L'air de Paris ⅩⅠ



本当のこと

November 19, 2018

お庭でちょこっとヘアカットしたブルゴーニュ君は、お洋服の形のせいか殊更幼く見える。でももうじき4歳になるんです。


推定2歳半~3歳前くらいでうちの子になって早1年と数ヶ月。
幸せに、ふわふわ・ふわふわ暮らしてる。

秋になり名前がまだない断捨離めいたものも再開しました。

昨日や今日の写真みたいな古いお洋服を小間布にして、最後にお掃除に使って、幾十年よく働いてくれたと1つずつ送り出す毎日です。


シマエナガ先輩ことピアニスト山本実樹子様が書いてくださったブログ、神戸でイベールという記事で


アーティショのマリネをお気に召してくださってて嬉しいナ。
え... そこがツボ? って思いますよね。ワケがあるんです。

これはシマエナガ先輩用だからこそ可能だったことなのですが、お味付けのお好みを伺うこともなく敢えて一般的じゃないお料理の仕方をした一皿だったんです。

イベールの日のために [お腹に一物ありながら] 作ったのでした。
一物とは・・・


日本のかた(の習慣)に合わない(とされる)お味であり、かつ(ココが大事ですが)古いフランス流、昔ながらの方法でマリナードを作って漬け込んだんです。


日本食が基準のかたの舌にならば、私が使用したタイプのヴィネグレットの香りは葡萄が熟成した臭気が強過ぎると感じられたかもしれないし

酸味の使い方自体がそもそも日本的じゃありませんでした。

ヴィネガーが貴重な贅沢品だった大陸が何千年温めてきた習慣的感覚を示すようなアクセントを効かせたのでした。


お料理は音楽だから。
ご飯は音楽のための序奏だから。


もしも「元のあり方に遡らず、エスプリを軽視して」「単に習慣だからって理由で」日本的なテイストに基づいたお料理に改易するならば、

それは私たちが食後に行なおうとしてた、元素を探す旅とは正反対の行為になってしまうからです。

  *元素

楽曲で本当のことを探すなら
序奏から本当のことを始めていなきゃネ。


お初にお食事をご一緒するかたに手作り押しつけた上に [何が何でもフランス風! ] を守ろうだなんて、どうかしてるけど


シマエナガ先輩なら尖んがった考えも、彼女のピアノの音と同じくらい深い懐にマルッと納めてくださりそうな気がしたから、フランスフランスってもぉバンバン強要しました。むふ

強引に周り固めするやり口はフランス的で、フランス文化に触れるのに欠かせないノダ。


*イベールの顔
*イベールにとっての物語
*たまゆらの
*少年の本当と嘘

*スピード落とせの表記比較(1)
*スピード落とせの表記比較(2)

*(No.2)ナイーヴなロバ
    *小さなロバと葉っぱたち
*(No.3)物乞いの生気
    *年老いた
    *時とメンデルスゾーンとイベール
*(No.6)美女と宮殿
*(No.9)隠し絵

*元素
*知りたがり屋の物語

*幸せお昼ご飯
*ニヤニヤ
  *甘いひと口
  *その時
*サーモンのムース
*ひねくれ者の希望



その時

November 18, 2018

心が喜んでる時間を過ごしてた日


目の前の楽しいことに夢中になって、2人一緒の写真も撮ってないって気づいたのは日が暮れてからでした。

自撮りなんて全く慣れてない2人が失敗しつつ騒ぎつつ写した。
それから思い出して言った。

'今日ねジェンツーペンギン先輩もお声がけしたらどうかな? って、ちょっと思ったんですヨ' って。

厚かましい発言よねって知りつつ、こっそりと。


2人がペースを作る集中した時間にしたくて、ピアノ好きのお友達など呼ぶことはしなかったけど、ジェンツーペンギン先輩が音楽のご意見を挟まれたりは楽しい遊びになりそう♪ って想像したのでした。


するとシマエナガ先輩は "私ね実はこの日どこに居るかだけ聞いちゃったヨ。関東に居る日だったから声かけないままになって..." って。

シマエナガ先輩も同じ事を考えてらしたのが嬉しかった。
それでイタズラを提案しました。


ジェンツーペンギン先輩もこの日参加されてたかのように、
その時2人が口にしてた一言をそのままLineで送ること。


  "次はいつにしますか? "

Line画面に打ち込んで、せーの! で2人一緒に送信。

ジェンツーペンギン先輩は意味不明で唐突な同じフレーズを2人から同時に受け取られたのです。

楽曲には真面目に取り組んだけど、ノリは此んなふうでした。
意味不明なことを面白がってはケラケラ笑ってた。

今日のはパリの風じゃなくて80年代桐朋の風。


*イベールの顔
*イベールにとっての物語
*たまゆらの
*少年の本当と嘘

*スピード落とせの表記比較(1)
*スピード落とせの表記比較(2)

*(No.2)ナイーヴなロバ
    *小さなロバと葉っぱたち
*(No.3)物乞いの生気
    *年老いた
    *時とメンデルスゾーンとイベール
*(No.6)美女と宮殿
*(No.9)隠し絵

*元素
*知りたがり屋の物語

*幸せお昼ご飯
*ニヤニヤ
  *甘いひと口
*サーモンのムース
*ひねくれ者の希望



雑味

November 17, 2018

連続ドラマってあまり観ないけど、点けた時に入ってくる言葉に学ぶことが度々あります。


ドラマストーリーを知らない者ならではの聞き方で
数秒灯った画面から抜き取られた科白をドラマ内会話と捉えず、命題として受け取るからでしょうか。

数週間前にも印象に残った事がありました。

女優さんの新垣結衣さんが主人公を演じるドラマ。
バーでマスターと体格の良い男性が会話してました。
会話内容はビールの雑味についてでした。


耳にした瞬間から他の事を考え込んでしまったから会話詳細は聞いてませんでした。


泡には雑味が・・・って科白だった気がするけれど
以前醸造に関わられてる方に、泡=雑味じゃなく雑味があるビールの泡だから雑味になるってお話を伺ったことがあるから、ドラマの会話は憶え違いかもしれません。(いい加減でごめんなさい)

  どっちみち今日の焦点はビールの質じゃなくって
  雑味を求める層があるという歴然たる事実を
  雑味って言葉を以って再認識したってお話です。


今更そんな事? って、鈍過ぎるとお思いですよね。


何割かの演奏者にとって雑味を極限までなくしていく作業こそお稽古の仕上げに神経を尖らせ、擦り減らせるもの... つまりそれだけ価値高く意義深い優先事項だから

雑味を欲する構造を実感として理解するのが自分には難しかったんだと思います。


勿論楽曲に関しても。


フランスロマン~フランス近代の一部には、どんどん雑味を排除することを求められる楽曲が数あります。

濾過を繰り返し純度を高めることは、張りつめたものをつくることでもありましょう。クリーンになるほどシャープになる・・・清くなるほどに緊張感を増すのです。

動揺を伴う心の緊張じゃなく(今の場合それは雑味に分類します)
清澄が本来持っている引き締まった緊張感。


やさぐれた昨日のブログも結局のところ

  *斜め者のやすらぎ


[浄さが不可欠な分野] か否かの精査なしに何にでも雑味が求められること (精査をしようとする処なら最初から '雑味' なんていう文字通り雑な投じ方をしないでしょう)。
'元が何であろうと' とにかく雑味、と欲する世界がある。

其の動勢に幻滅し15年前には諦めたってお話でしたが
今は別の物思いも加わりました。


塩分や糖分を制限された方が、最初は薄味に物足りなさを感じても日が経てば僅かなお味付けでしょっぱい・甘いと感じられるようになったり


合成調味料をよく摂取する方は、お食事に合成物が入っても独特のえぐみに鈍感になっていたり

音楽の 'お味' と 'ザツミ' の習慣的な取り入れ方が、音楽の嗜好・聞こえ方にあまりにも大きく作用してるならば
最早お料理の問題じゃない部分が大きすぎるのじゃないかと...

そう改めて気づいて、更に意気を欠かれた日々がありました。
だから今1匹の聴衆のために弾くのが尚大きな癒しになりました。



斜め者のやすらぎ

November 16, 2018

 エネルギーがしぼんだような数日。
体調が悪いのかもしれない。今週末病院はないし判らない。


身体から力が零れしてしまわぬよう注意を払うかのような動作を無意識にしてる。斜めに傾いだ心持ち。ボードレールがぴったりくる。

緩慢な頭で、動かず本を読むことと
ピアノに向かってラヴェルの音を探る作業が元気を回復させる。

病院へ行く時はたまに少し踵がある靴を履く。
足許もサティが好む色を選ぶ季節になった。


11月にうちに来てくださった人にお喋りした。


「私には知人はたくさん居ても本当のお友達がほぼ居らず、この先もっと減るでしょう」って。

内訳を説明した。

「本当に心をゆるしてるお友達は5人そこそこで、定期的にずっとお友達付き合いしてるのはフォーレ・プー・ドビュッシー・デュパルク・ラヴェルに時々グラナドスとイベールが出たり入ったりするくらい」

「最後にピアノが弾けなくなる頃にはラヴェルがお友達から脱落 (老化などで技術的に弾けなくなるところが最も早く出てきそう) するでしょうし、私側はサティもとても好ましく思ってるがサティは友人を作るタイプじゃないから距離は縮めてない」

などお話した。


「プーと並ぶほど心を掴んでくるデュパルクだけど


お友達なんて言ってるのは私の一方的な希望であって
デュパルクとはサシで飲んだこともない。
(=プーやドビュッシーとはサシ飲みあり? )」

などの物言いにつき合っていただいた。

本当に彼らが近辺に暮らし、公園に腰掛ける姿をたまに目にするかのような幸福な妄想と現実とのギャップにいつ見切りをつけるだろうって長い間考えてきた。

フランス音楽への理解を求め・掻立て・促進し・誘起を促すためなら100の行為を重ねて1粒の種になればいいと夢見た頃があった。

本当は5000の行為も1粒の朽ちた種にはならない。


其う識ってからの15年ほどは気持ちを閉ざし、コンサートなど外向きな行為によって知らない誰かに伝わり届くかもしれないって期待の一切は棄ててきた。


気持ちを閉ざした分まで作曲家には心を全開にしてきた。
1番大事な事だけを保持したんだった。

私には1番大事な1つのことしかできなかった。
1万キロ近くと世紀と言語文化 ( '音' にもっとも近い文化として挙げる) を隔てた両極を '同じだけ満足' させられないなら半端な辻褄合わせはせず、作曲家を納得させるほうを選んで当然と考えてきた。


  外向きな部分はもう諦めて閉じた同じ頃
  レッスンがとっても好きになった。


小さな場所で密に音楽を語り、


知りたいと思う人が知りたい譜面を差し出してくれて
音楽に向合う方法を生の手と声で伝え、
共に考えて試してみる。

やってみたい・理解したいと思ってくれる。
思って 'くれる' って表現は自分にとっては何も奇異じゃない。
音楽を [わかりたいと思ってくれる] 人の存在に慰められる。

相互の意思確認ができる。
レクチャー側が方法を厳選すれば随分正確に物事が伝わる。
年が経つとお互いの感覚も分かり合え、
何故違った表現になるかの癖など、此方も捉え易くなる。

元々教え伝えることは好きだったけれど
今では安らぎの時間にもなってる。

レッスンでは音楽の純粋な時間が作れるからだろう。



ダリア

October 21, 2018

奈良の生産者さんの大輪種ダリア 'ムーンワルツ' の側で。


蚤ダニに吸い付かれて皮膚病になってたブルゴーニュ君を初めて見た時、此の子を一生清潔で綺麗で安全な場所で過ごさせ、此の子の頭の中をハッピーなことで一杯にして守ろうと思った。

そうして1年と数ヶ月が経った。

洗い替えばかりしてる真っ白いバスタオルに横たわったり
ブルゴーニュ君専用のベビーピンクの毛布に包まったりして
手作りオヤツを食べて月日が経った。


ブルゴーニュ君の中で、今足下に存在しない泥や身の回りに無い汚れといったものは、過去の野良っ子時代の象徴となったかもしれない。


野良っ子時代に泥とダニだらけだった子がホンのちょっとした泥で動かなくなる理由を顧みたのだ。

過去に常についてまわった泥汚れは慣れているから恐れる対象じゃなく、泥が日常化してた時代を恐れてるのかもしれないって。


泥は、空腹や不安と一緒になって彼女の中で結びつき、
泥は暗黒時代の象徴になってるかもしれない。


其してお花の傍で遊ぶ2世ちゃんが、飼い主にとっては此の子を助けることができた象徴の1つなんでしょう。

蓋し・・・

その風景は (あくまで此の飼い主にとってだが) 無垢なものに囲まれた2世ちゃんに幸福をおぼえるって形じゃない。

肉感的で重たいダリアがある風景が、2世ちゃんの純真さを引き立てるように見えている。


共感した此んな文もあった。


(植物では有機的なものを好むボードレールの感覚もまた
下記の内容の反映の一種だろうかという私感も得ました)

《人間は現実の生活よりもいっそう純粋な、いっそう穢れを知らない、いっそう霊的な生活に憧れ、そうした生活の証しを自然の中に探し回ったときには、たいていその証しを、何らかの植物や動物の中に見出してきたものであった。

ボードレールの場合はそうではない。


こうした生活への彼の夢は、あらゆる地上の自然との結びつきを退け、雲へと向かう。


多くの詩には雲のモティーフが取り上げられている( '風景' [悪の華]の中でパリを美化している場合は別だ)。雲を冒瀆するのはこの上なく恐ろしい冒瀆である。》'ベアトリーチェ' [悪の華]


  ベンヤミン著 "パサージュ論2ボードレールのパリ" より

             (今村仁司様/大貫敦子様/高橋順一様
             塚原史様/吉村和明様/三島憲一様
             村岡晋一様/山本尤様/横張誠様/
             与謝野文子様/細見和之様訳)


2世ちゃんは雲に憧れ、飼い主は2世ちゃんを穢れない雲に見立てる。動物のような母らしい顔のダリアが見守る。


■ベンヤミン関連リンク
1巻
*本欲しいなあ
*ミュゲとパリの始まり
*地球儀と室内と解放
*カラビナ・日常・本
?僕んちのどうぶつ達
*息詰まるフリーク
*1919
*
*楽譜のページの向こう
*ステップ
*監獄・アンチつるつる
(1巻のご紹介に際しまして訳者様の今村仁司様と高橋順一様のお名前に文字の誤りがあったと後に気がつきました。大変申し訳ありません)

2巻
*夏のおやつと本
*ボードレールの挑発と真意と音楽
*'ふと' とボードレール
?僕のホームセンター記録
*トロワイヨン
*少年の本当と嘘
*調和と追放


■ダダ関連リンク
*ツァラ、にぎやかな絶望
*プレイ
*ダダのお寿司ネタ
*ダダとプーと苦いコーヒー

■ちょっとだけアラゴン
*パノラマ
*優しく辛辣な女と、田分けた男



調和と追放

October 18, 2018

この日は巨峰を買ってみました。
シャインマスカットは相変わらずやめられない。


昨日の病院は待ち時間が長くて疲れもしたけれど、今朝は体調良く病院もない。

だからまだ薄暗い時刻にブルゴーニュ君と3人で少し出かけた。


帰ってブルゴーニュ君のご飯のあとに身体を休めて一緒に眠り
起きるとしばらくベンヤミンを読んだ。


眠りながら頭のどこかでボードレールの、'破滅に向かうとは限らない必要な破壊性' という素人の自分の単なる感想を巡らせてた。夢うつつの中であの本を手に取ろうと考えてた。

《ボードレールのアレゴリーには、彼を取り巻く世界の調和のとれたファサードを取り壊すのに必要だった暴力の痕跡がつきまとっている。》


《この上なく洗練された感受性ときわめて集中した瞑想との間にある緊張関係が、ボードレールの特徴である。


これは理論の面では照応(コレスポンダンス)説と、アレゴリーへの偏愛に反映している。ボードレールはこの両者をなんらかの形で関係づける試みは一度もしていない。しかし両者には関係がある。》


間にはボードレールが強い憎しみを抱き誹謗する対象が説明される。とてもいい。


彼の憎しみは人間性の問じゃない。
証明しようとする力であると判然とするのを見る思いがした。

怒りや憎しみを性格の良し悪しに設定する構造は元々自分にはさっぱりわからないし、


(性格なんてものは他人様も自分も悪くて結構なんだが。


ところで '良い性格' とはどんな状態を指すんだろう? '性格づける' からには指し示す状態をおよそ長時間保つことが前提なのだろうがそもそも一定の均衡状態 --- それがボードレールが破壊する調和の1つか? --- が善いだなんて条件を、知力ある生物に要求する心理のほうはどうなっているのか最も理解できない)

そんな文言を口にする間にボードレールを読むがいいと長年思ってた。


本書は何処を読んでもボードレールの孤独と、孤独の力強さが浸みてるようでとてもいい。


《ブランキの宇宙論においてはすべては星のまわりを回っている。ところがボードレールは自分の世界から星を追放している。》

  ベンヤミン著 "パサージュ論2ボードレールのパリ" より

             (今村仁司様/大貫敦子様/高橋順一様
             塚原史様/吉村和明様/三島憲一様
             村岡晋一様/山本尤様/横張誠様/
             与謝野文子様/細見和之様訳)

これも私観からの呟き。
孤独ゆえに集める人と、追放することを必要とする人。

違うのは考え方だの、まして性格だのじゃなく
目を覆いたいか見開きたいかだと、自分の中では区切っている。


■ベンヤミン関連リンク
1巻
*本欲しいなあ
*ミュゲとパリの始まり
*地球儀と室内と解放
*カラビナ・日常・本
?僕んちのどうぶつ達
*息詰まるフリーク
*1919
*
*楽譜のページの向こう
*ステップ
*監獄・アンチつるつる
(1巻のご紹介に際しまして訳者様の今村仁司様と高橋順一様のお名前に文字の誤りがあったと後に気がつきました。大変申し訳ありません)

2巻
*夏のおやつと本
*ボードレールの挑発と真意と音楽
*'ふと' とボードレール
?僕のホームセンター記録
*トロワイヨン
*少年の本当と嘘


■ダダ関連リンク
*ツァラ、にぎやかな絶望
*プレイ
*ダダのお寿司ネタ
*ダダとプーと苦いコーヒー

■ちょっとだけアラゴン
*パノラマ
*優しく辛辣な女と、田分けた男



ババァとおばば

October 03, 2018

何がきっかけでババァのお話になったのかしら? って考えた。
思い出せずにLine会話をスクロールして振り返った。


その朝は吐き気と胸の痛みが急に襲い、ドクターに処方されてた2種類の頓服を飲んだところだった。

効き目が早いお薬で少しぼ~っとなる一方、体調の悪さとの闘いで脂汗をかいてる最中に気を紛らわせたくて会話してたところもあったから、後日はっきり思い出せないくらい。

まるで酷く酔っ払っておしゃべりしたみたいに。


この数日前に、どうしても行きたかったプーシキン美術館のフランス絵画の大阪展示へ行くのを止められてとてもガッカリしてた。


桐朋のお友達が東京で観たのを知ってから関西に来るのを待ってて、立て込んだ通院が終わる10月頭に収容を解かれたら行こうって数ヶ月前から決めてたの。

お隣大阪へは手術後一度も行ってない。長い距離を公共機関で移動する自信がなくて・・・でも美術展なら頑張ってみようと思ったんだわ。

もっと安静を保つように言われてても、身体の隅々への栄養になる美術鑑賞だけはどうしてもと希望してた。


そんな矢先に思いがけず気胸まで起こしてしまった。


もし仮に大阪へ行っても、中之島まで乗り継いで疲れた身体で国立国際美術館内を見歩くのは無理とわかってしまったのでした。

残念なことといったら・・・大分凹んでしまった。

ババァ嫌いの自分は、行けない駄目押し要因にはババァの存在もあるのだって管を巻き始めたのです。(鎮痛剤で酔っ払った?)

---- お前もババァじゃないのかい? って突っ込みには多分違うって答えるかも。私はジジイへの道をひた走ってる気がするから、自分が考える定義に拠ればババァにならないでジジィになるんじゃないかな。

同論理ではババァが女性のみとは限らないのです。胸焼けする整髪料を匂わせてる人は、男性でもババァだしね。
----


その要因とはババァの香水臭。
匂いで具合が悪くなる可能性が高くて不安でした。

  *桐朋時代、ババァの件


病院内では柔軟仕上げ剤でも体調を崩す人が居るのを呼びかけてるけれどババァはお構いなし。それがババァたる所以です。

心にセンサーを持っておらず、代わりに荷物を横に持ち (傘は言うまでもなく後ろの人を傷つけるが、注意を受けると '指摘によって心を傷つけられた! ' と被害者意識に陥る) 身体の幅と荷物の幅の単純な合算を間違えて歩く様子などについて、勢いよく管を巻いてた。

日頃特に省みないババァの無神経さへの侮蔑感情が、何の拍子に強い勢いで噴出したのかわからないけど、着目したのは会話相手の賢く優しい人は、私がババァ,ババァと喚くように書き立てるのを 'おばば' と柔らかで切り替えの良い機智でもって言い換えてお話してくださったこと。


とてもとても感心して、そして気がつきました。


おばばと呼び換えることくらいでババァ像は変わらないと考えることも強さなんだって。おばばって呼び名のババァとすれば済むのだもの。

一瞬で其うした扱いに変換できるのが機智というものだ。

私には機智がない。
'片仮名で表される同音 (キ&チ)' のほうなのでしょう。

だからババァはババァであり、おばばで済ませられない。
ラシーヌのように底の底までババァで通したい欲求に勝てない。
底の底に届いたら、その位置が始まりの如くに掘り起こしたい。


例えばプーがしばしば立てるノイズの様なぶつかる音は
殊更にノイジーに、ざわざわと弾きたいのだ。

**


昨日のお掃除記録。
リビングの窓桟・サンルームの窓と窓桟のお掃除。
本箱の彫り物や突起の拭き掃除。
鯨を泳がせたのはティールームとキッチン。
トースターのパン屑受けを綺麗にしました。


*桐朋時代、ババァの件



ひねくれ者の希望

October 01, 2018

ルビアンさんのイカスミのバゲットはね、


昨日の '知りたがり屋の物語' の会でお出しする予定でした。


パンの黒と、作ってたサーモンムースの薄ピンクが
なかなか可愛らしいコラボに思えたから。

  *サーモンのムース


ひょっとしたら海で出会ってた烏賊と鮭かもしれないし・・・?


ぷるるんババロワゼリーは、お着きになったらまずお出しする予定でした。2日に分けて作る2段ゼリーが夫も好き。


ついでにもう1つの夫の大好物、お花サブレも焼いてたのです。
焼くとすぐ食べ出すから隠してたの。

お客様の会が没ったと聞いて、ガッツリお弁当に持っていきました。まだ写真撮ってなかったのにね~


あとはこんなジェノワーズも。


シマエナガ先輩は 'ミントの森' からいらっしゃるから
直前にミントを添える予定でした。

夕方、おやつに食べようかな~って頃には雨が降り始めて、お庭のミントを取りに行かなかったからこのまんま。独りだと手抜きアルアル状態。


とても楽しみにしてた理由はいくつもありました。


お勉強会風に楽曲についてのお話し合いは本当に楽しみなことでした。

同じ曲を他のプロのピアニストさんがどう捉えて弾くかを並べて考えてみる、っていう興味深い内容を予定してたのです。
それがメインと言えるのだけど


私の中では、同じ学校の先輩の目(それも大っきなお目々)に自分を映すことで、答の出ない問を考えてみたい気がしてた。


ピアノを弾くのが好きで、とっても好きで、ちょっとくらい厭なことがあっても弾きさえすれば機嫌が良くなるのが自分にとってのピアノというもので、

でも人前で弾きたいかって尋ねられたら 'ぜ~んぜん' って答えてたくらい、'発表する' 意義については考えてこなかった。考えたくなかったのかも。

何だか結果的に「職業にしとけばずっと弾いてて良いから」みたいな考えが正直な動機だし、それ以前に職業にしたいと思ったこともなく、希望はただ「ピアノが弾きたい」だけだった。


だから症状変動する病気でコンサート予定が立てられなくなった今も、1匹の聴衆を前に弾くだけでとてもとても幸せで


独り創り出し、独り聴く音楽の形が充分満足で。実のところそれ以上を求める気持ちが自分の中では薄いの。昔からね。

だけどホンの時々「ああ、この曲に触れるこの感じ、このイメージを誰かと分かち合いたいな」って思うことはあって。

それがシマエナガ先輩だったり、時には '不特定の方々が耳にされたらこの音楽はどう感じるの? ' って自問になったりもする。


大学時代に [聴衆・演奏家・作曲家が同一(人物)であるのが音楽の理想的な体現で、顕す音楽の完全性が全うされる]=[聴衆・演奏家・作曲家が同じで無い限り、理想の聴衆の音楽把握(演奏からの把握)・理想の演奏家の音楽把握(楽曲からの把握)と理想の演奏家の音楽再現(聴衆への再現)・理想の作曲家の作曲表現(演奏家の理解を完全に促す表現)は成し得ない] ってパラドクス議論があって、

  私はしばしば当に上記の通りの考えの底に沈み
  人間の耳や脳や感覚やあらゆるものに絶望する。

    *ボードレールの挑発と真意と音楽

そんな時に同窓の人たちに触れ合えると、また希望が持てる瞬間がある。

何の希望でしょう? わからないけど多分、
真に答を求めてる人達が居ると感じる時にしか得られない希望。



望みとドビュッシー

September 24, 2018

コニーの顔を貼りつけた。似合わないですね。
夫婦揃ってコニー大好きなのに残念。


Webお面(?)の事情は、ファンデーション塗らないで出かけちゃったから。ファンデ無しで何故かアイメイクだけして靴履いたみたい。

病院もおうちもノーメイクで、思い返せば1月以上お化粧してないから勘が狂ったかな。

お外でふと鏡に映って 'なぬっ?! ' ってなった。
失敗でした。

変な写真だけど出先で会話の終わりをしばらく待っててくれた夫が折角写してくれたから、記念にupします。


お友達とのおしゃべり兼ご飯に外出したんでした。
この頃は外食でも食べ易いものがわかるようになった。


食道が滑らかになると食べ物が通り易いから、先に果物や冷たい甘味を食べるスタイルも定着してきました。ドルチェに力を入れてないお店の薄いアイスは食べ易い。いちじくは1つ分を美味しくいただいた。

タパスを色々つまんでパンはたくさん。
しっかり食べた日でした。


話題の1つは 'もしもどんな望みでも叶うなら'。
「誰もがドビュッシーやフォーレを真に理解する世の中」
って迷わず答えた。

本当に 'どんなに荒唐無稽な願いでも口にして良い' 条件なら、
今店内に居る人皆が、確実にドビュッシーらの美学の本質を理解してる事様が望みだ、って言った。


本当にそんな事が叶うなら何だってする。


フランス音楽美学の前ではおそらく道徳や倫理さえ自分にとっては霞の如き存在になるだろう気がした。('どんな望みでも' の条件下でお腹を割れば、そうそう道徳的な回答ができるお人も居まい)

そんな会話の間ずっと反芻してた文を書き出しましょう。

下リンクの続きにもなる箇所です。
  *たまゆらの


《"夜の香り" や "グラナダの夕暮れ" など、彼の夜の音楽そのものがロマン的な月の光とは著しく異なっている。月の光は、ロマン派にあっては、とくに詩人の夢や瞑想を掻き立てるためにあるのだから・・・。

ドビュッシーの夜は、感受性を繊細に研ぎ澄まさせ、静寂の中で自然の超感覚的な物音を拡大し、人間に感知できないものを知覚させてくれる。

闇がジャスミンの香りや葉ずれの音を強めるのだ。
だから噴水がサラサラ音をたてたり、遠いギターが闇の中で忍び泣くとき、ドゥムカは遠回しにしか聞こえてこない。


音楽によって浮かび上った、幻覚を誘うこうした映像のどこかにドビュッシー個人がいるだろうか? 自らを忘れ去ったドビュッシーその人は、もはやそこにはいない!


個人としてのドビュッシーは、陶然となって、夜と、光と、真昼の光と、真夜中の闇と一体化する。

彼は金色の魚、フェルトの象、道化師役の隊長にと次々に姿を変える。デルフォイの舞姫、カスタネットを持った踊り子、中国の塔、カプリのレモンの木、蒼空に浮かぶ小さな雲、サミュエル・ピックウィック、小さな羊飼い、芥子の実、空で身震いするあの大木、仮面、操り人形にもなる。

要するに彼は、パン神、ノヴァークがピアノ音楽全体の中でもっとも壮大な一篇の宇宙の詩を献じた、あの [夏の風の神] なのだ。

彼はパン、生物全体である。

このように主観が客体の中へ埋没すること、
おそらくこれこそユーリイ・クレムリョフが言うように、[写実主義] と呼ぶのがふさわしいだろう。


     ジャンケレヴィッチ著 "ドビュッシー 生と死の音楽"
             (船山隆様・松橋麻利様訳)



レッスン記録:花めき

September 15, 2018

ごく初期にお積木を使って音符の長さを知った生徒ちゃんは、


「音は平面的なパーツじゃない。体積を持つもの」
って言う先生のおかしな言葉をわからないままに聞いて、

ある日 [音の絵] に進んだ頃、自ら音の体積を使用しました。


音符の掛け算問題がすらすら解けて楽しくなった頃、
お積木は小節というお部屋を持ちます。


譜面に印刷された小節は、目の前のダンボールのお部屋になり
見て、触って、其処に体積を持つ音符を置きます。

先生が弾くピアノのリズムに合わせて。

リズム聴音の始まりでした。


片やメロディ聴音開始時はクレパスで線や丸を描きました。


聞こえた通りに。
メロディ聴音では音に素早く反応して、瞬時に線や点や丸で音をスケッチする反射力を先に養ったのです。

クレパスを持ってもらった理由は、
音の強弱を濃い・薄いで
和音・単音を大きな丸・小さな丸で
弾むリズムを点で、繋がり流れる旋律を線で
表情を描き分け易いからです。


[お箱遊び] から発展した [創造] では '見立て' を重視しました。


子供さんみんながいっぱい持ってる見立ての才能を大切に繋げる楽しさをお互いが味わいました。

春はお花に見立ててた結晶パーツは
秋、紫陽花が枯れる頃に風の煌きに変わりました。


垂直に置いて恒星を表した物は、寝かせて雫に見立て


天球から生まれた雫が雪になる2連仕立てで創造の科目を卒業したのでした。

  身近なあらゆる物が全部
  音楽の部品になると識ってゆきながら。


重なり、発展し、花めく。


心の内に湧き水があるかに、膨らみをおぼえる。

其れによって拡大もある。でも拡大は目的じゃあない。
ジャンプアップも目的じゃあない。

じゃあ何?
重なりの美しさを識ることではないのかな。


■お教室関連リンク

曲を感じる
*ある白い花
*ままならぬ恋の花
*2枚目の扉
*白い花の贈り物


初期
*レッスン記録:音符イチゴ
*レッスン前の時間
*レッスン記録:オクターブ
*レッスン記録:メダカのドレミ
*レッスン記録:スタッカート

*レッスン記録:楽譜を作ろう!
*レッスン記録:上の音
*レッスン記録:痩せたメダカ
*レッスン記録:カタツムリ
*レッスンの成り行き
*レッスン記録:イチゴのタイ
*レッスン記録:指番号
*レッスン記録:音の実

*レッスン記録:復習とカメ
*レッスン記録:音ブロックで曲を弾こう
*レッスン記録:好きな曲を作ろう!
  *緊張するレッスン
  *泣いちゃダメ?
  *レッスン記録:下地(1)色
  *レッスン記録:下地(2)味


記号
*レッスン記録:ト音記号
*レッスン記録:臨時記号


音符
*レッスン記録:音符の長さを憶えよう
  *子供の絵、母の悩み
  *レッスンと色
*レッスン記録:音符の向き

*レッスン記録:十六分音符
*レッスン記録:床の五線
*レッスン記録:紙粘土
  *先生の真似

*付点音符を憶えよう
*レッスン記録:付点音符のサイズ
*レッスン記録:小節に触る


成長過程
*レッスン記録:記憶の拡張

*7ヶ月でカバレフスキー
*お庭レッスン

*レッスン記録:香りレッスン
*レッスン記録:ハーモニー体験

*レッスン記録:ハンカチのしみの音楽


ヒント
*レッスン記録:お菓子パーティー
*レッスン記録:付箋を使う
*練習カウンター
*メトロノームの思い出(1)
*メトロノームの思い出(2)

*ハノンと恋
*プー、スケールに泣いた日
*プレイ
*ステップ


リズム
*レッスン記録:リズム解き
*レッスン記録:食べ物カード
*レッスン記録:楽語とリズム
*レッスン記録:リズム聴音


幼児期の聴音
*レッスン記録:はじめての聴音
*レッスン記録:寒暖の和音


暗譜
*レッスン記録:はじめての暗譜
*レッスン記録:楽譜の道筋
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お指トレーニング
*レッスン記録:音階練習
*レッスン記録:指遣いのカリキュラム
*レッスン記録:音階と和音


アウフタクト
*レッスン記録:アウフタクトの導入
*レッスン記録:アウフタクト実践例
  *レッスンこぼれ話:ピンクのうさぎ
*レッスン記録:なめこぐま
*レッスン記録:はじめてのバラード
*レッスン記録:ぬるぬる


音階遊び
*レッスン記録:シマエナガ式ケース
*レッスン記録:フェーブの音階
*レッスン記録:音階理解をシンプルに


お箱遊び
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*レッスン記録:お箱遊び
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画集遊び
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*ダリとモチーフの引出し
*レッスン記録:ダリと創る
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*レッスン記録:モチーフのイメージ
*レッスン記録:感得
*レッスン記録:お水に映る
*レッスン記録:最後のダリ


音の絵
*レッスン記録:鍵盤でお絵描き
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*レッスン記録:イチゴのたね


創造
*レッスン記録:色をつくる
*レッスン記録:転遷
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*レッスン記録:2つの時
*レッスン記録:デビューとクワガタ
*レッスン記録:雪が咲く


音の作文
*レッスン記録:卵焼き
  *目玉焼き&玉子焼きじゃない理由
*レッスン記録:チョコパンとハンペン
*レッスン記録:ミックスジュース
*レッスン記録:サクサクのパイ


絵を聴く
*レッスン記録:林檎
*レッスン記録:道程
*レッスン記録:大きな松の木
*レッスン記録:見えない画面の物語
*レッスン記録:迷いと躊躇


■オトナのレッスン関連記事

識見
*ソナタ的お茶の日
*お散歩とテーマの変容
*メロディーに掛かる
*柘榴のポエジー
*譜読みの目標
*楽譜のページの向こう


成り立ち
*レッスン記録:ドレミ
*ピアノレッスンの主張
*レッスン記録:Dur


音楽史
*音楽史のレッスン
*レッスン記録:カメラータ
*レッスン記録:モノディと公会議周辺
*レッスン記録:純正律
*レッスン記録:ピタゴラス音律
*レッスン記録:ビデオと地デジ


ピアノを感じる
*ラヴェル音源とドビュッシーのフェイント
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  *僕が見たイケメン生徒ちゃん


(スプレーン)
*レッスン記録:読み取り開始
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*レッスン記録:フェルマータの場所
*レッスン記録:次回のピアノ課題

(月の光)
*レッスン記録:噴水
*レッスン記録:2冊目
*レッスン記録:人の文字
  *レッスン記録:衣装の絵
*レッスン記録:不離一体

(カッサンドル)
*レッスン記録:カッサンドル13
*レッスン記録:カッサンドルそして・・・
*レッスン記録:楽語

(グリーン)
*レッスン記録:君が眼に
*レッスン記録:感じがする



イベールにとっての物語

September 08, 2018

シャンプー後は、バスタオルに自分で身体を擦って拭いてるブルゴーニュ君。お利口さんです。


拭き拭きしたりされたりする時間が大好きみたい。


昨日のギャップのお話は、作曲家の意識と演奏者との間に起きる問題の伏線です。印象に対する色んな感想がある場合は相関図を組み立てることもできるでしょう。

だけれど印象が1種類に偏る場合に解決法が狭められる。

  *ギャップ


其の例では特に、作曲家と演奏者を隔てる溝は深く、
作曲家と、曲に触れる際に演奏者を通す聞き手との間に至っては大河で隔てられてるかもしれない。


演奏者と聞き手とを隔てる深い樹海は打ち遣るほか術がない。


隔たりはやむを得ない。でも、
隔たりがあると意識し続ける尊重が大切だと思う。

  *イベールの顔


事細かくおしゃべり風に指事を出してくるプーの譜面と違って

  *プーのおしゃべり


イベールのあえて抑えたような言語での書き込みは、
'聴いて・・・あとは音に書いたから' と言ってるかのようで、
育ちの良さと、落ち着きと、気分が安定した人の平らかな伝え方が既に彼の音楽の '部分' として曲に溶け込んでる。

最も大切に扱いたいところだ。
だからこそ例えばお話をくっつける類の案を是とできない。


有名な "イストワール(ものがたり)" をリサイタルプログラムにのせた時、解説の形を一瞬迷った。


10曲の曲集だからそれぞれお話のように構成すれば「聞キヤスイ」のかもしれないと頭を掠めたが、それに手を染めるのは間違いだと結論してやめた。


イベールの "ものがたり" は其処に既にあり、
作り話(下リンク)の貼り付けで彼の宝石箱を破壊することはできないと思った。

  *レッスン記録:迷いと躊躇

もちろんお家でママがベイビーちゃんに無償で弾き語るのに問題なんてない。対象は、演奏する音楽の責任を負うべきプロフェッショナルが入場料をとって行なう場合に限ってです。


'お話づけ' によって 'お話の都合' というものができる。


都合に押されて楽曲が歪む。都合と楽曲の間に齟齬が生まれる。辻褄合わせが入る。

その間イベールのエスプリはどこを漂うだろう?
奏者にも顧みられない辻褄合わせ時間、彼の居場所はない。


およそ「聞キヤスサ」の理由はお話がついてるからじゃあないのだ。最も間違えてはならないところに思う。

「聞キヤスイ水準」で作られたお話が、未知の国の未知のエスプリという煌めく秘宝を、「聞キヤスイ馴れ合いの所」まで引きずり降ろしたから「聞キヤスクなった」と錯覚するに過ぎない。

そんな手垢をつけても構わない曲... なんて申し方は心得違いだが、大きな括りでは容認してくれる曲だって他に幾らもあると思うのだ。

  でもイベールは違う。


あの生粋のパリジャンは、彼の呼気と奏者の吸気が音を介して小気味よく鳴り合う、シンプルだからこそ垢抜けた一種の '空クウ' に近い形こそ望んでいないだろうか。


どの道・・・

もしもイベールが "ものがたり" にもう1個作り話を貼り付ける仕業を野暮と考えず、可能性は極めて低いがもしも望んだとしたら、彼はコクトーにでもブルトンにでもピエール・ルイス(ルイスはドビュッシーのほうが親しかったそうだが)にでも頼むことができた。間違っても我々じゃないのだ。

唯一ソリューションはお話の断片のイメージ提示かもしれない。
ストーリーを持たなければ辻褄合わせは無用だから。


*イベールの顔



レッスン記録:迷いと躊躇

September 05, 2018

生徒ちゃん用のお席から見た生徒ちゃん用ピアノはこんな感じ。


サイズがわかりやすいC3を例に取ると其れより一回り大きなピアノですが、角度をつけずに写すと小っちゃく見えますね。

絵を聴いて、考えるレッスンの続きです。

  *レッスン記録:見えない画面の物語

当科目は「お話をつくる」のとは違ってるんですヨ。

お話を作ることが文字どおり「作り話」とならないためのトレーニング。だから物語を進めるためのお話づくりと、ある意味対極と言えるかもしれません。


具体的に申すと '木が鳥に向かってこっちへおいでと呼びました' っていうのは作者の都合で作られた、謂わば机上のお話です。


鳥に来てほしい松の木。
けれどもお隣の木へ行ってしまった。
その鳥をを呼ぶのです。
あなたなら易々と 'こっちにおいで' って言えるでしょうか?

あっちの方がいいのかナ? でも声をかけたいヨ、と迷い・葛藤するでしょう? 松の木も同じです。

「鳥を呼びました」で物語を進めてはいけない。
心はそんなに簡単じゃない。

今、絵と絵のイメージは楽譜そのものなのですもの。考えのない音を弾き流すレッスンの如くに進めてはならないところです。


幼稚園に上がる前の子供さんだって '仲間に入れて' '一緒に遊ぼ' って言うとき、勇気を出したり・怖さを覚えたりしますよね。


どんな小さな事にも心の摩擦があります。

嫌いな食べ物があること・食べたら褒めてもらえることの間で葛藤します。幼稚園の中だっていじめっ子が居たらば正義感と保身の狭間で小さな心の中に反目し合う2つの自分を持ちます。

松の木や鳥にそれらを映して心の情景を広げてゆくのが、曲を作るより大きな目的なんです。


松が声がけを躊躇する一瞬に休符が入りました。


鳥は行きたいと思っても風が強くて怖気付きます。
ここにも葛藤があります。風の中へ出られない鳥のひ弱さです。

もう1度呼ぶ松の木には先ほどのようなためらいはありません。
嫌われてはいない。鳥は来たがってるって自信をつけて
枝を揺すって呼ぶのです。

鳥は・・・


鳥は来そうになっては風の恐怖に心が折れます。


松の木が枝をもっと高く振って励ます様子を生徒ちゃんは松の枝の音高を上げて表現してます。

こうした細かな描写は自分自身が筆をとることで、作曲者のそれも汲み取れるようになってゆくでしょう。

とても素敵な描写だからこそ先生はもっと欲張りになって希望を口にしました。


松は心が強くなってゆくのに、鳥は風を怖がったままうずくまってる・・・


鳥はきっとそんな自分を好きでないかも? って。鳥が怖がってる気持ちをわかってあげて、松と一緒に見守ってあげましょうね? と松の木以外への視点の転換も求めてしまいました。

生徒ちゃんは回を追うに連れ、発想も表情付けも視点も本当に種類多く会得してくれてます。

ほんの少し残った補足はまた後日に。


■お教室関連リンク

曲を感じる
*ある白い花
*ままならぬ恋の花
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初期
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アウフタクト
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創造
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(スプレーン)
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(月の光)
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プー "violon" と美容(2)

September 02, 2018

本を幾冊か処分した。


父がお下がりをくれたためにサインが入ってる本や、娘のためにと予めSと書き入れ手渡してくれた本たちは、読まなくなっても捨てづらく長い間手元に残してた。

記念に画像をあげながらプー "violon" のおしゃべりの続きを。
個人様宛に書いた事柄を振り返って纏めておきます。

  *プー "violon" と美容(1)


16小節目 presque exagérément lié のニュアンスも理解困難なところ・・・


多くは A—h— 若しくは A——h と歌って魅力を失う。

A—h—! じゃない。
A——h! でもない。
Ah!—— なのだ。

エクスクラメーションマークを歌うと言って過言ではない。
[ ! ] で吐き切ってしまうくらいの音勢で。

このマークが何か考えてみると判り良い感じがする。
'あ~' の付属品? 'あ~' の強調? まさか。

'あ~' なんてのは強調すべきものだろうか?


違う。Ah「!」だ。


それ自体が呻きに変わるほどの幅を備えて、つまり
ces gémissement tendus と続く詩のように tendusで。

張り詰めたもの。
他人が触れられないほど張り詰めた美しさで。

'あ~' じゃあないのだ、断じて。
難しいけれど歌だからこその魅力が詰まった小節。


息を吐き切ると書いたのは口内と喉の息を吐き切るだけで
音は繋がってる。幽かに。


可能なら一瞬間だけ下唇を閉じ気味にして鼻に抜いても良さそうに思う。

音量は幽かだがその繋がりはめくるめく感情の体感として1続きのものじゃなきゃならないだろう。


ピアノパートを見てほしい。

LaとSiが陰気に残酷に鋭くぶつかるところが強く吐くエクスクラメーションマーク付きの 'アッ! ' に重なり、

声を吐いて消えたかに思えた一瞬ののち、次拍でピアノパートは俄かに弱音に変わり、撫で摩るようなタッチの逆付点で官能を誘う。


其うしたピアノパートに乗せて途切れず小さく続いていた声は、


半拍後には濃艶さを増しながら音の膨らみを抱きしめるように増大する。これがフォルテの中の 'exagérément lié' の実相じゃあないのか。

2018年現在の考えです。


■ブルゴーニュ君のプーランク
*お昼寝の曲
*雨の日のお昼寝動画
*可愛い音符


■プーランク楽曲関連
*プーのおしゃべり
*プー "violon" と美容(1)

*プー&モツと摩擦
*爛熟、プーランクと爛れ
*腹巻FP146
*カラフルな月
*プー "ノヴェレットNo.1" の生地
*プーランク:一篇の。
*純真
*パレ・ロワイヤル
*似てるモノ・違うモノ
*プー、スケールに泣いた日
*モテヘア&モテメイク


■プーランクの気配
*パリのプーランク
*プーランクとシュレアリスム
*ラファエル前派とカードアイコン
*プーランクのテクスチャー
*フランスの特権

*プーランクで麻酔
*プーと共感
*プーとペダル
*ダダとプーと苦いコーヒー
*小さな副作用とプー


■プーランク歌曲&デュオ関連
*プーランク "ロマンツァ"
  *ロマンツァその後
*フランスとルイーズ
*カフェは難しい・・・
*プーランク x ルイーズ
*神のないルイーズとフランス
*ルイーズのチーズ
*ルイーズの赤
*思い出の硝子瓶 + ルイーズ
*ルイーズのお稽古
*落日の色、ヴィオロン音源up
*プーランク "花" 音源up
  *枯れた花のお手紙
*女心とアンドレ婦人
*PJにてプーランク・マズルカ
*プーランク "草むらの中で"
*舌切り雀、Il vole


■クラブ・プーランク関連
*クラブプーランク中間報告
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*冬のお腹
*裏切者~
*クラブP第6回ありがとうございました
*12月3日クラブP第6回
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*教養と無秩序
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*今日は楽しみましょ~♪
*チェロソナタのピアノパート
*プーランクと遊ぼう4eme
*お出迎え
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*クラブ・プーランク第4回
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*プーランク遊び
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*クラブ・プーランク



プー "violon" と美容(1)

August 31, 2018

前にメールでプーの "ヴィオロン" のお話をしてた。


歌い出しのtrès liéの意味を、私は実際のリエゾンに限定しないで「女の香りが途切れないように」という理解の元にliéの形を探るのが正解に近いと考えた。

coupleの冒頭語句にフォルテと書かれてるのを見て何パーセントかの歌い手さんは 'ク' に当てる時に大きく声を出そうとする。

すると日本語の 'ク' に近い発音を免れなくなる。しかし回避するのは割と簡単。


couはあくまで無声音として「息をフォルテに高める」。


音がフォルテじゃなく息の勢いがフォルテと考えるとフォルテの意味は変わってくる。

ルイーズにとってcouple amoureuxは1つの風景または心象に過ぎず、coupleを思い入れたっぷりに歌い込むフォルテの風に扱うと目的が違ってしまう。

この場合のフォルテとは、
開いたドレスの豊満な胸元に、細い鼻根の美しさに、前奏の無言の内にも圧倒的なエロティシズムを発散するオンナの第一声に注視させるcouであってすら構わないのじゃあないか。


très liéは例えばルイーズの性格を備えた歌い手さんの


眉頭を強く描き眉尻を大きく下げるメイクのなまめかしさに釘付けられた視線を、鼻背の影・顎先・なだらかなデコルテへと繋げるlié。

言い換えれば「視線を離させないlié」であり芳香で酔わせることを止めぬliéである前提にあって音楽を作るのが可能で、どうしても音を繋げなければならないとは私は考えないのだ。

なんていうか・・・歌い手さんにとってルイーズの歌詞ほど美容に良いものは少なかろうって思えるくらい、ルイーズによるオンナへの手招きは並一通りではない。


其うした曲のお話の中でお返事しそびれた小節がある。
体力が尽きて書ききれなかったんだった。


32小節目quasi parlandoから33小節目mF subitoは以前当曲に触れたフルート奏者も疑問を口にしてた。

随分前のことだったけど確か此処でのsubitoは例えば「自分の力で」以ってして「subitoだからすぐに」と意識する場所とは違ってると答えた覚えがある。

古典のような対比のsubito、つまり強と弱のsubitoや速と遅のsubitoとは完全に出処が異なるのじゃあないか。


20代~30代の大竹しのぶさんが顕著な例として浮かんだ。


お話しになる内容と表情変化の間に少なからぬ時間差と軸の弯曲みたいな不整合があり、

それは決して齟齬や不和じゃなくて大層魅力的なものだった。

間隙であり、残余でもある其れが引力になり、不思議なアンマッチが相手の心にさざ波を立てて '今の表情は何? どういうことだろう? ' と思わせてしまうような、平たく言えば魔性性の表情なのであり

言うまでもなくルイーズが、あまた持っていた才の1つだ。


裏を返せば 'そのsubitoはどういう意味? ' と悩むのは男側であらねばならず、女性の歌い手さんは悩むほうじゃなくて悩ませる側に回らなければならないsubito。


譜面に悩んで納得するに留まらず、次は聞き手に「納得できない心情」を与えなければならないのだ。

'え? どういうこと? 今のは何? ' と。

其の答が un fruit inconnu なのだ。


■ブルゴーニュ君のプーランク
*お昼寝の曲
*雨の日のお昼寝動画
*可愛い音符


■プーランク楽曲関連
*プーのおしゃべり

*プー&モツと摩擦
*爛熟、プーランクと爛れ
*腹巻FP146
*カラフルな月
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*プーランク:一篇の。
*純真
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*プー、スケールに泣いた日
*モテヘア&モテメイク


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*パリのプーランク
*プーランクとシュレアリスム
*ラファエル前派とカードアイコン
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*プーと共感
*プーとペダル
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*小さな副作用とプー


■プーランク歌曲&デュオ関連
*プーランク "ロマンツァ"
  *ロマンツァその後
*フランスとルイーズ
*カフェは難しい・・・
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*女心とアンドレ婦人
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*プーランク "草むらの中で"
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*プーランクの著作権
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*クラブ・プーランク



ボードレールの挑発と真意と音楽

August 15, 2018

子供の頃に背伸びして、解らないままフランス詩を読んで
どうして此の人はこれ程に怒り散らしてるの? って疑問だった。


綺麗なものを謳うのが詩だと思ってた。詩を書きながら詩に立腹し、文学をしたためながら文学に憤怒してた彼ら。
大切な著書に1等顕したいのが憤激だってことが不思議だった。

愚かな子供だった。筆者は怒りの出所さえ解しない不埒者が書物を手に取るなんてと一層激怒したでしょう。

  理解せぬなら触れるな!

書物のページからそんな叫びが聞こえた。


子供じゃなくなった自分は昔とは違う。彼らが求めるものに本当に気づき始めたかどうかは自分の判断するところではないが、


  彼らが何故怒りを抱いたか極々解るつもりになっている。
  否。文芸に怒りを持たない人間を理解できなくなった。


《パリを描写した者たちのうちで、バルザックはいわば素朴派である。彼の描く人物たちは、彼らが行き来する街路よりも大きい。ボードレールは、建物の海を、家の高さにまで及ぶその波とともに描き出した最初の人だ。》

《 'ボードレールというのは.... 一種の短剣である。....両刃で幅が広く短いボードレールは.... 持つ手が切っ先に近いから、一撃で確実に荒々しく突きささる。
' ヴィクトール・エミール・ミシュレ "霊媒たちの顔" 1913年》

    ベンヤミン著 "パサージュ論2ボードレールのパリ" より

             (今村仁司様/大貫敦子様/高橋順一様
             塚原史様/吉村和明様/三島憲一様
             村岡晋一様/山本尤様/横張誠様/
             与謝野文子様/細見和之様訳)

これらは1つの推奨されるべきものの肯定が、過去に是とされた別のものの否定になる現実を突きつけ合うのを躊躇しない人の横顔でもあるでしょう。


芸術を探し求め、堕落に逆上する彼らの存在への安堵。


芸術を腐敗させ、芸術でなくさせる者への彼らの憤りは静穏なゆりかごのようだ。

  *夏のおやつと本

病人になったことによって、違う場所から関西という小さい一地方の音楽界を眺める時の心境と正反対の安堵を彼らはくれる。

辺りに転がってる音楽ごっこからは決して得られない安堵を、怒れる思想家が与えてくれる。

音楽界とかいう名前は一応ついてはいても、此処私の周りでは誰も発狂せず、芸術原理に血へども吐かない。
芸術の定義を巡って人を殴るほど興奮する人もない。

何なんだ?

1人1人には違った苦しみがあろうものを、演奏する時は何故か '楽しみです' とか '幸せ♪ ' とか言わなければならない決まりでもあるかのように『そんなセリフを口に乗せてる暇に考えねばならない事』には誰も(すくなくとも人前では)口を開かない。


口に出すのは演奏の難易度とかいう、取り立てようもない事柄くらいだ。


難易度なんてものは漢字ドリルを埋める子供でも、或いはトイレの場所を憶えなければならない子猫でも、大き過ぎるお砂糖粒を運ぶ蟻でもやってる、ごく当たり前のチャレンジのしんどさと喜びの話に過ぎない。

油物のお皿洗いと何ら変わらないのであって、音楽など関係なしに万人が重ねてる。
通勤ラッシュに毎日耐える方々が体験なさる難易度より、音を美しく出すほうが難しいわけもない。

ラッシュアワーが音楽に関係ないように、曲の 'ナンイド' なんていうわけのわからないものも音楽と接点はない。

困難なのは高めることだ。
美学として思想として昇華することだ。
それ以外に何も必要はないじゃあないか。


■ベンヤミン関連リンク
1巻
*本欲しいなあ
*ミュゲとパリの始まり
*地球儀と室内と解放
*カラビナ・日常・本
?僕んちのどうぶつ達
*息詰まるフリーク
*1919
*
*楽譜のページの向こう
*ステップ
*監獄・アンチつるつる
(1巻のご紹介に際しまして訳者様の今村仁司様と高橋順一様のお名前に文字の誤りがあったと後に気がつきました。大変申し訳ありません)

2巻
*夏のおやつと本

■ダダ関連リンク
*ツァラ、にぎやかな絶望
*プレイ
*ダダのお寿司ネタ
*ダダとプーと苦いコーヒー

■ちょっとだけアラゴン
*パノラマ
*優しく辛辣な女と、田分けた男



イベールの顔

August 10, 2018

ジャック・イベールのイストワールで遊んでみることになった。


本番じゃあなくて内容も決めてないお遊び。
折角与えられた日を、この曲集の何を託す機会にしたいか
或いはするべきか、心中を整理したくなった。

イベールといえばある時ボザ曲の伴奏をしてた日を思い出す。

ウジェーヌ・ボザという作曲家はピアノソロでは出会わないから親しんでなかった(楽曲を耳にすることはあっても譜面を研究する機会は1度もなかった)が、管楽器に関わってるとピョコピョコお顔を覗かせてくれる。


いざ自分が弾く段になったとき、指の位置や次の音への運び方がイベールに似てるなあと思った。


何となく流れてる曲を耳で聞いて共通項があると感じるものとは別に、鍵盤上での配分によく似たところを感じた。

ボザのバイオグラフィを読んでみるとジャック・イベールに師事とあって成る程と思ったんだった。

鍵盤配置が師弟で似るのは、感覚の問よりもボザがイベールの指南に忠実だった証に思えて何か微笑ましく興味深く感じたものだった。


師としてのイベールが居るように、イベールにも先人が居る。


イベールより幾十年か前に同じローマ大賞を受け、それもイベールが選んだのと同様のカンタータのジャンルで受賞していた先人が。

彼、ドビュッシーがプレリュード集で行なったタイトルの試みは
今では万人の識るところとなって、
曲冒頭にタイトルを置かない意図も広く理解されてるでしょう。

タイトルが先行して曲イメージを支配するのじゃなく
最後の音の後ろにそっと添えられる。

まるで私たちが鍵盤から指を離し背を向けたあとで静かに打寄せ岸を洗った一つの波頭の泡のように。


嗚呼しかし人々はどうしてドビュッシーを見つめるようにはイベールの顔を見ようしないんだろう?


曲のはじめにはナンバーしか書き入れず、曲の末尾に丸括弧の中で幾つかのポワン付きで

--- ドビュッシーは (....タイトル) と前にポワンを入れていた。
  イベールは (タイトル....) と後になっている ---

囁きのように、音世界を壊さぬように、
脆くなよやかな感覚の領域を汚さぬように、
小節から零れた音の滴を集めて最後に文字に変えたものが

無作法な土足の人間たちによって、'この曲に亀が出てきますよ' だの 'ロバが走っていますよ~' だの限定される。目を曇らせたまま乱暴に自分の生活圏内へ楽曲を引きずり込む時もやはりイベールの顔を見ようとはしない。


絵画の上から油性マジックで塗り直すような暴挙と自覚しづらいのは、それが音楽という形なきものだからか。


ボルハの教会のキリスト画の修復に目を疑った人々も
イベールの顔を歪ませる改竄には無頓着になる。

あのフレスコ画のような事件が音楽に於いて日々彼方此方で起こってるというのに?



プーのおしゃべり

August 09, 2018

朝6時にお店が開くのを海辺の段々に腰掛けて待ってるところ。


何気なく座る時だってブルゴーニュ君は躰を重ねるように押し付けてくる。

  各自が癖をもってる。
  ワンコにだってあるんだから
  才気溢れる作曲家なら尚のこと。

プーの楽譜に指示されるされるのは、もはや楽語じゃない。
プーのおしゃべりだ。


自曲に関しては口うるさく、"君らは此う弾くだろうから予め言っとくけどね" って調子で顎を上げるプー。


示した事柄が誤解曲解されるかもしれない可能性を完全に潰しておきたい、って気持ちが感じられるおしゃべり。

曲を下手くそに弾かれるよりも、自らのニュアンスと意図、
つまり自らのエスプリが洗練されないものと一緒にされるのが我慢ならないかのように。

  私にはそう思えて仕方がない。


プーの指示はプーを正しく演奏するための指示じゃない。


プーが憎む '美しくないもの' との差別化を徹底してほしいという強い願いがこもったおしゃべりだ。

彼がたまに示す 'OOのように' の例が既に独特で、'先んじて僕と君のOOに対する印象は同じかね? と聞いておくよ' と心の声まで聞こえるようだ。


言葉を如何なる形で用いてゆくかが分野問わず永遠の大きなテーマである国の、言語が聞こえる音楽。そして音楽を作る最大の環境である言語という名の一種の音楽。


その両を感じさせるプーの音楽と、音楽を用いたおしゃべり。
ドビュッシーピアノ曲の其れとはまた異なり
ジャック・イベールのとも違ってる。

日本も同じだ、1人ずつ異なる言葉の使い方をする。
あなたとあなたの家族でさえ、1つの物に異なる表現を使う。

何故作曲家が残した言葉を視ないでいられるだろう?
視ようじゃないか。


■ブルゴーニュ君のプーランク
*お昼寝の曲
*雨の日のお昼寝動画
*可愛い音符


■プーランク楽曲関連
*プー&モツと摩擦
*爛熟、プーランクと爛れ
*腹巻FP146
*カラフルな月
*プー "ノヴェレットNo.1" の生地
*プーランク:一篇の。
*純真
*パレ・ロワイヤル
*似てるモノ・違うモノ
*プー、スケールに泣いた日
*モテヘア&モテメイク


■プーランクの気配
*パリのプーランク
*プーランクとシュレアリスム
*ラファエル前派とカードアイコン
*プーランクのテクスチャー
*フランスの特権

*プーランクで麻酔
*プーと共感
*プーとペダル
*ダダとプーと苦いコーヒー
*小さな副作用とプー


■プーランク歌曲&デュオ関連
*プーランク "ロマンツァ"
  *ロマンツァその後
*フランスとルイーズ
*カフェは難しい・・・
*プーランク x ルイーズ
*神のないルイーズとフランス
*ルイーズのチーズ
*ルイーズの赤
*思い出の硝子瓶 + ルイーズ
*ルイーズのお稽古
*落日の色、ヴィオロン音源up
*プーランク "花" 音源up
  *枯れた花のお手紙
*女心とアンドレ婦人
*PJにてプーランク・マズルカ
*プーランク "草むらの中で"
*舌切り雀、Il vole


■クラブ・プーランク関連
*クラブプーランク中間報告
*クラブプーランク延期のお知らせ
*冬のお腹
*裏切者~
*クラブP第6回ありがとうございました
*12月3日クラブP第6回
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*今日は楽しみましょ~♪
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*プーランクの著作権
*プーランクと運命の人?
*クラブ・プーランク



エフがゴネる

August 04, 2018

横になったまま写した写真。
昨日は辛い1日でした。


全身で痛くない所を探すのが難しいくらい加減が悪くて
どんな姿勢で寝ても、どこかに負担がかかる。
熱も出てきて、極めつけは喘息の発作まで。

もう勘弁って泣きたい気分でした。
色んなことが良くなってるところもあるけれど、時々厳しいコンディションに追い込まれて消耗することも。


気持ちをたくさん助けてくれるブルゴーニュ君が、病気の飼い主のせいで楽しみが減ったりしないように、って思い続けてる。


ブルゴーニュ君の生活を左右しないよう踏ん張るけど、昨日みたいに全く動けない日もある。

そんな日もベッドでずーっと一緒に居てくれる。
傍でゆっくり寝るの嬉しいネ、ってピトッと躰を寄せてくる。

ブルゴーニュ君の存在にどんなに励まされてることでしょう。

明けて今日は比較的改善してます。
昨日の加減の悪さは思い出してもゾッとする。

  上下左右から圧迫されて心まで狭まってしまうような
  まるでエフが、ぐずり出した時のようだった。


何が始末に困るって、エフは何が厭でどうすれば直るか示さないまま、ただぐずる。


僕こんなに悲しくて可哀想、と言い募るが改善策を提示しない。

エフとの40年の付き合いで、彼の場合ぐずるのが目的だと私は思ってるが、周り中がこぞって 'エフ君どうしたの? 何が気に入らないの? ' とご機嫌取りを始める。

やれやれ。それは気に入らない事がある=ぐずって良いと肯定したも同然じゃないかと忸怩たる思いになりながら無視する。
何なら大人に見えないところで足くらい踏みつけてやる。

周りの大人は、エフがむずかってる理由を知ろうとする。
エフ心理に其んなの益無い事なのに。


何故って彼自身が自分を知らない。


周りがお膳立てしてくれる(低評価・罵倒を受けない)ことだけは知っている。

そこに胡座をかくほど性格は悪くないが、そこに都合よく依存してると気づこうとしない無神経さはもっている。この種類の人間が [デリケート] に感じる対象は自分の痛みだけだから。

基。
むずかる理由だが、問われてエフはキャラメルがないからじゃあないかと思い立つ。

真に自身の心の底を見ての答えではない。
もしかしてキャラメルがあったら僕ちゃん機嫌直るかな? と
その時は本当に思うのだろう。

思いつきで物を言う男ほど信用できないものはないのに
大人たちはエフのメロディーの美しさにポーっとなってるので
そんな風には考えない。

大急ぎでキャラメルを用意する。


エフは笑顔になる。僅か1小節と2拍ほどだけ。
笑顔を見て大人たちはハッピーらしい。私は白けて横を向く。


エフがキャラメルを口に入れる。
エフは顔を顰める。
歯について厭だとむずかる。

そら見たことか。姉の私は密かに、エフめキャラメルを喉に詰まらせて咽せろと願いながら目を眇めて見ている。

大人たちは歯につかないキャラメルを探し始めるが、
エフ曲は既に最初の「キャラメルが無いからゴネた」事実など関係なくなっており、「歯が気持ち悪い」から「背中がむず痒い」に移行してむずかり始める。


胸を突くようなメロディーで背中の僅かな不快感を訴える。
背中のムズムズだろ? 滑稽じゃね? と茶々を入れたくなる。


大人たちは寄ってたかって背中を何とかしてやろうとする。

しかし背中問題のお次はお皿の形の問題に変わり、お茶の熱さが気に入らなくなり、どんどん大騒ぎになってゆく。

無意味に思えるクレシェンドとフォルテシモが、何故かミルクピッチャーに関しての叫びであることに私の心は冷え切る。

八方塞がりだ。勝手にしろよ、と思う。

緊張感高い和音が響き渡る。


ミルクピッチャー騒ぎのようになった時のエフは、転回形をあまり使わなくなる。ただでさえ緊張感ある和音だのに根音をやたらとバスに持ってき始める。

こうなると大人たちも遠巻きになり、話ができなくなる。

  そして突如すべてが止むのだ。
  昨日の痛みのように。


終結部だ。
あれだけ大騒ぎしたんだから、「いっぱいゴネてごめんね、みんなありがとう」って結びを無意識に予測する。普通音楽家なら提示されたテーマを受けた収束を予期して当然だ。

エフは最終段で静かに呟く。
「キャラメルさえ、あったらなあ」

  ええぇぇ~~?!?!
  マジですか?!

私にはエフがわからない。

**


そう軽くはない病気の上に、全世界に膨大に居るエフの熱烈な支持者をたった1人で敵に回すほどフラストレーションが溜まって書き散らかしてしまった。ごめんなさい。

ま、タイトルは誤りでゴネてるのは私ですね。
今日はエフを思い出す痛みはないです。


  ■これまでのお話
    ♪エフ動画
  *エフ
  *エフに狭まる心
    ♪音を届ける
    ♪ある寒い秋の日に
    ♪1匹の聴衆
  *エフと、プーの消化と、フォーレの濾過
  *エフ。収容期間終了
  *エフ。女の言葉と男の語り
  ♪エフとお国訛り抗争
  *エフ。必須の紋所・無言の執拗
  *エフとドビュッシーの白
  *エフとお食事会
  *エフと歯磨き
    *シャポンのアガーツ
  ♪エフとの関係
  *エフの言わずもがな
    *褒められた自慢のアレが
    *ムンクの震慄



レッスン記録:大きな松の木

July 22, 2018

セザンヌ画を用いる '絵を聴く' 課題はとっても楽しかったのです。

  *レッスン記録:林檎
  *レッスン記録:道程


此の回は "大きな松の木" という絵。
徐々に音楽そのものへのアプローチに近づいていきました。

1つ前のカリキュラムで '音の作文' を始めたことも大いに役立ちます。様々な食材を口にして、お味に留まらず食全体を識ってゆくような体験を。


絵を見てお話し合いをはじめます。


先生が考えのサポートをしたりまとめたりしてお手伝いします。そうするうちに自由に何でも感じたことを表して良いんダって思ってくれるようになってきました。

生徒ちゃんは風が吹いて木が揺れてるって言いました。
向かって右側の小さなものは鳥だと言いました。

其して、風に揺れる枝を太い音の和音で書き、鳥の声をトリルで加えました。


此処までは食べた物を描写する '音の作文' と共通です。
異なるのはこの先、絵がどう動くかを考えること。


絵の見方のレクチャーじゃなくて音楽の触れ方の体験ネ。

描かれた絵の一部(曲のフレーズ)から、画家(作曲家)が見てる風景全体(楽曲背景)を考えるお遊びです。


木は風を受けて何を思ってる?
木は鳥が居ることに気づいてる?

  --- 気づいてる


鳥のほうはどう思ってる?

  --- 隠れる所を探してる

どこに隠れると思う? この木? それともこれの右隣にある(描かれてない)木?

  --- 隣の木

木は鳥が好き? 鳥に来てほしかった?

  --- 来てほしかった


鳥はどうしてお隣の木に行ったのかな?

  --- 他にも鳥が居たから


そっか。じゃあ木は、お隣の木みたいに
鳥がいっぱい来る木になりたいね。

  --- うん、羨ましいと思ってる


こんな会話全部を音にして書き出します。

食べた美味しさを曲にした音の作文は、有る物の描写でした。
今度のは、前に有る物を見て後ろに有る物を考える遊びです。

  *監獄・アンチつるつる

写し出されてはいないけれど其処に漂っている想いを丹念に追い、演奏に必須の能力を培ってゆくのです。


■お教室関連リンク

曲を感じる
*ある白い花
*ままならぬ恋の花
*2枚目の扉
*白い花の贈り物


初期
*レッスン記録:音符イチゴ
*レッスン前の時間
*レッスン記録:オクターブ
*レッスン記録:メダカのドレミ
*レッスン記録:スタッカート

*レッスン記録:楽譜を作ろう!
*レッスン記録:上の音
*レッスン記録:痩せたメダカ
*レッスン記録:カタツムリ
*レッスンの成り行き
*レッスン記録:イチゴのタイ
*レッスン記録:指番号
*レッスン記録:音の実

*レッスン記録:復習とカメ
*レッスン記録:音ブロックで曲を弾こう
*レッスン記録:好きな曲を作ろう!
  *緊張するレッスン
  *泣いちゃダメ?
  *レッスン記録:下地(1)色
  *レッスン記録:下地(2)味


記号
*レッスン記録:ト音記号
*レッスン記録:臨時記号


音符
*レッスン記録:音符の長さを憶えよう
  *子供の絵、母の悩み
  *レッスンと色
*レッスン記録:音符の向き

*レッスン記録:十六分音符
*レッスン記録:床の五線
*レッスン記録:紙粘土
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*付点音符を憶えよう
*レッスン記録:付点音符のサイズ
*レッスン記録:小節に触る


成長過程
*レッスン記録:記憶の拡張

*7ヶ月でカバレフスキー
*お庭レッスン

*レッスン記録:香りレッスン
*レッスン記録:ハーモニー体験

*レッスン記録:ハンカチのしみの音楽


ヒント
*レッスン記録:お菓子パーティー
*レッスン記録:付箋を使う
*練習カウンター
*メトロノームの思い出(1)
*メトロノームの思い出(2)

*ハノンと恋
*プー、スケールに泣いた日
*プレイ
*ステップ


リズム
*レッスン記録:リズム解き
*レッスン記録:食べ物カード
*レッスン記録:楽語とリズム
*レッスン記録:リズム聴音


幼児期の聴音
*レッスン記録:はじめての聴音
*レッスン記録:寒暖の和音


暗譜
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*レッスン記録:楽譜の道筋
  *1年間のレッスン記録


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*レッスン記録:音階練習
*レッスン記録:指遣いのカリキュラム
*レッスン記録:音階と和音


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*レッスン記録:アウフタクト実践例
  *レッスンこぼれ話:ピンクのうさぎ
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*レッスン記録:はじめてのバラード
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音階遊び
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*レッスン記録:フェーブの音階
*レッスン記録:音階理解をシンプルに


お箱遊び
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*レッスン記録:お箱遊び
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監獄・アンチつるつる

July 21, 2018

水色~♪


折角1本ずつ違うネイルなのに、間違って爪先クリアじゃないストッキング履いちゃって何だかわからなくなった。アルアルです。

猛暑の中を病院へ。
日傘なんか翳したってアスファルトからの強烈な照返しで焦げちゃいそう。

詰まった通院は今日で一段落。
来週は息抜きができる、ってニンジンぶらさげて頑張ってました。


暑さの中で監獄の匂いを想像した。


舐めるように読み込んでそろそろ読み終わるベンヤミンの1巻にシャトレ監獄の地下牢のメモがあった。

《鎖の端には首枷があった。この地下牢には、ガレー船での強制労働を課せられた囚人たちが、トゥーロンに送られる日まで入れられているのだった。ここの梁の下に押しやられると、暗闇に揺れる鉄の首枷が彼ら一人一人を待っていた。

....ものを食べるときは、彼らは泥の上に投げられたパンを、踵を使って脛づたいに手の届くところまで持ち上げるのだった。
....この地獄のような墓場で、彼らは何をしていたのか。

墓場でできること、つまり死に瀕するのだった。
地獄でできること、つまり歌うのだった。


....隠語のシャンソンのほとんどすべては、ここで生まれた。》


   (V.ユゴー 1881年 "レ・ミゼラブル" 地下のパリ)

     ベンヤミン著 "パサージュ論1パリの原風景" より

             (今西仁司様/大貫敦子様/高橋淳一様
             塚原史様/三島憲一様/村岡晋一様
             山本尤様/横張誠様/与謝野文子様訳)

そうだ地下だ。

音楽は地下で生まれる。
作曲家の内臓で作られる。

楽しげなシャトレのマーケットは地下に大シャトレ監獄時代の囚人たちの血が染み込んでいる。

  *パリの歩き方

血だけじゃない。

ヒューマンであることを忘れた囚人が数多く存在し、
そのため向合う看守もまたヒューマンであることを棄ててゆく、
救いのない領域の澱が染み込んでる。


大屠殺場跡が撤去されても血生臭い匂いが消えなかった街。


臭気に満ちていた街。
血と糞尿と肉の汁が下水に流れ込んでいた世紀。

歴史は地底が知ってる。

私は地底を見たい。
存在したものは見なければならない。

音楽の底を見たい。
作曲家の血管に音が流れる映像が見たい。

我々は何もかもをなかった事・居なかった者にし過ぎだ。
何故音楽の何もかもが此うもつるつる摩擦なく運ぶんだ?
総勢が笑顔に飼いならされようとするかのように。

  *モテヘア&モテメイク
  *プー&モツと摩擦

コーリャ・ブラッハー氏とエリック・ル・サージュ氏が演奏なさるプーのヴァイオリンソナタは、蓋をしてはならない物事の側面に触れなければという衝動を掻き立ててくれる。


■ベンヤミン関連リンク
*本欲しいなあ
*ミュゲとパリの始まり
*地球儀と室内と解放
*カラビナ・日常・本
?僕んちのどうぶつ達
*息詰まるフリーク
*1919
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*プレイ
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*ダダとプーと苦いコーヒー

■ちょっとだけアラゴン
*パノラマ
*優しく辛辣な女と、田分けた男



プー&モツと摩擦

July 15, 201

先日はマッサージに行けました。


だいぶ前、マッサージ行ってきていいですか? ってお尋ねした時はドクターが、どこに癌が飛んでるかわからないし骨やリンパに影響があるマッサージは待つように仰ったのでした。

ゴリゴリしてるうちに悪いものがリンパ液に乗って何処かに進んじゃうなんて、何だか怖いイメージよね。

そんな頃は行けなかったマッサージを久々に訪ねることができて嬉しかった。


マッサージルームにモーツアルトのピアノコンチェルトNo.21が流れてて、楽曲の事を考え込んでるうちにマッサージ終了。


うそ~、残念。やっと叶ったマッサージをすごく楽しみにしてたのにモーツアルト以外何も憶えてないなんて(涙)


Durで先行した同じメロディがmollでなぞられる箇所 (そうした例は沢山ありますよね) で刺激を受けなかった現象を自分で 'ん? ' ってなったの。ピアニストさんが其処を特に聴かせる風に弾いてらしたにも関わらず。


モツを好きなプーが同様の手口 (プーのは '手法' ではなく共感と愛を込めて '手口' と言いたい) を用いる時、


私たちはハッとして、逆撫でが生じさせるような種類の快感を覚える。対してモツでは毛並に沿ってひと撫でされるライトな快適さが先に来る。

それはどちらが優れどちらが劣るっていう並べ方とは異なって、
Durからmollへの意味づけが異なるのだって実感しました。


近頃はコーリャ・ブラッハー氏のプー演奏が気に入ってる。言わずと知れたベルリンフィルの最年少コンマスだったお方。


耳にしてきたのは殆どドイツ・ロマン演奏ばかりで他は知らなかった。夫のCD棚を拭き掃除中に目に止まって取り出した。

先日文句を書いてた、つるつるしたフルートと違って摩擦感が好きでした。

  *モテヘア&モテメイク

爪を立ててくる・駆ける・呼ぶ・シャンソン風に震わせる喉のような弦の揺れ。他者を取り残して独り走るプー風なところも含めて、道理の通りじゃない音楽を素晴らしく操られてた。

ごく個人的な感想では、氏の才能も演奏も音も豊かすぎてプーの悪趣味は少し削がれ気味かもしれないけれど。不健全な粗暴さが加わった、もっと下手な演奏も好きかも。それが今求める '摩擦' でもあるから。

そして気づいたらマッサージ終わってた。
残念すぎる。


■ブルゴーニュ君のプーランク
*お昼寝の曲
*雨の日のお昼寝動画
*可愛い音符

■プーランク楽曲関連
*爛熟、プーランクと爛れ
*腹巻FP146
*カラフルな月
*プー "ノヴェレットNo.1" の生地
*プーランク:一篇の。
*純真
*パレ・ロワイヤル
*似てるモノ・違うモノ
*プー、スケールに泣いた日
*モテヘア&モテメイク

■プーランクの気配
*パリのプーランク
*プーランクとシュレアリスム
*ラファエル前派とカードアイコン
*プーランクのテクスチャー
*フランスの特権

*プーランクで麻酔
*プーと共感
*プーとペダル
*ダダとプーと苦いコーヒー

■プーランク歌曲&デュオ関連
*プーランク "ロマンツァ"
  *ロマンツァその後
*フランスとルイーズ
*カフェは難しい・・・
*プーランク x ルイーズ
*神のないルイーズとフランス
*ルイーズのチーズ
*ルイーズの赤
*思い出の硝子瓶 + ルイーズ
*ルイーズのお稽古
*落日の色、ヴィオロン音源up
*プーランク "花" 音源up
  *枯れた花のお手紙
*女心とアンドレ婦人
*PJにてプーランク・マズルカ
*プーランク "草むらの中で"
*舌切り雀、Il vole

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ステップ

July 13, 2018

朝早い時刻のお出掛け。


ロバに揺られながら、どこ行くの? って期待して飼い主を見つめる。

目が笑ってる。
嬉しそう♪

血液検査結果はまだまだ駄目だし上がり下がりはあるけれど、全体には体調がいいです。今のうちに少し動いて体力をつけたい。


昨日は発表会直前の方をレッスンしました。


あと3日だそうで今から壊して弄り回すことはできなくてもアドバイスレッスン的に、ワンポイントでグッと良くなる事柄に焦点を絞った90分。

レッスンしながらテオフィル・ゴーティエの言葉を噛み締めた。
ベンヤミン・メモに残されてたために知ることができたんです。

《境界線論。「ある歩く哲学者によれば、パリで、歩く人と馬車に乗る人との間には、ステップに足が掛かるか掛からないか、それだけの差しかないのである。


ああ! ステップ!・・・・それは、ある国から別の国への、貧困から豪奢への、呑気な暮らしから気の張る生活への出発点であり、


無に等しい人からすべてであるような人への橋渡しである。
問題は、そこに足を置くことだ。》

   (ゴーティエ "哲学的研究" [19世紀のパリとパリっ子])

     ベンヤミン著 "パサージュ論1パリの原風景" より

             (今西仁司様/大貫敦子様/高橋淳一様
             塚原史様/三島憲一様/村岡晋一様
             山本尤様/横張誠様/与謝野文子様訳)


言ってみればアドバイスレッスンは音楽を求道する人へ
有ると無いでは全く世界が変わる鍵になる 'ステップ' を
その人の脳内に設けること。


脳内に置かれたステップを体内に巡らせるのはご本人の努力かもしれないけれど、仮にのちの努力が不十分とて構わないじゃあないか。


ステップに乗ってる高揚と
ステップから見渡す視界と風の変化が
音楽の理解と直接的に手を結ぶ瞬間がある。

ジャンプのためのステップじゃない。
ステップがジャンプの予備段と考えるのは如何にも無粋だ。

ステップはステップで成立する。
ステップに足を掛けることで1つの事象が完結する。

それでこそステップの意義というものだ。


■ベンヤミン関連リンク
*本欲しいなあ
*ミュゲとパリの始まり
*地球儀と室内と解放
*カラビナ・日常・本
?僕んちのどうぶつ達
*息詰まるフリーク
*1919
*
*楽譜のページの向こう

■ダダ関連リンク
*ツァラ、にぎやかな絶望
*プレイ
*ダダのお寿司ネタ
*ダダとプーと苦いコーヒー

■ちょっとだけアラゴン
*パノラマ
*優しく辛辣な女と、田分けた男



動画とイベールのおしゃべり

July 12, 2018

シマエナガ先輩に頂いたAfternoon Teaさんのジェルアイマスク。この頃は冷たく冷やしてお昼に休む時間のお供にしてる。


お人ごとに言葉の表現が違うように、譜面の諸注意も作曲者によって異なる。同じ単語が作曲家によって独自の、違った使われ方をする。

特に作曲家が楽譜に留意事項を文章で書き込んで、まるでおしゃべりのように注意を促してくる近代フランス曲では、文脈で意図と言葉の強度が変わる。


仲の良いお友達なら聴き取ることができる違い。
親友の話し方の癖をよく知る者のように。


あの子が 'バカね' って言うのは貶めてるんじゃなくて嬉しいからよ、とか。
あの子が 'え~どうしよう? ' って言うのは如何に動くかの質問じゃなくて半ば以上同調してる証拠よ、とか。


それは仲良しじゃなければわからない。
作曲家個人個人の言い回しを識って、彼らの言葉をできる限り正しく認識したい。

知ることだ。
知り合うことだ。
我々は彼らの何をどこまで知っているか。




一見眠ってるみたいに、くったりとぬいぐるみさんを抱っこしてるブルゴーニュ君。実はときどき睫毛が動いてる。

  続いてきた曲集。
  最後のピース、10曲目。
  最終音の瞬間パチリと目を開ける。

まさかと驚く。
私はブルゴーニュ君の何を識ってるだろう。

この子が昔バルキス女王のそば近く付く家臣だったとも知らずに暮らしてるのだ。



地下足袋と七五調

June 07, 2018

可愛くないのが悩みのタネの夫のお部屋。


こんな感じが 'らしい' のかな~?って無機質に設えちゃった私の間違えです。何をプラスして何をマイナスするかは考え中。

階下のお仕事部屋はもう少しは潤いがあるのにプライベートルームは角張ってる。空間が角張ってて夢がないから私はテンション上がらないの。

  このお部屋には4拍子しかない。
  4拍子とは何ぞや?

4分の4拍子でも8分の4拍子でもなくって
日本語が作る4拍子とは何ぞや? と思う。

例えば七五調も5つの音と7つの音があるのじゃあない。5つの母音と7つの母音があるのだ。

5つの音があることと、5つの母音があることは明らかに異なる。
明らかに異なる2つを同じ風に受け取るのが日本の音感覚なのじゃあないかと、しばしば悩まされる。


母音=音符という非ヨーロピアンな感覚は日本独自の音感覚を作りもしたが、一定の音楽への理解力を奪いもするし、理解力を奪われた奏者は音楽を壊しもし、教育上の音楽概念を変えもした。


無意識に母音を音符とし、子音だけの繋がりがないのが当たり前の言語をもつ国では【4拍子が拍子故に存在するのじゃなくって母音故に存在してしまう】のじゃあないかしら。私観ですが。

1子音に1母音が入る国が育んだ特殊な調子は、たとえ5つの音も
♪♪ ♪♪ + d つまり、1拍目♪♪ 2拍目♪♪ 3,4拍目d (特殊文字の代わりの2分音符デス) って具合に4拍子化して捉える格好に収まってる。

4拍子は何も問題ないが、4拍子「化」は時に反音楽的になる。


先日ブルゴーニュ君ブログで
マタタビ、再び、一人旅ってリズムを書きました。

  *僕んちのどうぶつ達


これは ♪♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪ ですよね。

マタタビ♪♪♪♪ フタタビ♪♪♪♪ ヒトリタビ♪♪♪♪♪ と4+4+5のリズムで読むべき「音楽」でありました。でもひょっとしたら一部のお方は

マタ タビ
♪♪  ♪♪ 

フタ タビ
♪♪  ♪♪ 

ヒト リタ
♪♪  ♪♪ 

びーー
d

と4拍子「化」したリズム内にお纏めになったのじゃあないかと。
それ自体は問題ありませんね。クラシック音楽じゃない限り。


'一人旅' と単独で仰る時は5音で捉えるにも関わらず、
前半に偶数拍子が入ってくると何故だか '一人旅' を無意識に5音以外で語呂合わせして4拍子「化」する習慣にフランス音楽が絡んだ時が問題で・・・


フランス音楽感覚を伝えてゆきたい者として、それに相反するもの (それ自体の存在を否定する筈もないが、4拍子化や母音優先一色で塗り固める強勢が音楽に入り込んでくる現実) との闘争だけで人生が始まって終わっちゃうんじゃないかと、そろそろ危惧しはじめてる。


そこで解決してくれるウサギさんが登場するのです。

この子もピアノ室で暮らす子。
マタタビたちと同じく所有者はブルゴーニュ君です。
足先がチョコレート色のウサギさんは '地下足袋' ってお名前よ。

ハイ、ではマタタビ・再び・一人旅・地下足袋と続けて読むと
前に '一人旅~' で終わってた4拍子化が崩れますね。

5音の単語を、母音を延ばすなり休符を挿入するなりで偶数拍子に持ち込んでたのが地下足袋のお陰でできなくなる。

勝手に作られた4拍子「化」を崩し、本来の4+4+5を守るお手伝いをしてくれるウサギさん、地下足袋。



疑惧

May 20, 2018

ブルグミュラーOp.100 No.18 '心配' と題された曲。


ぽつりぽつり書いてる大人のためのブルグミュラーのお話ですが、今日のはどうぶつの日に行なった綱引きの、私サイド(土手の左側ネ)の具体例でもあります。

  *どうぶつの土手の綱引き

[心配は、エゴイズムの塊です]
そんな言葉で当曲の説明を始めました。


心配するとは一見優し気に勘違いをしそうだが
失われる物・人・状況を案じる心にメスを入れれば


其れらを失った我が身がどうなってしまうでしょう? と怖れ憂う気持ちだと。

エゴイズムの自覚なく '心配' と純な優しさのように纏めること、
それに伴い心を配ると表す漢字に因って尚更我欲に目を瞑るのは
私は腑に落ちませんよ、もぎもぎちゃん? との思いで、罪もないビックリ顔のもぎもぎちゃんをラシーヌ風に追い詰めました。


純な優しさならアジタート表記は要らないでしょう。


相手のために気を配り心痛めるよりも、失った時の我が身可愛さに思い乱れるのが此の曲のアジタートだと。

  あの日はそう考えていました。
  だけれど今日振り返って少しだけ違った考えも湧いてます。

エゴイズムに無自覚なまま、他者を気遣い他者のために思い煩っているのだと、私心を見ぬふりをするほうが一層グロテスクで、
そのグロテスクな歪みが人間の真髄に近い気もする。


No.1
  *純真

No.5
  *イノセンス

No.8
  *典雅な女

No.16
  *甘い棘

No.19
  *聖母

No.20
  *似てるモノ・違うモノ
  *タランテル

No.21
  *天使たち



典雅な女

May 14, 2018

タフタが広がる裾。膨らんだお袖。


縫い上げられてそっと掛けられた布はストンと下にさがる。
地球に引力があって布に重さがある限り。

どんなに丁寧に縫われたドレスも、お行儀よく襞が寄せてあるだけじゃあ '優美' には繋がらない。

其処に動きが見え
優しい膨らみと、儚い窪みとが合わさり

衣装を纏った女性の動きのすぐあとを布が追うような
なよやかなモーションが付いてきて


光沢に惹きつけられる反面で
シェード部はよりマットに、より光を吸い込む影となり


艶めくのは女人の肌か、心か、装いか、髪束かを見分けられないまで一体化したエレガンスを優美というのじゃあないだろうか。

と、仮定したらば
ドレープがあることじゃなくて、ドレープとして機能する一連の
(単発ではいけない。妙なる連続性があくまでも必要だ)
雅やかなモーションまたはその痕跡が絶対に必要だ。


ブルグミュラーOp.100 No.8優美のおはなしです。


上記のドレープが均等に目に入るのと不均等なのと
どちらが風雅を醸すのか。紛うことなく後者でしょう。

そのドレープが譜面上にある。
8分音符と32分音符の重なりは、しなやかな布に見える。

別の申し方をすると当曲の8分音符を均等な間隔で均等な長さで弾いてしまうのは、厚手で重たい制服に太い幅で入ったボックスプリーツのようだ。手堅く堅実な印象ではあっても、タイトルのそれとは離れるでしょう。


8分音符は、不均等故に優美と感じさせるタフタのドレープのように異なる幅をそなえてる。


イメージはソフィー・アンダーソンの絵画に描かれた布みたいな。風を孕み、肌にふわりと添う。

8分音符を延ばしたぶん32分音符を速めて柔らかな髪先のように巻き込んでみる。

  ドレス・肌・髪、と女性に拘るのは
  原題がLa gracieuseだから。

定冠詞がなくてもタイトルとしては成立するけれど、作曲者が当曲集で定冠詞をつけて描いている他曲と照らし合わせると、'優美さ' の形容じゃなく '優美な人' を指すと考えて良いでしょう。


その部分では毎度の如くに初期から訳され続けてる邦題には異なる意見を持っていますが、仮に優美を冠する場合でもgracieuseの語源を考えれば、単なる柔らかさとムーディーに流された思考で曲を捉えるほど本質から外れてゆく怖さがある。


それを防ぐ意向で "典雅な女" とタイトルしてみます。

'優美' に私たちが抱きがちなステレオタイプの感想から離れ、
何をもってして典雅と呼べるだろう? と自問できるタイトルへ。


No.1
  *純真

No.5
  *イノセンス

No.16
  *甘い棘

No.19
  *聖母

No.20
  *似てるモノ・違うモノ
  *タランテル

No.21
  *天使たち



エフの言わずもがな

May 04, 2018

ここ数日は寒さが戻ってきてる神戸です。
3枚着込んでまだ寒い午前でした。


夫のお土産の本が増えたから同じ数だけ古いものを処分しようと5冊を手に取りました。

内一冊に昭和38年の書込みを発見。
母が卒業した大学の学長様が書いてくださったものでした。


母は先生方がご高齢で亡くなられるまで親しくさせて頂いて、本も女性学長様からの贈り物だったのです。


母が若い学生の頃からお世話になったずっと目上のお方。だからよく知りもしない娘が、お亡くなりになったのに申すのはいけないと思うけれど正直私自身はこの手のメッセージが苦手。


'常に深い信仰と 高い専門の知識を追求め
愛と奉仕に生きて下さい'


あ~~・・・
何も間違っていないし、正しく当然の事が書かれてるのに
野良犬的な私なんかから見ると、檻に入れられる感ハンパない。

訓示めいた空気にげんなりする。
エフに接した時のムズ痒い感じと似たものを感じる。

だから非礼と自覚しつつ敢えて挙げてみました。エフを識るピースとして必要だから。

本だけで、内容にも頂いたことにも心動かされるでしょうに
言わずもがなの1文がわざわざ加えられたことで、本の感動まで押し付けがましさに変化して食傷する感じ。

エフの音楽を部分的にしか受け入れられないポイントは【言わずもがなをわざわざ言う野暮】なのでしょうね。
プーの粋とどこまでも対極です。


  ■これまでのお話
  *エフ
  *エフに狭まる心
  *エフと、プーの消化と、フォーレの濾過
  *エフ。収容期間終了
  *エフ。女の言葉と男の語り
  *エフとお国訛り抗争
  *エフ。必須の紋所・無言の執拗
  *エフとドビュッシーの白
  *エフとお食事会
  *エフと歯磨き
    *シャポンのアガーツ
  *エフとの関係



エフとの関係

April 17, 2018

声出して笑っちゃった。


お首の後ろへ回してあると悪くないコサージュが、重みで前にズレてくるとなんてアンバランスな。

漆黒の大きなお花をつけるには、ブルゴーニュ君の幼い心は清すぎる。それなのにお洒落さんしたよって満足気に悦に入ってるのが可笑しくて。

この姿くらい変てこにに感じる事が他に2つある。

1つは抽選のガラガラの形。
あれを目にするたび思うの・・・

もっと少ない力で回せる形がありそうなのに何故これなんでしょう? とか、ハンドルの位置や曲がり具合は本当にベストなの? とか、どっち方向へ回すって矢印シールをお店が貼ったりしなくてよい方法はないのかしらんとかって不思議な気持ちになる。

2つ目のミステリーは自分の気持ち。





あれほどまでに鬱陶しいと疎んじてきたエフ。

1番苦手で、1番下手くそで、1番弾きたくなくて
どうしても嗜好に合わず、接点が見つけられず
エフが居るだけで暗然とした気分になり、
付き合い方が全くわからないにも関わらず
何十年ついてまわられた現実に釈然としない。

それでもコンサートで随分な数のエフ曲を弾き終えた人生後半は
もう2度とオフィシャルにはエフと関わるまいと決めたのに
おうちでだけは何故ちょっと弾いてみたりするんだろうって。

答は抽選のガラガラ以上にまだ見えない。


  ■これまでのお話
  *エフ
  *エフに狭まる心
  *エフと、プーの消化と、フォーレの濾過
  *エフ。収容期間終了
  *エフ。女の言葉と男の語り
  *エフとお国訛り抗争
  *エフ。必須の紋所・無言の執拗
  *エフとドビュッシーの白
  *エフとお食事会
  *エフと歯磨き
    *シャポンのアガーツ




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