Paris ⅩⅠ



シネマ記録(22)僕のおじさん

October 14, 2018

ア・ラ・カンパーニュさんのガレット・オ・フリュイを遅い朝食にした日でした。


レッスンでプー作曲 "村人たち ---子供のための小品--- " 2曲目 'スタカット' に触った。

生徒ちゃんの演奏はゆっくり目のテンポで・・・ 聴いてると頭の中に大好きになった映画 "僕のおじさん" の曲がエコーしたのでした。





2つの曲が脳内でミックスされちゃって妙な感じになった。


プーの "村人たち" も劇の付随音楽でした。人物を感じるキャラクターの咬み合わせ(今つくった造語です)と、小さな場面の内に巻き起こる自由さのコンビネーションがよく似てるように感じたのでした。

この音楽も好き~


ジャック・タチ監督のマイムのテイストや、サイン... 表徴っていうより符号風なものや、モダニズムや、愛すべき変てこ達や、


様々なシーンを包んでる独特のユーモアが楽しくて。

今月求めてとっても気に入った絵本の中に "僕のおじさん" のポスターを見つけたときは飛び上がりました。

主人公のワンコが住んでるアパルトマンに、この映画のポスターが貼ってあるの。お手持ちなら確かめてみてくださいネ。


好きなものがまた繋がってゆく。
可愛い映画と可愛い絵本の楽しい組合わせ。


"僕のおじさん" は今年観た数少ない映画DVDでは"ムード・インディゴ"と並んで 今のところ自分の中の最上位かな。

どちらもプーとサティの要素多し。楽しいです。


*シネマ記録(21)ゾラと失敗
*シネマ記録(20)ムード・インディゴ
*シネマ記録(19)大人は判ってくれない
*シネマ記録(18)あこがれ・アムール
*シネマ記録(17)ランジェ公爵夫人
*シネマ記録(16)セラフィーヌの庭
*シネマ記録(15)フランス組曲
*シネマ記録(14)ブルゴーニュ?
  *怒られるわ
*シネマ記録(13)赤と黒・他
*シネマ記録(12)パリは燃えているか・他
*シネマ記録(11)大いなる沈黙へ
*シネマ記録(10)アデルの恋の物語
*シネマ記録(9)カミーユ・クローデル
*シネマ記録(8)ミッドナイト・イン・パリ
*シネマ記録(7) 愛と宿命の泉Part.2
  *フロレットという女性
*シネマ記録(6) 愛と宿命の泉Part.1
*シネマ記録(5)たそがれの女心
*シネマ記録(4)カラヴァッジョ 天才画家の光と影・他
*シネマ記録(3)エゴン・シーレ 愛欲と陶酔の日々・他
*シネマ記録(2)宮廷画家ゴヤは見た
*シネマ記録(1)モンパルナスの灯・他



ちょっとした声

October 07, 2018

今日は元気。体感的には体調良好。


先月、人通りが多い地下道を歩いてたときのお話です。

大きな地下道で、枝分かれして右へ左へ折れる道も沢山ある。
丁度曲がり角近くでの出来事でした。

直進してた男性。
男性と対向する方向に進んでた大柄女性2人組。

 ♀♀↓

↑♂


女性たちは男性の真ん前をエル字型に急カーブで折れて
男性の行く道を阻み、ぶつかりそうになりました。


それでも前を突っ切って行った。

 ♀♀↓
 ←↩︎
+O
+O
↑♂

大きい音を立てて歩いてたヒールの踵が男性の足先を引っ掛けたのに、目もくれずに進んで行った。

通勤で急ぎなさるOLさんとは一見して違う、ショートパンツの遊び姿で時間がない様子じゃあなかった。

見てた者でも唖然としたくらいだから、当の男性はさぞかし驚いたでしょうし、マナーの悪さに憤りを感じられたと思う。


男性は立ち止まった。
というより足先を引っ掛けられて突っ切られたのだから立ち止まらされた。そして直ぐ女性たちの背中を振り返った。

指摘して当然かもしれない状況だった。
男性はどうしようかを迷われたか、我慢をされてたせいかは判からないけれど一瞬身体に力を入れられた。


私は男性と2人組との間位置に居たから、苛立った様子が見えた。


一歩出て、2人組の背中を目で指しながら 'ひどいネ! ' と言った。

別に2人組をかばったんじゃない。当て逃げみたいなことをされた男性が気の毒だったから。

見てたよ、酷かったよねって事情を共有する人間が1人でも居ることで、気持ちが静まるといいなと思って声をかけてみた。

ただそれだけ。
そのまま通り過ぎたから、あとの事は知らない。


パリの街の人たちは此んなちょっとした声をよく掛けてくれた。

書類を落として地面に撒いちゃった時。
座ったベンチが濡れてて、あ~ってなってる時。
試験前に緊張でこわばってる時。

道行く人たちに何でもない声を掛けてもらったお陰で和んだ場面が一杯。彼らは一言のセレクトが実に巧みだった。

関西のオバチャンたちだってよく声掛けしなさる。
道端のちょっとした声は好きだ。

**


昨日のお掃除記録。
鯨は穴・キッチン・サンサイド・お玄関。
しんどい時間帯も長かったけど、発作的な辛さを脱したらよく動けた。

フードドライヤーを使ってブルゴーニュ君のオヤツ作りもしたから、使った後のマシーンをクイックルスプレーで拭き掃除。
同じコーナーにあるコーヒーメーカーも隙間まで拭き掃除。



トロワイヨン

September 14, 2018

台風前にお庭のハンギングポールをカーポートに避難させてた。
このまま定位置にしても良いかも。


バスケットの中は "さくらホイップチュチュ" ってお名前のフリンジビンカ。可愛らしいベビーピンクにフリンジがよく似合う。

近頃はビンカも色んな種類があって楽しいです。


愛してやまないベンヤミン書籍で度々端的な叙述に出逢って善き興奮状態がもたらされる。


先日発見して嬉しかった文章です。

《特にトロワイヨン(19世紀仏の風景画家)を指して、画家の無教養について。

「彼は描きに描きます。そして自分の魂に栓をして、さらに描き、ついに流行芸術家に似て来るようになります。


・・・・模倣者の模倣者はそのまた模倣者を見つけ、


各々がこのようにして、ますます上手に自分の魂に栓をして、
とりわけ何も読まず、"完全な料理人" さえ読まずに
偉くなろうとする夢を追うのです。」

           Ch.B作品集Ⅱ "1859年のサロン" 》

ベンヤミン著 "パサージュ論2ボードレールのパリ" より

             (今村仁司様/大貫敦子様/高橋順一様
             塚原史様/吉村和明様/三島憲一様
             村岡晋一様/山本尤様/横張誠様/
             与謝野文子様/細見和之様訳)


《模倣者の模倣者はそのまた模倣者を見つけ》


これを上回る描出があろうか。

ボードレール(引用文内Ch.B)の '魂に栓をする' といった写生を私は [模索を放棄する] [感じ考えることを辞める] 等と言ってきたけどいずれも其れらは《模倣者の模倣者はそのまた模倣者を見つけ》る結果になるんだワと、本によって自分の中を明瞭にしていただいた。

**


写真は1人でお昼寝中のブルゴーニュ君が新しいぬいぐるみさんをもらった図。


■病理組曲関連リンク
*病理組曲

  事の名を呼ぶ人々
    *ほくろぶた
    *空の青
    *自然な枯れ姿?

  アルマンド
    *自己紹介のパトロジー

  クラント
    ?僕が聞いた言葉遣い

  サラバンド
    *仕事、何してる人?
    *入口・出口

  エール
    *小鼻と受容

  ガヴォット
    *

  ロンドー
    *水色

  ラ・サノミユーズ
    *ラ・サノミユーズ

  優しく辛辣な女と、田分けた男
    *アルブレヒト
    *森の霧
    *優しく辛辣な女と、田分けた男

  思慮を着込む出会いと知を脱ぐ別れ
    *パノラマ
    *留意を着込む出会いと、知を脱ぐ別れ
    *夢のお話(2)キャンディプールと後悔
    *ムンクの震慄

  パスピエ
    *一片の雲
    *'ふと' とボードレール
    *パスピエと雲とシフォンケーキ

  トロワイヨン
    *ボードレールの挑発と真意と音楽
    *夏の恐怖体験


(今後のピース)
  *腹巻FP146
  *乎Paris1岩風呂のドミノの中に
  *チラシ写真の大きさ



入口・出口

September 13, 2018

大好きだったペチュニア・マジカルフラミンゴやペチュニア・モンローウオークは、連続で直撃した大型台風が去った頃には跡形もなくなってた。


カリブラコアのティフォシーシリーズもそろそろ花期を終える。
寂しくなったエントランスに少し色を足す。

誘うような顔つきのペチュニア・カプリスや、コロコロしたカップ咲きが可愛らしいビンカ・ミキも。


昨日も毎回毎回の如くに病院で仕事を問われた。


でも例えば飲食店での同様のやり取りの際と違って、その問への苛立ちは覚えなかった。

  *仕事、何してる人?
  *水色
  *自己紹介のパトロジー

何故って忙しい医療の場で、しんどそうな患者を和ませようとする軽口に過ぎないと分かるから。


普段の通り「何もしてません」って答えた。
今無職の病人だから、ここまでは嘘じゃない。


え? ほんとに? 前はされてました? って質問が重ねられた。


どうしたことか、仕事をしてる人でなきゃおかしいとでもいう風なレスポンスにも慣れた。

「いえ、仕事したことないです。」私の回答も昔から1mmも変わらない。

嘘...。お家のことだけされてるんですか? お掃除とか? お洗濯物干して? ほんとに?
と、人の人生にまさかの食い下がり(笑)
プラス '嘘' と断定する不思議な会話も幾度も聞いてるナ。

「そうですよ。おうちのことだけ。」
言い切って譲らない自分も、毎々変化なし。


"え~そうなんや~... OOかと思った"
"OOとかされてるんかな? って噂してたんです"


等で表される相手の想像の 'OO' は、お勤めであったことがない。
倦き倦きして絶対に口を割らない理由の1つだ。

たとえば2月29日生まれの方、たとえば全国的に珍しい苗字の方はピンとこられると思う。

相手にとっては1度きりでも、掛ける人数分繰り返す徒労。
'2月29日生まれの人って、うるう年以外はお誕生日しないんですかぁ? ' とか、'具志堅さんって用高さんと親戚ですかぁ? ' とか数万回耳にした阿呆らしい質問に、人生の時間が浪費される無足。
且つ相手は数万人と同じ科白を口にしてると気づかない。


2月29日がお誕生日の方の何百倍と居るピアニストでさえ此うなら、もっとお人の知らない楽器ならさぞかし・・・


と思い返してみると、夫は "ファゴットって重くないですかぁ" みたいなクソ質問に闇を抱えてもいない。
---- と考えると希なお誕生日の方と具志堅さんの苗字の方を無用に巻き込んでしまったか ----

そんな事しか言うことがないならお前一生口開くな! なんて、夫が質問者に言うのも聞いたことがない。(見てファゴットと分かるだけで上出来と思わなきゃならないからってだけ?)


もっと賢明な音楽家の方は、どんな会話でも入口にすることでクラシック音楽を愛でてくれる人が増えるならと抑えたり、或いは喜びさえもって、場に合わせた受答えを何万回でも実践されてるのかもしれない。


でも私は人間にそんな期待を持てない。


重くないですかぁ? を入口にクラシックを好きになるお人が本当に世界に居られるのなら、私ももう少しマシに生きようと思うかもしれないが、そんなのは所詮入口になどならない。

思いつきで重くないですかぁと言ってお終いだ。
答を求めてるわけでもない。
入口と出口が直結した会話は虚しい。

目の前の具志堅さんと名乗る方がチャンピオンと親戚か本当に知りたいわけでもない。うるう年に興味もないし閏年の漢字も書けない。

  その感覚が音楽に向けられる場面を見たくない。
  音楽に土埃がかかるような気分に陥るのはご免だ。

入口と出口の間に仮に 'その人が1曲クラシックを聞いてみる' が挟まったとて何だというんだ・・・そう思ってしまう。1曲聞いてどうするんだ。出口に変わらないじゃないか。


■病理組曲関連リンク
*病理組曲

  事の名を呼ぶ人々
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  アルマンド
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  クラント
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  サラバンド
    *仕事、何してる人?

  エール
    *小鼻と受容

  ガヴォット
    *

  ロンドー
    *水色

  ラ・サノミユーズ
    *ラ・サノミユーズ

  優しく辛辣な女と、田分けた男
    *アルブレヒト
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  思慮を着込む出会いと知を脱ぐ別れ
    *パノラマ
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    *夢のお話(2)キャンディプールと後悔
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  パスピエ
    *一片の雲
    *'ふと' とボードレール
    *パスピエと雲とシフォンケーキ

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  *腹巻FP146
  *乎Paris1岩風呂のドミノの中に
  *夏の恐怖体験



夏の恐怖体験

August 28, 2018

今月半ばごろ、facebookで母校のお友達へのコメントに品行の良くない内容のコメ返をした。


品行が良くないとは本音って意味だ。

本当のことに耳を塞ぎたい人間へ向けた皮肉を込めて、'品行が良くない' と自称してみてるだけだ。

"失礼ながら" とか "お言葉ですが" とか言う時こそ
まるっきり失礼とも言葉を返してるとも思ってないのと同じだ。

「普通に常識を述べるとお前さんには都合が悪いんだろ? あ?」
との嘲りをスパイスに加えつつ "お言葉ですが" と言う感じの。


だからこの度も実際は品行悪い事柄を書いたつもりはない。
好きな同窓生に記事に絡めた単純な真実を話しただけ。

  *ボードレールの挑発と真意と音楽


私はコメントで現60代以降の関西に限定した演奏者の問題を、ダイセンセーという名の廃車に喩えた。

ダイセンセーは自動車構造も知らないまま改造して元々壊れており、動かないのに車を周りの人間に神輿のように担がせて、動くフリをしていると揶揄した。

其うして事故車と廃車しか走ってない道路などシャレにならんと、道路を古い音楽界に重ねた。


そんなお話を '品行が悪い' と感じるとしたら其の言葉を不都合と捉える廃車ダイセンセー本人に他ならず、


続いては事故車生産工場で廃車ダイセンセーに変な改造を倣った被害者が、自分を被害者と思いたくないためそのまま突っ走ってクラッシュしながら、まだ無益な改造を肯定する洗脳の中に居る場合でしょうくらいに想像してた。

大間違いでした。

ダイセンセーは虚構のメッキを守りたがるどころか
自分が廃車だとも気づいてないんだった。

車を担がせて動いてるフリをしてると思ってたけど違った。
担がせてると分からず、本人は動いてるつもりなのだった。

そこまでいってたか・・・
怖すぎる。


もっと想定外なことに、そのやり取りを読んだダイセンセー本人が意見を賛するメールを送ってきた。


文頭10数文字のプレビューに現われた賛同姿勢に戦慄した。流石の廃車っぷり。センサーの壊れ加減が半端ない。開かずそのまま迷惑メール報告を済ませ念のためブロックした。

20年も前に衝撃的な演奏を聴いてから距離を置いてた。
まだ若かった私も出演者の1人だった。よくあるごった煮企画だ。

指が動かないから工事中みたいな雑音を立てるばかりの、めっちゃくちゃなリハーサル演奏に驚いてたら、本番も変わらずめっちゃくちゃで腰が抜けた。

それでチケット売るとか教えるとか詐欺でしょ? と思った。


ダイセンセー側は感じ良く接してくれたが私は軽い会釈しか返してこなかった。


年下に笑顔で媚びてる暇あったら練習しろやオッサン! と挑発的に見返して舌打ちしてた。

音楽を音楽でなくす行為・音楽を壊す行為に麻痺した人と交わす言葉は持ち合わさない。

そんな廃車ダイセンセーをモデルに描写したんだったが、音楽なんて関係なしに世間並みの検知機能も無い人が楽器を演奏してたとわかったのはこの夏1番の恐怖体験だった。



パスピエと雲とシフォンケーキ

August 21, 2018

飼い主を見てるブルゴーニュ君が鏡に映る。
鏡越しに目を合わせる。


さらさらと風が抜けてゆくベッドルーム。
大きな窓が3つ。縦に長い窓が1つ。

カーテンが揺れる白のお部屋。
パスピエのような布の囁き。

パスピエ passepied もちろん passe-pied のこと。
軽やかで、細密でもあり、特にその小さな動きをもってして旋舞をつくるところに惹かれる。


"空と夢" の一節。


《大空を前にしたわれわれの果てしない夢想のなかで、雲が石のテーブルに、われわれの掌に降りてくるやいなや、あらゆる対象がいくらか円みをおび、白い薄明がクリスタルを包みこむように思われる。

世界はわれわれに親しみやすい規模になり、天は地上に降りたち、われわれの手は天に届く。

シュペルヴィェルの手は雲に細工を施そうとする。
エリュアールの夢見る手に働きかけにくるのは雲の方だ。》

             (宇佐見英治様訳)


ガストン・バシュラールの名文を読むと、『夢想によって、重力を失おうとする領域』を夢見てしまう。


それは以前に考え巡らせてみた '一片の雲' と

  *一片の雲

最近書いてみた 'ふと' との

  *'ふと' とボードレール

両のものが繋がる旋舞でもある。


軽ろさ柔らかさの木目細な雲と、曖昧模糊とした 'ふと' とが繋がるのじゃあない。それはむしろ完全に相反するものだ。


曖昧な 'ふと' と精密な雲の微物理は重なるところがないけれど
'ふと' に至る心と事象の潮流の精細なら、雲に重なる。


水晶核が形作られ、蒸発したり分裂したりする雲粒たちと重なるのだ。

雲粒の旋舞。

**


ふんわりしたシフォンケーキは、手順も・材料の分量も・材料温度も・焼き時間も・段階を踏んだ温度調節も、他のおうちお菓子より随分神経を使わなければならないでしょう。

ふわふわしたケーキを作るには、力なんか入れずにふわっと卵白を混ぜれば良いって主張されるかたは居られませんね。それだと膨らまないのが目に見えるから。

ところがふんわりした音楽(?)は、ふんわり触れれば良いなんていう病気かまじないみたいな発想がある。それと随分長く戦ってる気がする。

音楽は目に見えないから?
雲粒のように?


■病理組曲関連リンク
*病理組曲

  事の名を呼ぶ人々
    *ほくろぶた
    *空の青
    *自然な枯れ姿?

  アルマンド
    *自己紹介のパトロジー

  クラント
    ?僕が聞いた言葉遣い

  サラバンド
    *仕事、何してる人?

  エール
    *小鼻と受容

  ガヴォット
    *

  ロンドー
    *水色

  ラ・サノミユーズ
    *ラ・サノミユーズ

  優しく辛辣な女と、田分けた男
    *アルブレヒト
    *森の霧
    *優しく辛辣な女と、田分けた男

  思慮を着込む出会いと知を脱ぐ別れ
    *パノラマ
    *留意を着込む出会いと、知を脱ぐ別れ
    *夢のお話(2)キャンディプールと後悔
    *ムンクの震慄

  パスピエ
    *一片の雲
    *'ふと' とボードレール

(今後のピース)
  *腹巻FP146
  *乎Paris1岩風呂のドミノの中に



'ふと' とボードレール

August 19, 2018

《ギース論の結論。


「彼はいたるところに現在の生活の束の間の移ろいやすい美を探し、先にわれわれが読者の許可を得て現代性と命名したものの特徴を探した。

奇異で激しく極端であることが多いものの、常に詩的である彼は、そのデッサンの中に、'生活' という葡萄酒の苦い、あるいは刺激的な風味を巧みに凝縮したのだ。」

ボードレール "ロマン派芸術"》


素敵だな。


生活と生活空間と作品とが同じ軸に携えられるのは理想だ。
だからって彼は '生活を詠む' なんて形とは正反対だ。

生活のふとした事を感じる、なんていうのは私自身も思考スタイルからかけ離れすぎて理解できない。'理解できない' と本音とは別の「オブラートに包んだ」言葉で遠ざけて、できれば出会いたくはない。

だけれど 'ふとした事' なんて曖昧な言葉で濁さず、
'ふと' の根本は何なのかを突き詰める人の考えなら理解する。


'ふと' は、心にあった理由や外からの原因が幾つか集結した時、
必然的に 'ふと感じ' たりするのじゃあないのか?



逆に言えば 'ふと' に至るまで、理由と原因が自然に集結するまで、それらに手を引かれなければ気づかないまま放っておくような、否、放っておけてしまえる感受性の出来栄えに見える。

それは上文に重ねれば生活に美の感覚を見出せる芽生えの土壌としては貧し過ぎるように思える。


今まで私もブログ上で何度も 'ふと' って言葉を使った。


全く 'ふと' じゃあない理屈を連ねておいて最後だけ
"カナ? って、ふと思った" と馬鹿っぽい〆を入れるのがマイブームだったことさえある。

'ふと' への暗い感情と、陰湿な反抗心がそうさせた。


同書に心の底から共感する文がある。


《 "悪の華" は、神秘的な暗がりの中で芽を出し、密かな根を張り、実り豊かな茎を伸ばしたあとで、

そこから突如現われ出て、人生の色をし、縁がぎざぎざですじが浮き出た、くすんだ花冠を壮麗に咲かせ、栄光と醜聞の空の下に、愛と苦しみと死の目もくらむ香りを拡散させようとしていた。》
        アンリ・ド・レニエ 'ボードレールと悪の華'

   ベンヤミン著 "パサージュ論2ボードレールのパリ" より

             (今村仁司様/大貫敦子様/高橋順一様
             塚原史様/吉村和明様/三島憲一様
             村岡晋一様/山本尤様/横張誠様/
             与謝野文子様/細見和之様訳)


■ベンヤミン関連リンク
1巻
*本欲しいなあ
*ミュゲとパリの始まり
*地球儀と室内と解放
*カラビナ・日常・本
?僕んちのどうぶつ達
*息詰まるフリーク
*1919
*
*楽譜のページの向こう
*ステップ
*監獄・アンチつるつる
(1巻のご紹介に際しまして訳者様の今村仁司様と高橋順一様のお名前に文字の誤りがあったと後に気がつきました。大変申し訳ありません)

2巻
*夏のおやつと本
*ボードレールの挑発と真意と音楽

■ダダ関連リンク
*ツァラ、にぎやかな絶望
*プレイ
*ダダのお寿司ネタ
*ダダとプーと苦いコーヒー

■ちょっとだけアラゴン
*パノラマ
*優しく辛辣な女と、田分けた男



桐朋時代、ババァの件

July 31, 2018

これ何でしょう?


薄くってパチンと閉まるプラケースは、ハミルとミンネのラバー製歯間ブラシが入って売ってる容器なの。

ポーチ内でバンドエイドが皺にならずに運べたり、引出しで安全ピンのケースになったり、色んな所で便利に使えますよ。

ドレッサーの引出しではネイル用品が入ってる。

この頃ね、エナメル臭をoff (多少の香りはするけれどニスみたいな強い臭気じゃないタイプ) した商品ならペディキュアを塗っても大丈夫になったのです。


だいぶ前からシャンプーやボディソープは洗剤の香りくらいなら、普通のドラッグストアで売ってるのが使えるようになってました。それまでは無臭のものを探すのが大変だったなぁ。


今でも顔に直接掛かる洗顔料は完全無香料でないと気持ち悪くなって無理。柔軟仕上げ剤はお隣の人のも苦しい時がある。

普通のソープも使えない情況が続いてるうちは、香について書くのも避けたい感じだった。ようやくおしゃべりくらいは・・・と思えるようになりました。


私たちの時代の母校桐朋学園でのお話から。


仙川キャンパスは高校のフィールドでもあって、保護者会や懇談会などの日は高校生生徒さんのご両親様を学食などでもお見かけした。

お子様がどんな環境で学園生活を送ってるか覗かれるおついでか、お昼を挟んで行事があったから学食でお食事されたかはわからない。

どちらでもいい。
今回の話題は、大学生の私たちが其うした大人の方々をババァって呼んでたってコト。


当時のお母様方のご年齢は、現在の私よりお歳下です。


彼女たちを大学生の年齢から見てババァと呼んだのか?
違うと思います。

今の大学生も3,40代の方々をババァと呼ぶか?
呼ばないと思います。

  年齢じゃあなく、年代のクエッションではないか。
  私たちは一定の世代を指してババァと言ってた。


当時のお母様世代は、現在は70代後半から80代にかけてのお歳におなりなのかな。


その頃、お綺麗であろうと一見マナーに問題なさそうであろうと
香水の選び方を以ってして私たちはババァって言ってたと思う。

「今日なんか臭ぇと思ったらババァども居るのかよ!」って悪態つきながら学食で食べてた。

(そんなことワタシは言ってないもんって人、ゴメンよ。
ごく一部の、お行儀悪く生意気な学生集団のお話です)


香水が悪い香りだったのじゃあない。


1)
空気が乾燥したヨーロッパでどこからともなく香れば良い匂いだったものを、日本の湿度で強烈に変わることを心算せずにそのまま使うセンスに対して「ババァ臭ぇよ」と言ってた。

2)
その世代が好むところの香り、イコールそれより上の世代も下の世代も理解できない香水のつけ方に対して「ババァ臭ぇよ」と言ってた。

3)
ブルバールにリムジンで降り立つなら、または風の抜ける広めのパッサージュでコートの中で薫るなら女らしかっただろう強い香りを、狭いお教室に姦しい団体が集うとわかっていながらつけるという、普通じゃない知能に学生は相入れず、
各自別々の香水をつければ悪臭に成り果てると考慮できないマナーの悪さを「ババァ臭ぇよ」と言ってた。


30年前にはありがちだった。
保護者会や面談に張り切ってしまうのは誰にも責められない。


張切りどころのバリエーションが多くなかった時代だから。
昭和の終わり頃のお話なのだ。

しかし平成も終わろうとしてる世に
成人式で着慣れぬ振袖を着こなせない若者を嗤う世代が
温度も湿度も一層アジアらしい様相に変化した気候の中で
香水のつけ方・選び方が30年前から成長してないと、

至極失礼ながらやはり言いたくなる。
ババァ臭ぇよ!

(続きます)



Les Bleus gagnent!CdM2018

July 16, 2018

好きな色を増やしたら、失われてる気力が補えるかな。


先達てご紹介した絵本 "しあわせな ちょうちょう" を開いて飾ってみようと思った。

  *しあわせのクエッション

表紙を見せて立てかけるのも可愛かったけど、ページを開いたほうが蝶々さんは嬉しそう。

平仮名で書きつけられた物語文字を隠すのに、
4歳違いのシャガールとマリーローランサンが手を結んだ。


絵本+カードなんていう野良すぎるオリジナルなグッズは
穴への階段に飾りました。


好きなフラゴナールの冊子等ぶら下がってる壁の向かい側、
細長いニッチが絵本の居場所です。


今日からは不規則睡眠の日々とお別れです。


睡眠の時間や質が欠けたら体調に響くとわかってても、今回のCdMの混戦っぷりは目が離せませんでしたネ。

昨夜も横になってではありますが勿論テレビ観戦しました。

1番応援してた日本代表のマッチは尊重しながら静かに観たのに
Les Bleusの決勝はゴールが決まる度に涙が流れた。

何に泣いたか問われてもわからない。
フランス愛が自分の場合は生理的かつ動物的な愛だからとだけ答えられる。


愛しいエキップの勝利を慶びつつも、しんどさは変わらず。


夫の提案で今週の病院を頑張れたら、涼しい時刻にブルゴーニュ君とまた海へ連れていってもらえることになった。

先は見ないで目の前に小さい楽しみを作って、短いスパンに区切って目指してみるのが楽なやり方かも。

私の腕にギュウって絡ませてくる小さな4本足のために
今週を乗り切ります。

刹那的でフランス風で、それもいい。



しあわせのクエッション

July 11, 2018

イレーナ・ユルギェレビチョーバ作 "しあわせな ちょうちょう" という絵本です。日本語訳は内田莉莎子様。


とても小さな頃に買ってもらって、今も我が家の '可愛いものチーム' 構成員になってる1冊です。

ヤーヌシ・グラビアンスキーさんの挿絵が大好きで、ずーっと見てたの。今思えばフランス印象派の影響を受けたお方だそうだから子供心にも惹かれたのかな。


飾り置く場所を変えた機会に久しぶりに読み返した。


"しあわせな ちょうちょう" ってタイトルなのに蝶々はなかなか幸せになれないんです。自分は幸せなのかな? って考えては、どうも違う気がするようです。

其んな大人の人はたくさん居ますよね。
そして蝶々は色んな事を試すんです。幸せになりたくて。

蝶々の幸せは何なのカナ? ってお話が優しく語られます。
内容はやっぱり大人向きじゃあないかしらって思います。


文章に考えさせられ挿絵は愛らしい、とっても素敵な絵本です。


子供さん用に平仮名が多いところが文章のテンポをゆるめていて、噛み締めて読める要因となってるナって感じましたよ。

ゆっくりページを捲りながら・・・ある方にとってはきっと
蝶々に重ねて自分の幸せを模索できる1冊にもなるかも。


ブルゴーニュ君2世ちゃんは蝶々さんとは違ってました。


自分は幸せなのかな? って考えたり、
幸せになりたいと思う一方で何が幸せかわからなかった季節はなかったでしょう。

生まれた頃から毎日食べ物と寝床を探して
一生懸命生きることだけをしていました。


今だって '幸せなのかな? ' と考えたりしません。



"幸せだ~♪ " って笑顔。
ただ笑顔。


*幸福 -- お花
*幸福 -- 交感
*幸福 -- 時
*雨ふりの日
*ある一日
*幸福 -- 一致
*幸福 -- 冬準備
*四季
*幸福 -- 重なり
*幸福 -- 家庭
*ちいさな家庭



シネマ記録(21)ゾラと失敗

June 19, 2018

診察台のブルゴーニュ君。
狭くて高い場所に乗せられても落ち着いて寝そべってる。


飼い主さえ傍に居れば何だって大丈夫と思ってます。

引き取って間もなく、野良ちゃん時代のバイ菌が原因で耳血腫治療をしたから、飼い主は心配性になってしまいました。

お耳の健診へ行くと常在菌が少し増えてる様子って。今のところ大丈夫って言われましたが心配でお薬をいただいて帰りました。


タイトルの 'ゾラと失敗' は映画タイトルじゃないの。
観たのは "ゾラの生涯" でした。


フランスを感じたい・フランス語のセリフが聞きたい・フランスに触れたい・フランスがなきゃ生きていけないってほど強い求めゆえに常にフランス映画を選びます。

  DVDを挿入するとまさかの米語。

パリに生まれパリに没したフランス代表作家を題材にした作品はアメリカ映画だったんですね。


これまでもフランスの地名が冠されたアメリカ映画を幾本か観ました。


空気感や挿入音楽感覚がフランス的じゃないかなって違和感もありながら楽しんだけど、ベルサイユを冠した某フィルムが風景と衣装以外に観賞要素なしだった経験をきっかけに、フランス題材のアメリカ映画はしばらく止しましょうねって言ってたのです。

  当作は第10回アカデミー賞作品賞を受賞した映画で
  ゾラと切り離せないドレフュス氏の事件を扱った力作。

  だから失敗は映画じゃあないんです。
  夫が遠い目をして言ったの。

'何年か前にこのDVDさ、
ゾラだ~って喜んで借りてさ、
再生したらまさかのアメリカ映画でさ、
フランス語吹き替えがないのはガッカリだけど
クオリティはいいねって言ったんだったねぇ。
これからはフランスが題材でもさ、
フランス映画かどうかは確かめなきゃねってさ
2人で決めたのはこの映画だったよね・・・'


失敗とは、映画じゃなくて健忘症の私たちのことでした。
2度観るのに充分な質の映画で良かったです。


*シネマ記録(20)ムード・インディゴ
*シネマ記録(19)大人は判ってくれない
*シネマ記録(18)あこがれ・アムール
*シネマ記録(17)ランジェ公爵夫人
*シネマ記録(16)セラフィーヌの庭
*シネマ記録(15)フランス組曲
*シネマ記録(14)ブルゴーニュ?
  *怒られるわ
*シネマ記録(13)赤と黒・他
*シネマ記録(12)パリは燃えているか・他
*シネマ記録(11)大いなる沈黙へ
*シネマ記録(10)アデルの恋の物語
*シネマ記録(9)カミーユ・クローデル
*シネマ記録(8)ミッドナイト・イン・パリ
*シネマ記録(7) 愛と宿命の泉Part.2
  *フロレットという女性
*シネマ記録(6) 愛と宿命の泉Part.1
*シネマ記録(5)たそがれの女心
*シネマ記録(4)カラヴァッジョ 天才画家の光と影・他
*シネマ記録(3)エゴン・シーレ 愛欲と陶酔の日々・他
*シネマ記録(2)宮廷画家ゴヤは見た
*シネマ記録(1)モンパルナスの灯・他



1919

June 08, 2018

廻り階段の上から写してみた。
パサージュに時々見られる階段を思い起こさせてくれそうで。


ニッチにはプーの関連本のつもりでラ・フォンテーヌのコントとサン=テグジュペリ。

青い階段に青い楽譜。

体調が下り坂なのにお休み時間を端折ったのをちょっと反省。
しばらく静かに本を読みました。


ベンヤミンの本には当然の如くダダも登場します。


《シュルレアリスムの父がダダだとすれば、その母はパサージュであった。

このパサージュと知り合ったときには、ダダはすでに年を取っていた。アラゴンとブルトンが、モンパルナスとモンマルトルとに嫌気がさして、友人たちとの会合の場所をパサージュ・ド・ロペラのとあるカフェに移したのは、1919年も終わりになってからのことだった。

そのパサージュ・ド・ロペラも、オースマン通りがそこを通ったためになくなってしまった。》
             
     ベンヤミン著 "パサージュ論1パリの原風景" より

             (今西仁司様/大貫敦子様/高橋淳一様
             塚原史様/三島憲一様/村岡晋一様
             山本尤様/横張誠様/与謝野文子様訳)


ルイ・アラゴンが135ページを費やしてパサージュのことを書いているとの記述も。


嗚呼、1919って数字を見ただけで声をあげそうになる。
馬車と自動車両方がブルヴァールを走った短い短い麗しの時代。

1899年プーの生年にはルノー兄弟社が設立し
1915年に四輪自動車部門の創業者アンドレ・プジョーが亡くなり
件の1919年はアンドレ・ギュスタヴ・シトロエンが初代シトロエン車を発売するのね。

  近頃はプルーストの時代を切り取った本で
  幾度も馬車と自動車が混在する風景を眺めては
  憧れの溜息をついてたのです。


大戦が終わり、エコール・ド・パリの狂乱の半歩手前。


フォーレとドビュッシーは最晩年を過ごし、プーは青年となり、モジ(モディリアニ)は彫刻展を開く。その誰もがパサージュをくぐる。


■ベンヤミン関連リンク
*本欲しいなあ
*ミュゲとパリの始まり
*地球儀と室内と解放
*カラビナ・日常・本
?僕んちのどうぶつ達
*息詰まるフリーク

■ダダ関連リンク
*ツァラ、にぎやかな絶望
*プレイ
*ダダのお寿司ネタ
*ダダとプーと苦いコーヒー

■ちょっとだけアラゴン
*パノラマ
*優しく辛辣な女と、田分けた男



ムンクの震慄

June 02, 2018

昨日病院帰り、お友達と思いつくままおしゃべりした。


お互いに 'これについてどう考える? ' って質問が多かったよう。
そんな日だったのかな? 楽しかった。

私はエドヴァルド・ムンクの '叫び' を観覧する人間について問いました。

幼少期に母を亡くし姉妹も亡くし自身も病弱に生き・・・う~ん?
みたいなのが彼の半生といえばお定まりで出てきちゃう。


加えて "マドンナ" などの作品に絡めて女性へ抱く恐れも秘めた画家として、しばしば絵画解説では薄幸の芸術家と扱われるところに 'エフ臭'、否 【後世の人間が望むエフ像の縛り】みたいなものを感じることも多いけれど


嫌いなのは単純に '一定層が好みそうな解説マジック' だけ。(またの名をエフ解説アルアル)

何処でも彼処でもこぞって1面を取り上げることで、其処以外の359度にある芸術家の魂が消される粗野が嫌いなだけでムンクご本人じゃありません。ムンクは尊敬する画家さんの1人。

エフと違って当時にしたら随分ご長寿で80歳まで全うしなさったのだから '病弱モノガタリ' をそんなにも独り歩きさせなくてもねぇ・・・ナンテ風も言いたくなるけれど、ご本人は晩年も結構ダンディーで素敵なおじい様ですね。


前置きはさておき、何せムンクの話題を振りました。


オスロ郊外を歩き、不安と動揺に騒めき、叫びを聞く。
友は歩みを保っていたから心が聞いた叫びでしょうか。
脳裏に響き渡る叫びに震慄して耳を塞ぐ姿・・・

あの有名な "叫び" ですね。しかし

「例えば '叫んでるムンクの絵は素晴らしいわ' と言う観覧者に
あなたなら何を思い、どう扱いますか?」って話題でした。

---- 怖れ慄きを聞くまい感じるまいと耳を塞ぐ仕草が叫びに匹敵する恐慌をきたしているのは確かだが、今ここでの話題は独りよがりな観覧 (其れ自体はまったく問題ないでしょう。自らの胸の内にある限りは。) を共通認識として押し通してしまう厚顔無恥 (私は無知の代表格ですが、学びたい気持ちがある限り無知は恥ずかしいことではないと思っています。しかし無恥のほうは時に罪を呼び込む) のほうであり、鑑賞に至らない私たち観賞者の知識を云々するものではありません。それを言ったら私などは絵を観られなくなってしまうもの。---


'あら? 絵の人がお顔押さえて叫んでるんじゃないの?
じゃあ今度違う風に観てみるわね。'


っていうのが普通の反応のように思われてならないけれど、そのパターンは果たして多数派だろうか? って疑問になったから。

夢に出てきた小狡いキャッシャーと共通点を持った女を人生から切り離す前、暗い嗤いを誘うやり取りがしばしばあった。

  *夢のお話(2)キャンディプールと後悔

ムンクはその場の思いつきの一例だったが、例えばキャンディプールを浸食するキャッシャー女はよく 「へー、でも」と言ったものだ。文法的には不明だが、彼女に関しては 'でも' を言う目的で 'へー' を発音してみる癖があった。


「でも私はやっぱり絶対叫んでると思う。だってオーイっていう時みたいに手でメガホン作ってるでしょ。絶対そう。いいえ絶対。」


と、もはや誰もが口を噤む中で目尻をツリ上げる。何と戦ってるか判別できない。

彼女の【ムンクも美術研究者も歴史家も知ったことじゃないけど私がそう思うからムンクは此う! 】という様態は、実際にはモーツアルト、シューマン、ドビュッシー、ギター、ピアノ、カトリック、シャガール他数々の対象に頻繁に向けられてきた。

その姿はラ・フォンテーヌ寓話ほども端的に教訓を教えてくれる、分かり易い冒涜者として年1,2度眺める分には面白かった。

糧になる面白さじゃなくても知を脱ぎ散らかす人間を目の当たりにした貴重なホラー体験だった。

ホラーもたまには面白いよね。


■病理組曲関連リンク
*病理組曲

  事の名を呼ぶ人々
    *ほくろぶた
    *空の青
    *自然な枯れ姿?

  アルマンド
    *自己紹介のパトロジー

  クラント
    ?僕が聞いた言葉遣い

  サラバンド
    *仕事、何してる人?

  エール
    *小鼻と受容

  ガヴォット
    *

  ロンドー
    *水色

  ラ・サノミユーズ
    *ラ・サノミユーズ

  優しく辛辣な女と、田分けた男
    *アルブレヒト
    *森の霧
    *優しく辛辣な女と、田分けた男

  思慮を着込む出会いと知を脱ぐ別れ
    *パノラマ
    *留意を着込む出会いと、知を脱ぐ別れ
    *夢のお話(2)キャンディプールと後悔

(今後のピース)
  *腹巻FP146
  *乎Paris1岩風呂のドミノの中に
  *一片の雲



息詰まるフリーク

May 31, 2018

この季節、ペチュニアが楽しい。


左は 'マジカルフラミンゴ' といって1株で様々に発色するペチュニアで、右は 'モンローウオーク' っていうペチュニアのシルキー・ラテと名付けられた色味です。

昨日院内に居た長い時間にお花のおはなし箇所を読みました。


《息の詰まるようなフラシ天(絹綿ビロード)づくめの世界を性格づけようとすれば、室内において花が果たす役割を記述してみればよい。


ナポレオンが倒れた後、真先に試みられたのは、ロココへの回帰であった。しかしそれは極めて限定された形でしか行われなかった。王政復古以降のヨーロッパの状況は次のようなものであった。

 「特徴的なのは、ほとんど至るところでコリント風の柱しか用いられないことである。・・・・
この柱の華美さは何か圧迫するような印象を与える。


他方、街の改造にとりかかる際の落ち着きのないあわただしさは、もともと住民にもよそ者にも、一息ついて気を落ち着かせるといういとまを許してはくれない。


あらゆる石が独裁権力の印を帯び、華麗さのすべてが雰囲気を文字通り重厚で重苦しいものにしている。・・・・ある者はこうした新しい華美の中でめまいを起こし、ある者は息が詰まり、ある者は不安げにあえぐ。

何世紀分もの活動がわずか10年に凝縮される
憑かれたような性急さが、胸を締めつける。」》

(鉤括弧内はオースマンにあてつけている論述で "1861年の官展と19世紀フランスの造形芸術" というユリウス・マイアー著とされる文だそうです)
             
     ベンヤミン著 "パサージュ論1パリの原風景" より

             (今西仁司様/大貫敦子様/高橋淳一様
             塚原史様/三島憲一様/村岡晋一様
             山本尤様/横張誠様/与謝野文子様訳)


これなのよぉ~♪
ロココを浪漫ティークと捉えず息詰まる圧迫と顕す義。


私はロココ様式は愛していないけれど潜在的な緊張感を誘発させるある種の圧迫は大好き。フリークと言って構わないくらい。

それは2世ちゃんが感じるところの、'近く見える虹と・遠いのに錯覚してるかもしれない石' の距離の曖昧さのように

  ?僕らがまた会えた朝

第2次のロココは (と今勝手に書いてしまう意はナポレオン失脚後のもの。拙ブログ内では 'ロコロコ' にしようかしらん...) 、

考えるだに不可思議で空気の濃度が上がった風で
強すぎる薔薇の香のような制圧的だのに消えそうでもある幻影
(ロコロコは帝政の夢を抑えた王政の夢? )とも密着して

  私の中では此の【濃度】は殆どシュレアリスムの其れだ!

1,2枚目写真の手前にある拙宅ゲートは、コリント風の彫りを入れた両柱で支えられてる。あんまりだから写真に写したことはありません。見せられないような馬鹿なデザインを取り入れたくらい、時代錯誤の息詰まるものを愛してる。


■ベンヤミン関連リンク

*本欲しいなあ
*ミュゲとパリの始まり
*地球儀と室内と解放
*カラビナ・日常・本
?僕んちのどうぶつ達



夢のお話(3)シトデ

May 29, 2018

海へお出かけした日、打ち上げられて乾いて死んでしまってるシトデを見つけて拾い帰ってきた。


ブルゴーニュ君のプンプン用に持ってたビニル袋に入れて。

  *海で動かない生き物

私はシトデが大好きです。
ヒトデでしょ? と、夫が言った。

んまぁ。ヒトデっていうのは街が人出で混み合ってるほうでしょ? これはシトデっていうのよ、知らないの? と嘘を言った。

夫は、そうか知らなかったよって心得た風に答えた。
夫も割合に変わった会話が好きで、此んな時よく笑う。


持ち帰ったシトデはよく洗ってお庭で乾かした。
翌日まで晴天の下に干してたのに、まだ生臭かった。


後でもう1度洗いましょと思いながらお花にお水をあげた。
ブルゴーニュ君から目を離してた。視界に入る白いふわふわが、お庭テラスに寝そべってるなって時々目をやるくらいだった。

お花のお手入れが済んでふと見ると、シトデが殆どなくなるほど食べてしまってた。何かを勝手に食べちゃうなんてお初だった。

びっくりして息を飲む私をブルゴーニュ君はキョトンと見た。
これ知ってるヨ! 僕の食べモノでしょ? って笑った。


涙が流れた。


保健所に捕獲されるまで離島を放浪してたブルゴーニュ君は
優しくて獲物を殺傷する力もなく、打ち上げられたワカメや死んだシトデを食べて何とか生き延びてたと想像がついた。

海で拾って洗って私の手の匂いがついてたから
テラスにオヤツ用に置いてくれたと思ったみたい。

やけに塩っぽく、死んでどれくらい日が経ったかわからないくらい生臭いシトデなんてもう食べなくていいのよって小さな躰を抱きしめて泣いた。

残骸が少なくてどんな種類のものか調べようもなかったけれど
毒を持ってるのもあるし、稀に食用にする地域では火を通すとアクが出るものも多いって聞いたことがあった。

元野犬ちゃんは本能的に体に悪いものは避けそうだけど心配でたまらなかった。私がシトデを拾ったせいでごめんね。

オヤツは無添加やオーガニックのを買ってあげようね、
好きなの一杯食べようね、って泣いた。


夜。


ブルゴーニュ君を傍らにベッドに入り、
小さくトクトク鳴る可愛い心臓の鼓動を感じながら夫に言った。

  シトデ食べちゃったの大丈夫かしら?

夫は '食べてから6時間以上経ってるでしょう? 夜ご飯までにお腹壊してなかったから大丈夫じゃないかな' って私を慰め、ブルゴーニュ君を撫でた。

  お腹は壊さなくても・・・シトデにならない?
  朝起きたらこの子がシトデになってたらどうするの?

きっとならないと思うよって夫はブルゴーニュ君と私を代わる代わる撫でた。

  手足とお尻尾が5角形になって
  ポワポワの毛がシトデの棘皮になってたら?
  そしたら水槽で暮らすことになって
  もうベッドで一緒に寝られなくなるのよ?


大丈夫だよ、起きたらちゃんとブルゴーニュが居るよと優しく言われながら眠りに落ちていった。


うとうとしながら最後に夫へ問うたのは 'シトデになったらドッグフード食べられなくなるのかな? ' だった。

  夢の中でブルゴーニュ君はシトデになってなかった。
  ただいつものドッグフードがお星の形をしてた。
  ブルゴーニュ君のフードボールにお星型が一杯入ってた。

朝起きて夢のお話を夫にした。夫は初めてちょっと混乱して、
それは昨日の話の続き? って聞いてきた。

ううん夢のお話。


*夢のお話(1)ハミルとミンネ
*夢のお話(2)キャンディプールと後悔



ミュゲとパリの始まり

May 02, 2018

何年も前のパリで、確か5月2日にスズランのブケを貰った。


ミュゲの日に買って用意してたのに渡せなかった・・・って困ったような顔で手渡されたのを憶えてるから le 1er mai の翌日だったんだと思う。

ひとつの人生をそこから始め、ある年グロテスクな思いに駆られた秋の夜にその人生をふつりと終えた。

続くはずだった人生の一部を終えるのは小さな花を手折るかの如くいとも簡単だが、折られた花の血のように流れた茎の汁の香がいつまでも指から拭えないことがあると、スズランの季節に思うのが常だ。


カーポートではカリブラコア・ティフォシーのマウンティングタイプが僅かに咲き広がってきた。


今朝は早い時刻の出発から病院で2つの科を受診してグッタリ疲れ、さっきまで眠ってた。2科の間の待ち時間は *お見舞いの本 を読んでました。

  ヴァルター・ベンヤミン著 "パサージュ論" 1巻
  'パリの原風景' はたまらぬ興奮を呼びました。

 《憂鬱を養分としているボードレールの天才は、アレゴリーの天才である。ボードレールにおいて初めてパリが抒情詩の対象になる。それは、郷土芸術などというものではなく、むしろこの都市を見据えるアレゴリー詩人の視線、疎外された者の視線である。

それは、遊歩者(フラヌール)の視線であって、その生活形式は大都市の住民の未来の悲惨なそれになお一筋の宥和の微光を投げかけている。遊歩者はなお大都市への境界(シユヴーレ)、市民階級への境界の上に立っている。


彼はそのどちらにもまだ打ち任されていないが、そのどちらにも住みついていない。


彼は群衆の中に避難所を求める。群集の観相学への初期の寄与はすでにエンゲルスとポーによってなされているが、群集とは、ヴェールであって、それを通して見ると、遊歩者の目には見慣れた都市が幻像(ファンタスマゴリー)と映ずる。群集の中で都市はあるときは風景となり、またあるときは居間になる。》

       (「すべては僕にとってアレゴリーになる。」
           ボードレール「白鳥」の項より)

             (今西仁司様/大貫敦子様/高橋淳一様
             塚原史様/三島憲一様/村岡晋一様
             山本尤様/横張誠様/与謝野文子様訳)

この年になるまで此の著作を読んでこなかっただなんて
一体何をしていたのでしょうと悔やまれてなりません。

1巻がもう半分以上過ぎてしまったワって悲し~いの。
素晴らしい著書です。また少しずつご紹介しますね。



留意を着込む出会いと、知を脱ぐ別れ

April 29, 2018

ドッグランの空いたスペースを楽しそうに走る。


呼ぶと急ぎ足で戻ってくる。


ワンコが入れるカフェでは床に伏せてじっとしてる。


他のお客様が 'ああごめんなさい! お尻尾を踏んでしまいました' って慌てなさった。居るって気づかれないくらい動かないから。

大丈夫ですよ、痛くなかったみたいですヨって応対しながら、踏まれても動かないので可笑しかった。


広場にお友達が来ると仲良く遊ぶ。
順番にお水を飲んで、また遊ぶ。


社会性を会得した動物は賢く、
信頼する人間のbuddyであるのを愉楽とし、
状況に適した自分の位置とあり方を読む。

素晴らしいと思う。

例えば初めて出会った相手の考えや癖がわからぬ時は
できる限り頭を巡らせて近づき方を模索する。

  印象悪くならないように、
  喧嘩にならないように、
  できれば好き合えるように、
  上手にお友達を作れるワンコが沢山居る。

人間たちも同じかもしれない。
しかしだ。


一定の人間は近づく時には留意の技能を使うのに、


ひとたび揉め事を起こして悪し様に言う時には
感情に任せ善悪と好き嫌いを混同させたまま
自身の狭い視野を発表することへの羞恥心まで棄て去る。

出会い頭はお洒落に着込み
揉めると雑然と脱ぎ散らかし、脱いだ服を踏み散らかして
まるで崩れた裸を晒すかのような醜態を繰り広げ
果ては醜態を見せている自覚も麻痺をする。

留意もへったくれも無くなる。
知性を自ら棄て去る人間の姿は
嘆かわしいより侘しいと感じる。

  だけど正反対の人たちも居る。

出会う時には恐れることなく裸の感情を表し
相手の前に自分を暴き出す。

それは暴かれて何ら臆する事はない自身の存在そのものへの
おおらかな自信の露われのようで、美しい活力として大好きだ。


そして相手への不満が募る時、意地の悪い皮肉にこそ
頭脳的な知を行使できる人間がもっと好きだ。

  *パノラマ


ディドロ然り、バルザック然り。
自らの作品を以ってして、悪感情さえ作品に昇華する。

それでも足りぬとばかり次々と戦いの作品を執筆し続けた文人たちも。高く轟いた名においてサインで締め括る責任を負った論の応酬を読み比べることができる現代の私たちは幸福だ。


あるとき着地点のないクダを巻く女を凍った目で見つめながら、尊敬する文豪たちなら今の光景をどう描くでしょうと夢想した日があった。

クダを巻く日が年に1度や2度あっても悪いと思わない。繰り返される不平に着地点がないことを個人的に好まないだけだ。
しかし私が間違ってた。

知を棄てるのはそもそも知を求めない者だからで
論が着地しないのはそもそも着地を求めない者だからだと
今頃になってようやく理解できた。


■病理組曲関連リンク
*病理組曲
  事の名を呼ぶ人々
    *ほくろぶた
    *空の青
    *自然な枯れ姿?
  *腹巻FP146
  アルマンド
    *自己紹介のパトロジー
  クラント
    ?僕が聞いた言葉遣い
  サラバンド
    *仕事、何してる人?
  エール
    *小鼻と受容
  ガヴォット
    *
  ロンドー
    *水色
  ラ・サノミユーズ
    *ラ・サノミユーズ
  優しく辛辣な女と、田分けた男
    *アルブレヒト
    *森の霧
    *優しく辛辣な女と、田分けた男
  思慮を着込む出会いと知を脱ぐ別れ
    *パノラマ

  *乎Paris1岩風呂のドミノの中に
  *一片の雲



シネマ記録(20)ムード・インディゴ

April 27, 2018

朝8時半予約で病院の日でした。


癌治療の合間にあちこち具合を悪くして、もう1年半近く半端じゃあない医療費で負担をかけて申し訳ないなぁって思ってた。

咽頭科まで増えちゃって、書物に大枚はたいてる場合じゃあないから文庫本にしなきゃって逡巡してると夫が、欲しかったほうのハードカバーの5巻セットをお見舞いに買ってきてくれました。

  *本欲しいなあ

うわ~~い! エリュアールを読み終えたら、ゆっくりじっくり取り組んでゆきましょう。


映画 "ムード・インディゴ うたかたの日々" を観ました。


映像のイマジネイションの楽しさには、現実が夢想であるかのような考え方が挟まれているようで、観客にも其う感じさせるための超現実的描写で奏でられる長めの1楽章。

対して2楽章は短めで、1楽章のテーマが裏返しの音符やリズムで挟まれるコーダ風な短い変奏部分が挿入された変則2楽章形式って感じでした。もし楽曲で申すならネ。

パリでありながらパリじゃない世界は、フランス映画フアンじゃなくても充分楽しめる映像だと思います。


近年の観たい映画を監督で選ぶと、何故かオドレイ・トトゥ嬢がご出演になってる。


"パリは燃えているか" 前後に観た "テレーズ・デスケルウ" で、普段のチャーミングな表情とは打って変わった退廃的で実年齢より老けた女性像をみせてくれたのも彼女でした。

  *シネマ記録(12)パリは燃えているか・他

"ムード・インディゴ" のゴンドリー監督もトトゥ嬢が醸すものがお好きなのですって。

ユゴー、ボードレール、ツァラがお好みと仰るオドレイ・トトゥ様は私たち夫婦もフアンです。出演者を知らずに観始めたからキャ♪ って夫と喜び合った。


当作のミシェル・ゴンドリー監督のインタビューが魅力的だから
こちら にリンクを貼りますネ。


原作の夢の中の出来事のような部分を組み立て直した意味がよく纏められていると思います。筋をお知りになりたくない方は、ネタバレ的なところが含まれるのでどうぞご注意を。

個人的にはストーリーを追う映画じゃあなくて、ストーリーを通して 'その人が見たいものは何か' をスクリーンヴィジュアル対自分って形で問う映画と感じますから、ラストがわかっても大きな問題はないと思えます。

大層魅力的なお話でした。原作もいつか読んでみたい。

(そうそう登場人物が心酔する架空の作家パルトルが、サルトルのお顔の特徴に酷似し過ぎでだいぶ笑いましたヨ)


*シネマ記録(19)大人は判ってくれない
*シネマ記録(18)あこがれ・アムール
*シネマ記録(17)ランジェ公爵夫人
*シネマ記録(16)セラフィーヌの庭
*シネマ記録(15)フランス組曲
*シネマ記録(14)ブルゴーニュ?
  *怒られるわ
*シネマ記録(13)赤と黒・他
*シネマ記録(12)パリは燃えているか・他
*シネマ記録(11)大いなる沈黙へ
*シネマ記録(10)アデルの恋の物語
*シネマ記録(9)カミーユ・クローデル
*シネマ記録(8)ミッドナイト・イン・パリ
*シネマ記録(7) 愛と宿命の泉Part.2
  *フロレットという女性
*シネマ記録(6) 愛と宿命の泉Part.1
*シネマ記録(5)たそがれの女心
*シネマ記録(4)カラヴァッジョ 天才画家の光と影・他
*シネマ記録(3)エゴン・シーレ 愛欲と陶酔の日々・他
*シネマ記録(2)宮廷画家ゴヤは見た
*シネマ記録(1)モンパルナスの灯・他



ダダとプーと苦いコーヒー

April 24, 2018

アンチテーゼを掲げるために、'敢えて' ではなく 'だからこそ' テーゼを謳う。


謳うふりして、おかしな具合に扱う。尤もらしく。

おかしいと気づいた人だけが、'気づき' という見えないメッセージを手にする。"おかしいでしょう? そりゃあそうよ、アンチだもの。" と感じられなければ其れ以上に事を進める意味はない。

曲のお話を例にすると少し外れてしまうけど、たとえば *メロディーに掛かる のようなコト。ブログ上ではごく少ないが実生活には幾らかある。


だから《パリのアヴァンギャルドであるブルトン、アラゴン、スーポー、リブモン=デセーニュなどが寄稿していた。


 この最初の三人は同時にパリで、雑誌『文学(リテラチユール)』を発行したが、そのわざとらしく古典的な題名は〔アンチテーゼ風〕の意図をふくんでいた。》

             (針生一郎様訳)

なんていう彼らのやり方は、パリ風の苦いアクセントが効いていて大好きだ。


苦い味といえば、私的な事柄をつい最近になってお友達に1つ報せたんだった。


【お付き合いで渋々顔を覗かせることがあったコンサートで


単なる感想という意識を持って述べ合うのは周りが不愉快じゃないなら自由だけれど、クソ馬鹿馬鹿しい無根拠な講評紛いを披露したがる人間が居る場から私は判で押したように 'コーヒー飲んでくる' と言って去っていた件について、それはコーヒーが飲めない自分にとって [あり得ないこと] の表現であり(文字通り飲めない故に)、その表現は誰が分かっても誰に分からなくても構いはしない自分の中の遊びである】

っておしゃべりだった。

本当にコーヒーを飲みたがってると思いたい奴は思え。
コーヒーを飲めないと知らない奴も其う思え。
失礼に去る私の態度に誰がどんな感想を抱いたとしても
この忌々しい場に私が抱く憎しみの方が何十倍も強いのさ!

とばかり 'コーヒー飲んでくる' を連発してたナと思い出しつつ
興奮とともに "ダダ 芸術と反芸術" を読み終えた。


パリダダの登場と結びついて展覧会が開かれ、サティ、オーリック、プーたちの音楽が演奏されたとの文章(P271)にスリルを覚えた。


また "ダダ報知" の寄稿者にアラゴンたちと並んでエリュアールが居たと読んで高揚した。本書を読み終えた次にと準備してたのがエリュアール詩集だったから。

鋭角的な苦味を潜ませた楽しい楽しい書物でした。


*ツァラ、にぎやかな絶望
*プレイ
*ダダのお寿司ネタ



ダダのお寿司ネタ

April 21, 2018

ラナイ・ヴィンテージウォッカっていうバーベナが
ちょっと大きくなってきました。


"ダダ 芸術と反芸術" を読みました。時代への愛しさにひどく興奮しながら、ときに涙を滲ませながら。

  *ツァラ、にぎやかな絶望
  *プレイ

ダダの波は世界を旅したのです。


チューリッヒ(1915-1920)・ニューヨーク(1915-1920)・ベルリン(1918-1923)、そしてハノーヴァー、ケルンを経て1919-1922年にパリで花開くところまでを読み進む高揚感は


まるで1等好む一貫のお寿司を食べるために、其れを美味しく味わう順に出てくるネタを口内へ運び入れつつ、頭の半分はじわりじわり近づいてくる 'あのお味! ' を求めて止まず

  嗚呼、嗚呼、次よと、おもむろに指先を拭い喉を潤し
  慎重に摘んで口元に持ってゆき、識るのです。

お寿司は舌で味わうと思ってたワ。本当に好きなネタは唇に一瞬触れるところから味わいが始まっているのねって。

  くだらない例しか浮かばないけど心底ときめいたのです。
  生のお魚を食べられない奴が言うな、ですね。


パリ・ダダの開始は此んな文です。


《1919年末、トリスタン・ツァラがムッシュウ・ダダとしてパリに登場する前に、ダダの波はすでにパリにうちよせていた。かれは1917以来、チューリッヒから、パリの文学仲間と緊密な関係を結び、アポリネールと文通し、ピエール・ルヴェルディの "南北(ノール・シュド)" やアルベール・ビロの "シック" のような前ダダ的雑誌と協力していた。》

             (針生一郎様訳)

拙ブログでさんざ登場するアラゴンやブルトンが早い段階(チューリッヒ・ダダの第4,5号と本書に書かれています)で寄稿してたと知って妙な音声を発してしまった外科のロビー。丁度通られた癌専門相談員の方が私の声にパッと顔を上げられた。

なんでもないです・・・ごめんなさい。



自然な枯れ姿?

April 07, 2018

想定内の疲れ。回復中。


ちゃんとしたお出掛けをしたら3日は寝込むカナ? と予測して
金土日は横になって、月曜の病院に影響ないよう計画した。

今日はまだ想定内の熱を出してるけれど明日は動けそう。回復にかかるのは今回2日で済むかも。

カナリア家のゲート前で此の1枚を写して、綺麗だからブログに出していい? ってLineしようと思ってたら横断歩道でレモンカナリアちゃんにバッタリ会った。出して~♪ ってOKがもらえた。


拙宅と同じラファエロ・ブルーのプランターがあるでしょう?
前に一緒にお揃いで買ったんです♪

レモンカナリアちゃんが植えてるパンジーやビオラは、確かミュシャやヌーヴェル・ヴァーグなど珍しい品種。

  カナリア家のお花はいつ何時も丁寧にお手入れされて、
  前を通ると、お花を通して感じられる行き届いた心遣いに
  明るい気分にさせてもらえる。


私個人は多分お花好きってわけじゃあないのだ。


言ってみればお人がお花にかける愛情を見るのが好き。
そして自分もできる限り其うありたいだけだと思います。

だから放られたお花を目にすると心臓がドスンと痛い。
お花が可哀想だからじゃなく人間の横着に心臓が痛くなるのだ。

野生動物や空高くを飛ぶ大型の鳥類しか居ない場所で枯れたお花ならば、死姿も生命の営みのひとつと感じられるでしょう。

でもコンクリートが群れ建ち並ぶ街なかで、移植されたか或いは僅かに残った手付かずの場を '自然の形' と言い偽って打ち遣る様子を見るのが嫌いだった。

動けないお花が惨めな境遇に置かれてるとしか見えなかった。


だけどそれは必ずしも正しい認識じゃあないって知った。


ある時、病院の待合室で耳に入ってきた会話によると

立ち枯れた植物を見守る小さな町で、街路に植えられた (移植である時点で '自然' じゃあないと私なんかは思ってしまうのだが) 草木を '自然のまま' に (くどいが、お花は環境を変えられてしまったのに? ) 枯れゆくまで手を入れない (咲殼を取り去ったり黄ばんだ葉をカットしたりもしない) 方針があるそう。

自分では思いつきもできない考え方があるのねって感心した。

もし実際に目にしたら私自身はその景観を極めて潤いがないと感じるだろうし、単なる無精の印象を否めないでしょうと推測しつつも、敢えて枯れたまま遺棄した状態を楽しむ場合もあることだけは理解した。

私などには一生わかりもしない東洋的な美の感覚なのねって思いながら聞いてた。


立ち枯れとは言ってもその言葉がそぐわない場も多いから苦手なのかも。


たとえば丁寧に扱わなかった痕のある金網が捩れ、汚れがこびりついて処理のしようがないプラスティックプランターが乱雑に重ねられ、その場凌ぎに立てかけられたつっかえ棒が今や反対に植物をつっかえ棒に息も絶え絶えに凭れかかってるような中で枯れ姿を観賞しろと言われても私には無理だ。

そんな風景が苦手なのは、決して枯れた植物が美しくないからじゃあない。美を軽んじた人間の行動の痕跡があるから苦手なのだって気がついた。


*明るい朝
*人工の庭
*人工と自然

*空の青
*青の深さ・青の無



ツァラ、にぎやかな絶望

March 25, 2018

今年は色んな種類のクリスマスローズが沢山咲いた。
写真の品種はリビダス・マスカット。


昨年切り時には入院してて礼肥の時期も動けなくて、例年のお手入れができなかったのに不思議ね。

昨夜は加減が悪くて眠れなかった。お陰で今朝の体調はひどいけど、昨日は午後に体力を取り戻してたの。

お天気が良くて、ブルゴーニュ君は南のお窓のそばで日向ぼっこを楽しみ、私は身体の調子が上向きになった隙を狙ってお掃除機をかけてお洗濯をして・・・


読み終えたばかりの '佛蘭西自然主義' は随分古びた状態で買ったから、仕舞う前に陽に当てて埃をぬぐい

  *古い型・古い本


崩れそうになってる古紙のケースのまま保管した。

読破した書物を本棚のガラス扉に戻す瞬間って好き。
虫たちが食料を貯蔵するように、大事な糧を蓄える気分。

次に読むのは物凄く楽しみにしてた1冊なのです。
トリスタン・ツァラを巡る著書です。


ご紹介に引用させていただきますね。


 《ヤンコは新しい夜会のために、たくさん仮面をつくった。それらは才気に富むという以上のもので、日本や古代ギリシャの演劇を思わせるけれども、まったく近代的であった。距離の効果を計算してあるので、

(落合註:マルセル・ヤンコのことです。彼が建築を修学していたために可能だった事と思われます)

それらは比較的小さなキャバレー内部では、おどろくべき効果をあげた。ヤンコがかれの仮面をたずさえてきたとき、わたしたちはみんないあわせた。そしてたちまちだれもが、ひとつずつ仮面をかぶっていた。すると奇妙なことがおこったのだ。仮面は即座に衣装を要求したばかりでなく、一定のきわめて悲愴な、それどころか狂気に近い身振りさえ指定したのである。

五分前には思いもよらなかったことだが、わたしたちはめいめいの着想で他人をしのごうとして、意表をつくさまざまのものをぶらさげ、ヒダをつくり、きわめて異様な人物となってうごめいていた。


これらの仮面の迫力はわたしたちのあいだに、おどろくほど抗しがたい勢いで伝染した。


わたしたちは一瞬に、このような仮面が物真似や演劇にとって、どんな意義をもつのかについて教えられたわけである。

仮面はさっそくそれをつけた人に、からだを動かして、悲劇的で不条理な踊りをはじめることを要求した。》


うふふ~♪ あるオブジェなり1つの顔なり1つの表情なりが次の何かを産み落とし、引き起こす魅力。連鎖的な、または連想的な世界がとっても好き。

それはヤンコのような世界観じゃなくても近いところにも潜んでる。うんと小さな存在である 'ぶたぎ' だってきっと [此の種類の何か] を持ってる。

  *居場所


前半は以後の引用に必要な説明として書き出しました。
語りたかった部分は次のところです。


 《わたしたちはそこで、原紙を切り、色を塗り、貼りあわせた物体を正確にみつめて、その一人何役かを演ずる性質から、一連の踊りをとりだした。

わたしはすぐそのひとつひとつに、短い曲を作曲した。

ひとつの踊りを私たちは "蠅とり" と名づけた。
この仮面には、神経にするどくひびくような音楽とともに、ぶかっこうによちよち歩き、急いで何匹かとらえようとして、幅ひろく身がまえる姿勢がふさわしかった。

わたしたちは第二の踊りを "悪夢" と名づけた。
踊り子はおじぎをした位置から、まっすぐ前方にのりだしてゆく。仮面の口は大きくひらき、鼻はぶざまにゆがんでいる。女優のおびやかすようにあげた腕は、特別な管で長くひきのばされている。


第三の踊りをわたしたちは "にぎやかな絶望" と名づけた。


弓なりに曲がった腕には、紙で長く切りぬいた黄金の手がぶらさがっている。この人物は二、三度左右に、それからゆっくりと中心部をまわり、ついに稲妻のようにくずれおちるかと思うと、またゆっくりと最初の動きにもどるのだ。

 わたしたち全体を仮面に熱中させたのは、それが人間的ではなく、人間よりも大きな性格と情熱を体現する、ということである。》

             (針生一郎様訳)

3番目の "にぎやかな絶望" っていう大層魅力的な、そして沢山の近代フランス芸術にその影を見出すことができる此の素敵なタイトルにきゃぁ♪ と嬉しくなって書きたくて、長い引用になりました。

**


昨夜から固形物には手が出ず、ミルク代わりに豆乳を加えた温かい紅茶や甘い野菜ジュースをカロリーにして、ブルゴーニュ君と並んでキーを打った遅い朝。



空の青

March 15, 2018

先日のカーディガンコートよりだいぶ薄手の1着。


いつもと同じに母の手編みを、いつもと同じにお別れ前に撮してみる。

  *冬の野良ちゃん

色は似てるけど、こちらはブルーとグリーンの2色を織込むような模様なの。


テレビのお天気番組だったかな。'日本語は色につけた名前が多くて、日本人はそれだけ色に敏感なんですね' ってフレーズを聞いた。開花情報や紅葉情報に伴って複数回耳にしたと思う。

確かに名付けられた色は多く、
青だけでも千草色・鴨頭草・紅掛空色・・・
私は多くは知らないけれど数あるでしょう。素晴らしいと思う。


だけれど青の味わいを次のように語る人がいる。
色の名もない '空の青' を。(日本の言い方でも'天色' がありますね)


 《空の青を、それについてのイメージのもつ諸価値によって検討しようとすると、それだけでも詳細な研究を必要とするだろう。またそれによって水、火、大地および大気の根本元素に従い、あらゆるタイプの物質的想像力が明確になるであろう。いいかえれば、

空の青というテーマだけによってでも、詩人を次の四つの部類に分類することができるだろう。すなわち、

 不動の空のなかに流れる液体を見、
 ほんの僅かな雲によっても生気をかんじる人々。

 巨大な焔としての青空 --- ノアーユ伯爵夫人がいう
 "燃えるような" 青 le bleu cuisant として、
 これを体験する人々("永遠の力" 119頁)。

 青いつき固められたもの、塗料を塗られた穹窿(きゅうりゅう)
 --- ノアーユ伯爵夫人がまた緊密な堅い碧空といっているもの
 --- として空を眺める人たち(前掲書、154頁)。

 最後に、空の青の大気的本性をほんとうに分有する人たち。


 もちろん、本能から原初的インスピレーションに従う大詩人と並んで、かくも月並みなイメージにかんしては、"空の青" が決して原初的イメージでなく終始概念となっているあらゆる韻文屋たちを暴きだすことは容易であろう。


青空の詩情はこういう指導者たちによってひどく趣きをそがれてしまう。われわれは青という色がばかげた色であるというミュッセの軽蔑をほぼ理解することができる。

少なくともいつわりの詩人たちにとっては、それは気取った純潔さの色、したがってそれはサファイアであり、亜麻の花である。》

             (宇佐見英治様訳)


ガストン・バシュラール '空と夢' 第6章 "青空" です。

'敏感' である (敏感なんて、まったくもって私が触れようするテーマじゃありませんが、ただ開花をめぐりテレビで談笑する言葉を拾ったまでです) とは何かを突き詰めずいるのを好しとしない思想家たちの美しい青に触れたいと思った。


■病理組曲関連リンク
*病理組曲
  *ほくろぶた
  *腹巻FP146
  アルマンド
    *自己紹介のパトロジー
  クラント
    ?僕が聞いた言葉遣い
  サラバンド
    *仕事、何してる人?
  エール
    *小鼻と受容
  ガヴォット
    *
  ロンドー
    *水色
  ラ・サノミユーズ
    *ラ・サノミユーズ
  優しく辛辣な女と、田分けた男
    *アルブレヒト
    *森の霧
    *優しく辛辣な女と、田分けた男
  *乎Paris1岩風呂のドミノの中に
  *一片の雲
  *パノラマ

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■フランス的テーマ関連リンク
*フランス的とは
*村落の花

*ゾラの実
  *ゾラ19世紀の記念碑
  *フランス19世紀の繊細
  *自尊と言語と音楽

*フランスと動物臭


*音楽のひとこま
*曲決めは楽しい (2009年のお答えを兼ねて)

*フランスとヴォルテール
*オーレリア或いは夢と人生
*仏文学を好きなのはネ・・・

*ランボーと抑圧
  *ランボーの田舎

*パリの不合理
  *ミスタンゲットのパリ
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  *側面

*パリの歩き方
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  *フランス菓子をおいしく味わう
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  *偏好

*愛すべきフランス
*怪談の日仏

*重なりの量感
  *FOUJITA展とエネルギー
  *チェックするブログと おしゃべりな家
  *フランス気質と音さがし

*ドイツ民族・フランス音楽
*フランス民族・フランス気質
  *紫陽花の部屋で
  *トイッチュ

*自由
*フランスとルイーズ
*神のないルイーズとフランス

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■フランス音楽関連リンク
*フランス音楽(1)霧の具象
*フランス音楽(2)感情と心象
*フランス音楽(3)失意
*フランス音楽(4)エクリチュール
*フランス音楽(5)さかしま
*フランス音楽(6)トーン変動
*フランス音楽(7)崩壊と慈しみと
  *プーランク "花" 音源up
*フランス音楽(8)感性の求め

*フランスのからくり
  ?僕が見たタニシ
  *くっきーさんとサティ
  ?僕が見てるちゃいちい小鳥

*フランスの特権
*フランス音楽とゲラン
*目眩まし

*尻切れ草履
*沈黙とフランス音楽
*パリとアズナヴール
*サティ "ランピール劇場の歌姫"
*プーと共感

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■イマージュテーマ関連リンク
*美しい白のイマージュ
*イマージュに血が通う
*本質なきイマージュ
*本質とイマージュ
*イマージュと技巧
*切られたイマージュ
*女の子はファンシー好き(6)ルイ・アラゴン
*イマージュのシルエット
*イマージュ
*フランス音楽とイマージュ考
  ?僕が思うパリの風
*審美とイマージュ
*イマージュと食
  *夫の食とバルザック
*キッチンのイマージュ
*夫のコタツ嫌いとイマージュ
*イマージュと朝顔

*人工の庭
*明るい朝
*人工と自然
*お庭と作業台

*モンスリ公園とカードル

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■象徴関連リンク
*象徴(1)月とピエロ
*象徴(2)オコゼ
*象徴(3)花色
*象徴(4)気狂いピエロ
*象徴(5)シニフィエ
*象徴(6) "蝶と花" 落合訳

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■シュレアリスム関連リンク
*フランス、恋の結末、オートマティスム

*海原の娘(1)虚構現実
*海原の娘(2)幻想の意味
*海原の娘(3)普遍性への問い
*謎 -- ラヴェル "永遠の謎"
  ?僕が思うシューレア・クリーム
  ?僕が思う靴下と階段

*ブルトンと散形花

*金魚
  *標題音楽

*パリのプーランク
  *フロランタンと詩と音楽
  *プーランクとシュレアリスム



シネマ記録(19)大人は判ってくれない

February 21, 2018

アンスンエンシスが満開になってきた。


昨日ブログに書いた "あこがれ" とセットDVDだった "大人は判ってくれない" を2度食い入るように観た。

  *シネマ記録(18)あこがれ・アムール

現在なくなってる屋根や、今では修復されて綺麗に変わった建造物がスクリーンに生きてた。

クランクインは1958年11月10日と解説があった。
解説はDVD特典なんでしょう。映画本編を観た時にはなかったと思う。

  プーの晩年に当たる時期。
  日々感じてるたまらない寂しさの正体を
  此の映画によって少しだけ理解した。


タピオカちゃんとパリの古びたシネマ劇場でこの映画を観た日、


片開きの低い扉から外へ出ればスクリーンと同じ消火栓が立っていて、野菜たちは映画と同じ木箱に入って此方に顔を見せ、同じように傾いだ細道があった。

ああそれはなんて贅沢だったことだろう。
私たちはそう上等じゃないカフェに座り、タピオカちゃんはいつものようにエスプレスを私もいつものようにテオレを頼んだ。

何でもないその一コマは、此の映画に対するトリュフォーの考えの変遷 ---

( "アントワーヌの家出" という最初のタイトルから "四つの木曜日" とする案を経て現タイトルへと移っていった)


--- のように自然でいて劇的だったのだと思う。


それは [子供と大人が居る風景] や [映画館のあとに入るカフェ] や [お友達と過ごす土曜日] ほどにも [自然で何でもなく、だから劇的と言える種類の事] である。

最高に劇的な事項はコレを翌1959年に (私にとってもはや '翌年' だ。制作開始年翌年の '今日' の意味だ) 観ることだ。

2度食い入るように観たと書いた。
今日この日、1959年6月21日に観ているつもりで丹念に観た。

6月3日公開は大きなポスターで知ってたけれど、学校の様々で2週以上遅れて観ているのだ。クラスメイトもまだ2人しか行ってなかった。其う思いながら観た。

ほぼキ印なんだろう。でもご心配なく。別に今に始まったことじゃない。


寂しくて泣いた。


人物がまだまだ古い時代のビュット・モンマルトルを走る。
カメラが遠くから追う。
それを見て涙する。寂しくて涙する。

私なんかより何百倍トリュフォーにお詳しい方々は山のように居らっしゃる。だから映画を分かち合えない寂しさじゃない。

もっと言えばトリュフォーフアンの集いに参加させて頂けるような場がもしもあったとしたら (あり得ないが、映画にこんなにも疎い者でも参加して構わない集いが存在すると仮定して) 尚、今の寂しさを増長させるだろう。

そもそも私は映画フアンでさえない。
'パリの' 熱狂的フアンなだけだ。

寂しさの理由は、その集いが1959年ではないからだ。
夫に背中をさすってもらいながら嗚咽するほど悲しいのだ。


主人公が学校で学ばされるÉpitaphe pour un lièvre。


作者のジャン・リシュパンの詩はフォーレ "墓地にて" で触れて訳し幾度も演奏したけれど、私たちは21世紀に好んで・わざわざリシュパンに触れて愛したのであって、映画の子供達のように厭がりながら押し付けられる文学者としてリシュパンが存在する世界に行けないことが寂しいのだ。

  大人は判ってくれないだろう。
  そもそも判ってくれなど思いもしていない。

だから主人公は無茶な家出をしたし、私は無茶を書き殴る。


*シネマ記録(1)モンパルナスの灯・他
*シネマ記録(2)宮廷画家ゴヤは見た
*シネマ記録(3)エゴン・シーレ 愛欲と陶酔の日々・他
*シネマ記録(4)カラヴァッジョ 天才画家の光と影・他
*シネマ記録(5)たそがれの女心
*シネマ記録(6) 愛と宿命の泉Part.1
*シネマ記録(7) 愛と宿命の泉Part.2
  *フロレットという女性
*シネマ記録(8)ミッドナイト・イン・パリ
*シネマ記録(9)カミーユ・クローデル
*シネマ記録(10)アデルの恋の物語
*シネマ記録(11)大いなる沈黙へ
*シネマ記録(12)パリは燃えているか・他
*シネマ記録(13)赤と黒・他
*シネマ記録(14)ブルゴーニュ?
  *怒られるわ
*シネマ記録(15)フランス組曲
*シネマ記録(16)セラフィーヌの庭
*シネマ記録(17)ランジェ公爵夫人
*シネマ記録(18)あこがれ・アムール



シネマ記録(18)あこがれ・アムール

February 20, 2018

可愛い挿絵でしょう?
"お皿監視人 -- あるいはお天気を本当にきめているのはだれか"。


好きなミヒャエル・ゾーヴァが挿絵を担当してるって理由で選んだ1冊はハンス・ツィッパートって作家さんの可愛らしい作品でした。

頭がさっぱり回らない日にベッドで読むのにぴったりだったワ。

フランス一辺倒の自分はジャン・ピエール・ジュネ監督がお選びになったゾーヴァって観点でだけれど、大好きなのには変わりない。


動けなかったから映画DVDも観てました。


トリュフォーに帰ろうって感じで "あこがれ" と "大人は判ってくれない" がセットになったDVDを手に取った。パリ下町の小さな劇場でリバイバルを観たことがあるけれど改めて。

Les Mistons "あこがれ" は処女作のみずみずしさも
役者の名を役名に使ってる若者らしさのような空気感も

自転車で疾走するカーブも
風を孕んだスカートの裾も

青い香りを放って群れ育つ草も
強い陽を跳ね返す小麦色の肌も

まさか、
まさかこれがモノクロ映画とは思えない。
鮮やかな青春の色彩というものだろうか。


"あこがれ" の直前に観てたのがミヒャエル・ハネケ監督の "アムール" (邦題は '愛、アムール' ですが陳腐な連想を避けるため原題のカタカナ表記にしておきます) だったから、2つの映画の対比が大きく感じられた。


オーストリアの監督さんだけど俳優陣がフランス人で言語は仏語(英語吹替えあり)。

ストーリーの中では老老介護を扱ってはいるけれど、お話の道筋を最重要に据える映画じゃあないと思います。

静かに心から空気が漏れ、静かに関係がひずみ、静かに生活が狂ってゆくような・・・負の側面がゆっくりと立ち上がり、近づいてくる描写が大変味わい深かった。


*シネマ記録(1)モンパルナスの灯・他
*シネマ記録(2)宮廷画家ゴヤは見た
*シネマ記録(3)エゴン・シーレ 愛欲と陶酔の日々・他
*シネマ記録(4)カラヴァッジョ 天才画家の光と影・他
*シネマ記録(5)たそがれの女心
*シネマ記録(6) 愛と宿命の泉Part.1
*シネマ記録(7) 愛と宿命の泉Part.2
  *フロレットという女性
*シネマ記録(8)ミッドナイト・イン・パリ
*シネマ記録(9)カミーユ・クローデル
*シネマ記録(10)アデルの恋の物語
*シネマ記録(11)大いなる沈黙へ
*シネマ記録(12)パリは燃えているか・他
*シネマ記録(13)赤と黒・他
*シネマ記録(14)ブルゴーニュ?
  *怒られるわ
*シネマ記録(15)フランス組曲
*シネマ記録(16)セラフィーヌの庭
*シネマ記録(17)ランジェ公爵夫人



優しく辛辣な女と、田分けた男

February 10, 2018

ろくな恋愛をしてこなかった。


若い頃、よくわからないくらいお付き合いはしたけれど
今でも尊敬できる人との佳き思い出といえば、パリで婚約して数年を共に暮らした人との恋愛くらいだ。

他の人は文字どおり 'その他' に過ぎず、顔は何となく憶えてるが名前はもう忘れたとか、苗字だけ憶えてる場合はその名を聞くのも気分が悪いほど嫌悪感を持ってるとかだ。

女性にはありがちなパターンで瞬間的に大嫌いになって別れるから、最後の思い出なんて拒絶感しか残らないのだ。

袋一杯ポップコーンを美味しく食べたのに最後の一粒が膨らんでおらず、結局ポップコーンの思い出は 'ガリッとした種が飛び込んできて、歯が欠けたから2度と厭だ' だけで占められるようなものだ。


一部の女の脳はそんなところがあると思う。


賢明な女性のお怒りに触れぬよう言っておくと、すくなくとも私のような馬鹿者の場合は其れだ。そして '一部の女の' なんて書くと、一緒にしないでよと叱られそうなので '一部の明晰な方を除く女の' 脳としよう。

対して男は、歯が欠ける前の事を憶えていて言いたがる。

あの時ポップコーンを食べてた君は・・・などと思い出語りをしたがる。'歯が欠けたのは不幸だったけれど、君はキャラメル味のポップコーンを好きで、あの頃僕は君がポップコーンを食べるのを見てるのが好きだった' なんて心持ちを持ち続ける男は世の中にゴロゴロ存在するらしい。不気味だ。

歯が欠けたことで総てが嫌になったんだ。
欠ける前のことなど知るかよ、と思う。

  第一。嗚呼! 最も大きな嘆息を呼ぶ、その言葉。

私は塩バター味のポップコーンが好きなのだ。
お前が知らないだけだ。キャラメル味も嫌いじゃない。ただ、私がキャラメル味を '1番' 好きだとお前が勝手に勘違いしてるのを否定しなかっただけだ。

理由は面倒くさいからだ。ポップコーンの味で無駄な議論をするより1人で塩バター味のポップコーンを1袋貪り食べるほうが簡単だからだ。


ところでお前は恐らくはキャラメル味ポップコーンを好むタイプの女が好きなのだろう。


そういった薄ら甘いイメージはお前の脳内に留めておくのでたくさんだ。他人におっ被せてきてんじゃないよ、馬~鹿っ!

・・・というのは実話ではないし、
私は膨らみ切らないポップコーンで歯が欠けたこともない。

例えばのお話だ。
アルブレヒト的構造を講じたくなって

  *アルブレヒト
  *森の霧

以降の実話のための前振りでした。

**


昨年元彼とメールを交わした。本ページの最初に記した1人以外は例外なく、其の元彼もクソかよ! 的感情を最後に連絡を取らなくなった相手だったが、個人への悪感情に関わりなくパリについて知りたい事柄があったのだ。

自分にとってパリと、パリの音楽は何より大事だ。


連絡を取ろうとして、御多分にもれず苗字を忘れてた。


過去には幾百回も書いただろうファーストネームの綴りさえ、どう書くんだっけ? と調べる始末。

2度目に書くけれど '一部の明晰な方を除く女の' 脳はそんなものだ。別れた男の名前だの、ましてや漢字や綴りまで憶えてるものか。

兎角も途中までは思った通りに有意義だったし、パリの空気を伝えてもらえるのが有り難かった。

大好きなアラゴン詩が歌詞になった歌に '幸福な愛なんてない' という一節があり、ゴダール監督がその歌に対して '幸福な愛がないなんて嘘だわ、不幸な愛なんてない' と科白を言わせる映画シーンについて教えてもらった。

大好きな、パリっぽい小さく光るキャンディのような逸話を山ほど知ってる人とメールであっても話すのは、病以来身体に差し障りのある外出も会話相手も極端に減らしてた自分には意義深く、其の点は感謝した。


私は優しく返信をした。


"アラゴンよりも、ゴダール監督に賛同するワ" と。

  昔恋人だった女が此ういうのである。

其れはまるで
[一見不幸な終わり方をした私たちの恋愛も、決して不幸なものじゃなかったワ]
と伝えてるようではないか。

等と、
クソ馬鹿馬鹿しい勘違いをしそうなのが、如何にもアルブレヒト系の愚昧な脳味噌ってものだぜな~と思いながら書いた。

当然、正直な気持ちは
[私たちの間にあったのは愛ではない単なる自己満足とエゴイズムだから、お前と付き合ったのは不幸だったが、別の人との本当の愛に関して言うなら '不幸な愛などない' のほうに賛同するワ]
に決まっている。

  それ以外の何であろうか?
  他に何があろうか?

しかし例えば恐ろしいことに
'僕も君の意見に賛成だよ' と [上述の含みをまったく感じ取れずに] つまりは [僕らの愛も今となっては不幸じゃなかったね] 的なニュアンスで答えるとしたら一体どういう脳構造だろう。

  これがアルブレヒト脳だ。

本日のタイトルは尊敬するクープラン第15組曲の6曲目 "優しく辛辣な女 (La douce et piquante) " への賛美を込めて。


■病理組曲関連リンク
*病理組曲
  *ほくろぶた
  *腹巻FP146
  アルマンド
    *自己紹介のパトロジー
  クラント
    ?僕が聞いた言葉遣い
  サラバンド
    *仕事、何してる人?
  エール
    *小鼻と受容
  ガヴォット
    *
  ロンドー
    *水色
  ラ・サノミユーズ
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一片の雲

February 09, 2018

2枚目の写真のお人形とおんなじポジションを取ってみたブルゴーニュ君です。


病院から戻ってお休みしながらお部屋の片隅で小さなお飯事をした一瞬の平和な記録写真。

だけどそんなものは何にもなりはしない。
楽しい時間がブルゴーニュ君の中で育まれれば良いのだ。

ブルゴーニュ君2世本人は写真を見はしないから、そもそも写真を撮る意味なんかないんだけどな。もともと拙ブログの写真は、文が読み難くならないための改行効果の役割でしかない。


それでも可愛い小さなうちの子をフレームに収めたくなって、
収めたからといって、愛しく思う気持ちがどこかに帰結するわけじゃない。


  何らかの帰着を、例えば命の帰着をもとより望んでない。
  正反対だ。

ふつりと途切れず、大々的に仰々しくトニックとドミナントを繰り返さなければ気が済まないような野暮ったさを音楽から受けるときの心持ちを憎んでる。
ドビュッシーがどこにも向かわない澱を愛したと病院で思い返しながら追った文字には、愛してやまないシュペルヴィェルの名があった。


相も変わらぬバシュラールです。


《想像的生における力動的想像力の役割を否定しようとするものがあったら、重い雲と軽い雲の、われわれの心を重苦しくする雲とわれわれを天の高みへと引きよせる雲との説明をしてほしいと要求すれば充分であろう。

われわれはまず直接的な弁証法として、シュペルヴィェルの言葉 "わたしにはすべては雲であり、わたしはそのために死ぬ" をかかげ、ついで他方ボードレールの散文詩 --- この詩集を飾る冒頭の詩を書きとめておこう。

--- では、一体お前は何が好きなのか。風変わりな異国の人よ。
--- わたしは雲が・・・ あそこを流れてゆく雲が、
  不可思議な雲が好きなのだ。


なにひとつ描写されずとも、ある雲は直接われわれを引きつけ、或る雲はわれわれをうち倒す。


。"王女マレーヌ" の罪の嵐のように、雲が呪われた館の "穴倉からう屋根裏部屋まで" を震わせるのに雷は必要でない。》

  肝心なのは引用の最後だ。

《雷は必要でない。
一つの世界全体に不幸を重くのしかからせるには一片の黒い雲でこと足りるのだ。》

             (宇佐見英治様訳)

再び病理組曲のピースでした。


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エッセンシャル

February 07, 2018

どこにでもくっついてくるブルゴーニュ君が
キッチンでご用事が済むのを待ってるところ。


ご用が済んで抱っこしてもらえるのを今か今かと待つのです。

今朝はまた1歩前進。元気が出てきました。
昨日長文を書き写すエネルギーが無くて、バシュラールの引用が短くて解り辛かったかも。

  *ガラスと花


昨日書き出したところの前文を書いておきますネ。


《いいかえれば、人々はイメージの不思議な統一に潜む物質的想像力をみずから体得しようとしないのである。そうなると形容詞のひびきあいを思い誤ってしまう。そのわけを示そう。

古いヨーロッパには、明るい、からっとした、悦ばしい国々がある。反対に東方の砂漠の上方には雲がかかっているが、反ヨーロッパ的な知恵、東洋的な知恵について、一層正確には新しい東洋の知恵について瞑想する思想家は物質的想像力に対する激しい激しい偏愛をもって、明るい、愛の空気のなかに生きている雲は、普通の雲のように曇っていないことを知っている。


同様にニーチェ的頂上に落ちかかる水は水中の水ではない。


天の牝牛からしぼられた乳はいわゆる乳でも乳らしいものでもなく、ディオニュソス的なものである。

ちょうどわれわれはここで、われわれの一般的命題を理解してもらうのに好適な例がえられる。》

             (宇佐見英治様訳)

もう楽しくて・・・
自分なんか何一つおしゃべりすべきじゃないと思える。
必要なことは全部彼らの筆で書いてある。

削ぎ落とされ、無駄はないのに豊かさに溢れたEssentialと
極めてフランス的な彼の想念が、今日の元気の源になりました。



乎Paris1岩風呂のドミノの中に

January 27, 2018

シェルフなど小さなスペースに赤いコーナーを作ってる。
年を重ねて益々明るい色が好きになってゆく。


昨日 '大の温泉嫌い' って発言した。

  *ハーシーズと凍結

温泉が得意じゃあないお方もそこそこ居られると思うのだ。

(ぬくもり易いでしょうが)湯疲れ&湯あたりし易いから・(皮膚に良いのでしょうが)ぬめりを気持ち悪く感じるから・(自然の香でお好きな方も多いでしょうが)匂いに強弱はあれどお湯の香が気分が良くないから

等々を括弧の言葉抜きで思ったりする。

全国民が温泉好きなわけじゃあなくても苦手層を取り上げる意味なんてないし、厭なら行かなければ良いだけの簡単なお話だから実際の数なんてわからないものなのでしょうね。


昔々お仕事絡みのお付き合いにグループで出かけたとき、行先で急に温泉に入ることになって苦しい想いをしたことがあった。


行き届いたサービスで清潔な温泉だった。苦しかったのは '温泉は誰だって好きでしょう' って空気のほうだった。

以来温泉のイメージはとても悪くなり、昨日給湯設備の凍結で温泉行きしか方法がないと判って気が塞ぐほどでした。

よく知らないんだからイメージでしかないけれど
悪いイメージってものは巨大な圧力だと思う。


和の空間を是が非でも楽しみなさい、ほら味があるだろう。
って迫られてるような気分になる。


何に? 例えば露天風呂の岩に。
岩が黒っぽいぬめりを見せる斜面は、ほほうと感心しなければならないと威圧してくる。

何に?或いは温泉旅館の奇妙に曲がり角の多い廊下に。
長い廊下は・・・回廊式じゃなく奥まる方へ奥まる方へと閉ざしてゆく廊下は、2つの選択肢を迫ってくる。

廊下はミシリと音を立てながら、'落ち着きますねえ' か 'やっぱり和の空間がいいですねえ' かどちらかを言え、さあ言え! と圧迫してくる。


意地でも口を開くものかとスルーしてると誰かが勧んでそれらの言葉を嬉しげに口にする。良いことだと思う。


岩風呂好きも宿好きも個人の感想だから好きに思えばいい。ポジティヴな感情はどんどん伝えればいい。

だけど個人としてやってくれ。
赤の他人の私まで同意してることにしないでくれ。

"これいいな/ここ好きだな" と話してくれ。
"これいいよね/ここ素敵だよね" の会話形態の意味がわからない。

  1文ずつ主語をつけない言語の中にいると
  多くの主語が [其の場に居る我々] となっていく事実を
  暗黙のうちに強要してると気づけないほど鈍くなるのか。

・・・こんな事を感じ続けたのが過去の温泉の思い出である。

温泉自体はあんまり憶えてない。
温泉を楽しむ人々の横で文章の主語の必要性を執拗に考え続けた記憶だけはっきりある。


さて昨日連れて行ってもらった温泉は其れとは全然違ってた。
近頃は抵抗なく入れる大きなプールみたいな所がたくさんあるって知った。


岩も、奥まってゆく廊下もなかった。
温泉施設の中は好きな回廊式だった。

温泉嫌いが1日で直るくらい気持ち良かった。
行きの車はテンションだだ下がりだったのに
帰りには、また行きたいって思ってた。

ところで本項は "病理組曲" の1ピースであり、タイトルはクープラン組曲 'oo色のドミノの中に' シリーズを模しました。


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