な顔。"

また続き書くからね。



風邪薬とゾラ

September 12, 2009

僕、ブルゴーニュ。

僕の苦手はお留守番だ。
お姉ちゃまの苦手はお買い物だ。


お姉ちゃまね、今反省しているの。物欲がひどく欠けているのも良くないワってね、考えを変えようとした。ご本以外は何にも欲しくないんだからね。変わってるんだ。

なにしろ此れがパリ旅行で買ったものなんだからね。
風邪薬と頭痛薬なの。

パリってところはとってもステキなお品が お山ほどもあるって思うけどね、風邪薬買ってきちゃったよ。ほらやっぱり。必需品っきり買えないんだ。洗顔フォームは必需品じゃあないみたいだしね。

壊れると買い足すんだ。バターケースは壊れたから買ったんだ。壊れなきゃ買わないんだしね、バターケースってものは40年も使ってやっとこさ壊れるものだからね、あと40年したら買い換えるかもしんないの。

次にはキャミソールが悪くなった。おんぼろな上にお庭の枝にレースが引っ掛かって裂けちゃった。でも自分じゃあ新しいの探せないの。なんたってお店のこと知らないから。

知ってるのはね、芸術家さんがもうせん住んだアパルトマンの番地とかさ。なにしろラシーヌが住んだ場所のを飾っちゃうっくらいだもの。だのにキャミソール買えるお店は1軒も知らないからね。

だから希望をお伝えしてお人に願ったの。ご親切に色々とお写真を見せてくださったの。そしたらばね、変テコなことになったんだ。フランスの綺麗なキャミソールのお写真をいっぱい見たらばすっかり満足しちゃったの。なんだかもう10枚も持ってるような満足な気持ちになっちゃったの。

それだから頼まれてブログを書いてる。また物欲がわくまで、すみませんけれどキャミソールのこと置いといてくださいねだって。どんなのが欲しいか少しもわかんなくなっちゃったんだってさ。 


**


お店を見たって、まあ綺麗ねって満足しちゃうんだ。見て感心しておしまいさ。通販なんてね大変なの。ページにいっぱい商品が並んでるからね、一目で圧倒されてすぐ閉じちゃってるよ。ああびっくりしたってね、諦めるの。

ご本のお買い物だけうんとこさしてる。もう読まないの200冊ばかり処分したんだ。おんぼろなのとか、洋書を飾りたいって方に差し上げたりね。本箱に余裕ができたからまた200冊っくらい読む気だね。


こないだ買った全集は、象と虎のあいの子の動物のお話と思うね。

ゾラって言ってたから。


ゾラ、縞々でお鼻が長いにちがいないね。きっとこんな動物だね。可愛いだろうなあ。



実習(4)フィラリア薬をフードに混ぜないこと

September 08, 2009

僕、ブルゴーニュ。

お姉ちゃまはお医者様でうんとこさ気の毒なことだったの。今度書くよ。


実習最終回だったね。

不思議なことが起きたの。教官が段々に変わってきたんだよ。違ってる二人が一緒んところに居なきゃならないとき、どちらかが変わらなくちゃ仕方ないものね。お姉ちゃまは変わんないから教官が変わるっきりなかったんだね。

お姉ちゃまはね、はじめうんとこさ怒ってたの。それはね、僕の肉球で弾いたみたいなピアノだからじゃないよ。

ピアノなんかを弾けなくたってね、生徒ちゃんは綺麗な音楽を知らせてくれる先生を絶対馬鹿にしたりしないって。

それだのにね、できないことを隠して見栄張らなきゃ生徒ちゃんに馬鹿にされる、言い訳しなきゃ教生に馬鹿にされるってね、少っしも音楽に関係ないことばかりをやってるものだから酷く頭にきたんだ。

生徒ちゃんを穴掘っちゃいけないって。先生の小細工なんかすぐわかるって。小細工せずに ただ真剣に音楽に向きあえばいいだけでしょうって。ああ僕知ってる。ワンコフードにフィラリア予防のお薬こっそり混ぜられた! とかね、すぐわかるもん。

怒ってたものだから教生としてお行儀がなってなかった。教官は教官で "次のクラスには手に負えない不良が居る。絶対に気をつけなければならないが、それが誰かは教えてやらない。" とか囁いてくるしね。

お姉ちゃまは聞いても聞かなくても変わんないようなコチャコチャしたお話を酷く嫌ってるから益々険悪だよ。それがどうしたってなものでね。

それでもってピクニックなファッションだって誹りの種だもの。ピクニックの皮肉を聞き飽きたお姉ちゃま、きっと会話を終わらせたくなったんだね・・・。先生のね、1月も洗ってない風なジャージからシャツがはみ出てるのを上から下までねめつけながら丁重な口調で質問したよ。

-- ではその格好が音楽に相応しいとお考えですか。

なんと・・・。不敵だ。

とてもいけないね。いけないんだのにね。終わらせたかった会話は希望通り終わった。綺麗さっぱり終わった。教員免許の可能性も終わるんじゃあないかと思ったけどね。


**


授業は平和で楽しかったの。そしてどんどんと増えたよ。3日もすればほかの学年の先生がうちのもやってみますかってさ、目一杯授業が増えた。どれもとっても楽しかったんだ。

生徒ちゃんが楽しかったかどうか知らないけどね、お姉ちゃまはまだうんとこさ下手っぴだったしね。けどさ、音楽の此処もあすこも綺麗ねって伝えることは ほんの少しだけできた。伝わるためには、先生が音楽の綺麗さにドキドキしたりびっくりしたりするに限るもの。

ああ問題の不良君のこと? とってもいい子達さ。義理堅くて思いやりある子達だったよ。率先してクラスを治めてくれたし、忘れ物を取って来てくれたりさ。


お免状も大丈夫だった。ストレートAが揃った。

東京都教育委員会からちゃんと発行された。


教官はね、人って数週間でこんなに変わるの? ってくらいに変わった。最後にはね、今まで何人も受け持ったが稀にみるいい教生で私も初心を思い出させてもらいましたってさ。

もしも毎年こんなのが来てたら教官はご病気になっちゃうのだから、稀で幸いだったと思うよ。


**


ところで僕、尋ねたの。そんなにも授業するのが大好きだのにお免状一度も使わないの? ってさ。お姉ちゃまね、私なんか3日でクビに決まってるでしょうってさ。

ああ・・・そうだったんだね、それで最初っからお免状は別に要らないのだけど・・・なんて言ってたんだね。僕は泣きそうになって、お姉ちゃま気の毒だね気の毒だねって言った。 



実習(3)よせばいいのに

September 03, 2009

僕、ブルゴーニュ。

実習のお話の続きだったね。


授業をするには教材を選ばなきゃなんないよね。教官に指導されながら決めるんだ。流行り曲も授業に取り入れるはしりの時代だったけど、生徒ちゃんが好きなふうな曲を使う方法にしないって決めてた。

何故ってね、好きなお歌はもう楽しさ面白さに気づいているから、だから好きなのだって。

他の媒体で楽しさに気づいたものを授業にただお引越しさせてきたってね、音楽授業が面白いことにはならないって。結局は気づかせてくれたテレビが面白かったことになるって。それって本末転倒で、学校で音楽を学ぶ意味は益々失われるだけだって。

ああ知ってる。縁取り屋のイーヨーのお山へ行くとき大好きなおしゃぶりを持ってかないもの。お山ではおしゃぶりを止して、お山遊びをするのが楽しいんだもの。きっとそんな風なことだね。

お姉ちゃまね、テキストん中からどれでもいいですって言ったの。
どのお歌を選んでも、其の美しさを伝えるのが一等したいことだったの。


**


本当ならばね、授業前に済ませなきゃあならない事があったね。教官については、みんなが初めに思った通りに運の悪いことがあったから きちんとお頼みしなきゃあならなかったね。

"おい教生! お前歌いながら弾けるのか! 難しいぞ。教生なんかができた験しがない。" とかをきちんと聞いてハイできますってお答えするだとかね。

頭ごなしな口ぶりだからね・・・。僕なら少しっくらい馬鹿馬鹿しいって思ってもハイって言うのにね。お姉ちゃまは教官よりずっと頭ごなしに "幼児でも難しいことじゃないでしょう。" って噴き出してね、怒らせてるの。困ったねえ。

お姉ちゃまもお姉ちゃまだけど教官もさ、よせばいいのにお手本を見せてやるとか言っちゃってるの。ムキになっちゃったね。それでもって よせばいいのにピアノ弾いたんだ。

あ〜あ〜僕の肉球で弾いたみたいなのがちょっぴりで止まっちゃってね、弾きすぎで腱鞘炎だから上手くいかないって腕を押さえてみせてね・・・。気の毒だね気の毒だね。僕はなんだかとても慰めたい気持ちになるんだ。

構わないよねって思うの。腱鞘炎って言ってんだから腱鞘炎ってことにしてあげるのが大人のワンコってものだよ。そっとしておいてあげようねって思うの。けど、お姉ちゃまは僕とは考えが違ってるから・・・。運が悪かったよ、教官がね。気の毒だね。

大人の対応の実習か? ってぶちっ切れてね。私は生徒ちゃんを教えに来たんでオッサンに費やす時間はないとかで すたすたお教室に帰っちゃったりね。大変だったろうね、教官がね。気の毒だね。


**


桐朋学園で教育学を教えてくださった担当は、指揮科の先生だよ。


お姉ちゃまね、実習で大学をお留守する前に担当先生に言ってたの。
-- センセ折角教えてくれたのに私、実習先で問題起こしたらごめんネ!
ってさ。あ〜あ〜酷い予言だね。

お世話くださった先生は "覚悟してます。" って頷きなさった。"神戸でも沖縄でも謝りに行けるように期間中空けてますから存分に試してきなさい。期待します。" ってお答えなさってね。先生ってば悟りの境地だね。有り難いし気の毒だね。

お姉ちゃまは教員のお免状がほしいのじゃあなかったからさ。ただ教育学がとても好きだったの。それったけなの。どうせなら高校1種と中学1種を得ておけば腐るものでもないしってな感じだ。ご迷惑だね。教育に熱心でお免状に不熱心だなんて現地の教官はやり難いもの。


**


けれども生徒ちゃんたちは気の毒じゃなかったみたいなの。


生徒ちゃんはね、うんとこさ可愛くていい子たちだったの。それでもって実習の終わりにたっくさんの生徒ちゃんがアンケートを書いてくれた。男の子君も女の子ちゃんもね。

"将来は音楽の先生になりたい。" だとかね、"音楽の仕事を夢にしようと思った。" だとかってさ。音楽の先生って楽しいお仕事かもって思ってくれたの。それって一等嬉しいね。

次は最終回だよ。 



銅像に訴える

August 31, 2009

僕、ブルゴーニュ。

暑いとワンコは抜け毛が多くなる。だから僕はよくシャンプーしてもらうの。そうすっと2日ばかりはさらさらで居られるからね。


ぬるま湯を浴びながらブラッシングしてもらうと気持ちいいんだ。それでもって "ブルゴーニュいい気持ちでしょう?" なんて優しいことを言ってもらうのだって大好きだ。

そのあとの時間はあんまり好きじゃない。僕はしばらくお庭で干される。夏だからタオルドライのあとは自然乾燥なんて言われちゃってさ、お姉ちゃまから離れなきゃなんない。

干されてお庭に居ても、お外を覗くのなんかてんで興味ないよ。お窓の前にお座りをして、お部屋っかわを一生懸命見てるの。お姉ちゃまが一目見えないかなってさ。時々見えると嬉しいの。

僕はお姉ちゃまを見ることばっかに興味あるんだ。僕の後ろに鳥なんか飛んできててもどうだっていいさ。鳥のやつなんかに構ってる隙にお姉ちゃまを見逃したら大損するからね。

お窓越しにお顔が合うと僕は目で訴える。"もう乾いたと思うよ。早く僕をお迎えに来て。" ってね。ちょっぴりくらい濡れてたってね、そんなのは気持ち次第でどうにだってなるんだ。お姉ちゃまの気持ちの問題なの。

僕はなるったけ悲しそうなお顔をして、なるったけ内股でお座りする。銅像に訴えるってことをやるんだよ。銅像みたいにじっとお座りして訴える方法だよ。"銅像に" っておかしな言葉だけどね。"銅像が訴える" が正しいと思うけど、誰にだって間違えはあるから仕方ないね。

お姉ちゃまは僕の銅像に心を動かされて、湿ってても入れてくれる。それでもって乾いたバスタオルにくるんでもらう。僕ね、バスタオル引きずりながらお姉ちゃまの後をついて歩くのが好き。

ブログはまたすぐ僕の番にしてもらえるようにお願いしてみるよ。



実習(2)音楽を伝える

August 25, 2009

僕、ブルゴーニュ。
実習のお話の続き書かなきゃね。


教生がとっても多い年だったよ。色んな教科の教生の人たちが居た。指導に当たる教官も色々だった。お姉ちゃまたちの教官になる音楽の先生は、各学年1人ずつ3人も居らっしゃる学校だったよ。たくさんだね!

3人のうち誰が教官に当たっても随分と運が悪いことに変わりはないってみんなは踏んだ。なにしろ見るからに運が悪いと踏めそうな感じだったんだもの。

先生はね、実習生受け入れは カリキュラムが乱れて迷惑であるって長いお話をした。とっても長いお話さ。ほらやっぱり、運が悪いったら。大変迷惑だけど決まりだから仕方なくやってやるって長いお話も付け加えられた。

それでもって如何にイケナイ不良君を扱ってきたかってご説明をされてた先生はね、急にお姉ちゃまの方を向いて "退屈ですか! " って言った。

たった一人だけね、あからさまに 'このオッサン痛いやっちゃな' ってお顔でニヤニヤするなんてね良くないね。不良君より態度が悪い教生なんか来ちゃって、運が悪いのは教官のほうだね。気の毒だね。
退屈かって問われてお姉ちゃまは "はい。" ってお答えした。

なんと・・・。不敵だ。

お姉ちゃまたちは何をするために実習に来たか聞かれたの。正しいお答えはね、実地を学ばせて頂くためにお世話になるって風なことだね。よろしくお願いしなきゃなんないんだもの。

お姉ちゃまは、音の美しさや音楽の美しさをお話に来ましたって言った。実習生のご返事じゃあないって今はちょっぴり反省してると思う。


**


音楽の美しさを知るってどんなに大切かってこと、お姉ちゃまは僕にお話してくれたの。


**


お姉ちゃまってば義務教育の音楽の授業が大嫌いだったんだよ。音楽は好きなのに、音楽の授業が嫌でたまんなかったお人は多いね。僕はお姉ちゃまがそんなにも音楽の時間が嫌いだったとは知らなかったけどね。

あんなに面白くなかった音楽の授業だのに卒業すれば音楽を好きになる。そうしてあれれ? って思うんだね。"音楽嫌いなはずだったのに、どうして今音楽が面白いんだろ?" ってさ。

音楽の授業で歌わされて嫌だった荒城の月って歌が、なんだか実にいいお歌だってね、気がついたりしてね。
いいお歌だったんだよ。だから荒城の月を教えてくれる先生も正しくて、荒城の月が載っかってる教科書も正しいってことになる。だのにつまんないの。不思議だね。

荒城の月っていいよなあ、授業と一等違うのは何だろうって考えればわかるってお話なの。荒城の月は美しいって気づけなかった授業中と 美しいって気づいてる今ってとこがね、そこんとこが一等違ってるんだ。


**


お姉ちゃまの年代の頃、義務教育課程の音楽授業はまるでなっちゃいなかったのだって。昔だからね、酷いことでね、でも教え方や指導要領が悪いってことじゃあないんだって。

悪いのは、音楽は綺麗だねって何一つ伝わってないことだって。

曲を憶えた。作曲者の名を知った。休符が見分けられるようになった。それってとても大切だって。
大切だから、そうと教えなさいって書いてある指導要領は少しも悪くないし、その通り実践してる先生に間違いないよね。

でも生徒ちゃんは憶えた曲を美しいと感じたか、曲作りは素晴らしいと思ったか、休符の空白にドキッとしたか。
そこんとこ、一等大切だって。

何故って音楽は美しくて、曲を書いたり奏でたりするのは素晴らしいことで、音の美しさの一方で音のない空白にドキッってする・・・そんな風に感じられることが音楽時間の始まりだからだって。

先生のお仕事は、音楽は綺麗ねって伝えることって。

まだ続くよ。



マウスパッドと立件

August 21, 2009

僕、ブルゴーニュ。

お口の中をお掃除してもらってる僕。


おやつの牛さんの骨、すぐお粉にできちゃう牙だ。

牙の側にプニョッとしたマウスパッドがついてる。マウスパッドを捲ってね、お口ん中をお掃除してもらうの。


こっちのマウスパッドのやつが撫でられてると、ちょっと悔しい。


僕のマウスパッドのほうがたくさん撫でてもらえるように、お姉ちゃまにぴったりくっついておくんだ。


**


昨日警視庁は、ストーカー行為に対して積極的な立件をするよう通達を出した。


おさらいの時、ずっとお膝にお顔を乗せてると立件されちゃうのかな。

僕、不安だよ。


お風呂のことが一等不安なの。もし捕まっちゃったらお姉ちゃまと離れ離れになるんでしょう? 絶対に嫌だよ。不安ではあはあなった。


お姉ちゃまがとっても気に入ってるバスルームのドアーだ。


アイボリーの木枠ドアーは、40年も前のだ。ペールグリーンのタイルにアイボリーのドアーはね、ずうっと変わらないおうちアイテムなんだ。

僕はね、すりガラスってのは中が見えにくいから あんまり好きじゃない。

見えにくいけど一生懸命に目を凝らす。


目を凝らしてドアーの前でお姉ちゃまを待ってるの。
待ちきれなくなると、つい開けちゃうの。早くお姉ちゃまに会いたいんだ。


僕、立件されちゃうの?



実習(1)ピクニックの実情

August 18, 2009

僕、ブルゴーニュ。

お姉ちゃまは芸術文化センターのスタジオへ合わせに行った。


おせなで編み編みに結ぶ うんと楽ちんそうなワンピースを着てバスケットを持ってった。大きくて立派な建物ん中で、お姉ちゃまだけピクニックにやってきた人みたいに見えた。変テコだった。

バスケットはたくさんの楽譜がすっぽり入るからだって。4時間ずっと間断なくちがった曲を合わせてゆくハードなことだから、楽ちんなお洋服が一番なんだって。

クラリネットやフルートのアンサンブルだ。次から次でお疲れでしょう、ってご親切に休憩を準備してくださってたけれど、お姉ちゃまは休憩が要らなかった。ジュースを買ったっきり "やってしまいましょう。" って周りを急かした。

ピアノを弾いてるとまるで疲れないんだ。ぼんやりするのは5分さえ我慢ならないんだ。なんでも、休んでる雰囲気が嫌いなんだって。ピクニックな格好なくせにスパルタだ。うへっ。

骨髄炎は治ってないのに疼痛止めを飲んでそういった事をするから、ほらやっぱり。翌朝の昨日はお医者様へ直行になった。右半身の痛みが左に広がって大層なことになってきた。お姉ちゃまはよく反省して、ゆっくりおさらいをしますって言ってるよ。


**


ピクニックな格好をしながらガッツリ事を進めるのは今ばかりなことじゃあないの。ずぅっとしたくて、そして本当に楽しんだ教育実習ってものもこうだった。

お姉ちゃまは講座やワークショップをするのって大好きだ。大学生ん時の教育実習はその始まりだ。僕も実習的教育をされて、ボール投げが上手なワンコになった。

教育実習の皆さんは、男の子先生も女の子先生も紺色のスーツを着ていた。教員室に入ったお姉ちゃまは、お部屋全体が黒っぽいことに目がテンになった。皆さんはもっと目がテンになった。お姉ちゃまがあんまりなピクニック姿だったからだよ。

いきなり注意をされた。その華やかなナニガシは、どういうことでしょうかってね。お姉ちゃまはすぐに "どうもこうも、お洋服これしか持ってないんですよ。" ってヌケヌケとお答えした。

なんと・・・。不敵だ。

そうと言われれば着替えを強要できないんだしね。とんだピクニック実習生が来たと思いなさったろうね。蓋を開けてみれば音楽オタク生で、ガッツリ実習をやった。

また続きを書くよ。



ミニアチュール展ヴェルニサージュ

August 15, 2009

僕、ブルゴーニュ。

こないだのお出掛け先のお話だ。


ミニアチュール展へ着てったワンピースは、布地にお花を象ったクラッカーがついている。違ったかなフリッターだっけね。なにしろ美味しそうなお名前のキラキラがついてた。

お待ち合わせのお友達が遅れてた。お姉ちゃまは一人で入ってってオミヤをお渡ししたらばテーブルに出てるものを食べはじめた。まずはお知り合いを探すだとかね、そんなじゃないんだ。まずはお腹が空いてたから構わず何か食べたかったみたいなの。

僕はね新しく広場に連れてってもらったらば、なるべく目立たないように隅っこできちんとしておくの。いきなり輪の真ん中へ突入したりしないの。どんなワンコが居るかわかんないもん。お姉ちゃまはどんな人が居たって気にしない。

出展してるお知り合いが見つけて話しかけてきた。お姉ちゃまったらお話聞かなきゃいけないんじゃない? まだ食べてるの? って僕思ったの。お姉ちゃまの方法はまるで "あなたが話したければ話すと良いワ。私は食べておくから。" ってなものだ。大雑把だ。

写真を一緒に撮ってって言われてんのに、お皿を持って次は何食べようかなってね、乗り出してんだ。"あなたが撮りたければ撮れば良いワ。私は食べておくから。" ってなことだ。

お友達はまだ遅れていたからね、お姉ちゃまは白玉小豆なんかを頬張ってさ目の前に居らっした画家さんに "お作はどちらですか?" ってお尋ねしてるの。知ったお人じゃあないんだ。ただ目が合ったから聞いたんだ。

それでもって作品の前に連れてってもらって解説してくださいなってお願いしてた。

僕はね、知らないワンコばかりの広場なら何もしないで帰ってくると思うの。気後れしちゃうからね。目に付いたワンコんとこへ行って自分だけ何だかもぐもぐ食べながらお話したりはね、しないと思うの。

"さっきお話されたかたはお知り合いですか? " ってその度に問われた。毎回いいえ知りませんよってお答えしてた。お姉ちゃまは白玉小豆が気に入って、次には柏餅を持ってたよ。

作家さん御自ら作品解説して頂いたから、お姉ちゃまは大層楽しんだ。お姉ちゃまに話しかけられた作家さんたちが楽しかったかどうかは知らない。お姉ちゃまはどっちだって気にしない。



お出掛けのご用意

August 12, 2009

僕、ブルゴーニュ。

これはアフター写真だ。


ビホーとだいぶ違ってる。ビホーは年々ひどいことになってしまってるから無理なんだって。気の毒だね気の毒だね。

お姉ちゃまはミニアチュール神戸展のオープニングに呼んでいただいたの。加減が良くなってきたから、どれっくらい大丈夫か試しにお出掛けしてみた。お知り合いの画家さんや従姉妹の出展も見てきた。


鏡の写真だ。鏡の中にもう一人のお姉ちゃまが居る。

いつも居る黒いワンコが もう一人のお姉ちゃまを見上げてる。


お姉ちゃまはお出掛け前に、鏡が見えないから除けて頂戴って言った。
鏡なんか見なくたって、僕がちゃんと見ていてあげるよってお答えした。


僕ね、お姉ちゃまのお出掛けのご用意、いつもこうして見てるんだ。

次何するかってすっかり知ってるんだ。


だのにね、鏡の前に立ちはだかって邪魔をしちゃダメって言われちゃうの。鏡のやつよりも、鏡の中の黒いワンコよりも、もっとお姉ちゃまの近くに居たいんだ。鏡なんか見ないでさ 僕のこと見てほしいんだ。

アフターになったお出掛け先のこと、また書くよ。



ふむふむなこと(2)

August 09, 2009

僕、ブルゴーニュ。

最後の一人が " あの人ふむふむだよ。" って言ったお話の続きだね。


とうとう全員が言った。みんなみんな同じことを言ったんだ。女性を好きにならないご趣味のふむふむなお人じゃあないかってさ・・・。ふむふむじゃあなくて "ふむ" だっけね?

お友達は笑いすぎだ。"男心のわからない冷血女がやっと惚れたらマサカのふむふむ! " なんて大爆笑をしてるんだ。"ドラマチックになるかと思ってたらお前面白すぎるぞ! " って涙を拭きながら笑ってるしね。

お友達は笑えるけれど身内はそうはいかない。お姉ちゃまは問い詰められた。そんな気配はなかったの? だなんてね。

気の毒なお姉ちゃまはね、近寄ると逃げちゃうのよだとかさ、そんなことしかお答えできなかったんだ。せっかく仲良くお話をしててもね、ちょっと近づくとおせな向けちゃうんだ。僕にはさっぱりわかんないの。お姉ちゃまは考えながらお答えしたよ。

-- "僕にだって彼女が居たこともあったんだ。信じないかもしれないけど本当なんだ。" って一生懸命言いなさったわ。
だとかね。変てこ過ぎて僕は何が何だかわかんなくなった。

女性の影を問われても、
-- ううん、女性のお友達をつくってないの。女友達って私くらいみたい。
ってね。

そしてね、もっと問い詰められて言ったんだよ。
-- 女性はいないけど、オカマちゃんのお友達があの方に抱きつくの。あの方が女の子にしつこくされた時もね、オカマちゃんが駆けつけて退治したのよ・・・

みんなはシーンとなった。なんだかね、ただ静かなのと違うんだ。物凄くシーンとしたんだ。僕は居た堪れなくなって、乾いてきたお鼻の先っぽを意味なく何度も舐めた。

言いにくそうな一声がした。
"ねえ・・・女性のお友達がいらっしゃらないのに桜ちゃんだけ仲良いのって・・・、ただ・・・単に・・・桜ちゃんが・・・男みたいだからじゃない?"

もう誰も口を開かなかった。僕のお鼻はすっかり乾いた。

僕ね、またすぐにブログ書くからね。



ふむふむなこと(1)

August 06, 2009

僕、ブルゴーニュ。

お姉ちゃまってばどうするのかなあ。


最後にコイビートの人へお持ちしたのはこんな風だったよ。

*某日
鳥飯
煮豆
小松菜のお浸し
自家製ハーブティー
 お庭のお花は紫陽花、ルピナス、金魚草、薊、パンジー
 
*某日
炊き込みご飯
ナッツと小魚の田作り
自家製ハーブティー
 お庭のお花は薔薇、マーガレット、薊

そのあとお姉ちゃまは骨髄炎が悪化してお外へ出られなくなってしまったの。気の毒だね気の毒だね。それでもお姉ちゃまの肺と肝臓はとっても綺麗だそうだよ。褒められたんだよ。エコーを撮ったお医者様が綺麗ですねってさ。内臓がね。

コイビートの人はお姉ちゃまを褒めない。お洋服だってどんな感じがお好きかもわかんないしね。お好きな感じが知りたくっても何も言ってくんないしね。

黙ってるのはお姉ちゃまの格好に興味がないからかもしれないし、どれも気に入らないからかもしれない。

ある日コイビートの人は言った。柄も生地もまるで違ってるお洋服を見てね、この前のと同じかって聞いたんだ。お姉ちゃまはね、同じ型紙を使ったからだわってとっても嬉しそうにお答えした。

お飾りも違う風だったけど裁断の形が同じだからね。色や模様よりも裁断を見るのってマコトノコトに思うんだね。お姉ちゃまはそんなとこをとってもカッコイイって言うの。


**


何よりカッコイイって思ってるのは、女性に見向きもしないとこなんだ。お姉ちゃまは女性にお声がけしない人が好きなんだ。たとえお姉ちゃまにもお声がかからなくってもね。だけどさ、意味が違うことになったんだよ。

みんなが言ったの。最後の一人もとうとう言ったの。" ふむふむだよ・・・。" ってさ。

続きはまたにするよ。お医者様のご用意を見なくちゃなんなくて忙しいからね。



お粉のおはなし

August 01, 2009

僕、ブルゴーニュ。

お姉ちゃまは丸っぽいお菓子を頂いた。美味しそうに食べてた。


"アプリコティ犬" ってお名前のお菓子だって。犬ってついてるからワンコ用かなって聞いたらば人間用よって言われちゃったの。


**


お姉ちゃまは虫が怖いの。それでもってカマキリなんかお庭で見っけると、大切に見守ってる。嫌な虫を食べてネってお背中つついて可愛がる。カマキリって虫じゃなかったかなあ。

お姉ちゃまはミミズも怖いの。レンガの上でミミズがもがいてると怖がるんだよ。それでもってミミズをひょいって素手で摘まんで 土んところへ返すんだ。もがいてるとぐにゃぐにゃして怖いんだものって言う。

ぐにゃぐにゃもがいてるのを掴んで平気なのかなあ。本当にミミズが怖いのかなあ。僕にはさっぱりわかんないの。


**


僕は虫なんて平気だ。セミはまあまあおいしいしね。
シーに行ってついでにセミを食べた。僕のご不浄に居たからさ。僕はね、シーが終わったらすぐにお姉ちゃまの側へ走ってくの。早くお姉ちゃまのお隣へ行きたいから大急ぎなんだよ。

駆け足で戻るといつだって撫ぜてもらえるの。ブルゴーニュ慌てて帰ってきたの? っておでこにビズしてもらえる。優しく撫でてもらうと気持ちよくなってね、溜息が出ちゃったよ。は〜ってね。

溜息ついたらば、お口からセミの羽が出たの。なんだかお喉がもさもさするなあって思ってたよ。食べてすぐ走ったから引っ掛かったんだね。

お姉ちゃまは、僕のお口からセミの羽が出たのを見てキャーって言ったの。僕ね、お姉ちゃまを慰めようと近づいたら、床に落ちたセミの羽踏んでお粉にしちゃったの。お姉ちゃまは泣きそうなお顔をした。

僕がお掃除してあげるねってセミの羽のお粉を綺麗に舐めたよ。
お姉ちゃまったら立ち上がったとき "アプリコティ犬" のお粉をこぼしたからね。セミのお粉と甘いお粉がいい塩梅だったよ。



大っきなアナベルと大っきなオバサン

July 25, 2009

僕、ブルゴーニュ。

紫陽花の下の僕、見える?


びっくりするっくらいたくさん紫陽花がやってきた。お姉ちゃまは紫陽花が大好きでね、中でもアナベルは特別に好きなんだ。

お部屋に薄緑色のアナベルを飾りたかったのに、この夏ったらお花屋さんへお出かけすることもできなかったんだからね。お医者様へ行くきりなんだからね。気の毒だね。

したらねイーヨーのお山からアナベルが80本も届いたんだ。

イーヨーのお山はお遊びのお山だ。"縁取り屋の" みたいな場所だって聞いた。イーヨーのお山の人は縁取り屋さんってご商売かもしれない。

お花畑を作ったり "縁取り屋の" みたいに小屋を作って、小屋の中で工作をしたりね、遊ぶ場所なんだ。湧き水を麓まで引いてきて溜池もこしらえてある。僕はそこでお水遊びをさせてもらうんだよ。

お姉ちゃまは、溜池を眺めて本当に縁取り屋のみたいネ! って言ってた。今更聞けないけどね、縁取り屋のって何だろうね。


**


お姉ちゃまは紫陽花で元気をつけて1日に2度もお医者様へ行ってきた。1度戻ると弱っちゃってとても気の毒だった。週末診療はお休みだからどうしても行かなきゃねって しぶしぶ2度目にお出かけしたの。

そこでうんとこさ気の毒なことが起きたんだ。

お姉ちゃまがバスを降りたときだったよ。ものすごく大っきくて丈夫そうなオバサンが、お姉ちゃまに真正面から体当たりしたんだもの。

2度目のお出かけで疲れ果ててたお姉ちゃまはね、病院前駅でバスをそろりそろり降りてたの。みんな一列になってね、オリコウに降りてったんだ。

そもそも病院前で降りる人は大体がお年を召してて病院にかかってる人たちだから、みんながそろそろ歩いてたんだよ。だのにね、大っきいオバサンは歩道に降りてくる人の列を無理に横切ろうとして大っきな肩でおじいさんを押しのけた。

おじいさんは突き飛ばされる格好だった。転びそうになったけどね、びっくりしちゃって何も言えなかった。付き添いの人は睨んでたけど、やっぱ何も言えなかったんだ。

お人を突き飛ばしながら突っ込んできたオバサンはお姉ちゃまに正面衝突したの。お姉ちゃまはそろりそろりしてたんだから、衝突の勢いは全部相手方にあった。

お気に入りのバスケットはお空高く吹っ飛ばされて 中身のジッドのご本も飛んでった。ペットボトルなんかね、車道にまで飛んでったんだよ。酷いんだ。お姉ちゃまは勿論転んだ。気の毒だね気の毒だね。

体当たりされた瞬間にお姉ちゃまは大声を上げた。
-- どこ見てんのよ、ド阿呆!!

転びながらまだ叫んでた。
-- 後ろに目ぇついてんのかオバハン!

見物人は固まったけどね、仕方ないんだ。お姉ちゃまはバイリンガルっていうってね、せんにお人が教えてくれたの。普通のお話もね、ガラが悪いお言葉もね、両方ともスラスラ話せちゃうのをバイリンガルっていうんだね。

パーシモンはバイリンガルじゃあない。こんな時はキャンって驚いて動けなくなったりお声が出なくなったりするんだ。そういうの女の人らしいやり方なのにね、お姉ちゃまったら瞬間に大声出すんだからね。

どこででもお人にお話する癖は、お楽しみも怒るのも同じことなんだよ。辺り構わず言いたいことを言うんだ。

様子ったらね、わかり易く言えば組曲間で曲調が急に変わったりするのと似てるんだ。きっと "クープランの墓" でメヌエットからトッカータになる変わり目なんかね、お姉ちゃまはこうやって日常で練習してるんだなあって思った。

持ち物は周りの人たちがご親切に拾い集めてくれた。オバサンは、お姉ちゃまの勢いに負けてよく反省していっぱい謝った。
お医者様で騒ぎが起きてばっかでね、僕はちょっぴり恥ずかしいの。

           ブルゴーニュ君語録はこちらです



もう一つの理不尽

July 20, 2009

僕、ブルゴーニュ。

お姉ちゃまは小さい。


全身写真じゃ何故だか決まって背が高い人って勘違いされるけど身長155cmしかない。

僕たちワンコはサイズ2つ測るんだ。
僕は頭のてっぺんからお尻尾の付け根までの体長が87cmで、
お鼻の先からお尻尾の先までの全長が147cmだ。
お姉ちゃまのお鼻の先からの長さは知らない。

お姉ちゃまは小さいけど、あまり気は小さくない。
メリーメリーちゃんが理不尽な目にあった気の毒なお話を聞いた。でももう一つの理不尽のことは書いてなかった。


**


お姉ちゃまは、誰も近寄らないいじめっ子君と時たま言葉を交わしてたの。いじめっ子君はお姉ちゃまに乱暴しないで お散歩についてきてた。僕の先輩ワンコのお散歩だよ。

いじめっ子君がワンコに近づくと、お姉ちゃまはいじめっ子君の頭をいきなり引っぱたいた。うちのワンコに触るならそんなに汚れた手を洗ってきなさい、なんていけないことを言った。

こんな頃のお姉ちゃまだ。男の子嫌いで非道だったんだ。それでもって、盗られちゃった私の自転車を探してきてだとか命令ばっかした。

メリーメリーちゃんの被害を聞いた夜、お姉ちゃまはいじめっ子君のおうちに駆けてった。誰も行かないおうちだ。おさらいが終わったあとだから よそのお宅もお夕飯時間だのにね、ご迷惑だね。

お姉ちゃまは昔も小さかったから、背伸びしてチャイムを鳴らした。ピンポンピンポン激しく鳴らした。それでもって出てきたいじめっ子君に力こぶを入れて宣言したんだ。

メリーメリーちゃんに酷いことをしたから、二度と口をきいてやらないわ! ってね。この辺りで会っても学校で会っても今日から知らない人よってね、凄んだんだ。

パーシモンはそんなこと言わないよ。パーシモンはね、口をきかないって宣言するのが相手にとって一番ショックだなんて高慢ちきなことは思いつかないからさ。

その後のいじめっ子君のことは知らない。
それから間もなく転校していったんだ。


**


僕はちょっぴり切ない気持ちになった。お姉ちゃまは、仕方ないでしょって平気なお顔だ。女の人は現実問題に向かう習性があるからね、メリーメリーちゃんが痛い思いをした事実が問題なんだね。

僕たち男の子は現実だけじゃない甘酸っぱくて理不尽なものを愛したりするものだからさ、やっぱり切ない気持ちになったな。

僕がわかったのはね、女の人は少女の時から女って生きものなのかなってこと。僕たち男の子は、シニア用ドッグフードを食べるようになっても遠い夏の日が眩しく思えるんだ。




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