ParisV



日仏ことば遊び

November 27, 2010

昨日の記事のやり取りを日本的って申す理由・・・


お歌って詠んだことないけれど・・・。とことん無知な、人生お初の即興句でお話しますね。暴挙だわ・・・


**


《古き馬場 秋陽に染める カルーゼル》


フランス鴨君が【ルーヴルのカルーゼル】と間違えたときのお便りは たとえば此んなふう。

ルーヴル中庭に面した凱旋門はくすんでやわやわしたピンクだから・・・ 中庭に映えて馬場も染めるイメージで、秋陽を季語にしました。

馬場のキーワードで凱旋門と気づき、やんわりと訂正するお返事に


《カルーゼル 巡る月日の 秋かぞえ》


ってお送りしたとするでしょう。"カルーゼル巡る(廻る) " はメリーゴーランドの方ネ。


**


お歌のプロの読者様がご覧になってるのに酷いコトしちゃった(恥)
私のよぼよぼ句はおしまいにして、ただ思い起こしてくださる方がいらっしゃるとヨイなぁって・・・。

私たち日本人は前後ともにかかる語句を選んだり、キーワードを挟んだり 謎かけもしながら受けては返すやり取りをリズム豊かに取り交わしてきたんだナ・・・って。

そしてフランスにも同じ風な良き文化があって・・・ ことば遊びが大好きな2国の民は 共通の楽しみが持てるのねって思ったのでした。

*ときどき日本人



失敗写真デス

November 12, 2010

候補写真は此ちらのページにまとめてあります・・・ 今日は失敗写真ネ。2回クリックで元の大きさになるシリーズですヨ。


撮影時お願いした事があるの。ヴァイオリンやフルートのかたと違って楽器が写らない分、手や腕の筋肉をがっつり写して頂戴ナって。アスリート的な注文です。だからどの写真も腕や指がメインなのヨ。

顔はなるたけ暈してホンワカねって日本的なお願いをしました。
でもねフランスで選ばれるのは、きっと失敗写真のほうなんです。

パリでお初にコンサートの写真選びをしたとき びっくりしたの。日本でなら一等先にボツになりそうな偉そうなポーズのが載っちゃったり


魔性系っぽくてヤダ〜なものが好まれたり。本当に日本とは基準が異なるって感じます。


下から撮る角度は老けてるのが誤魔化せないからダメダメって思うけれど、ふわふわせずに年齢と人間がちゃんと出ている写真が好まれることも多く・・・ 

そういえばメディアやスクリーンの方々の人気も、フランスは昔からお顔立ちよりお顔つき重視なところがありますよね。

造形が悪くて整わなくても 人間を表す息吹第一とするフランス人の写真の選び方・・・ 自分に向けられる場合とっても苦手だったワ・・・


私は・・・自分が出てないホンワカ写真のほうが好きだのに。
自分らしいのは とっても嫌いだワ。



望郷とエートルとショパン

September 18, 2010

望郷の想いを抱く故郷は

場所だけを表すのじゃない・・・


先日のお話に絡む私自身の主題です。

古い縫いぐるみを大切にしてらっしゃるかたはね、昔の自分も一緒に大切にしてらっしゃるんじゃあないかしら。縫いぐるみが間違いなく生きてるって感じながらおしゃべりした小さな時代を含めて愛してらっしゃるんじゃないかしら。

大切だった物がずっと変わらず大切であり続けるって とっても貴重。
それはね、故郷を望む心を持ち続けることのように感じるの・・・

お引越しや数々の災害で物はやむなく失われる。だからこそ、側にあるのを大切に思う気持ちを自らは絶ちたくない。


**


生きてくと誰もが自身をどんどん作り上げる・・・。女性はお化粧して初めから美しかったように装い、男性は生まれたときから立派なスーツを着ていたお顔をしなきゃならない。

ショパンはそれを選ばなかったのね? 洗練されない故郷の風景を常に胸に持っていて・・・。パリに住まった世紀の作曲家が、美しいばかりじゃない故郷が甘美なお作を生み出していると見せてくれる。

ピアノを弾くのも生活も 其んな様で居たいと思う。


**


おはじき遊びが好きだったの。


本物のおはじきは、お友達に頂いた5粒ほどしか持ってなかった。もっと欲しいって思わなかった。

何故って小さなヒューズでおはじきするのが うんと気に入っていたから。切れたヒューズを貰い受けては せっせと集めた。今も此の通り変テコな様子で飾ってる。

いつだかに書いたワ・・・

《錆びた古やすりを捨てて、素敵なアンティークを買い飾るとしたら 私はとっても悲しい気持ちがすると思う。格好悪い自分のエートルを捨てて、素敵な他人様のエートルを持つことはできないのだから。》って。

美しくない私の故郷は古ぼけたお道具や切れたヒューズで・・・
故郷には、エートルのもとが埋まっている気がする。

ショパンもそう感じたのかしら・・・

*望郷

*内緒のエートルは黒田節

*エートルを愛でる
*エートル
*エートルが繋がる
*エートルとプロセス
*エートルとエグザゴン
*古いスクリーンはワンコのエートル
*スペインへの恋(7)ギターの音

?ぴちこちゃんの恋愛(3)好きな品物
HPお道具ページ

*アンティーク好きの理由
*アンティーク途中
*アンティーククロスはまだ先
*アンティークを愛でる


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エートルを愛でる

August 02, 2010

昔に使われてた垂直測量器具。下げ振りって呼ばれてたんですって。


でも私、間違って憶えたのよ。クレヨン、ニンジン、お積み木・・・物の名を憶えるころ、此れを "スイチョク" って名前と思い込んだ。お道具と垂直って言葉をセットで見聞きしたから。

垂直測定に光を使うようになったのちは、大好きな本箱で栞のように飾られてる。
愛されたお道具は良い表情をする。

誰がどんな風に愛用したか知り、物と人の側でプロセスを見る。
お道具が古び、人が老い、技術発達でとうとう使われなくなり・・・
それでも大切に飾られた。

アンティークを愛でることと、エートルを愛でることが繋がるのは素敵だと思った。だから私も真似っこして 楽譜やピアノキーを飾った。

*アンティーク好きの理由
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大正浪漫(3)礼子の巴里

July 01, 2010

海の向こうへ手が届かない時代に、異国に漠然と憧れる気持ち・・・。吉屋信子様が幾冊も書かれた少女世界が大好きなの。


和洋折衷は、和も洋も手に入れられる現代人が遊び心でつくる内装スタイルなんですね。吉屋様お筆の少女たちには叶わぬ夢。

彼女たちの時代には滅多に手の内にできない欧羅巴の小さな品を たった一つ日本間の特等席に飾る。

踏み入れられないからこそ夢を見て、捉えどころがない遠いお国を空想する女学生さん・・・ かわゆくて美しくて、彼女達のお部屋を模して日本間を整える。


《黒髪のお垂髪(さげ)のベルベットの海老茶色の振れるにまかせて、長い友禅模様の袂の羽織を重ねて重きがままにゆるる華やかな、よそおいの少女 -- おそらくはその紳士の愛嬢であろう、父なる人にせかれつつ車室へと走りよる、左手に南京玉の飾り房をゆらがせた美しいハンドバッグ -- そして右手には花の一束、真白い洋紙に覆われた隙から仄もる花の面影は、これぞこれ、露も滴らん朝浄き眠りよえい眼覚めて温室の窓を出でたるばかりと見ゆる黄薔薇の花! あわれ、黄薔薇の花! 》

                                                吉屋信子 "黄薔薇" 浦上礼子のシーンより


**


此んな少女が憩う日本間の設えが憧れなのです。使うのは自前の品ばかり。精神哲学思想家の谷口隆之助氏お手書きの原稿があるの。古い原稿用紙を飾ってみる。

私が実際に使ったオブラートの箱。幼児の頃は出回っていたのヨ。昔は腺病質でたくさんお薬を求めたから箱もたくさん。薄い箱を集めて押し花を入れてました。

浪漫風には程遠いけれど大正世界に段々近づいてみたいな・・・

*大正浪漫(1)純一の巴里
*      (2)桂子の巴里



アンティーク途中

June 29, 2010

アンティークのお話とエートルのお話を別々に書いてきた。

2つが音楽で繋がるのが自分らしいカナ・・・


ココに載せてた古いキーはね、とっくに弾き潰してしまった此のピアノのキーなんですヨ。

音がふかふかヘタってしまったの。成長期、アップライトでおさらいする限界と楽器が傷む時期が重なった。小学高学年へ上がったときに買い換えることになったんです。最初のピアノの思い出にとキーだけはずっと持ってる。

時の波に洗われて、擦れた表面が柔らかになった。アンティークって呼ばれる100年にはまだ遠いけど・・・大事だったものの欠片を大事な気持ちのまま持ち続け、先でアンティークになってゆく過程を大切に感じる。

安価な金属キーに価値はないワ。持ち主にとってだけ特別なもの。一冊の本、一枚のカード、それぞれの特別は きっとどなたにもありますネ。

*アンティーク好きの理由
*アンティーククロスはまだ先
*アンティークを愛でる

*エートル
*エートルが繋がる
*エートルとプロセス
*エートルとエグザゴン
*古いスクリーンはワンコのエートル



愛すべきフランス

June 15, 2010

小さくか細いペン? ハンドバッグから すっと取り出すと素敵かも・・・?


ううん、此れはね、愛すべきいつもの変テコ古道具なのヨ。後ろのポッチを押すと、先っぽから意外な針金が飛び出します。


**


愛すべきって言い方は面白い。誰もが手放しで奨励する事物や人物には あまり使われない。"愛すべきルーベンス" って聞かないし、"愛すべきバッハ" も言い難い・・・

どうしようもなく大きな欠点があって、それを上回る魅力を備えたものによく使う。
フランスで最も頻繁に "愛すべき" の表現がされた公人はフランソワ・ミッテラン大統領だったのじゃあないかしら。

多大な欠陥・欠点とあり余る力で人々を惹きつけた独特の人物はトントン(おっちゃん)の愛称で長く親しまれました。彼の欠陥がモラルに関わる問題を含んでいてさえも。

フランスの好みだって気がするの。欠陥があっても、減点をするよりその裏返しのチャームが人を魅了するのが素敵って感じ方。小象ババールの絵本も同じふうに愛されるのじゃあないかしら。

ババールはね、誰もが良作と思ってないの。植民地肯定要素が強いと批判を受け、政治的プロパガンダとも揶揄されました。同じ数以上に擁護の声も高く、後にはフランス国宝に認定。

もしも小象ババールが誰の意志も逆撫でしない子供用の平和な良作だったらば、これほどまでに読み次がれたかどうか・・・
欠陥を含んだ "愛すべき" お作として親しまれるのかもって思う。

大人しやかなお作より "愛すべき" ババールが好きだわ。フランス国そのもののように、不合理で一方的で たまらなく魅力的なもの・・・

今日はババールの合わせです・・・♪

*パリの不合理



アンティーク好きの理由

June 10, 2010

アンティーク好きって幾度か書いた。

申し誤ったかも・・・って反省してる。


ウェーバーの楽譜・・・先月のプログラムに入れていた。ロマン派ドラマティシズムの一方で、悲劇的じゃなくてどこかがお調子者ふうな可愛さ。おさらいで裂けそうに磨耗したページに愛着がある。

セルフブロカントのやすり。彼ち此ちに置かれてる見慣れたいつもの古道具。大好きで 古びても断固使い続ける。

此んな風にちっとも素敵じゃあない物って、大抵のお家に1つ2つある。


欠けが出たホーロー鍋
先っぽが曲がっちゃったフォーク
変テコ柄の編みこみセーター


どなたのところにもありそうな物たちは、見た目難があっても持ち主の歴史をたがえず刻んでる。

先日の穴空きバッグも・・・ バッグの中にお師匠様がたのお声や お友達の思い出が詰まっていなければ、壁にまで飾っただろうか・・・

多分、飾るために物を買おうとはしない。関わってくれた人たちの思い出が入ってるから飾りたくなる。


もしも・・・


錆びた古やすりを捨てて、素敵なアンティークのお道具を買い飾るとしたら 私はとっても悲しい気持ちがすると思う。

格好悪い自分のエートルを捨てて、素敵な他人様のエートルを持つことはできないのだから。

お引越しやご結婚生活で失われた古道具を、年とってもう一度手の内に集めるアンティーク好きさんが居らっした。自分のルーツを取り戻すために物を求めるかた・・・とても共感した。

*アンティーククロスはまだ先
*アンティークを愛でる
*古いスクリーンはワンコのエートル
*エートル
*エートルが繋がる
*エートルとプロセス
*エートルとエグザゴン
*スペインへの恋(7)ギターの音
?ぴちこちゃんの恋愛(3)好きな品物



古いスクリーンはワンコのエートル

May 16, 2010

風邪の熱がさがった。良かった・・・♪
せんに書いた記事、古い映写機がある読書室・・・
様子を写すとお友達が 此んなのあった? って問うのヨ。


似た雰囲気の物たちは一つ一つが目立たないから・・・お部屋を通ったお友達も、あとのブログでお初に目にした気がするよう。同じ場所で同じ時間を経てきたから どの品も同じトーンを纏うのかもしれないナ。

古いスライド機と 毛がはげちゃってる大好きなぬいぐるみ。祖父が描きさしにしたままのキャンバスを幾つか床置きにして。


映写のための古い古いスクリーンは

たくさんのフィルムやスライドを映してきました。


何十年も前に亡くなったワンコも スクリーンの中を走ってた。8mm画像でコマ落しのような動きして。

一緒に寝起きしたワンコが今も中を走ってるようで大切なスクリーン。長い間側にある古い物は、いろんな命の姿が染み込んだ特別な存在。

*エートル
*エートルが繋がる
*エートルとプロセス
*エートルとエグザゴン
*スペインへの恋(7)ギターの音
?ぴちこちゃんの恋愛(3)好きな品物



怪談の日仏

April 28, 2010

*5月3日午後2時、布引ハーブ園のリサイタルです・・・♪

19世紀フランス文学者ジェラール・ド・ネルヴァル "魔法の手" を読んだ。


意志に反して動く手が中心になるところから、分類は怪談になるよう。でも日本の怪談とはまるで違ってるの。ハイネはね "フランスに怪談は存在しない" って言ったのですって・・・。

受け手を恐怖に巻き込む怪談は、無差別的に災いが降りかかる暗示がありますね。偶然災いの地を通ったから、偶然災いの住まいに部屋を求めたから・・・対象が限られないから無闇な恐怖心を覚えるのネ。

そしてお話の中心は、災い其の物。災いは最初っから最後まで存在して、怨恨の原因を究明しても消えることはない。


宗教的土壌の違いを感じます。

ネルヴァルのは、可笑しみある幻想奇談。


災難は当人の内に留まり、読者は客観視をして我を振返る。
深層が "魔法の手" の行動に現れてしまうなら、憎しみを持たぬようにしたいと思わせた。

挿絵はコンケ版マルセル・ピーユ画

*オーレリア或いは夢と人生 



訳すということ(11)スタンダール

April 08, 2010

プレーリードッグちゃんにスフレ菓子を頂いて一緒にお茶をした。


ショパンが大好きなプレーリードッグちゃんにショパン・プログラムを聞いてもらった。それからお医者様へ・・・

長過ぎる待ち時間にうんざりとしながらスタンダール "カストロの尼" を読み終わった。文庫は絶版と聞いたので古本屋さんで求めたのヨ。

"カストロの尼" はね、ちょっぴり厳しかったナ・・・。何故って私の中に内容ベースがないからです。

イタリア年代記といわれる作品。舞台背景をまるで知らないのです・・・


**


ゾラも、プルーストも、ラディゲもパリ周辺舞台のお作は 特別に楽しく読む・・・。区域の名が出てくればブルジョアが住む界隈か労働者の区画か当たりが付き、様子が見えるようにわかってくる。

通りの名があれば、ほど近い場所に馬車を使う財産家か 遠くまで木靴を鳴らして歩く小間遣いかと 其のキャラクターも浮き上がってくる。

ところがねイタリア舞台の小説では勝手が違ってる。《アルバノから六里隔つた、ヴァルモントーネ近くの山中》って何処なの? って思いながら《羅馬のトルディノーナ監獄に護送する》と先を読んでも距離感も何もわからない。

するとね、お話の筋と登場人物の行為を追うだけに終始してしまう。
お話が書かれた意味に立ち返り 自分の中で訳す余裕もないままに終えてしまったワ。

読者の中で物事を訳すことは、書物の向こうのベースを持つのが始まりなんだわと思いました・・・。ベースがなかったから筋を追いかけただけ・・・消化不良です。もっと色んな本を ちゃんと読めるようになりたいナ。

*訳すということ(1)野鳩
*         (2)椿姫の白
*         (3)マノン・レスコー
*         (4)カフェオレのボウル
*         (5)マカロン
*         (6)マリア様のお顔
*         (7)クロモスとお友達
*         (8)伴奏
*         (9)エコルセ
*         (10)メープルクッキー



エートルとエグザゴン

April 07, 2010

フランス手彫りの小箱・・・

開けてみる・・・?


音楽と文学のお話が多くて ちょっぴり硬かったですものネ。今朝は古い小箱の中身ネ!

蓋の合わせ目にも繋がった模様彫りが入る。
ちょっとだけ開くと ほら・・・


色褪せた赤い織布が覗く。

枠に組まれた木の仕切り。


何が入っているでしょう。長い間変わらず好きな宝物が入ってるのヨ。小さい時は遊び道具にもなってました。レース? 宝石? 香水瓶?


小さな六角レンチでした・・・♪

鉄がすっかり黒ずんで好い表情。


今は八角オクトゴナルの食器類など大層人気ですね。私オクトゴナルのお皿は一つも持ってなくって、此んなエグザゴナルなら お山ほども揃ってる。

エグザゴンってヘキサゴンのことネ! セルフブロカントの工具を宝物にして飾る変わった癖が止まないのよ。


大小の六角レンチ、大好き。

変態さんみたい・・・


何故ってオーディオにも頻繁に使われる此れらお道具の手助けで 食べさせてもらい育ってきたから・・・。私にとってはエートルの出どころ、文字通り血肉を作ってくれた物なのですもの。

それにネ、l'Hexagon (レグザゴン) とはフランスの愛称でもあるのですヨ。フランス国は六角形をしていますものね。


ブルターニュで求めたシンプルな木箱にも・・・

六角アタッチメント!


*エートル
*エートルが繋がる
*エートルとプロセス
*スペインへの恋(7)ギターの音
?ぴちこちゃんの恋愛(3)好きな品物



ゾラ19世紀の記念碑

April 06, 2010

ゾラの読後感。極めて大きな満足感。

"居酒屋" 長編の凄さ・・・


ユゴーやミュッセ、とりわけバルザックに憧れたゾラの書き込みと視野。過去には黙殺されていた労働者世界にスポットを当てた大作です。

多田道太郎様の解説に寄れば、出版年(1877年)のうちに38版を重ね、1881年には10万部に達していたそう。

出版当初にブルジョアの批難を浴びた作品だったことも頷ける・・・。生活の頂点に達した主人公・・・それは洗濯女の時代と比べての頂点でありましょう。下町労働者街の視点。お洗濯アイロン掛けのお店を開くことが栄華の頂に設定される。

しかし労働者階級さえもが後には羨む対象となるほどの転落を自らが招く。

お酒に溺れ、惰性ゆえに仕事を減らし、見栄は止まず、異性への弱さとだらしなさに身を持ち崩し、過食の肥満で身体も心も鈍ってゆく。

精神までもが酩酊し、自尊心が脂肪に覆われ鈍くなるような描写は、ゾラ独特の切り込みです。


多田道太郎様の解き明かしは大変に的を得ているので抜粋いたしますネ・・・


《「ここにはどのようにして民衆が生き、民衆が死んでゆくかがかかれている。私は結論をくだすことを禁じられている書記にすぎない。」

クーポーが強い酒をあおるようになれば、気の早い読者は、ああわかった、と思うだろう。はたしてクーポーはアルコール中毒で狂う。もうこれで十分だと思う。しかしゾラにとっては十分ではない。クーポーが狂い死にするまで、彼は家と病院とのあいだを「ピクニックのように」往ったり還ったりする。手短かに「ああわかった」というところでやめてしまうのは一つの小説美学である。「見切り」の達人であったアランはもちろんその美学をえらぶ。しかしゾラにとってそれでは十分ではなかった。》

                                       (昭和36年河出書房発行 世界文学全集より)


残酷な現実。事実の重さ。脈々と続く下層の階級的運命に抗い切れない切なさ。


怠惰と限りない悪行が描き尽くされる。醜悪な末路と 塵のように取り扱われる命・・・

彼らの死の瞬間私たちは、階級なき生命に慈しみをおぼえる。
醜悪な世界に生きても一つ一つの命が美しいと愛しむ。

《こうしたことは考えるだけでも、お上品なひとびとをぞっとさせるだろう。だが、そういうご当人でも三日も何一つ口にしなかったら、はたしてすきっぱらで涼しい顔をしていられるだろうか。彼らだって、きっと四つんばいになって、仲間と同じようにきたないものをあさるだろう。ああ! 貧乏人の餓死、飢えを叫ぶからっぽの臓腑、歯をがらがらいわせて不潔なものでも腹いっぱいつめこもうとする獣のような欲求が、光かがやく金色のこのパリにあるとは! 》

                                               (本文より黒田憲治様訳)

*パリの不合理
*ミスタンゲットのパリ
*街角が香る
*街の色



訳すということ(10)メープルクッキー

Mar
ch 22, 2010

ジャン・パティスト・ラシーヌ "ブリタニキュス" を読んでた。


近ごろは訳すって何かなって考える機会が多いナ。文学のこと、音楽のこと、そうして私にとって大切な教会典礼のこと。

素晴らしい訳は本当に多くって。けれどもラシーヌばかりは大変に難しいものなのね・・・。ラシーヌの文体を表現するために訳者様がたがご苦労されて古文調を使われたり 名詞にも工夫を凝らされたり。

だから筋と雰囲気はよくよく伝わる。それでも戯曲のリズムを伝えるのはとても困難。そしてね何故そうなるの? って背景も、短な文内で表すのに限りがあって・・・

訳者様がたのせいじゃない、そもそもに語が含む事柄の問題があるのね・・・


カナダのメープルクッキーを食べてみた。

同じ形のピューターを使って。


此のクッキーは日本で人気薄・・・たぶん甘すぎるからネ?
お食事あとのちょっと一口は、甘味控えた楽しみが好ましいから・・・。

私たちが住んでるのは、恵まれた気候で寒さに体力限界まで奪われることが少ない国。充分に身体を保つご飯が頂けるから、お菓子はちょっぴりな甘さで満足がいく。

肉体的労働は先進国の常識的基準内に納まって、カロリー摂取に努めるよりも むしろダイエタリー食品が出回って甘味にも飽いた風・・・

其んな私たちにとって甘すぎるお菓子。
だから思い返してみる。

零下数十度。髪も凍りそうな気温は立ってるだけで体力がどんどん消えてく。防寒着は重く、腰まである雪の中を移動する困難。1時間もせず力奪われてしまう。

嵩あるクッキーに もったりしたクリームがたっぷり。バターとメープルシロップがふんだんに入ってる・・・1片を口に放れば回復が実感できるくらいに甘くって。

メープルシロップの甘さは 冷え切った身体をどんなにか暖めるでしょう。彼らは甘すぎるって思わない。

ひと処からは見えない物事の理由。文に表しきれない事柄に、自分が立ち位置を変えてみることが訳を見るということカナ・・・。

*訳すということ(1)野鳩
*         (2)椿姫の白
*         (3)マノン・レスコー
*         (4)カフェオレのボウル
*         (5)マカロン
*         (6)マリア様のお顔
*         (7)クロモスとお友達
*         (8)伴奏
*         (9)エコルセ



訳すということ(9)エコルセ

March 18, 2010

傷口の消毒が済んだ。

感染症もなくて傷は安心みたい・・・♪


骨を刺激したために起こった炎症はちょっと大変。早く痛みが取れると良いナ。

はらりと軽い本高砂屋さんのエコルセ、お見舞いに頂いた。パッケージも大好きなの。綿貫宏介様の樹木のデザインがすごく可愛い・・・♪ レトロシックなグリーンと 葉っぱがヒラリの綺麗なバランス。寒色なのに暖かね。

エコルセって商品名も大好きよ。ecorce (樹皮) から引いてきたと小さいときに聞かされて、本当に樹皮のような薄い重なりを不思議な思いで眺めたワ・・・。子供って遊んだり観察したりしながら頂きますものネ。

エコルスのふうに作られたからエコルセ。独自の造語。でもピタリと決まって、意味を持って定着する。それって素敵だナ・・・

フランスに "タタミゼ" って言葉があるの。畳ゼ・・・東洋風に仕立てた物や設えを表す造語です。畳ふうの、畳が似合う、畳っぽい仕上げe.t.c.と様々に使われる。タタミゼって、雰囲気伝わってきますよネ!

元ある単語を含む言葉が其のまま意味を表す。かわゆい造語たちは既に訳された言葉なのね。

明日はブルゴーニュ君ネ。

*訳すということ(1)野鳩
*         (2)椿姫の白
*         (3)マノン・レスコー
*         (4)カフェオレのボウル
*         (5)マカロン
*         (6)マリア様のお顔
*         (7)クロモスとお友達
*         (8)伴奏



エートルとプロセス

March 14, 2010

明日は骨を削るみたい・・・。

やだナ・・・。しょうがないナ。


抗生物質を飲んで免疫力をあげておき、消耗せぬようおとなしくしてる前日日曜日。

朝に好きなコーナーをお掃除して楽しんだ。ピアノ室から出た踊り場なのヨ。ユーカリ、薔薇、紫陽花・・・コンサートのお花のドライ。

ドライフラワーの向こう側にちょこんと見えるテディ・ベアの茶色い頭。お誕生日に音楽仲間がパリの古いお店で探してくれた。

インテリアは大好き。もっと好きなのは其れらが語る結びつき。お花はね、贈り主さんと一緒に会場でピアノを聞いてくれてた。テディ・ベアはお部屋で、贈り主さんとの合わせを聞いていた。


テディ・ベアテーブルの奥手。


せんに絵画コラボ・コンサートでご一緒しました、フランス在住野口明美さん作品のカード。コンサートの中心出物になった版画にパリのメトロが描かれて。

お友達と聞きにお出掛けしたシャンゼリゼ座のチケット。いつもながら彼ち此ちにあるモーター部品。お師匠様のカシュー缶。 

インテリアと言ったらば笑われちゃうような何でもない物ばかり・・・。変てこだったりダサかったり・・・けれど自分の言葉でプロセスを説明できる物。

一緒に存在過程を踏んだ物。エートルを表す物。此んな物たちと時を重ね、自分を振り返っては新しい時を作る・・・

インテリアは私にとって其のようなものみたい。時と人の重なりを見つめて生きてゆく空間を作るもの・・・。


ホウレンソウのクリーム煮たっぷりで朝ご飯。

明日うまくゆきますように・・・。


*エートル
*エートルが繋がる



表れること(3)グリーンのボウル

February 21, 2010


イタリアおみやのカントゥチーニ。中世トスカーナの伝統菓子は、噛みしめるごと風味が広がる。


ポール・ラコム(仏1838〜1920)の楽譜を捲る。表紙の深いグリーン、ボウルの色とお友達のよう・・・

メルスリーヒゲ様のお店より購入したボウル。刻印は番号のアルファベット一つ・・・

ヒゲ様のご推察では、ボウルは1930〜50のディゴワン・サルグミンヌかサンタマンじゃあないかって・・・。あくまでも消去法でのご推測です。

年代や型式の知識はないけれど同じ風に思ったのよ。サンタマンじゃあないかしらって。

絵付けは粗さがある。はみ出し、滲み。釉の色が内に入り込んでる。ところが見た感じの粗さに反して、唇に当たる縁感触の柔らかさ。うっかり歯を当ててしまったとき、"コン" って音がしない。こそっ・・・かさっ・・・って優しい音がする。

其れらの要素がね、手持ちのサンタマンと同じ風なの。

古びてラインが入ってしまってる。縁も底も色付きが目立つ。模様も・・・洗練からは遠い。だのにね、お茶を飲むとまるでちがってる。

感触が甘く柔らかいの。

こういったものがとても好き・・・ 見ると粗いんだのに使うと自然に馴染んでゆく品。側に置いてこそ表れることに惹かれる。

物もお人も。

*表れること(1)ジャン・コクトー
*表れること(2)有機物



女の子はファンシー好き(10)バイエル

February 16, 2010

もの心つく前に毎日見た絵。

こどものバイエル上下巻・・・


いわゆる赤いバイエルと青いバイエルの挿絵です・・・♪

あっという間にバイエルを終えると泣いたのヨ・・・毎日触れた曲集とお別れするのが酷く嫌だったの。そうね・・・楽曲や曲集は、縫いぐるみのようなものだったワ。側にないと済まないの。

だからね、発表会を弾き終えたあとも終わりたくないって毎回号泣して大変でした。


バイエルのかわゆい挿絵は、

今見ても新鮮に光ってる。


お作は植竹邦良様。おさらいしながら絵の中に入り込む気持ちになって・・・。おさらい後は絵の白い部分で勝手に塗り絵をしていましたよ。


女の子の挿絵はね、特別に憧れてたのヨ。


此んな風なお姉様になってピアノを弾くんだわって夢見させてくれた。私はといえば、床に脚が届いていなかったもの・・・

現在もひきつづき楽譜イラストが大好きよ・・・♪

月光のふりそそぐテラスにリンクした楽譜イラストの、ブテ・ド・モンヴェル氏なども・・・。ファンシーシリーズ(7)でもご紹介したお方ネ!


イラスト楽譜初めが

こどものバイエルだったのです・・・。


楽しいバイエルの時間をお与えくださった植竹邦良様に、心からの感謝を捧げます。
私の人生を音楽に繋げてくださって本当にありがとうございました。



訳すということ(8)伴奏

February 13, 2010

赤芽柳が一層膨らんだ朝、

とっても楽しい文章を見つけた。


伴奏が主活動のお方の伴奏と ソロが主活動のお方の伴奏・・・随分と違うものですよね。

個人的な好みはね、ソロを弾かれるお方が帆走するような伴奏をしなさる時、贅沢な喜びに浸れるの。ソロと伴奏が相乗する音楽を聞く喜び。陰と日向を自在に行き来する存在感に触れるのって大好き。

伴奏に対する考え・作曲年代・室内楽のジャンル・・・それぞれ異なるものだから何が良いとは言えない。ただソリストさんと同じだけ音楽を喜んでいる伴奏者さんがいらっしゃると楽しくなるの。


**


翻訳も似たところがある。原作に忠実なことは大原則だけれど、陰になろうとしても溢れ表れる翻訳者さんの存在感にとても惹かれた。


ねえ・・・?

書物の前書きが此んなにもチャーミングな文章だったら どうでしょう?


《このあいびきは先年仏蘭西で死去した、露国では有名な小説家、ツルゲーネフという人の端物の作です。今度徳富先生のご依頼で訳して見ました。私の訳文は我ながら不思議とソノ何んだが、これでも原文は極めて面白いです。》


大変に私的で個人的な文を前書きに当てるかわゆさ・・・
まるでお下手な文の風を選び、短い中に訳者さんを表す要素の密度が極めて高い。

見たことないわネ、こんな前書き・・・

著したのは無論のこと二葉亭四迷様です。なんだかね、ツルゲーネフを読んでいるのに四迷様の色合いが強く強く出ていて・・・

"伴奏" に考えられるように、ソリスト -- ツルゲーネフの陰となるべきを破ってしまったってご意見があること、想像に難くありません。けれども此の変テコな "伴奏者さん" がいらっしゃることで 小説の音楽はなんて魅力的になるのでしょう。

お作を著す一方での露文翻訳は、まさにソリストさんが伴奏者役になった作品のようですね・・・。

四迷様のタイプの翻訳って、翻訳の役割に正しく当たらないかもしれない。多分ちょっぴり反則。

素敵な反則なんだわ。 



訳すということ(7)クロモスとお友達

February 10, 2010

ポプリにしたいお花、

カーテンクリップでぶら下げてみた。


いろんな場所にちょこんと引っ掛けるに便利かも・・・って気に入っちゃった。

せんだってクロモスをご紹介したときご質問を頂きましたよ。
CHROMOSはクロモじゃなくってクロモス? って。

CHROMOS、フランスではクロモって言いますよね。19世紀から20世紀にかけて フランスのショップ広告の形で刷られていた古いカードなど指します。

かたやイギリスで流行したクロモスは、カラフルな型抜きカードが今も有名ですね。カラー印刷技術の初期に 色の楽しさを楽しむ切り抜き式に作られたり・・・。

技術の発展に沿い 国ごとに目的や流行が異なり変革があって・・・。そして現在日本ではもっとゆるく 西洋の古い印刷紙全般をクロモスって呼んだりするのね。

上リンクでご紹介したファンファン・ラ・チューリップはアドバタイジングカードじゃないから、クロモより日本語で一般的な "クロモス" を選んでいます。

カーテンクリップのpot-pourriをね、ポ・プリって言わずによく使われる風に1単語のごとく "ポプリ" と書くように・・・ネ!


此んな風に日本に浸透した呼び方を選ぶこともあるけれど、フランスの意味方式で使ってる言葉もあるのヨ。


よく書いてる "お友達" などそうかな。

日本語で "お友達" っていうのは、共感できる個人を指す場合が多いでしょうか。
"お仲間" の日本語は、1対1の関係性は流動的。突詰めて向き合うよりは多人数で接触機会が多い・・・そんな捉え方と考えます。

この2語をフランス語の意と近く、逆に使ってるの。以下私個人の場合ですが・・・

des amis は示す範囲が広くって、知人に近いところも引っくるめて "お友達" って申してる。

特別なお友達にだけ特別な表現が存在するのも、des amisだけの表現の一般的な軽さを表す反証ではないかしらって気がしてます。

反対に "お仲間" って場合はles copainsのように共にあり共にありたい人たちを特定して言うのが癖かな・・・。ヤンキー君が使う "ツレ" のニュアンスに精神的に連れ合うことが含まれるようにネ。


**


一人一人語彙と使い方が違ってて、備える語彙のバックグラウンドを解くのが訳すことの始まりなのカナ。日本語同士も同じですね。

今朝は早い時間にお医者様。



エートルが繋がる

February 02, 2010

アネモネが満開になった朝。

変わらず届くお師匠様からの資料を読んでいた・・・。


せんに書きましたエートルの続きのようなコト・・・。

お便りはドビュッシー作曲 "月光のふりそそぐテラス" についてでしたよ。此のページに書きましたLeon VALLASの原文資料・・・1912年の曲タイトルを巡っての細かな考察文献をご郵送くださった。

そうしてね、上リンクのピエール・ロティを自然と思い出してたのよ・・・


**


夜に和紙をさわった。
ふと思った。書棚に此んな和紙の表紙があったわねって。

急に手が止まったワ。
書物の背表紙の様子が甦ったの。

それはくっきりした映像。
クラッとして目を閉じた。
閉じた瞼の奥、はっきり表紙を思い出した。

ドキドキしながら読書室へ飛んでった。

筆文字で縦に書いてあった文字は、







まあ何てこと。

Pロティって書いてあったの?!


随分前から目にしてたのに、大好きな Pierre LOTI と和表紙の縦書き "ロ〒人" は結び付かなかった・・・

一度は絶版になったと記憶してる古い書物。明治18年初来日の記録和訳が拙宅にあったなんて・・・。ロティは鹿鳴館パーティーに出席するほど日本贔屓でもあったのですものネ。


**


偶然と見えること・・・きっと偶然じゃあないのね。ロティがある書棚前でおままごとをしながら いつしか親族と同じ書物に目を向けるようになってた・・・単純な当たり前。

私はおうち時間が長かったから、興味の種を家内で拾ってた。お外へお出掛けが多いお方はお外の種を集めなさる。

女の子はファンシー好きシリーズと同じ、どなたもが持つ小さな種。



表れること(2)有機物

January 30, 2010

お人の手を感じるお皿。

陶器が纏う体温はイズミル手工芸の絵付け。


洗練されてない。塗りすぎ? って疑っちゃうほどに ポッコリポッコリ釉が浮き出てる。作り手さんの生活が表れる風な物が好き。


**


リスト "森のささやき" のページを捲ってた。第5回パリの風コートダジュールの回で演奏しました。

葉の合から漏れる光の輝き、枝擦れの音、豊かな緑。
森は一見すると目に綺麗・・・。

本当の森は遠目で見る姿よりずっと複雑で美しい。土は香り、水が滴り、地はぬかるむ。お花の芳香に混ざるツンと強い草の匂い。草花に虫が潜み、清らなさえずりが降る場所には鳥の落し物。

有機物の落し物を養分にお花が開く。根は腐葉土多い場所を取り競う。底穴に棲み付く小動物。テリトリーを奪い合い、弱肉強食が起こってる。

それが森。
それらを内包するのが森。

整えられた音の奥、表れてくる有機的な生命を求め探すの。



訳すということ(6)マリア様のお顔

January 26, 2010

よく立ち寄る親戚が何気なくくれた古い聖典。


内ページからマリア様の栞が出てきたの・・・

石で彫られた聖母子像はいつごろの物でしょうね。この像は忍ぶ雰囲気を強く醸しているのね・・・

仏像をお好きなかたが比べ見歩かれるように、私も様々な聖像を見比べるのが好きなのです。

国によって地域によって、また修道会の意向によって表現異なるマリア様のお顔。

どんな表情を打ち出すかは考え方により少しずつ違って参るでしょう。たくさんの絵画やアベ・マリアを歌った音楽も・・・映し出されたお姿が、作者の心も表すのね。


最近にプレゼントしていただいた小像は、ルルドのマリア様に見るお顔立ちをとても美しいと思った。



女の子はファンシー好き(9)アーサー・ラッカム

January 22, 2010

朝ごはん前にしたこと。


1) お庭で真っ赤に実った万両を摘んで盛ってみること。

2) 金子篤夫先生から送られたデルフォイの舞姫の資料を読んでしまうこと。Jean-Michel NECTOUX "Harmonie en bleu et or,Debussy,la musique et les arts,Fayard 2005" より抜粋でしたよ。

3) アーサー・ラッカムの絵写真を撮ること。


**


チョコレートウエハースみたいな縁の額。絵はHPにも使っているから見憶えがおありかも・・・。ドビュッシーの曲に関わった絵と教わった大学時代から飾ってる。

スペインの記事で触れた1906年(フランスでの出版は翌07年)のラッカム作品ネ! "ケンジントンガーデンのピーターパン" の1ページ、"妖精はあでやかな舞姫" と名付けられた絵。


此の写真をクリックすればご覧になり易いカナ・・・

一等右は気難しいお顔の蜘蛛。


蜘蛛はチェロを弾いていますね。すぐ左の小っちゃい子はバッタさん? クラリネットを吹いています。3人が居るのは蜘蛛の糸の上・・・ほら、下に蜘蛛の巣があるでしょう?

妖精は軽やかに蜘蛛の糸を渡ってく。写真に写っていない下部には もう1匹おちびさんも居たりして・・・

とってもファンシーなラッカム絵画・・・可愛いだけじゃなくてアカデミックなベースと暗示的な要素多し。

2年後にシェイクスピア "真夏の夜の夢" に乗り出すラッカムは、既にシェイクスピアの題材を用いた人物構成をとっている。

ラッカムの絵にはたくさんの昆虫や動物が出てくるの。神話や寓話の象徴的な生き物たちを お師匠様に教えていただき辿ってみた。
ラ・フォンテーヌに同じく、動植物の寓意を踏まえた取り扱いが隠れてるのね。

勿論のこと、ドビュッシーだってラッカムの絵世界に知的興奮を覚まされたお一人でした。同タイトル "妖精はあでやかな舞姫" で前奏曲を作曲していますね。第4回パリの風 モンサンミッシェルの回に演奏しました。

小さい頃に大好きだったラッカム。大人になって一層素敵に見えてきます・・・♪

  明日から更新時間にムラができるかもしれませんが、ご心配なくネ。



表れること(1)ジャン・コクトー

January 16, 2010

形整えられた姿は、内側を覗くことが時に難しい。

整っていない自分には遠い世界と感じるからかもしれないワ。


私にとってジャン・コクトーはそういった対象でした。昔々ティーンエイジャーの頃。

何も知っていなかったのよ。ちらと見えるコクトーはあまりにも長けた才能と豪華な人脈を持ってたわ。高校生でプルーストとお友達になって、20才で華々しく文壇デビュー。ほどなくしてニジンスキーと交友を深め、そこで得たバレエ界のお繋がりで 後には衣装や舞台芸術に乗り出して・・・

バレエ・リュスでのお顔ぶれも豪華絢爛。アンリ・マティス、マリー・ローランサン、パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、モーリス・ユトリロ、ジョルジュ・ルオー、ジョアン・ミロ・・・


マリー・ローランサンは此ちらに書きましたとおりネ。

緞帳デザイン、チケット、プログラムなどを手掛けてた。


周囲のゴージャスな顔ぶれもさることながら、ご自身は詩・小説・戯曲・絵画・衣装デザイン・デザイン画・評論・舞台・映画などなど数限りない才能を発揮して・・・

私の目にコクトーは この上ない成功者として映ってた。
愛してやまない此の良き時代の成功者と・・・

しばしば見誤ってしまうのは、整えられたものと 整った姿に映るものの違い。


一見端正な印象のコクトーは、私生活では少し違ってる・・・?


ラディゲを恋人に持ち、その死に当たって阿片中毒になり、閃きの才覚は賞賛の一方で古典的な芸術方面に煙たがられもして・・・

表裏一体になるお人の要素。

友情含めて一目惚れが多かった彼と 直感的な作品を生み出した彼が一体であるように。


**


お上手に整えきれなかった私生活と同じように作品も・・・技をもって整えたお作じゃあないと知った。端正に映るのは、極端に優れたバランス感覚ゆえかしら・・・

此のお話はまた続きます。
次回はブルゴーニュ君ネ。



ゼロ円インテリア

January 09, 2010

プライベートルームのインテリア、基本ゼロ円!
ゼロ円の物って、手にしたいきさつや 下さった方のご様子まで詰まってるから大好きよ。


フランスは日本ほど消費文化が発達していないから、お友達もインテリアに新しい品を暇なく取り入れることはなかったのです。そしてね、彼女たちのゼロ円用品をとても素敵って思ったのよ。

だからちょっぴり真似っこネ。幼児期のキャミソールを飾ったりして・・・
年季が入った無垢のシェルフは父が学生時代に自作した釘入れなの。

頂き物の筒型マッチ箱やエッフェル塔のお隣は、パリの神父様が下さったミニカードと、お友達と食べたギャレット・デ・ロワのフェーヴよ。しっかりゼロ円ですネ。フェーヴはマリア様の形。

下段は祖父が使ってたドイツの鉛筆削りがコロコロ。


**


イスラエルからお友達が届けてくれたカナのボトルの受け皿ったら、びっくりなお品なの。盆栽用の薄い植木鉢・・・割れて捨てられようとしてるのを拾ってボンドでくっつけた(笑) スモーキーオリーヴと焦茶色が 此の場所にぴったりって思ったんだもの。

祖母のベルギー時計の古い革箱。貰ったのったら箱だけ!
お師匠様のお古の教材楽譜はボロボロね。
タピオカちゃんの最近のお手紙束・・・たくさん書いてくれるの。

此んなゼロ円グッズが大好きよ。


棚の中はタンブリンを入れ物にして・・・

幼稚園から持ってるリバティ布を敷いてますよ。


四角なのは幼児期の音符お勉強カードなのヨ。カスタネットも幼稚園のだけど、大学でも使ったワ。体育授業のお遊びにフラメンコがあった時・・・。

両の手にカスタネットを嵌めて踊りながらバラランッて鳴らすの、教えていただいた・・・♪



フランスのクロモスとビュヴァー

January 07, 2010

新しい治療が始まる日。

お医者様へお出かけ前の更新です。


ビュヴァー、クロモス、古切手。小さい紙ものが好き。
アメリは行く先々で 水切り用の平らな小石を集めましたネ。私はパリのお出掛け先で小さなレストランカードを集めてしまってたの。

小石みたいに無償の拾い物。壁に小さなクリップ・ピンチで繋げてるのよ・・・♪ 奥にちょこって見えるのがパソコンデスクね。

外国のお友達のお手紙入れてる白いブリキ。イーヨーのお山から届いたアナベルも挿して・・・。

お友達やファミリーの気配がいっぱいに詰まった物を壁に飾る習慣も、フランスで教わったことだったワ・・・。

変哲なく価値もないインテリア。けれども沢山のお人に繋がってる小さなものが大好きよ。


此れはね、メルスリーヒゲ様より頂いたフランスのビュヴァー。

うふふモーツアルトのと同じシリーズなのです。


1815年ワーテルローの戦いのビュヴァーね! ナポレオンの大きな敗退、故に最後の戦乱となったワーテルロー。英語では 大敗・惨敗のことをウォータールー (Waterloo ワーテルロー) って表現しますね。

小さな紙もの、やっぱり大好き!


現行のカラークロモスは こんな風。

カフェや楽譜屋さんのカードたちよ♪


お医者様の用意をしなきゃ・・・
クロモスって こんなにも可愛いのに、診察券ときたらなんて味気ないのかしらね(涙)



象さんとポイントカード

January 03, 2010

象さんがマイブームです・・・♪

フランスのポイントカードの象さんよ。


子供さんが頑張ったときにポイントを与えてカードを貯めてゆくの。お店ポイントなどは日本に比べてごく少ないけれど、子供さん向きの此んな方法は増えてきました。

私もフランスの生徒ちゃんにレッスンポイントをあげてましたヨ。暗譜を頑張ったときなどにポイントを渡してあげるの。今は大人の生徒ちゃんが多いけれど・・・大人の男の子君もポイントほしいかしらね・・・?

写真の象さんはポストに入ってたのよ。うふふ、お友達のしわざです。
"桜ちゃん 骨ずい炎の治療をがんばっているから 特別に2ポイントあげようね。"


**


小象ババールや、ドビュッシー作曲ジャンボーの子守歌など象さんの話題が続きました。

今朝はジャンボーの追記ネ!


リンクページの楽譜のかわゆらしい絵、どなたのお作かご存知かしら・・・? あのね、ドビュッシーが描いたんですよ。

象さんはね、早世されたお嬢様シュシュちゃんのお気に入りの縫いぐるみだったの。咥えたお紐の先、風船はね同じ組曲内6曲目ゴリウォッグのお顔になっているのです・・・♪

卵色のバックに白く映るまだらは雪。そう、やはり同組曲4曲目 "雪が踊ってる" を表しているの。

なんて素敵に可愛らしいセンスでしょう。
こんな理由で象さんにハマっちゃった。


**


切手を整理してるチーズケースお隣、鉛筆はブロカント文具がお好きなお友達へ・・・♪

Hotel de Crillon Paris のと、古いタイプ Le Crillon Paris のロゴのものです。



パリの不合理

December 27, 2009

明日のMRI検査で 今年はお医者様終い。

通い詰めた病院への道、ちっとも懐かしくないったら(笑)


西ドイツ手焼き市で手に入れたカップに思い出したワ。
ドイツを案内してくれたお友達がフランスへ遊びにきたの。

パリの街なか。一緒に歩いてたわ。自動車の往来激しく4車線で行き交う場所。横断歩道はないの。

お友達、不安なお顔で私を見たワ。"此処まさか渡らないわね?"
渡るのよ。何故って離れ島のような位置の目的地へゆくには 其処っきり道がないのよ。

お友達、どうやって渡るの・・・? って泣きそうなお顔をした。
-- 強引に行けば良いの。

絶対無理だから行くのがどうにも怖いと言った。
-- 強引に行くの。

お友達が住むドイツの風景を思い出した。

道が正しく配備されて、車道を横切るお人や信号無視を見なかった。お行儀良い様子が印象に残った。最初なにかしらと思ってた細道は自転車道と教えられた。備え豊かで すっきり整ってた。

パリのような汚れや混沌、スピード違反に怒鳴り声、自動車とお人とワンコと鳩がくっちゃくちゃになった光景は目にしなかった。

ほんの少し旅しただけの よくは知らないドイツはね、フランスよりもずっと清潔で整頓されて規則正しかった。お陰で楽しい旅行ができて・・・そして思ったの。ああ私には、綺麗なドイツがきっと住みづらいワって。

車の間を縫って歩く私にしがみつきながら、ドイツのお友達は恐怖に泣かんばかりになってたわ・・・。イタリアよりずっとマシな道路事情だのにね・・・って思いながら腕を引いてあげた。


**


狭い場所にひしめくのは不合理。

我と不合理がカオスを招くの。


両に曲がろうとする車同士が譲り合わないまま車道の流れを止めてる。後ろからまた2台3台と押し込んでくる。最後には10台もそれ以上もが重なって、狭い交差点を封鎖する形。

我を張り合うがために全車が動けなくなるの。後ろへと退かなければ酷い停滞は解消しない。だのに誰もそうしない。やたらなテンションでクラクションを鳴らし続けるばかり。そして言うの。"また詰まっちまった。"

詰まった物は取り出さなきゃあね? 彼らは違ってる。詰まったら押し込もうとするんだワ。無理に見える。どうにも動けない風に思える。

そうとするうち僅かな隙間を1台が無理に抜ける。後続車もみな無理な行き方・・・無理を通して停滞は解消する。パリジャンたちも話題にする悪名高い習慣風景。

合理的じゃない解消の仕方。それでも解消は解消だと言わんばかりに。

不合理を起こす一つは不合理な道路。路線事情の悪さに加えて、渋滞を呼ぶ縦列駐車の層が道を塞ぐ。縦列駐車の車間って恐ろしく狭い。

前後よそ様のバンパーに軽くぶっつけて動かしながら 車を出し入れするのよ。酷いお行儀ね。

薫り高い芸術繁栄の一方にあるパリのカオス。
私ね、こんな風な汚らしいパリの一面も深く愛してるんだワ。



美しいプレイ

December 21, 2009

たくさんの金槌のなか、特に小さなのを飾ってみる。


キッチンの片隅。お花を活けるように。花瓶の代わりはコルクや蓋が入った鉄籠。

木は黒ずんで誇らしげに働きの跡を刻む、健やかに強い金槌。古道具の姿、凛々しく美しいと思う。


**


ほとんど電源を入れないテレビ、今年後半3度ONにした。8月にベルリン世界陸上でウサイン・ボルト選手を観たあとは、10月にテレビを点けたワ。男子フィギュアのロシア大会、エフゲニー・プルシェンコ選手の演技を観たくって。

次にテレビのスイッチを入れた11月。ジネディーヌ・ジダン様と中田英寿様の対談・・・♪ かぶりつきですヨ!

"私は美しいサッカーが見たい。" "美しいプレイを守らなければならない。" ってジダン様が仰ったの、印象的だった。奥深い言葉と思った。

美しいプレイを支える全てを果たしたお方の言葉だもの。高い資質を持って、資質を伸ばす練習を怠らず。個人としてチームとして弛まぬ努力をして。そうして史上最高の選手と誉れを得た先に、美しいプレイとは何かを体現された。

なんだかね、多くのものの道が行き着く先だって気がするの。ジダン様はサッカーでそれをなさったけれど、あらゆる事が其処に行き着くのじゃあないかしら。技術、身体、思想・・・高められた先に美があるのですものね・・・。

ジダン様がお話なさる言葉ね、いつもながらとてもシンプルで・・・。お利巧さんぶらないカジュアルな単語遣いをされるの。映画などは難しいフランス語初心者の方でもジダン様のお話なら判り易いのじゃないかしらってくらい。

単純な単語で、けれど論旨がはっきりしてる。予測、結果、次の示唆と的確にお話を運ばれる。飾らないお話ぶりの内容は 正確に的を得て・・・大変頭の良いお方ねって憧れちゃうのよ。

ね? 誇りを備え凛とした金槌のシンプルな美しさ、ジダン様の其れにどこか似てるの。




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