パリの風 T


仏訳(1)シェルブール ロマンスの雫

January 19, 2009

シリーズリサイタル "パリの風" では一回毎に副題をつけています。

"モンサンミッシェル 妖精の夢" ですとか
"ヴァンセンヌ 星屑の夜に" ですとかネ!


地名をフィックスする方法は様々でした。"コレット広場に吹く風は" の時などは、パレロワイヤル周辺の限られた場所に由来する曲解説とともに進めましたし、"フォンテーヌブロー 秋の小道で" の回は、風景がくれるイメージの喚起に頼りました。

今13回は "シェルブール ロマンスの雫"。
仏タイトルを巡ってタピオカちゃんと何度もメールを交わし、助けてもらいましたよ。何故って対訳ができない事情があったから。


どんな風に作っているかお見せするのに、以下書簡を載せましょう。


***


件名 le mot romance signifie une histoire d'amour

親愛なるタピオカちゃん
副題の相談にのってほしいの。英語でロマンスは恋物語、ある2人の愛の歴史だわね。日本語表現でも "ロマンス" と言えば英語のそれと同じなのよ。でもフランス語では違ってしまう。そこが問題。

ロマンスって単語を仏語副題に載せたいの。日本語タイトルに揃えるために。
一般仏語なら古いフランス詩の意味で、古典仏語なら完全韻律で歌われる詩ね? それをね、英語と同じロマンスの意味ってわかる並べ方にするにはどうすれば良いか考えてるの。

"愛のメモリー" ってふうな過ぎ去ったものってニュアンスを (載せる曲は悲劇的なのが多いものだから) 題名文中に含ませれば、この単語を使っても構わないと思う? つまり、そのようにすれば英単語のような意味に受け取れるものかしらね?

そしてね、タイトルだから7,8ワード以上にならないように・・・良いアイディアがある?

bisou☆
Sacra-Marie-Jeanne


***


続きは次回に・・・



パリの風 第13回プログラム

January 11, 2009

シリーズ・リサイタル "パリの風" は、お陰様で第13回を迎えます。

例年通り5月3日午後2時、布引ハーブ園 森のホールにて開催致します。


一足先にこちらで2009年のプログラムをお知らせ致しますね。


《第1部》
ショパン ワルツ No.3
No.11
No.12
ポロネーズ No.1
バラード No.1
ラヴェル ソナチネ (全3楽章)
《第2部》
ピアソラ ロコのためのバラード
エスクアーロ
チャイコフスキー 囲炉裏端
ロマンス
ベルク ソナタ
ラフマニノフ エレジー


どうぞお誘い合わせの上お出ましくださいませ。
この度のプログラムを巡るお話はまた今度いたしましょうネ。

今日の写真はコンシエルジュリのパンフレット



パリの風 第13回に向ける序

January 07, 2009

昨年のパリの風 第12回のプログラム・・・

あれはね、病気がわかった後 悪くすれば死んじゃうのかもしれないワって考えて組んだものだったんです。


"別れのポロネーズ" が開始曲になるリサイタルなんて酷く珍しかったわね(笑)
ロレーヌの追憶をタイトルにした二つ目の理由は、一次大戦を巡るものがテーマだったから。
一番の理由は自分のためでした。死んじゃったら これを聞いてくださった方々に私を思い出してほしかったの。

ショパンの妹が亡くなった時に作曲された、静けさの中に激しさを秘めたノクターンNo.19。
最高傑作と言われるラスト・バラード。
ドビュッシー作曲の追悼曲 "英雄の子守唄" なんかも入れちゃった。

最後のリサイタルになっても後悔しないようにって、弾きたかった曲を詰めに詰めました。結果はボリュームあり過ぎるプログラムになっちゃって、元気者でも死んじゃいそうだったわ(笑)

ピアソラ "アルフレッド・ゴッビの肖像" 、プーランク "エディット・ピアフに捧ぐ" にも共通した想いを持って組み込みました。
最後には長大な組曲 ラヴェル "クープランの墓" 全曲を。


***


だけどこの通りしっかり生き延びました・・・!
元気になった今年のプログラムは近々お知らせ致しますネ。

写真はCahiers du Cinema 、映画紹介雑誌の日本映画特集号。



パリの風本番写真(2)

July 03, 2008

せんだっての続きに 第12回の本番写真を追加しましょう。


1枚目は曲のラストで宙に浮いた手を後ろへまわして、残響を聞きながら立ち上がろうとするところのよう。
2枚目は・・・なぁにこれ?(笑)
チャルダッシュの最後かしら? 天辺まで手を揚げちゃってるだなんて知らなかったワ・・・

今日は入院前日、お見舞いにお出で下さる関晴子先生をお迎えします。

レッスン後のお楽しみにお食事に連れてって下さったり、ご自宅のレッスンでは お手料理をお作り下さったりする お師匠様の暖かい想い出はいっぱい♪
ご一緒にお店へお出掛けして、小物を買って下さったこともあったナ・・・
お財布が苦しい留学中の一時帰国にお仕事でお目にかかった時には お小遣いを用意していて下さった・・・。

ご恩返しをしないうちに 今度は遠方までお見舞いだなんて・・・。

それに私は とても悪い生徒だったのです。
レッスンでは口答えばかりして好き勝手に弾いてたし、試験では準備していた曲想が急につまらなく思えてしまって 突然に曲の感じを変えてしまうこともありました。

コンチェルト試験は折角上手く進んでいたのに お馬鹿さんなヒートアップが過ぎて、最後のフォルテシモ単音を両手をグーにして弾いちゃったんだったわ。先生はお席で眩暈を起こしなさったって半泣きになってらした。
どうしてあんなことなさるの・・・びっくりしてクラクラしちゃったワ、って。

だからね、あの頃からちっとも成長していないような2枚目の写真は 先生のお目に触れないようにしなくちゃね。またクラクラさせちゃうといけませんもの。

お目にかかるの、楽しみだこと♪
マカロンをご一緒に頂きましょうっと。

そうだわ、昨日煮た山桃のジャムもお分けしましょう・・・♪



パリの風本番写真(1)

June 29, 2008

薄暗い雨降りの日曜日。細かな雨音が粒で繋がっていくようなラヴェルをおさらいするのにピッタリの空模様。
せんだっての続きのお話を致しましょうね。


パリの風 第12回本番写真です。
ムッシュー・カヤックの写真撮影には大きな制約がありました。
フラッシュを焚けないこと、演奏者の指が激しく動くこと、どこで身体が動くか予測が付かないこと、シャッター音を立てられないこと、e.t.c.

良い写真を撮るための条件を何一つクリアしない環境でお撮りになったにも関わらず、結果的には被写体のまずさも含めてカバーされていること、とても有難く感じ入っています。何故ってね、細やかなお心遣いが写真に現れているような気がするから。

曲の静かなところでは ごく小さなシャッター音も立てないようになさって下さいました。けれどもシャッター音が気にならないボリュームある箇所で写せば 必然的に演奏者の動きが大きい部分となります。
大きなジレンマを持たれたに違いないのに、演奏の邪魔をしたくないという思いで自らに課せられた規制が、こんな瞬間を捉える暖かい写真となりました。

悪条件の中でお気をつけなさったと仰っていたのは一つだけ。
「肌理の粗い画像だと ざらついた音の写真に見えてしまうから、綺麗な画面に。」って。繊細なお考えですね・・・。

1枚目は、ピアニシモの曲の最後の音を上げる瞬間と仰いました。
写真から音が聞こえて すぐに判ったワ・・・「エディット・ピアフに捧ぐ」のラスト、右手で高音に登ったシーンです。

2枚目は多分トーク後、マイクOFFの合図を奥のお窓の方に送った瞬間かしらね・・・。

パルファンちゃん、テントウムシ君、他お友達の皆様、たくさんのメールにお返事し切れていないけれど 元気ですヨ。
ジンライム君、いつもありがとう。
ナイチンゲールちゃん、お電話するわね。



リハーサル風景

June 18, 2008

紫の薔薇インツリーグが豪華に咲いたお玄関口。


今朝は6時半からお花全部の肥料やり。
こまめにお手入れすればするほど美しく咲いてくれるのが嬉しくって。

下の写真はリサイタルのリハーサル風景です。ムッシュー・カヤックが リハ中にフォーカスのテストをされたもの。ぼけているのじゃあないのですヨ☆

普段リハーサルでは関係者以外シャットアウトしますが、ムッシュー・カヤックの穏やかで安定した空気はリハーサルの負担にならないから お入り頂いたのです。

これまで、良い写真を撮るためにと カメラマンさんの主張の入った気配を見せられたらば、ピリピリムードのリハーサルでは すぐにキレちゃっていたから・・・写真のために肝心な音楽の邪魔をしてどうするのって。
そしてそのような場合の写真は、画像がいくらお上手でも 写真から音楽は伝わらないと感じてきました。
音楽風景を撮っているのに音楽が聞こえない写真は求めていないから。

この度ムッシュー・カヤックがお撮りになった沢山の写真は どれもお気に入りです。


音を写そうとしてくださっている気配を感じながら、いつしかカメラの存在も忘れて リハーサル中からうんと音楽に入り込むことができました。



コンサートの後

May 04, 2008


昨日は第12回パリの風にお出まし頂きまして ありがとうございました。

楽しかった・・・沢山のお客様で嬉しかった・・・


とっても緊張しましたけれど、ピアノを弾くってなんて楽しいことかしらと しみじみと思いました。

今朝は コンサートで頂いた大きな胡蝶蘭を眺めながら、寂しさの中。
終わりたくなかったナ。大好きな曲ばかりだった。
練習は厳しかったけれど もっと弾いていたかった。

終曲は 寂しさに胸が詰まりました。
アンコールは 終わってしまうことが悲しくて涙が出そうでした。

弾き修めは 桜の散る季節の卒業式のよう。
長い間触れ合った曲とのお別れ。

これからは新しい曲を手掛けます。
終演してお花とプレゼントをお片付けしながら 早くも張り切ってMr.Bに次のプログラム案をお話してました。

でもその前に身体を戻しましょ。
今朝とうとう40kgを切って39kg代になってしまったことに気が付いた。
1kgでも体重を戻して 体力快復しましょっと。



5月3日 ピアノリサイタル

May 03, 2008

深いボルドー色のルイ14世が 開花を始めました。


本日布引ハーブ園 森のホールにて 第12回パリの風を開催致します。

1時30分開場 2時開演で 皆様をお待ち申し上げております。

私は9時入りでリハーサル。

Mr.B 今日はよろしくお願いしますネ!
さぁ、お花にお水を上げて 会場へお出掛け準備です。 



パリの風のアララ(3)

April 30, 2008


とっても好きだったアンティークのイヤリング・・・

向かって右側が元の形です。
左はね、手前の石が2つも無くなって、金具もプッツリ切れてしまった・・・


ファリャの演奏中だったかしら、何かが側を飛んだような気がしました。
すぐに音楽に引き戻されたから 一瞬のこと。
終わったらばイヤリングが片方無かったのよ。アララ・・・
終演後見つけて恐る恐る拾い上げたら 壊れちゃってた。

しっかり留めても演奏中の汗で滑って緩んで 飛んで行っちゃったのね。
今度のイヤリングは クリップとネジのダブルで留められるのを選びましたヨ。

リサイタルは後3日に迫りました。頑張りましょ。
お友達の有り難い応援も沢山あって嬉しいな。


元気な身体になってねって、藍綬(らんじゅ)君がブラジルから購入の薬用プロポリスを沢山送って下さった。
プロポリス・キャンディーも一緒です。
藍綬君も御年84歳に・・・ボーイフレンドの年齢層、なんだか高いワ・・・



選曲

April 27, 2008

ピアノを聞いて下さる大切な方達のお好きな曲を コンサートで演奏することがあります。


演奏会ではプログラム全体も一つの作品と考えるので リクエストを取ることはしないのですが、何かの折にお好みを知ったらば心に留めておきます。そうしてプログラムのテーマに沿う時に演奏できると とっても嬉しい。

「ロレーヌの追憶」ではそんな曲が3曲・・・。

「アルフレッド・ゴッビの肖像」は、コンサートのお客様 nzzkn様にとって思い入れのある曲と、2年ほど前に伺いました。 
いつも真摯に耳を傾けて下さるお客様に 感謝を込めて。

「クリスマス」は お友達のシオマネキちゃんのために選曲しました。
チャイコフスキーの曲集「四季」のLPレコードを昔から聞いていたという彼女の思い出を 私も一緒に大切にしたくなって、「四季」の各曲を少しずつプログラムに組み込んでいます。

ノクターンNo.19はテントウムシ君のために。
ショパンが妹を亡くした時期に作曲した曲が、悲しい死別のあったテントウムシ君の慰めになることを願っています。

2部形式の反復形で まるで回想の場面のようなラストは、前半部分で類似旋律が弾かれる時よりも心静かな情景です。
こんな心模様になってほしい・・・。悲しみの一つの終結となるよう、祈りを込めて演奏致します。

今日のお花はオーニソガラム「ベツレヘムの星」



パリの風のアララ(2)

April 03, 2008

森のホールは八角形のホールです。


1枚目の写真に向かって左斜めの方向に木の扉がついています。

扉は2枚目の写真のようにお客様席に面した角度にあって、出入り口奥が見えちゃうことがあるみたい。

第11回は、アルベニスの「スペインの歌」全曲に続いたガーデが 本プログラムの最後の曲でした。
沢山の暖かい拍手をいただいて一旦退場。

アンコールの幻想即興曲まで十数秒、舞台裏の時間。
演奏の運動で汗びっしょり。
カラカラの喉を潤して 流れる汗を拭いて、もう一度気合を入れます。

アララ・・・? って思った。何故だかわからないけれど、背中側の会場でどっと大きな笑い声が起きたから。

裏に入ってすぐ、2Lのペットボトルに飛びついてラッパ飲みした時、まだドアが閉まり切っていなかったのですって・・・(涙)


お客様席から見えちゃったのね・・・



パリの風のアララ(1)

April 02, 2008

予告のとおり、ハーブ園で写真を写して参りましたヨ。

ポーズだけでは やはり不自然なので、本当に弾くからどうぞお好きに撮ってネ! ってショパンバラードを開始。


演奏で動いたせいで ぶれたものもUPしちゃいましょ。ぶれて はっきり見えない方が都合が良いんだもの。

悪天候で風の強かった冷え込む午後。そして地上より数度気温の低いお山の上。
皆さんコートを着てらっしゃるのに ノースリーブは・・・
凍えちゃいました(笑)

さて先週の血圧、最大91・最小42
42って何?(笑)こんな数字はエネルギーレベルが低い人のようで 何だかとっても嫌いな感じ・・・。

エネルギーレベルって言い方は、ジャーナリストだった故千葉敦子様が よく使ってらっしゃったのだわ。10代の時 日本語のお作はみんな読んだ。
歯に衣着せぬ語調で、特に女性の精神的エネルギー不足やそうなることの言いわけに対して 嫌悪を隠さず叱咤なさる文章が大好きでした。

血圧とエネルギーは関係がなくってもイメージが悪いわね。実際は普段の生活にちっとも影響ないんですよ。
立ちくらみも 取り上げるほどの事じゃあない。立ちくらみがするからって できなくなることなんて、なんにもないと思うの。

でもコンサートだけは ちょっぴり問題・・・。アララなことがありました。
曲が終わったらば なるべくゆっくり立つように心掛けているけれど、演奏すると そんなことは忘れちゃう。

第何回のパリの風コンサートだったかしら。会場で弾き終わって気持ちが高揚したまま立ち上がってグラッ・・・。
あっと思う間もなく身体が後ろに傾ぎそうになって思わずピアノにつかまると、お客様席に「おおおっ」ってざわめきが起きて。

アララ・・・お客様びっくりなさったわね。格好の悪いこと。


笑って誤魔化して 何事も無かったように次へ進めたのだったワ。
気をつけましょ・・・。



第12回 ロレーヌの追憶

March 06, 2008

2008年5月3日(祝)午後2時より 布引ハーブ園 森のホールにて第12回「パリの風」を開催致します。


この度は「ロレーヌの追憶」と冠しました。

思い出を 穏やかに、また切なく想起させるメロディー、
フランス音楽独特の 煌びやかな音調、
ロレーヌ地方にゆかりの深い楽曲・・・

ショパン、ドビュッシー、ラヴェルなどの作品に彩られながら、皆様はどのような場面を追憶なさるでしょう。

どうぞお友達とお誘い合わせの上 お出まし下さい。
暖かい5月の休日に ハーブの香りと音楽を分かち合えますことを願っております。

ちらしは近日中に神戸市インフォメーション、市内各区民センターなどに並ぶ予定です。見つけられたら お手に取ってみて下さいネ。個人様宛の発送は来週に予定していますから 待ってて下さいね。

今日はちょっとバタ付く日。早い時間のお出掛けです。
皆様も良い一日を・・・



ラヴェルとショパン

February 25, 2008

ピアノの練習に疲れて、レッスン室の安楽椅子でちょっと休憩。少しでも側に居たいブルゴーニュ君も くっついて場所移動です。


ラヴェルをさらっていたから、ラヴェルと親交の深かったレオン・ポール・ファルグを何となく手に取りました。

くるくる変わるファルグの表情。パリのグリザイユを語って コミカルな詩を口ずさみ、個人的な感覚を仔細に描写して・・・
楽しいわってページを捲ると、あら・・・?

急に見慣れたお顔が現れました。次のリサイタルで演奏するショパン・バラードの後半8小節が、ファルグの本に印刷されてた・・・。

ラヴェルとファルグとショパンが プログラムとおんなじに繋がった。
静かに閉ざされたレッスン室で起きる 誰も知らない出会い。



二度目に出会う時

January 20, 2008

幼稚園から小学生頃の服装で多かった 刺繍のワンピース。着られなくなっても取っておいた小さいお洋服を使って敷布を作りました。

一枚目は襟元から胸にかけての部分を 形のまま残して。
二枚目は夏のワンピースの裾を切り取って。
どちらも大好きな手刺繍のワンピースでした。

恥ずかしいけれどお裁縫はとっても苦手。こんなパイピングをするだけで やっとなんです。へたっぴだわ・・・よれちゃって。

二枚の布は食器棚の引き出しの中で敷布になりました。
大事に着たお洋服が復活して 半永久的におうちの中で使われていく。

リサイタルでは同じ曲を二度目に弾かないと決めて プログラムの総替えに拘って何年が経ったでしょう。準備にどんなに時間がかかろうとも、今は全曲総替えを続けたい。今度同じ曲を扱う時は この敷布のように別の形に生まれ変わる機会であってほしいから・・・。
そうね・・・50歳も過ぎて いつもいつもレパートリーを増やすことができなくなったら、弾きためてきた曲に新しい気持ちで取り組んでいく充実が待っている気がするワ。

コンサートをするために 弾ける曲をただ並べることはしたくない。
曲のために コンサートを作りたい。

それがリサイタルの一つのモチベーションです。


今日のお花はポールセンのミニチュアローズ「ソニヤ」



第8回 フォンテーヌブロー 秋の小道で(2)

October 08, 2007

今日は番外編。更新じゃあないんです。
コメントにお返事しようとすると、字数が制限される長さになったために書き込みできなくなってしまいました。音楽のお話でもありますし この部分にお返事を・・・。


nzzkn様
今晩は。2004年・・・あっという間に年月が経ってしまっていますね。
チャイコフスキーの四季の中でも「秋の歌」は特別に好きな曲です。
アメリカ曲・・・そうですね、アメリカの曲はあまり知らないですけれど、このお二人の作曲家は面白いものがあると思いました。

マクダウェルはドビュッシーと同じ時期に同じ場所で学んだ分 大きな影響を受けている部分と 突然アメリカの田舎に帰っちゃったみたいなところと(笑)が入り混じっている部分が面白くて、楽しんで弾いています。
駄作と言える作品も エトランジェの葛藤が感じられるみたいで、個人的な語りが見えるように思います。マクダウェルが「パリのアメリカ人」として伝えてくるみたいな気がすることがあります。
彼の学生時代はアメリカ文化がパリに大挙して流れ込んだ時代と一致し、その背景の中でパリにあるアメリカを生き、また強固なフランス文化の中で故郷を思うような ある種の弱さが、「個人的音楽」の魅力のように思っています。

その点でデロ・ジョイオはマクダウェルよりも色々な意味で作曲家としてのベースに恵まれていたせいもあってか マクダウェルの意味での弱さは感じない分 頭脳的な魅力が。
管弦楽曲「ニューヨークの横顔」の「前奏曲クロイスター」に見られる、フォート・トライオン・パーク&クロイスターズ美術館の描写などは「アメリカ人の見た欧羅巴」を描くことに迷いがないように思えます。
言ってみれば自分のテリトリーで作曲している感じになっていますね。出身のニューヨークを描き、教会生活の経験から聖歌を曲に取り入れて。
また運の良いことにヒンデミットが亡命してきてすぐに師事する機会に恵まれ・・・。

フランス以外の作曲家の曲を取り入れる時は、こんな側面からの楽しみ方もしております。

回顧記事をいつかお書き頂けるのでしたら大変嬉しゅうございます。
またいらして下さいね。

今日の植物は白いカラジウムとカラーのセダム



第10回 ミラボー橋の下 セーヌは巡る(3)

August 07, 2007

第二部も川から始まりました。
メランコリックな舟歌の小品は大好きです。ピアソラに続くメンデルスゾーンのゴンドラは、決して単一ではない揺れが支える中 情感溢れるメロディーが歌われて 波の中に消えるような儚さがありました。
チャイコフスキーの舟歌は、8分の6拍子が多い舟歌の中で、4分の4拍子を取った少し珍しい形でした。


そして終曲シマノフスキーは海が舞台。タイトルの「メトープ」はドーリア様式を表すもので、ホメロスのオデュッセイアをモチーフにした曲です。
生涯のうち作風が興味深く変化していったシマノフスキー作品では、メトープをはじめ中期作品がとても好きで選びました。

オデュッセイアを2度目に読み返したのは、ウィリアム・ウォーターハウスが題材にした絵を見た時だったと思いますが、メトープのお陰で時を置かず3度目に読み返すことになりました。
大きな波の合間に響く魅惑的なセイレーンの声、慈しみと焦燥が入り混じったようなカリプソのシーン。オデュッセウスを捕らえようとする魔力を感じる楽曲でした。一方最後のナウシカにはなかなか共感することができずに随分苦労をしたことも メトープの思い出の一つです。ベースになる5拍子のそこ彼処にドライさが現れる曲には、オデュッセイアの中のカリプソに持ったものと同じ疑問を持ちました。情念を感じない女性に私はどう共感できるかしら、と。
悩んだ末に共感以外の部分で楽曲描写に徹するよう努め、そのことでレパートリーの考え方が少し変わった気がします。これからも色々な種類の曲を弾いていきたいワ・・・。

写真は調律師さん撮影のリハーサル風景。ピリピリムードでお目汚しですのでお部屋のスイカペペも載せておきましょう。ペペロミア・アルギレイアという植物ですが、葉っぱがスイカみたいなので通称スイカペペと可愛い名前で呼ばれています。



第10回 ミラボー橋の下 セーヌは巡る(2)

August 05, 2007

水は多くの作曲家、画家達が扱ったモチーフです。第一回「パリ郊外の自然の中で」で ラヴェルのクリアな水とドビュッシーの淀みのある溜まり水を演奏する前から 水への思いは強くありました。それはパリの街への思いでもあります。


パリ市内は勿論のこと、周りの区域一帯は風景の中にいつもセーヌがあります。第8回のフォンテーヌブローはセーヌ上流の風景でしたし、第9回のル・アーブルは河口に当たる区域です。
フランスで長く暮らせば思い出はいつもセーヌと共にあることになるのです。そして追憶の欠片を拾うのも、また思い出を捨てるのもセーヌなのです。
センチメンタルな表現かもしれませんが、セーヌには人の思いが流れていると感じるのです。ですから、私にとっての水の物語であった水のプログラムは、一部二部共にセーヌで始まり広い海へ流れるよう組みたかったのです。

第一部の終曲に選んだのはフォーレのバルカローレ5番。数あるフォーレの舟歌の中で特に5番に惹かれました。フォーレの舟歌作品の中で最も充実したと評されることの多い5番は、非常に長いフレーズ感を持ちながら モチーフは入れ替わりを続ける内省的で複雑な舟歌でした。お習いしたフォーレ研究の先生が、多くの舟歌が川を歌っているが 5番には潮の香りがし、潮の音をさせる波を持って弾くべきではないかと仰ったことは印象深いことでした。

ラヴェルの「洋上の小舟」は白く揃った波頭を持っていました。フォーレの5番は水底の深い部分から伝わる波の振動が 時間差を付けて水面に出現し、現れた時には水底に別の波が起きているような感覚を齎す音楽でした。

続きはまた次回に。今日の植物は蔓性植物。ワイヤープランツと斑入りプミラです。



第10回 ミラボー橋の下 セーヌは巡る(1)

August 03, 2007

水をテーマにした曲を集めた回でした。プログラムを組んでから、フォーレやシマノフスキーの細かな音ばかりが膨大に続く終わり無き譜読みに頭を抱えましたけれど どうしてもこのテーマを扱ってみたかったのでした。


<第一部>
ショパン ノクターン No.20
No.2 Op.9-2
No.13 Op.48-1
バラード No.3 水の精
エチュード No.12 Op.25 大洋
ドビュッシー 前奏曲
沈める寺
フォーレ  舟歌 No.5 Op.66
<第二部>
ピアソラ 薔薇の河
ミケランジェロ'70
メンデルスゾーン ヴェネツィアの舟歌 No.1
No.2
チャイコフスキー 四季 No.6舟歌
シマノフスキー メトープ No.29 セイレーンの島
カリプソ
ナウシカ


霧に霞むセーヌのように物悲しく流麗なショパンのノクターン、レント・コン・グラン・エスプレシオーネで始めたプログラムは、ミツキェヴィッチの叙事詩からインスピレーションを受けたと言われる水の精のバラードを経て 大きな波のうねりを感じさせる大洋へ流れました。

海鳥の声の描写が入る箇所のお話をイバネス先生がなさったことが印象的だったドビュッシーの「帆」。冒頭では遠く海面を滑る船の帆が見えるようでした。そして動く波は大きくなり、また凪いでゆく・・・練習中から何度も海の風景の中を旅した気持ちになりました。

ブルターニュ近郊のイスの街の伝説に沿って 海に沈んだ街のカテドラルが浮き上がり再び沈みゆく「沈める寺」。
マルグリット・ロンが沈める寺曲中のカテドラルの鐘の描写を記した書物を図書館で探したり、ブルターニュ伝説の他の説を読み比べたり、幸せな時間を沢山与えてくれた曲でした。

続きは次回に。

マザーリーフ、子宝弁慶草が増えています。一枚目の写真のようにギザギザの葉っぱの先に赤ちゃんを付けるのです。二枚目は、マザーリーフからコロリンと落ちた2mmほどの葉っぱの赤ちゃんが 土の上に根を下ろして露を含んだショットです。大きく育ってね。



第9回 ル・アーブル港から 世界の旅

July 24, 2007

ル・アーブル港は16世紀に開港したノルマンディーの港。大阪港の姉妹港と申せば身近に感じて頂けるでしょうか。モネの名作「印象・日の出」はこの港を描いています。


各国を謳った曲を集めた第9回。シャルル・ドゴール空港ではなくて、あくまでもル・アーブル港からの出発。それは時空の感覚が現在の旅と異なることをメッセージとしたかったからでもありました。音楽の時空を、作曲された背景に則って扱いたいと考えているからです。

プログラムは以下のように並びました。

<第一部>
ショパン  ワルツNo.1 Op.18   ポーランド/フランス
No.14 遺作
ドビュッシー アラベスクNo.1/No.2  フランス/アラビア
エジプトの壺 エジプト
さえぎられたセレナード スペイン
アナカプリの丘  イタリア(ナポリ)
マクダウェル インディアンの小屋から 北米
 ポロネーズ  アメリカ/ポーランド
<第二部>
ピアソラ 天使のミロンガ  アルゼンチン
天使の死
サティ グノシエンヌNo.4,5,6 ギリシャ(グノーソス)
デュティユ ソナタ フランス


曲並びに悩み抜いた思い出があります・・・。曲の悩みはいつも高揚感を伴います。
ポーランドに生まれフランスで暮らした作曲家の曲で開始した第一部を、アメリカで生まれフランスに留学した作曲家のポーランド舞曲で締めることを思い付きました。
そして間に挟んだのが、マクダウェルと同級生だったドビュッシーの曲。こちらもそれぞれドビュッシーの各国の表現がフランス流であることがとっても興味深かった。

独自の文化を保つ一方で、音楽には歴史的に接点のある国のあらゆる要素が盛り込まれることを知ることも この会の演奏の楽しみでした。いつも第二部の頭に持ってくるピアソラでも、ミロンガという ヨーロッパ紀元のハバネラベースのジャンルを選びました。         


この時のプログラムをフランスで演奏した時は、詩人さんがグノシエンヌ−サクラ・オチアイを冠した詩を捧げて下さった思い出が。
デュティユのソナタのことは次回に書きましょう。

今日の写真はブルゴーニュ君とベゴニアです。



第8回 フォンテーヌブロー 秋の小道で(1)

July 01, 2007


フォンテーヌブローには秋に訪れることが多かったせいでしょうか、秋のイメージの強い町です。
北鎌倉に雨が似合うように、フォンテーヌブローは暮れかけた色の空が似合う気がする。


落ち着いた色合いの静かな町には裕福な退職者の住まいが多く、そのことも穏やかな雰囲気を作っているのかもしれません。
セーヌの上流が流れ、対岸には白樺の林。

落ち葉を踏んで行く道に パッと視線を捉える暖かなもの達がある。枯葉の小径の上の 一枚の真っ赤な楓だったり、いつ開くとも分からないジャム売りの古いお店の可愛らしい木の看板だったり、ポッカリと現れた小さな小さな牧場の とぼけた山羊の顔だったり・・・。

そんな光景が一つのプログラムになりました。一緒に秋の小道をお散歩している気分になって頂けたらと思いながら組んだ曲群です。

<第1部>
ショパン  ワルツ No.19遺作
No.6子犬
No.7
チャイコフスキ 四季
秋の歌
ドビュッシー ピアノのために プレリュード
サラバンド
トッカータ
<第二部>
ピアソラ ブエノスアイレスの秋
スィル・ヴ・プレ
ドビュッシー 前奏曲 枯葉
レントより遅く
マクダウェル 森のスケッチ 秋に
日暮れの語らい
ノルマン・デロ・ジョイオ ソナタOp.3


音が降り零れるようなドビュッシー「ピアノのために」。
心の秋を描いたようなチャイコフスキ「秋の歌」と、フォンテーヌブロー城が狩に使われたことにちなんだ「狩」。
秋のクリアな空気を伝えるマクダウェル「秋に」。

中でも私にとって特別な曲だった「レントより遅く」のお話は次回に致しましょう。

写真は調律師さんが撮って下さったリハーサル風景



第7回 ロワールの岸辺 恋のファンタジー

June 15, 2007


リストのコンサート・エチュードが2曲に マクダウェルの技巧的エチュード。それでもエチュード群であることを感じさせないフェミニンな色合いのファンタジックな曲達でした。



<第一部>
ショパン  幻想即興曲
ドビュッシー ロマンティックなワルツ
亜麻色の髪の乙女
マクダウェル 悲しいワルツ
チャイコフスキ  ロマンス
リスト 軽やかさ
溜息
<第二部>
ピアソラ アディオス・ノニーノ
オブリヴィオン
マクダウェル 昔密かに会った所で
リーマスおじさんのお話
草原の小川のほとり
メンデルスゾーン 情熱
胸騒ぎ
ファリャ アンダルシア幻想


ファリャの幻想曲はずっと以前から弾きたいと思っていた曲。スペインの血も持っていらっしゃるジュヌヴィエーヴ・イバネス先生にお習いした曲です。先生はラローチャとペルルミューテルのお弟子さん。お二人の大お師匠様の書き込みを写させて頂いて感激しました。ラローチャやペルルミューテルのプライベートレッスンの直筆なんて恐れ多くて戸惑ってしまう私に イバネス先生は惜し気もなく楽譜を貸して下さいました。

ベチカとも呼ばれるアンダルシア幻想曲は ナスル朝の響き、地中海の風、土の香り、太陽と影のコントラストが歌われていました。サパテアードの刻みも盛り込んだ大層スケールの大きな曲でした。
様々な恋の形を歌う曲達の中で、ファリャのそれはアンダルシアへの恋でした。

写真は森のホール事務所の業務連絡用ホワイトボード。リサイタルの行事連絡のお隣に よろしくと猫の絵を落書きしたのは私でした・・・。



第6回 ヴァンセンヌ 星屑の夜に          

June 03, 2007


明るく華やかな第5回から一転、夜と星の回でした。



<第一部>
ショパン ノクターンNo.2
リスト 即興夜想曲
ドビュッシー  ベルガマスク組曲




仮面
Tプレリュード
Uメヌエット
V月の光
Wパスピエ
<第二部>
ピアソラ  さらばパリ
我らの時代
チャイコフスキ ノクターン
ドビュッシー ノクターン
デュティユ ル・ジュ・デ・コントレー
ジョリヴェ リノスの歌


ショパン、リスト、チャイコフスキ、ドビュッシーの各夜想曲は、ノクターンというカテゴリーに対する作曲家達の捉え方の差異が顕著でした。

夜に想い 夜の詩を乗せて歌うショパン・ノクターン。
他作品とは表情を変えて、星の輝きをゆったり奏でるリスト・ノクターン。
胸の内を吐露するような 心情的でメランコリックなチャイコフスキ・ノクターン。
夜の気配 夜の光そのものを近代手法で幽玄に描き出しながら 浪漫の色をたっぷりと盛り込んだドビュッシー・ノクターン。

「ベルガマスク組曲」と「仮面」を引き続いて演奏しましたのは、ポール・ヴェルレーヌの「艶かしきうたげ」の中の「月の光」の一節、

《Votre âme est un paysage choisi
Que vont charmant masques et bergamasques
Jouant du luth et dansant et quasi
Tristes sous leurs déguisements fantasques.》

2行目の「マスクとベルガマスク」の言葉を引いてのことでした。

アンドレ・ジョリヴェの「リノス歌」では、お二人目のゲストとしてフルートの上野明子さんをお招きし、この曲によって神秘的な題材のラストとなりました。

写真は庭のカリフォルニア・ローズ・フィエスタ ラベンダー・オーキッド



第5回 コートダジュールの花と火と

May 27, 2007


アルハンブラ宮殿に葡萄酒を運び入れる門。この門の絵葉書をファリャがドビュッシーに送ったのちに書かれた「葡萄園の門」の鮮やかなメロディ。

続いてファリャを弾けば 花と火のプログラムであると同時に、フランスから見たスペインと スペイン人の手で織り成すスペインを弾き分ける楽しみもできるんだわ・・・と、ワクワクして作ったプログラムでした。

             
【花】  【火・熱】
[メンデルスゾーン]  春の歌
[ドビュッシー]  葡萄園の門
ヒースのくさむら
花火
[ファリャ] 火祭りの踊り
[マクダウェル]  野ばらに寄す
睡蓮に寄す
甘いラヴェンダの花をもって
火花
[ピアソラ] リベルタンゴ
[リスト] 森のささやき
[カサドゥシュ] ソナタNo.2
[チャイコフスキ] 松雪草



曲の中に出てくるお花を育ててみましょうと思い立って、お庭仕事もより楽しくなり始めました。ヒースは群れて咲くから和訳で「くさむら」となったことを自分の目で確かめられたことも嬉しかった。

曲中の花々は、作曲家が暮らす土地の風土を映して咲いていました。
木々の間を風が爽やかに通っていく「森のささやき」、
露を乗せて優しく揺れる「野ばら」。
「松雪草」は長く厳しいロシアの冬を耐えて やっと蕾を付けた健気な姿をしていました。


写真は庭のヒース。



ドレス

May 22, 2007



今日はドレスのお話です。これまでリサイタルのドレスはひたすら曲に合わせることだけを条件に選んできました。私にとってドレスは、ピアニストを飾るものじゃなくて楽曲を彩るためにあるもの。
作曲家さんが空の上からチラッとご覧になって「その服は僕の曲に悪くないね」と思って下さったら嬉しい。
パリの風シリーズではこんな衣装を選んできました。


第1回 「パリ郊外の自然の中で」はナチュラルなレモンイエロー。
第2回 「サンルイ島 鏡の中の物語」はラヴェルとイベールの硬質な光と重なりそうな銀水色。
第3回 「モンマルトル "黒猫" にて」は当時の文学カフェの方達に合わせてミッドナイト・ブルー。
第4回 「モンサンミッシェル 妖精の夢」はプログラム中に登場する何通りもの妖精を讃えてサーモン・ピンク。
第5回 「コートダジュールの花と火と」はお花と火の色のレッド。
第6回 「ヴァンセンヌ 星屑の夜に」は暮れかけた空のヴァイオレット。
第7回 「ロワールの岸辺 恋のファンタジー」は薔薇模様のローズ・ピンク。
第8回 「フォンテーヌブロー 秋の小道で」は寂しげな秋の曲に合わせてオフ・ホワイト。
第9回 「ル・アーブル港から 世界の旅」は船を照らす朝焼けのライト・オレンジ。
第10回 「ミラボー橋の下 セーヌは巡る」はセーヌ川の水の青。
第11回 「コレット広場に吹く風は」は吹き抜ける風のライト・グリーン。


次は何色の曲が出てくるのでしょう・・・。曲が喜んでくれるドレスになりますように。

写真は庭のホテイアオイの水鉢。石の上に居るガラスの亀さんは、関晴子先生からのプレゼントでした。




第4回 モンサンミッシェル 妖精の夢

May 18, 2007


モン・サン・ミシェル島に先住していたケルト民族の伝説にちなんで、この回が生まれました。
プログラムの組み立ては下記のようでした。


【妖精】  【夢】
[シューマン]  トロイメライ
[マクダウェル] 妖精の踊り
[リスト] 愛の夢
[ドビュッシー] パックの踊り
妖精はあでやかな舞姫
オンディーヌ
夢想
[サティ] ジムノペディ
[ラヴェル] オンディーヌ
スカルボ
ジベ

(ジベは夢と直接の接点はありませんが息詰まる思いの集合体としてこちらのカテゴリーに設定しました)

妖精と夢じゃなくて妖精の夢にしたかった。曲中の妖精たちは皆夢を見ていたからです。作曲のきっかけになった書物や絵の中の妖精たちの人生を、曲の中で共にしたくなりました。
ドビュッシーの曲群ではシェイクスピア「真夏の夜の夢」のパックがいたずらを思いついては楽しみ、
フリードリヒ・ド・ラ・モット・フーケー「水妖記」のオンディーヌはフルトブラントに焦がれ、
アーサー・ラッカム「妖精はあでやかな舞姫」原画の、蜘蛛の糸の上を舞う妖精は長い裾を広げて天を見つめていました。

ラヴェルが用いたベルトランの詩「オンディーヌ」はドビュッシーの水の精とは異なった像でした。人間の男性に恋をした報われない哀しみを
《Ecoute ! - Ecoute ! - C'est moi, c'est Ondine qui frôle de ces gouttes d'eau les losanges sonores de ta fenêtre illuminée par les mornes rayons de la lune
わびしき月の光に照りはえし 君が窓の響きも高き菱模様を、水の滴もて触るるは我 水の精オンディーヌ》
と告げました。

妖精たちに夢を見せてもらった回でした。

写真は庭の西洋紫陽花。パリで育ててる紫陽花が恋しくなって同じ種類を求めました。花びらの縁が可愛いギザギザなんです。ラッカムの妖精の舞姫のドレスの裾のよう・・・♪




第3回 モンマルトル "黒猫" にて

May 17, 2007


キャバレ黒猫を描きたかった回です。キャバレとはこの場合文学カフェのこと。元はカルティエ・ラタンから数回の移転を繰り返し、その度にやや特徴を変えていくのですが、タイトルでは、黒猫に関わったモンマルトルの芸術家達と その象徴的絵画ロドルフ・サリ作の「黒猫」、そして雑誌「黒猫」の中心となった場としてモンマルトルを設定しました。


デカダンという言葉が使われだした時期、頽廃文学と当時の前衛芸術に取り巻かれた世紀末的風俗としての「黒猫」を巡る音楽に焦点を絞りたいと思いました。サティとドビュッシーの組み合わせです。

リサイタル伴奏をさせて頂いた流れでソプラノの津山和代先生をゲストにお迎えすることが叶い、歌曲の力をお借りできたお陰で当時のカフェ・コンセールを再現することができました。

冒頭はカフェ・コンセールのために作曲された「Je te veux」。それから「伊達男(ダフェネオ)」「青銅の像」「帽子屋」の「3つの歌」の曲集が続きました。均整の取れた響きの中の反浪漫主義という微妙なバランスで立つ「3つの歌」は不思議な魅力があります。

続いてピアノソロでグノシエンヌNo.1、2、3。これは昨年フランスのコンサートでも演奏しました。寄坐しになってしまいそうな曲・・・。

第一部最後のピアノソロはドビュッシーの「版画」でした。「パゴッド」「グラナダの夕暮れ」「雨の庭」共に音を目で見るような、文字通りの版画世界にのめり込んでいました。

第ニ部は洒脱で諧謔的なサティの「ピカデリー」で開始しました。
「版画」の初演の1904年(作曲年は前年1903)にピカデリーが作曲されたので並べてみたのです。

その後お歌に戻ってドビュッシーの「忘れられた小唄」。開演前は、伴奏と解説とピアノソロを交互になんて出来るかしらと不安でしたが、それぞれの曲世界が支えてくれました。
「やるせない夢ごこち」「巷に雨の降るごとく」「木陰にて」「木馬」「緑」「憂鬱」。ヴェルレーヌの詩が齎す 薫り高い豊穣に浸りました。
「雨の庭」に降る雨と「巷」の雨では、雨粒の大きさが違っていて、それを描写することが楽しかった・・・。

終曲のピアノソロも同年1904年の「喜びの島」。解説でワトーの絵画のことなどお話しました。



第2回 サンルイ島 鏡の中の物語

May 15, 2007


第2回ではラヴェルの「鏡」全5曲、ジャック・イベールの「物語」全10曲を演奏致しました。
物語性の高い二つの組曲の重なりに興味を引かれたからでした。
二人の作曲家の手で描かれる下記5つの曲調を並べてみたくて組んだプログラムでした。


【イベール】 【ラヴェル】
[動き] 1金の亀を使う女
2小さな白いロバ
4おてんば娘
10バルキス女王の行列
1蛾
[悲しみ] 5悲しい家で
6廃墟の宮殿
2悲しき鳥
[水・光] 8水晶の籠
9水売りの女
3洋上の小舟
[西班牙] 7バホラメーサ 4道化師の朝の歌
[鐘] 3老いたる物乞い 5鐘の谷

(数字は組曲の中のナンバー)

他にはイベールのディヴェルティメント等演奏しました。
イベールは大好きな作曲家の一人です。細やかで洒落ていて 吟味された音質が求められ、小さな曲の中に小宇宙があって。特に1917年の「物語」の哀愁を秘めた透明感は、イベールのエスプリが凝縮した美しい絵本のよう。印象主義と新古典主義が生きています。もう一度弾きたい曲です。

2つの組曲は関晴子先生にレッスンして頂いた思い出があります。生徒にして頂く前、関先生の演奏を田崎ホールで初めて聞いた時のプログラムが「鏡」。なんて綺麗な音を出される方でしょうと感激してから、この曲を関先生にお習いしたいと思っていました。今も仲良しで居て下さる先生、感謝しています。

写真はイベール「物語」の譜面。どんな物語かしらと手に取ってみたくなる表紙です。




第1回 パリ郊外の自然の中で

May 13, 2007


第1回ではドビュッシーの映像1,2集をメインに演奏致しました。副題は「パリ郊外の自然の中で」。曲の中には水、葉、月、魚などが登場し、同プログラムに乗せましたマクダウェルの「荒れ果てた農園」も含めて自然を扱った曲が並んだからです。
この時の私の中でのもう一つの副題はdes rides sur・・・
様々な「波紋」を想い描いていました。


「水に映る影」の曲中のla ride sur l'eau。水面に舞い落ちた葉や滴から広がる波紋、また光が描く紋が散りばめられた曲でした。

「葉ずえを渡る鐘の音」は、鐘の音が風のそよぎの中に作る波紋となりました。鐘の音を運ぶ微風が、目には見えない風紋を枝葉に刻んでいました。

「・・・そして月は荒れた寺に落ちる」では、月が朧な影の波紋を寺院に揺らめかせていました。

「金の魚」は鱗を反射させながら尾を光に晒し、翻える身体でさざなみを立てていました。「水に映る影」は水面が映した木々の陰に見入るような思いを抱かせてくれましたが、「金の魚」の躍動は私を惹き付けて 気が付けば後には金色の残像と揺れる水が残ったようなラストがありました。

「映像」1,2集の前後に織り込んだのは マクダウェルの「鬼火」やラヴェルの「水の戯れ」でした。
「鬼火」は時に遠くぼんやりと 時に火の尾を走らせるように、夜の中に紋を作りました。
「水の戯れ」に現れる水は ドビュッシーと異なる透明感によって硬質な形を見せてくれました。

紋という共通項を持ちながら 動きや質感の異なる曲達のもつそれぞれの性質。これらを表現することができればどんなに楽しいことでしょうと思い立ってプログラムを組んだ第一回でした。

写真は今朝の日曜ミサに出席した六甲カトリック教会です。



パリの風の始まり

May 12, 2007


初めましてのご挨拶です。ブログタイトルはリサイタル名と同じ「パリの風」に致しました。毎年5月3日に森のホールで開催しているピアノリサイタルです。
フランスから帰国して数箇所でリサイタルをさせて頂いた後、シリーズリサイタルを持ちませんかと2000年にお声を掛けて頂いて以来の名称です。


日本語ではパリからの風、パリに吹く風、と 両の意味を持ち、フランス語ならL'air --雰囲気--と捉えることもできます。
この柔軟なタイトルは、試みたかったコンサートの形にぴったりだと思いました。フランス音楽と、フランス音楽に影響を受けた他国の音楽を同時に捉えてゆきたいという気持ちに符号致しました。
そうして夢中で始めたシリーズです。先日第11回を無事に終えることができました。お越し下さった沢山のお客様、主催・後援の企業様、お手伝い下さった皆様、どうもありがとうございました。

次回も引き続きパリの風シリーズのお話を致します。
写真は庭のライトフィグリアという薔薇。棘がないんですよ。



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