L'air de Paris ⅩⅠ



レッスン記録:大きな松の木

July 22, 2018

セザンヌ画を用いる '絵を聴く' 課題はとっても楽しかったのです。

  *レッスン記録:林檎
  *レッスン記録:道程


此の回は "大きな松の木" という絵。
徐々に音楽そのものへのアプローチに近づいていきました。

1つ前のカリキュラムで '音の作文' を始めたことも大いに役立ちます。様々な食材を口にして、お味に留まらず食全体を識ってゆくような体験を。


絵を見てお話し合いをはじめます。


先生が考えのサポートをしたりまとめたりしてお手伝いします。そうするうちに自由に何でも感じたことを表して良いんダって思ってくれるようになってきました。

生徒ちゃんは風が吹いて木が揺れてるって言いました。
向かって右側の小さなものは鳥だと言いました。

其して、風に揺れる枝を太い音の和音で書き、鳥の声をトリルで加えました。


此処までは食べた物を描写する '音の作文' と共通です。
異なるのはこの先、絵がどう動くかを考えること。


絵の見方のレクチャーじゃなくて音楽の触れ方の体験ネ。

描かれた絵の一部(曲のフレーズ)から、画家(作曲家)が見てる風景全体(楽曲背景)を考えるお遊びです。


木は風を受けて何を思ってる?
木は鳥が居ることに気づいてる?

  --- 気づいてる


鳥のほうはどう思ってる?

  --- 隠れる所を探してる

どこに隠れると思う? この木? それともこれの右隣にある(描かれてない)木?

  --- 隣の木

木は鳥が好き? 鳥に来てほしかった?

  --- 来てほしかった


鳥はどうしてお隣の木に行ったのかな?

  --- 他にも鳥が居たから


そっか。じゃあ木は、お隣の木みたいに
鳥がいっぱい来る木になりたいね。

  --- うん、羨ましいと思ってる


こんな会話全部を音にして書き出します。

食べた美味しさを曲にした音の作文は、有る物の描写でした。
今度のは、前に有る物を見て後ろに有る物を考える遊びです。

  *監獄・アンチつるつる

写し出されてはいないけれど其処に漂っている想いを丹念に追い、演奏に必須の能力を培ってゆくのです。


■お教室関連リンク

曲を感じる
*ある白い花
*ままならぬ恋の花
*2枚目の扉
*白い花の贈り物


初期
*レッスン記録:音符イチゴ
*レッスン前の時間
*レッスン記録:オクターブ
*レッスン記録:メダカのドレミ
*レッスン記録:スタッカート

*レッスン記録:楽譜を作ろう!
*レッスン記録:上の音
*レッスン記録:痩せたメダカ
*レッスン記録:カタツムリ
*レッスンの成り行き
*レッスン記録:イチゴのタイ
*レッスン記録:指番号
*レッスン記録:音の実

*レッスン記録:復習とカメ
*レッスン記録:音ブロックで曲を弾こう
*レッスン記録:好きな曲を作ろう!
  *緊張するレッスン
  *泣いちゃダメ?
  *レッスン記録:下地(1)色
  *レッスン記録:下地(2)味


記号
*レッスン記録:ト音記号
*レッスン記録:臨時記号


音符
*レッスン記録:音符の長さを憶えよう
  *子供の絵、母の悩み
  *レッスンと色
*レッスン記録:音符の向き

*レッスン記録:十六分音符
*レッスン記録:床の五線
*レッスン記録:紙粘土
  *先生の真似

*付点音符を憶えよう
*レッスン記録:付点音符のサイズ
*レッスン記録:小節に触る


成長過程
*レッスン記録:記憶の拡張

*7ヶ月でカバレフスキー
*お庭レッスン

*レッスン記録:香りレッスン
*レッスン記録:ハーモニー体験

*レッスン記録:ハンカチのしみの音楽


ヒント
*レッスン記録:お菓子パーティー
*レッスン記録:付箋を使う
*練習カウンター
*メトロノームの思い出(1)
*メトロノームの思い出(2)

*ハノンと恋
*プー、スケールに泣いた日
*プレイ
*ステップ


リズム
*レッスン記録:リズム解き
*レッスン記録:食べ物カード
*レッスン記録:楽語とリズム
*レッスン記録:リズム聴音


幼児期の聴音
*レッスン記録:はじめての聴音
*レッスン記録:寒暖の和音


暗譜
*レッスン記録:はじめての暗譜
*レッスン記録:楽譜の道筋
  *1年間のレッスン記録


お指トレーニング
*レッスン記録:音階練習
*レッスン記録:指遣いのカリキュラム
*レッスン記録:音階と和音


アウフタクト
*レッスン記録:アウフタクトの導入
*レッスン記録:アウフタクト実践例
  *レッスンこぼれ話:ピンクのうさぎ
*レッスン記録:なめこぐま
*レッスン記録:はじめてのバラード
*レッスン記録:ぬるぬる


音階遊び
*レッスン記録:シマエナガ式ケース
*レッスン記録:フェーブの音階
*レッスン記録:音階理解をシンプルに


お箱遊び
*レッスン記録:雪のパーツ遊び
*レッスン記録:お箱遊び
*レッスン記録:異名同音
*レッスン記録:異名同音 'として'
*レッスン記録:お箱卒業の日


画集遊び
*レッスン記録:画集遊び
*レッスン記録:ポムポム・キュビズム
*レッスン記録:ダリに参加する
*ダリとモチーフの引出し
*レッスン記録:ダリと創る
*レッスン記録:画集遊びと思考
*レッスン記録:ダリをお料理する
*レッスン記録:モチーフのイメージ
*レッスン記録:感得
*レッスン記録:お水に映る
*レッスン記録:最後のダリ


音の絵
*レッスン記録:鍵盤でお絵描き
*レッスン記録:太陽のトリル
*レッスン記録:お豆コロコロ
*レッスン記録:ぶどうポロポロ
*レッスン記録:イチゴのたね


創造
*レッスン記録:色をつくる
*レッスン記録:転遷
*レッスン記録:恒星と雫
*レッスン記録:2つの時
*レッスン記録:デビューとクワガタ
*レッスン記録:雪が咲く


音の作文
*レッスン記録:卵焼き
  *目玉焼き&玉子焼きじゃない理由
*レッスン記録:チョコパンとハンペン
*レッスン記録:ミックスジュース


絵を聴く
*レッスン記録:林檎
*レッスン記録:道程


■オトナのレッスン関連記事

識見
*ソナタ的お茶の日
*お散歩とテーマの変容
*メロディーに掛かる
*柘榴のポエジー
*譜読みの目標
*楽譜のページの向こう


成り立ち
*レッスン記録:ドレミ
*ピアノレッスンの主張
*レッスン記録:Dur


音楽史
*音楽史のレッスン
*レッスン記録:カメラータ
*レッスン記録:モノディと公会議周辺
*レッスン記録:純正律
*レッスン記録:ピタゴラス音律
*レッスン記録:ビデオと地デジ


ピアノを感じる
*ラヴェル音源とドビュッシーのフェイント
*レッスン記録:月の光
  *僕が見たイケメン生徒ちゃん


(スプレーン)
*レッスン記録:読み取り開始
*レッスン記録:記号の意図
*レッスン記録:フェルマータの場所
*レッスン記録:次回のピアノ課題

(月の光)
*レッスン記録:噴水
*レッスン記録:2冊目
*レッスン記録:人の文字
  *レッスン記録:衣装の絵
*レッスン記録:不離一体

(カッサンドル)
*レッスン記録:カッサンドル13
*レッスン記録:カッサンドルそして・・・
*レッスン記録:楽語

(グリーン)
*レッスン記録:君が眼に
*レッスン記録:感じがする



監獄・アンチつるつる

July 21, 2018

水色~♪


折角1本ずつ違うネイルなのに、間違って爪先クリアじゃないストッキング履いちゃって何だかわからなくなった。アルアルです。

猛暑の中を病院へ。
日傘なんか翳したってアスファルトからの強烈な照返しで焦げちゃいそう。

詰まった通院は今日で一段落。
来週は息抜きができる、ってニンジンぶらさげて頑張ってました。


暑さの中で監獄の匂いを想像した。


舐めるように読み込んでそろそろ読み終わるベンヤミンの1巻にシャトレ監獄の地下牢のメモがあった。

《鎖の端には首枷があった。この地下牢には、ガレー船での強制労働を課せられた囚人たちが、トゥーロンに送られる日まで入れられているのだった。ここの梁の下に押しやられると、暗闇に揺れる鉄の首枷が彼ら一人一人を待っていた。

....ものを食べるときは、彼らは泥の上に投げられたパンを、踵を使って脛づたいに手の届くところまで持ち上げるのだった。
....この地獄のような墓場で、彼らは何をしていたのか。

墓場でできること、つまり死に瀕するのだった。
地獄でできること、つまり歌うのだった。


....隠語のシャンソンのほとんどすべては、ここで生まれた。》


   (V.ユゴー 1881年 "レ・ミゼラブル" 地下のパリ)

     ベンヤミン著 "パサージュ論1パリの原風景" より

             (今西仁司様/大貫敦子様/高橋淳一様
             塚原史様/三島憲一様/村岡晋一様
             山本尤様/横張誠様/与謝野文子様訳)

そうだ地下だ。

音楽は地下で生まれる。
作曲家の内臓で作られる。

楽しげなシャトレのマーケットは地下に大シャトレ監獄時代の囚人たちの血が染み込んでいる。

  *パリの歩き方

血だけじゃない。

ヒューマンであることを忘れた囚人が数多く存在し、
そのため向合う看守もまたヒューマンであることを棄ててゆく、
救いのない領域の澱が染み込んでる。


大屠殺場跡が撤去されても血生臭い匂いが消えなかった街。


臭気に満ちていた街。
血と糞尿と肉の汁が下水に流れ込んでいた世紀。

歴史は地底が知ってる。

私は地底を見たい。
存在したものは見なければならない。

音楽の底を見たい。
作曲家の血管に音が流れる映像が見たい。

我々は何もかもをなかった事・居なかった者にし過ぎだ。
何故音楽の何もかもが此うもつるつる摩擦なく運ぶんだ?
総勢が笑顔に飼いならされようとするかのように。

  *モテヘア&モテメイク
  *プー&モツと摩擦

コーリャ・ブラッハー氏とエリック・ル・サージュ氏が演奏なさるプーのヴァイオリンソナタは、蓋をしてはならない物事の側面に触れなければという衝動を掻き立ててくれる。


■ベンヤミン関連リンク
*本欲しいなあ
*ミュゲとパリの始まり
*地球儀と室内と解放
*カラビナ・日常・本
?僕んちのどうぶつ達
*息詰まるフリーク
*1919
*
*楽譜のページの向こう
*ステップ

■ダダ関連リンク
*ツァラ、にぎやかな絶望
*プレイ
*ダダのお寿司ネタ
*ダダとプーと苦いコーヒー

■ちょっとだけアラゴン
*パノラマ
*優しく辛辣な女と、田分けた男



プー&モツと摩擦

July 15, 201

先日はマッサージに行けました。


だいぶ前、マッサージ行ってきていいですか? ってお尋ねした時はドクターが、どこに癌が飛んでるかわからないし骨やリンパに影響があるマッサージは待つように仰ったのでした。

ゴリゴリしてるうちに悪いものがリンパ液に乗って何処かに進んじゃうなんて、何だか怖いイメージよね。

そんな頃は行けなかったマッサージを久々に訪ねることができて嬉しかった。


マッサージルームにモーツアルトのピアノコンチェルトNo.21が流れてて、楽曲の事を考え込んでるうちにマッサージ終了。


うそ~、残念。やっと叶ったマッサージをすごく楽しみにしてたのにモーツアルト以外何も憶えてないなんて(涙)


Durで先行した同じメロディがmollでなぞられる箇所 (そうした例は沢山ありますよね) で刺激を受けなかった現象を自分で 'ん? ' ってなったの。ピアニストさんが其処を特に聴かせる風に弾いてらしたにも関わらず。


モツを好きなプーが同様の手口 (プーのは '手法' ではなく共感と愛を込めて '手口' と言いたい) を用いる時、


私たちはハッとして、逆撫でが生じさせるような種類の快感を覚える。対してモツでは毛並に沿ってひと撫でされるライトな快適さが先に来る。

それはどちらが優れどちらが劣るっていう並べ方とは異なって、
Durからmollへの意味づけが異なるのだって実感しました。


近頃はコーリャ・ブラッハー氏のプー演奏が気に入ってる。言わずと知れたベルリンフィルの最年少コンマスだったお方。


耳にしてきたのは殆どドイツ・ロマン演奏ばかりで他は知らなかった。夫のCD棚を拭き掃除中に目に止まって取り出した。

先日文句を書いてた、つるつるしたフルートと違って摩擦感が好きでした。

  *モテヘア&モテメイク

爪を立ててくる・駆ける・呼ぶ・シャンソン風に震わせる喉のような弦の揺れ。他者を取り残して独り走るプー風なところも含めて、道理の通りじゃない音楽を素晴らしく操られてた。

ごく個人的な感想では、氏の才能も演奏も音も豊かすぎてプーの悪趣味は少し削がれ気味かもしれないけれど。不健全な粗暴さが加わった、もっと下手な演奏も好きかも。それが今求める '摩擦' でもあるから。

そして気づいたらマッサージ終わってた。
残念すぎる。


■ブルゴーニュ君のプーランク
*お昼寝の曲
*雨の日のお昼寝動画
*可愛い音符

■プーランク楽曲関連
*爛熟、プーランクと爛れ
*腹巻FP146
*カラフルな月
*プー "ノヴェレットNo.1" の生地
*プーランク:一篇の。
*純真
*パレ・ロワイヤル
*似てるモノ・違うモノ
*プー、スケールに泣いた日
*モテヘア&モテメイク

■プーランクの気配
*パリのプーランク
*プーランクとシュレアリスム
*ラファエル前派とカードアイコン
*プーランクのテクスチャー
*フランスの特権

*プーランクで麻酔
*プーと共感
*プーとペダル
*ダダとプーと苦いコーヒー

■プーランク歌曲&デュオ関連
*プーランク "ロマンツァ"
  *ロマンツァその後
*フランスとルイーズ
*カフェは難しい・・・
*プーランク x ルイーズ
*神のないルイーズとフランス
*ルイーズのチーズ
*ルイーズの赤
*思い出の硝子瓶 + ルイーズ
*ルイーズのお稽古
*落日の色、ヴィオロン音源up
*プーランク "花" 音源up
  *枯れた花のお手紙
*女心とアンドレ婦人
*PJにてプーランク・マズルカ
*プーランク "草むらの中で"
*舌切り雀、Il vole

■クラブ・プーランク関連
*クラブプーランク中間報告
*クラブプーランク延期のお知らせ
*冬のお腹
*裏切者~
*クラブP第6回ありがとうございました
*12月3日クラブP第6回
*クラブP第5回ありがとうございました
*夜道
*チョコメモ、プーランク、師弟
*プーランクの朝
*打合せ
*クラブ・プーランク5eme
*教養と無秩序
*クラブP4emeありがとうございました
*今日は楽しみましょ~♪
*チェロソナタのピアノパート
*プーランクと遊ぼう4eme
*お出迎え
*ファリャとプーランク
*クラブ・プーランク第4回
*クラブP第3回終了デス
*プーランクで遊んでます
*プーランクと遊ぼう
*デートとクラブP
*クラブPのコンセプト
*プーランク遊び
*プーランクと伊達
*プーランクとカミュ
*プーランクの著作権
*プーランクと運命の人?
*クラブ・プーランク



ステップ

July 13, 2018

朝早い時刻のお出掛け。


ロバに揺られながら、どこ行くの? って期待して飼い主を見つめる。

目が笑ってる。
嬉しそう♪

血液検査結果はまだまだ駄目だし上がり下がりはあるけれど、全体には体調がいいです。今のうちに少し動いて体力をつけたい。


昨日は発表会直前の方をレッスンしました。


あと3日だそうで今から壊して弄り回すことはできなくてもアドバイスレッスン的に、ワンポイントでグッと良くなる事柄に焦点を絞った90分。

レッスンしながらテオフィル・ゴーティエの言葉を噛み締めた。
ベンヤミン・メモに残されてたために知ることができたんです。

《境界線論。「ある歩く哲学者によれば、パリで、歩く人と馬車に乗る人との間には、ステップに足が掛かるか掛からないか、それだけの差しかないのである。


ああ! ステップ!・・・・それは、ある国から別の国への、貧困から豪奢への、呑気な暮らしから気の張る生活への出発点であり、


無に等しい人からすべてであるような人への橋渡しである。
問題は、そこに足を置くことだ。》

   (ゴーティエ "哲学的研究" [19世紀のパリとパリっ子])

     ベンヤミン著 "パサージュ論1パリの原風景" より

             (今西仁司様/大貫敦子様/高橋淳一様
             塚原史様/三島憲一様/村岡晋一様
             山本尤様/横張誠様/与謝野文子様訳)


言ってみればアドバイスレッスンは音楽を求道する人へ
有ると無いでは全く世界が変わる鍵になる 'ステップ' を
その人の脳内に設けること。


脳内に置かれたステップを体内に巡らせるのはご本人の努力かもしれないけれど、仮にのちの努力が不十分とて構わないじゃあないか。


ステップに乗ってる高揚と
ステップから見渡す視界と風の変化が
音楽の理解と直接的に手を結ぶ瞬間がある。

ジャンプのためのステップじゃない。
ステップがジャンプの予備段と考えるのは如何にも無粋だ。

ステップはステップで成立する。
ステップに足を掛けることで1つの事象が完結する。

それでこそステップの意義というものだ。


■ベンヤミン関連リンク
*本欲しいなあ
*ミュゲとパリの始まり
*地球儀と室内と解放
*カラビナ・日常・本
?僕んちのどうぶつ達
*息詰まるフリーク
*1919
*
*楽譜のページの向こう

■ダダ関連リンク
*ツァラ、にぎやかな絶望
*プレイ
*ダダのお寿司ネタ
*ダダとプーと苦いコーヒー

■ちょっとだけアラゴン
*パノラマ
*優しく辛辣な女と、田分けた男



動画とイベールのおしゃべり

July 12, 2018

シマエナガ先輩に頂いたAfternoon Teaさんのジェルアイマスク。この頃は冷たく冷やしてお昼に休む時間のお供にしてる。


お人ごとに言葉の表現が違うように、譜面の諸注意も作曲者によって異なる。同じ単語が作曲家によって独自の、違った使われ方をする。

特に作曲家が楽譜に留意事項を文章で書き込んで、まるでおしゃべりのように注意を促してくる近代フランス曲では、文脈で意図と言葉の強度が変わる。


仲の良いお友達なら聴き取ることができる違い。
親友の話し方の癖をよく知る者のように。


あの子が 'バカね' って言うのは貶めてるんじゃなくて嬉しいからよ、とか。
あの子が 'え~どうしよう? ' って言うのは如何に動くかの質問じゃなくて半ば以上同調してる証拠よ、とか。


それは仲良しじゃなければわからない。
作曲家個人個人の言い回しを識って、彼らの言葉をできる限り正しく認識したい。

知ることだ。
知り合うことだ。
我々は彼らの何をどこまで知っているか。




一見眠ってるみたいに、くったりとぬいぐるみさんを抱っこしてるブルゴーニュ君。実はときどき睫毛が動いてる。

  続いてきた曲集。
  最後のピース、10曲目。
  最終音の瞬間パチリと目を開ける。

まさかと驚く。
私はブルゴーニュ君の何を識ってるだろう。

この子が昔バルキス女王のそば近く付く家臣だったとも知らずに暮らしてるのだ。



地下足袋と七五調

June 07, 2018

可愛くないのが悩みのタネの夫のお部屋。


こんな感じが 'らしい' のかな~?って無機質に設えちゃった私の間違えです。何をプラスして何をマイナスするかは考え中。

階下のお仕事部屋はもう少しは潤いがあるのにプライベートルームは角張ってる。空間が角張ってて夢がないから私はテンション上がらないの。

  このお部屋には4拍子しかない。
  4拍子とは何ぞや?

4分の4拍子でも8分の4拍子でもなくって
日本語が作る4拍子とは何ぞや? と思う。

例えば七五調も5つの音と7つの音があるのじゃあない。5つの母音と7つの母音があるのだ。

5つの音があることと、5つの母音があることは明らかに異なる。
明らかに異なる2つを同じ風に受け取るのが日本の音感覚なのじゃあないかと、しばしば悩まされる。


母音=音符という非ヨーロピアンな感覚は日本独自の音感覚を作りもしたが、一定の音楽への理解力を奪いもするし、理解力を奪われた奏者は音楽を壊しもし、教育上の音楽概念を変えもした。


無意識に母音を音符とし、子音だけの繋がりがないのが当たり前の言語をもつ国では【4拍子が拍子故に存在するのじゃなくって母音故に存在してしまう】のじゃあないかしら。私観ですが。

1子音に1母音が入る国が育んだ特殊な調子は、たとえ5つの音も
♪♪ ♪♪ + d つまり、1拍目♪♪ 2拍目♪♪ 3,4拍目d (特殊文字の代わりの2分音符デス) って具合に4拍子化して捉える格好に収まってる。

4拍子は何も問題ないが、4拍子「化」は時に反音楽的になる。


先日ブルゴーニュ君ブログで
マタタビ、再び、一人旅ってリズムを書きました。

  *僕んちのどうぶつ達


これは ♪♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪ ですよね。

マタタビ♪♪♪♪ フタタビ♪♪♪♪ ヒトリタビ♪♪♪♪♪ と4+4+5のリズムで読むべき「音楽」でありました。でもひょっとしたら一部のお方は

マタ タビ
♪♪  ♪♪ 

フタ タビ
♪♪  ♪♪ 

ヒト リタ
♪♪  ♪♪ 

びーー
d

と4拍子「化」したリズム内にお纏めになったのじゃあないかと。
それ自体は問題ありませんね。クラシック音楽じゃない限り。


'一人旅' と単独で仰る時は5音で捉えるにも関わらず、
前半に偶数拍子が入ってくると何故だか '一人旅' を無意識に5音以外で語呂合わせして4拍子「化」する習慣にフランス音楽が絡んだ時が問題で・・・


フランス音楽感覚を伝えてゆきたい者として、それに相反するもの (それ自体の存在を否定する筈もないが、4拍子化や母音優先一色で塗り固める強勢が音楽に入り込んでくる現実) との闘争だけで人生が始まって終わっちゃうんじゃないかと、そろそろ危惧しはじめてる。


そこで解決してくれるウサギさんが登場するのです。

この子もピアノ室で暮らす子。
マタタビたちと同じく所有者はブルゴーニュ君です。
足先がチョコレート色のウサギさんは '地下足袋' ってお名前よ。

ハイ、ではマタタビ・再び・一人旅・地下足袋と続けて読むと
前に '一人旅~' で終わってた4拍子化が崩れますね。

5音の単語を、母音を延ばすなり休符を挿入するなりで偶数拍子に持ち込んでたのが地下足袋のお陰でできなくなる。

勝手に作られた4拍子「化」を崩し、本来の4+4+5を守るお手伝いをしてくれるウサギさん、地下足袋。



疑惧

May 20, 2018

ブルグミュラーOp.100 No.18 '心配' と題された曲。


ぽつりぽつり書いてる大人のためのブルグミュラーのお話ですが、今日のはどうぶつの日に行なった綱引きの、私サイド(土手の左側ネ)の具体例でもあります。

  *どうぶつの土手の綱引き

[心配は、エゴイズムの塊です]
そんな言葉で当曲の説明を始めました。


心配するとは一見優し気に勘違いをしそうだが
失われる物・人・状況を案じる心にメスを入れれば


其れらを失った我が身がどうなってしまうでしょう? と怖れ憂う気持ちだと。

エゴイズムの自覚なく '心配' と純な優しさのように纏めること、
それに伴い心を配ると表す漢字に因って尚更我欲に目を瞑るのは
私は腑に落ちませんよ、もぎもぎちゃん? との思いで、罪もないビックリ顔のもぎもぎちゃんをラシーヌ風に追い詰めました。


純な優しさならアジタート表記は要らないでしょう。


相手のために気を配り心痛めるよりも、失った時の我が身可愛さに思い乱れるのが此の曲のアジタートだと。

  あの日はそう考えていました。
  だけれど今日振り返って少しだけ違った考えも湧いてます。

エゴイズムに無自覚なまま、他者を気遣い他者のために思い煩っているのだと、私心を見ぬふりをするほうが一層グロテスクで、
そのグロテスクな歪みが人間の真髄に近い気もする。


No.1
  *純真

No.5
  *イノセンス

No.8
  *典雅な女

No.16
  *甘い棘

No.19
  *聖母

No.20
  *似てるモノ・違うモノ
  *タランテル

No.21
  *天使たち



典雅な女

May 14, 2018

タフタが広がる裾。膨らんだお袖。


縫い上げられてそっと掛けられた布はストンと下にさがる。
地球に引力があって布に重さがある限り。

どんなに丁寧に縫われたドレスも、お行儀よく襞が寄せてあるだけじゃあ '優美' には繋がらない。

其処に動きが見え
優しい膨らみと、儚い窪みとが合わさり

衣装を纏った女性の動きのすぐあとを布が追うような
なよやかなモーションが付いてきて


光沢に惹きつけられる反面で
シェード部はよりマットに、より光を吸い込む影となり


艶めくのは女人の肌か、心か、装いか、髪束かを見分けられないまで一体化したエレガンスを優美というのじゃあないだろうか。

と、仮定したらば
ドレープがあることじゃなくて、ドレープとして機能する一連の
(単発ではいけない。妙なる連続性があくまでも必要だ)
雅やかなモーションまたはその痕跡が絶対に必要だ。


ブルグミュラーOp.100 No.8優美のおはなしです。


上記のドレープが均等に目に入るのと不均等なのと
どちらが風雅を醸すのか。紛うことなく後者でしょう。

そのドレープが譜面上にある。
8分音符と32分音符の重なりは、しなやかな布に見える。

別の申し方をすると当曲の8分音符を均等な間隔で均等な長さで弾いてしまうのは、厚手で重たい制服に太い幅で入ったボックスプリーツのようだ。手堅く堅実な印象ではあっても、タイトルのそれとは離れるでしょう。


8分音符は、不均等故に優美と感じさせるタフタのドレープのように異なる幅をそなえてる。


イメージはソフィー・アンダーソンの絵画に描かれた布みたいな。風を孕み、肌にふわりと添う。

8分音符を延ばしたぶん32分音符を速めて柔らかな髪先のように巻き込んでみる。

  ドレス・肌・髪、と女性に拘るのは
  原題がLa gracieuseだから。

定冠詞がなくてもタイトルとしては成立するけれど、作曲者が当曲集で定冠詞をつけて描いている他曲と照らし合わせると、'優美さ' の形容じゃなく '優美な人' を指すと考えて良いでしょう。


その部分では毎度の如くに初期から訳され続けてる邦題には異なる意見を持っていますが、仮に優美を冠する場合でもgracieuseの語源を考えれば、単なる柔らかさとムーディーに流された思考で曲を捉えるほど本質から外れてゆく怖さがある。


それを防ぐ意向で "典雅な女" とタイトルしてみます。

'優美' に私たちが抱きがちなステレオタイプの感想から離れ、
何をもってして典雅と呼べるだろう? と自問できるタイトルへ。


No.1
  *純真

No.5
  *イノセンス

No.16
  *甘い棘

No.19
  *聖母

No.20
  *似てるモノ・違うモノ
  *タランテル

No.21
  *天使たち



エフの言わずもがな

May 04, 2018

ここ数日は寒さが戻ってきてる神戸です。
3枚着込んでまだ寒い午前でした。


夫のお土産の本が増えたから同じ数だけ古いものを処分しようと5冊を手に取りました。

内一冊に昭和38年の書込みを発見。
母が卒業した大学の学長様が書いてくださったものでした。


母は先生方がご高齢で亡くなられるまで親しくさせて頂いて、本も女性学長様からの贈り物だったのです。


母が若い学生の頃からお世話になったずっと目上のお方。だからよく知りもしない娘が、お亡くなりになったのに申すのはいけないと思うけれど正直私自身はこの手のメッセージが苦手。


'常に深い信仰と 高い専門の知識を追求め
愛と奉仕に生きて下さい'


あ~~・・・
何も間違っていないし、正しく当然の事が書かれてるのに
野良犬的な私なんかから見ると、檻に入れられる感ハンパない。

訓示めいた空気にげんなりする。
エフに接した時のムズ痒い感じと似たものを感じる。

だから非礼と自覚しつつ敢えて挙げてみました。エフを識るピースとして必要だから。

本だけで、内容にも頂いたことにも心動かされるでしょうに
言わずもがなの1文がわざわざ加えられたことで、本の感動まで押し付けがましさに変化して食傷する感じ。

エフの音楽を部分的にしか受け入れられないポイントは【言わずもがなをわざわざ言う野暮】なのでしょうね。
プーの粋とどこまでも対極です。


  ■これまでのお話
  *エフ
  *エフに狭まる心
  *エフと、プーの消化と、フォーレの濾過
  *エフ。収容期間終了
  *エフ。女の言葉と男の語り
  *エフとお国訛り抗争
  *エフ。必須の紋所・無言の執拗
  *エフとドビュッシーの白
  *エフとお食事会
  *エフと歯磨き
    *シャポンのアガーツ
  *エフとの関係



エフとの関係

April 17, 2018

声出して笑っちゃった。


お首の後ろへ回してあると悪くないコサージュが、重みで前にズレてくるとなんてアンバランスな。

漆黒の大きなお花をつけるには、ブルゴーニュ君の幼い心は清すぎる。それなのにお洒落さんしたよって満足気に悦に入ってるのが可笑しくて。

この姿くらい変てこにに感じる事が他に2つある。

1つは抽選のガラガラの形。
あれを目にするたび思うの・・・

もっと少ない力で回せる形がありそうなのに何故これなんでしょう? とか、ハンドルの位置や曲がり具合は本当にベストなの? とか、どっち方向へ回すって矢印シールをお店が貼ったりしなくてよい方法はないのかしらんとかって不思議な気持ちになる。

2つ目のミステリーは自分の気持ち。





あれほどまでに鬱陶しいと疎んじてきたエフ。

1番苦手で、1番下手くそで、1番弾きたくなくて
どうしても嗜好に合わず、接点が見つけられず
エフが居るだけで暗然とした気分になり、
付き合い方が全くわからないにも関わらず
何十年ついてまわられた現実に釈然としない。

それでもコンサートで随分な数のエフ曲を弾き終えた人生後半は
もう2度とオフィシャルにはエフと関わるまいと決めたのに
おうちでだけは何故ちょっと弾いてみたりするんだろうって。

答は抽選のガラガラ以上にまだ見えない。


  ■これまでのお話
  *エフ
  *エフに狭まる心
  *エフと、プーの消化と、フォーレの濾過
  *エフ。収容期間終了
  *エフ。女の言葉と男の語り
  *エフとお国訛り抗争
  *エフ。必須の紋所・無言の執拗
  *エフとドビュッシーの白
  *エフとお食事会
  *エフと歯磨き
    *シャポンのアガーツ




Topページへ
Blogページへ